山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動

 

タイトル:法科大学院だけでなく日本の学生の人生を狂わせた数々の失敗!

 

○山本太郎君
ありがとうございます。れいわ新選組代表、山本太郎です。法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案、いわゆる日本版ロースクールと司法試験法案の改正について、会派、国民民主党・新緑風会を代表し、お聞きしたいと思います。

 

法科大学院、2004年が最初の改革、日本版ロースクールは今年で15年目に突入。本法の改正について、文科省によると、微調整のような改正、技術的修正は2回ほどあったが、今回が2002年以来初めての大改正だそうです。全く問題がなかったから長きにわたり改正がされてこなかったのか、問題はあったが手を打つのが遅れただけなのか。

 

本委員会の審議での文科大臣の答弁を抜粋すると、法科大学院修了者の合格率が当初目標としていた7、8割どころか2、3割と、全体として低迷する事態となった。将来的な法曹に対する需要の見込みも甘かった。一律に広く参入を認めて、教育の質の確保は競争による自然淘汰に委ねるという姿勢を取り続けてきた。率直に、正面から反省をし、認めたいと、過去の施策の失敗をお認めになっています。失敗を認めるということは勇気が要るんですけれども、これ非常に重要なことだなというふうに思うんですね。大臣の答弁には好感が持てましたし、現実を直視し変えるんだという意思を感じました。

 

今回の改正の目玉、大学の法学部と法科大学院を接続、法学教育期間の短縮を行える制度を導入すると。それによって法曹(ほうそう)を目指す者の経済的、時間的負担を軽減するんだということ。

 

これまでの制度は、大学での法学部教育4年間プラス法科大学院教育を2年、いわゆる既修者コースか、法学部以外の大学の学部教育四年間プラス法科大学院教育3年のいわゆる未修者コースで、司法試験の受験前に6年から7年の間大学教育を受ける形だった。今回の改正は、3プラス2構想と呼ばれるもの、法学部の中に法曹専門コースを設置、法学部3年修了で法科大学院2年間の既修者コースに進学することを可能にする制度。3年プラス2年だから、教育の期間は最短で5年間だと。本法案改正の一部を紹介しただけでも、決してこれ小さな改正ではないと思うんですね。2002年当初の法科大学院設立時とは大きく変わっていることが分かると思います。

 

大臣、ここは短く頂戴(ちょうだい)したいんですけれども、今回のこの改正というのは過去の失敗から学んだまさに大改革と呼んでもよろしいんでしょうか。

 

○国務大臣(柴山昌彦君)
大か小かということについては恐らくそれぞれ受け止め方様々かと思いますけれども、今委員がまさしく御紹介をいただいたとおり、これまでの様々な制度改正に比べれば大変大きな根本に関わる改正ではないかというふうに考えます。

 

○山本太郎君
大臣からも大きな改正であろうというお答えをいただきました。

 

それにしても、失敗した施策の代表として度々語られる法科大学院、その法律の改正がなされるまでに時間が掛かり過ぎているなと正直思ってしまうんですね。それに比べて、委員会審議がちょっとインスタントじゃないかなというふうに感じるのは私だけでしょうか。

 

2002年の本法案審議時には、衆議院19時間50分、参議院11時間30分、合計約31時間。今回の審議時間は、衆議院14時間20分、参議院8時間、本日採決と、合計約22時間の見込みというふうに以前伺ったんですけれども、大失敗した案件、それについての大改革、大臣のお言葉を借りると大きな改正であろうと、なのにもかかわらず、審議時間最初よりも少ないってちょっとおかしくないかなと思うんですね。

 

法科大学院や司法試験の話なのに、本委員会での質疑しかやらない、連合審査もやらないで法案を通そうとしている。再三野党が法務委員会との連合審査を要求するが実現せず、2002年の法案審議の段階では、基本が法務委員会、関連する学校教育法改正の質疑は文教科学委員会、そしてほかに法務、文教の連合審査と横断的にしっかりやってきたのに、法務委員会で、文教委員会が止まっていた先月30日、法曹養成に関する一般質疑、4時間ほどですけれどもやったそうです。それでカバーできる話では決してないと思うんですね。

 

