修正案
原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案
2019年04月25日
修正対象 | 修正案 | 関係資料 | 関係資料② | 提出年月日 | 審議情報 |
第197回国会閣法第2号 | 修正案 | 要綱 | 新旧 | 平30.12.4 | 審議情報 |
原発事故による「被害者の保護を図る」ことが目的の法律だったはずが、
電力会社や既得権益の保護を図る内容になっているおかしな法案。
(どんな法律か?)
原発などで核災害が起きた際、数十兆、数百兆円に及ぶ恐れのある損害を、
誰がどれだけ責任を負うか。被害者救済の資金の確保について決める法律。
現在、本法に則って、東電原発事故の被害者へ賠償が行われている。
原発事故後、今回が2回目の法律改正。
(問題点)
加害者側には忖度、被害者の現状はほぼ考慮しない法律。
例えば、各原子力発電所ごとに事故に備えてお金を預ける義務を賠償措置制度といい、
その賠償措置額は、たった1200億円。
一方で、東電原発事故では2018年10月末現在、
事故への賠償額は、すでに約8・6兆円の支払いが決まっている。
東電では払えずに、ほとんど税金で肩代わりしている状態です。
次の事故を予測しても、賠償措置額は1200億円で足りる訳はなく、
数兆円への大幅引き上げが行われるかと思いきや、
出てきた改正案では、賠償措置額は1200億円のまま、据え置き。
電力会社の責任は強化されないことに。
また、元々この法律の目的は「被害者の保護を図る」であったはずが、
賠償指針と被害者が苦しむ現状との乖離、加害者意識欠如の東電による一方的なADR拒否、
東電の和解案拒否により和解手続が打切りとなった件数は1800件を超える状態がずっと続いている。
(山本太郎の修正案)
・賠償措置額を10兆4000億円に引き上げる
(解説)↑最悪の事故に備えて損害賠償額を担保させる必要があることから、
東電原発事故で確定している支払い額を基準とした。
・世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると認めた原発のみ稼働させる、
というのであれば、異常に巨大な天災地変の際に原子力事業者の免責は認めない。
(解説)↑日本は地震大国。異常に巨大な天変地変が起こる前提での準備が必要。
免責などありえない。
・原子力損害賠償紛争審査会が定める指針について、少なくとも毎年1回検討を行い、
必要があると認めるときはこれを変更しなければならないこととする。
(解説)↑現行の被害者救済手続きにおいて、東電事故の被害者に対する賠償は、
原子力損害賠償紛争審査会が策定する指針にそって、
東京電力が独自に賠償基準を作り、それに基づいて行われています。
しかし実際の損害賠償は、自然的・社会的基盤が失われる 「ふるさと喪失」 損害や、
放射性物質汚染による精神的被害等が含まれていないなど、
被害の実態にそぐわないものになっており、極めて不十分 。
これらのことから損害賠償を巡って被害者と加害者である東京電力との間で紛争が頻繁におきており、
東京電力は、ADRで提示される和解案を再三にわたって拒否、そのようなケースが増加。
これらはひとえに賠償指針の策定・見直しにおいて、少なくとも毎年一回、
被害を被った当事者を交えて指針の内容について検討を行い、
必要があると認めるときは、これを変更するようにするべきである。
・国の援助を受ける原子力事業者の株主その他の利害関係者の負担の在り方、
その他の原子力損害賠償制度の在り方について抜本的な見直しを含め検討を行い、
その結果に基づいて必要な措置を講ずる
(解説)↑電力会社をスケープゴートにして幕引きを図ろうとしているのが現在。
被害者に対する補償賠償の値踏み、誠意なき対応の温床になっている。
事故の責任は既得権者に広く求められる方向に舵をきる。
この時の山本太郎の国会質問はこちらから。
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