今回の大改革の目玉のもう一つ、衆議院の質疑で問題になった法科大学院の在学中の司法試験受験を認めるという部分。実は与党の法務部会の議論だけで決まったということはもう皆さん御存じのとおりだと思います。そのときの法務副大臣の答弁、法科大学院の集中改革期間の2018年度のうちに法案をまとめたかった、緊急性があったから審議会での議論を省略したという内容。この答弁聞くだけでも、緊急性って何なんだよという話なんですよ。これ与党側のスケジュールじゃないかよって話なんですね。それが何より大事で重要だということしか伝わってこないという話なんです。

 

関係者、当事者の意見、これ聞かなくていいんですか、ちゃんとということなんですね。また置き去りにする気ですかと。当事者置き去りで大改革って、これまたろくでもないことになるんじゃないかという話なんです。大失敗した法律を大改革するのにしっかり議論するつもりがおありになるのかなというふうに疑ってしまいます。

 

先へ進みたいと思います。

 

まず、超超基本的な質問から。法曹って何ですか。

 

○副大臣(平口洋君)
法曹とは、一般の国語辞典によりますと、法律事務に従事する者、特に司法官や弁護士をいうとされておりますが、平成13年6月の司法制度改革審議会意見書においても、法曹と同義の内容として裁判官、検察官、弁護士とされており、法曹とは裁判官、検察官及び弁護士の法曹三者を意味するものと理解しております。

 

○山本太郎君
どういう職業の方々かよく分かりました。

 

過去を簡単に振り返りたいと思います。

 

日本版ロースクール、法科大学院は、具体的に何を目的にして設立されたか。平成13年、2001年6月の司法制度改革審議会意見書で、大幅な合格者数の増について、質を維持しつつ図ることが困難という量的な問題、司法試験の競争激化のため受験予備校への依存が顕著であり、法曹の資質確保に重大な影響があるという質的な問題。つまり、もっと法曹の数を増やしたいという話と、受験対策に偏った知識でなく、深みを持った法曹を育てたい、その能力などを育成するには法科大学必要だねということになったってことですよね。

 

ロースクール設立前、法曹の中でも特に弁護士の増員の必要性について、なぜ増員が必要であると言われていたのか、当時の背景説明してくださいということをこの後聞くことになっているんですけれども、答え長かったのでこっちでお答えします。

 

法務省、文科省からの答弁だと、必ずしも弁護士だけ増員という話ではないんですよというお答えだったんですね。例えば、平成13年6月の司法制度改革審議会意見書においては、プロフェッションとしての法曹(裁判官、検察官、弁護士)の質と量を大幅に拡充することが不可欠であるとの記載があるとのこと。

 

当初の目標として、2010年頃には新司法試験の合格者数を年間何人とすることを目指していましたか。これ、数だけで結構です。ありがとうございます。

 

○副大臣(平口洋君)
平成13年6月の司法制度改革審議会意見書では、我が国の法曹人口について、平成22年、2010年頃には新司法試験の合格者数の年間3000人達成を目指すべきであるとされていたところでございます。

 

○山本太郎君
3000人を目指すと。結果どうなったか。法科大学院で教育を受けた者のうち、ピーク時の合格者数と直近での合格者数、それぞれ教えてもらえますか。

 

○国務大臣(柴山昌彦君)
法科大学院を中核とするプロセスとしての法曹養成制度は平成16年度に導入され、お尋ねのピーク時、これは平成17年度から19年度の入学定員ですけれども、5825人が定員でありました。ただ、直近の平成31年度の入学定員は2253人となっております。

 

○山本太郎君
法科大学院では、当初、修了者の約7割から8割が司法試験に合格できると、そういった教育をするんだというふうにうたわれていました。

 

結果、修了者の約何割が単年度で司法試験に合格できたことになりますか。単年度合格率のピーク時と直近、教えてください。

 

○副大臣(平口洋君)
法科大学院修了資格による受験者について、司法試験合格率が最も高かった年の合格率は平成18年の48.25%でございます。そして、直近となる平成30年の合格率は24.75%でございます。

 

○山本太郎君
年間3000人増やす、この3000人の根拠、教えてもらっていいですか。

 

○副大臣(平口洋君)
平成30年頃までに、先進国の中で国民一人当たりの法曹の数が最も少ないフランス並みである実働法曹人口5万人に達することを見込んで、年間3000人程度の新規法曹の確保を目指す必要があるとされたところでございます。

 

○山本太郎君
ありがとうございます。

 

それでは、この年間3000人増やそうと提案した人、誰なんですか。その人の名前教えてもらえますか、分かれば。

 

○副大臣(平口洋君)
平成13年6月の司法制度改革審議会意見書においては、専門的知見を要する法的紛争の増加や弁護士人口の地域的偏在の是正の必要などによる法曹需要の増大への対処のため、法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であるとされたものでございます。

 

そこで、同審議会意見書及び同審議会での議論においてそのような数字とされたものでございます。

 

○山本太郎君
提案したのは何者なのかということをお聞きしたんですけれども、審議会じゃないのというお話でしたけれども、まあこれ人や会じゃないんですよねということですよね、そもそも提案したの。

 

そもそも提案したのはアメリカじゃないかよという話なんですよ。増やせと言ってきたのもアメリカ、3000人という数の根拠もアメリカ、法科大学院、日本版ロースクール導入の前提になった法曹人口の大幅増員、アメリカの圧力で行われてきたってどうして言わないんですか。副大臣、いかがですか。

 

○副大臣(平口洋君)
司法制度改革審議会が議論を進めていた平成11年から平成13年までの当時、アメリカ政府から日本政府に提出されていた要望書、いわゆる年次改革要望書では法曹人口に関する言及があり、平成13年10月に提出された要望書には、司法制度改革審議会の意見書の実施として、合格者を年に3000人に増加させるための計画を策定することを強く要望する旨が盛り込まれているわけでございます。

 

しかしながら、同年、平成13年6月に取りまとめられた司法制度改革審議会意見書は、同審議会において約2年間にわたる慎重な調査、審議等を経て取りまとめられたものであり、同審議会の議論では法曹人口の在り方についても様々な過程から検討が加えられております。

 

そして、その結果が審議会意見書として最終的に取りまとめられていることから、アメリカ政府からの要望をそのまま受け入れたものとは考えてございません。

 

○山本太郎君
アメリカが言ったことをほとんどのみ込んでいるような政治をやり続けているのに、そんなこと信用できるはずないでしょうということなんですよ。2年間調査して慎重な議論が行われてきたことが大空振りだったんですよ、結果。全く説得力がないと思います。

 

そもそも、なぜ1990年代の司法制度改革論議の中で急に日本の司法試験合格者を3千人にしようとか、アメリカ型の法科大学院を日本に導入しようという議論が起こったのかということなんですけど、そのことについてお身内、お身内かどうか分かりませんけれども、法務副大臣経験者ですよね、与党の自民党、河井克行(かわいかつゆき)衆議院議員が御著書でちゃんと書かれているんですね。「前法務副大臣が明かす司法の崩壊」、新人弁護士の大量発生は日本をむしばむ、すごいですね、題名だけでもう読んだような気になりますけれども、資料の①でございます。

 

資料①

 

第二章、「法曹人口「年間3000人増員計画」の真相」にはこうあります。読みます。

 

「私としては、他人に責任をなすりつけるようで嫌だから、余り言いたくはないのだが、実は法曹人口年間3000人増員計画の推進力の一つとなっていたのは、アメリカ政府の対日要求である」と。

 

推進力の一つになっているって告白されていますよ、当時の副大臣。米国政府から日本政府に毎年送られてくるいわゆる「年次改革要望書」、例えば1998年10月7日、2000年10月12日や、司法制度改革審議会に対する米国政府の意見表明2000年6月9日の中に、日本国内の議論に呼応する形で、司法修習生の受入れ人数を早急に増やせとか、法曹人口をフランス並みにするべきだ、さらには司法試験合格者を年間3千人にするべきだということが全て書かれていると。

 

資料の②、年次改革要望書のコピー。

 

資料②-1

資料②-2

資料②-3

資料②-4

 

1998年の報告書では、29ページに「インクリーズ・ザ・ナンバー・オブ・ベンゴシ」(Increase the number of Bengoshi)と書いてある。弁護士の数をインクリーズ、増やせ、命令形なんですよね。98年では毎年の司法修習生の数を1500人に増やせと書いてあり、翌年の要求では2千人に増やせと書いてある。そして、2001年にはその数字がとうとう、最低でも1500人、将来的に3000人にまでなりました。

 

アメリカは、弁護士の増員要求とともに外国法律事務所に対する規制緩和、外弁法改正も要望書で要求。進出してきたアメリカン・ローファームが、日本で増えた弁護士を子分にして日本企業の買収や日本の法制度を変えていくと、弁護士の鈴木仁志(すずきひとし)さんは著書の『司法占領』の中でも危機を訴えていました。全部つながっているんですね。

 

2001年当時、10月から12月にかけてロースクール創設を提言した司法制度改革審議会の報告書が出た直後には、アメリカ大使館は総合規制改革会議に経済担当公使が乗り込んで意見表明をし、後にTPPを日本で推進することになるACCJ、アメリカ商工会議所もアメリカの弁護士の日本進出の規制緩和を要望してきた。その結果、外弁法が2003年に改正されて、外国の弁護士事務所が日本の弁護士を雇用できるようになりました。

 

日本国内の将来需要を見越して法曹の数を増やすというよりかは、アメリカ様の望むことを受け入れる姿勢が何よりも優先されている。それは、過去の年次改革要望書見ていけばよく分かるんじゃないですか。アメリカに言われたからやったってわけじゃないよ、しっかりと議論して必要だと思ったからやったんだというようなことが本当に言えるかどうかですね。

 

資料の③。年次改革要望書で要求されて実現した内容。

 

資料③

 

例えば、1998年、半世紀ぶりの建築基準法の改正。これは、性能基準を必要最低限にする改正でした。ほかに、今回のロースクール創設につながる司法制度改革、地方の商店街をシャッター街にした大店法の廃止。さらに、小泉・竹中時代の2003年には労働基準法の改正、製造業への派遣を解禁。2008年には派遣が2百万人を突破。現在は労働者の4割が非正規に置き換わってしまった。

 

この派遣法改正で潤ったのは、御存じ、グローバル企業の手先とも言われる、派遣業を営む竹中平蔵さん。そのほか、忘れてはならない2005年の郵政民営化、担当大臣はやはり竹中さん。

 

資料の④。

 

資料④

 

我が会派、櫻井充(さくらいみつる)議員は、郵政民営化の結果、地域によっては簡易郵便局が閉鎖、郵便、郵貯、簡保を分離したことで、窓口事業も効率化どころか非効率になった、そのように指摘し、竹中さんについては、売国奴以外の何物でもないと断言したことは議事録にも残っています。いつまでこのような売国奴を有り難がっているんだ、自民党政権はと私も議事録に残したいと思います。

 

そもそも、郵政民営化は、アメリカの保険業界へのインセンティブでもあります。日本でがん保険を売りさばいていたアフラック、郵便局という巨大な窓口をゲット。そうやってアメリカがビジネスしやすい仕組みをつくってさしあげるのが年次改革要望書の実行。

 

さて、法科大学院の制度設計の基にした司法制度改革審議会の報告書は、小泉・竹中政権時代の初めの2001年、アメリカの新自由主義的な規制緩和要求のメニューの一つが、ロースクール導入の前提になる弁護士増員でした。

 

先ほどの自民党の法務副大臣経験者、河井先生御著書の56ページで、「こういう話をすると、アメリカは身勝手だとか、一方的だとかいうことを言う人が多いのだが、そもそも、どの国も自国の国益を第一に考えるものだ」とおっしゃっています。これ、河井先生おっしゃるとおりなんですよね。自国の利益優先、これ当たり前のことなんですけれども、どうやらアメリカの要求で、だから、アメリカの要求であったとしても、それ無理ですからと言えばいいだけの話なんですよ。無理なものは無理だと言うべきだと。当たり前です。自国ファーストです。でも、どうやらこの国は宗主国様にそんたくすることが優先順位の第一位になっているよ、そういうことだと思うんです。

 

日本の法曹人口を、アメリカ並みではないにしてもせめてフランス並みにすべきだという、99年11月24日、第7回司法制度改革審議会での議論。内容は大きく三つ。

 

1、国際比較をすると、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスの中では、フランスが一番法曹人口が少ない。2、日本の法曹人口を仮にフランス程度に充実することが必要だとすると、約7万5千人ということに。3、そのためには毎年何人の法曹を、具体的には司法試験合格者をつくり出す必要があるかといえば、毎年3000人の司法試験合格者を出さなければならない。

 

先ほどの河井元法務副大臣の御著書の別の箇所での指摘では、このフランス並みにするために毎年3000人合格というのには大きなトリック、だましがあったと、議論の前提が間違っているといいます。

 

日本で法曹という場合、弁護士、検察官、裁判官という法曹三者を指すのみで、司法書士、行政書士、税理士、弁理士、社会保険労務士、土地家屋調査士などの関連する法律職、つまり隣接士業(りんせつしぎょう)が含まれていません。しかし、フランスを含めた先進国では、日本の隣接士業がやっている業務も弁護士がやっているという現実があった。

 

河井さんの当時の記述によると、日本の場合、法曹三者、隣接士業、更に企業の法務部員も含めれば、広い意味での法曹人口は27万人にもなります。実は、日本はアメリカに次いで最も広い意味での法曹を抱える国だったということになるわけですと。これ同様のことを愛知大学教授の森山文昭(もりやまふみあき)弁護士も御著書で書かれています。

 

 アメリカから弁護士を増やせと言われた挙げ句、むちゃくちゃな国際比較でせめてフランス並みに増やさなければいけないという誤った認識に基づいてあおり立てて、誤った需要予測に基づいて法科大学院の設立認可を乱発してしまったと、そのようには思われませんか。いかがでしょうか。どの方でもいいですけど。ごめんなさいね、これ通告していないんですけど、今のお話を聞いて、そのような外部からのあおりもあって、それに乗ってしまって結局乱立させてしまったというようなことにつながっていったと思うかという認識のお話です。

 

○副大臣(平口洋君)
アメリカ合衆国からの要望、確かにございましたけれども、それをそのまま受け入れたものとは考えていないわけでございます。

 

司法試験の合格者数は、平成22年度以降も2000人程度にとどまっており、年間合格者数3000人の目標が未達成であったこと、あるいは、法曹有資格者の活動領域はいまだ限定的であり、司法修習修了直後の弁護士未登録者数が増加傾向にあり、法律事務所への就職が困難な状況がうかがわれたことから、平成25年7月の法曹養成制度関係閣僚会議決定において現実性を欠くものとして事実上撤回されたものでございます。

 

このように、司法試験の合格者数や弁護士の活動の場などが結果として司法制度改革審議会意見書の想定した状況と異なるものとなったことは事実であり、残念に思っております。

 

○山本太郎君
全く欲しかった答えとは違う話ですね。答えなんて返ってこないでしょうけど。

 

そのようなことに巻き込まれて、かなりひどい目に遭った人たちもいるということですよね。法科大学院協会理事長の大貫裕之(おおぬきひろゆき)さん、2017年、雑誌インタビューで、「最初から多くの法科大学院をつくり過ぎたのではないかという問題はあります、当時は小泉政権下で規制緩和の真っただ中でしたから、設置条件を厳しくするよりは多くの大学の参入を促して競争させようというコンセプトで始めた結果です」と敗戦の弁を述べられている。

 

余りにもひどいですよね。規制緩和の名の下にいろんなもの、その上に、痛みに、何でしたっけ、痛みを伴う改革と言って、その後に何かあるのかと思ったら、痛みが続くというか、よりひどくなったみたいなことをずっと続けてきましたよね、小泉政権からずっと新自由主義にのっとって。余りにもあり得ないことが大学というこの学問の世界にも入ってきているということですよね。結果、ぼろぼろになったということです。

 

続いてのことなんですけれども、聞く予定だったんですけど、こちらで答えますね。

 

法科大学院のピーク時の数と直近での数、結果、何校が廃校に追い込まれ、何校が応募停止に追い込まれたかということをお聞きする予定だったんですけれども、2007年のピーク時の設置数は74校、そして本年度に入学する学生の学生募集を行ったのは36校、これまで38校が募集停止を表明、そのうち27校は既に廃止されている。

 

アメリカの要求にこびた結果の尻拭い、これ誰がやったんですかということなんですよ。誰がやったんでしょう。誰もやっていないでしょう。実際の法曹志望者や補助金削減で実際に立ち行かなくされた法科大学院の職員たちとか、そういう方々が被害を被ったんじゃないですかって。一方で、それを決めた政治家たち、無傷。おかしくないですか。誰も責任取っていない。誰も責任取らない。気楽な話ですね、本当に。

 

規制緩和を行い、官僚の事前規制から民間の経済活動を自由に行わせ、問題が起きたときに弁護士が介入し、裁判や調停で問題を解決するという事後規制型への転換を図る社会実験の犠牲者たちには、「運が悪かった、そんな時代だったんだよ」ということで終わりですかということなんです。

 

振り返ってみれば、国の政策の失敗、文科省だけ見ても、見通しの甘さで失敗した施策、過去にも幾つも挙げることできるんじゃないんですか。

 

例えば、96年から2000年に文部科学省が推進した「ポスドク1万人計画」。

 

ポスドクとは、博士号を取得した後、任期付きで研究に従事する研究者、ポストドクトラル・フェローのこと。政府はアメリカのシステムに倣(なら)い、またか!と、1万人計画を掲げ、ポスドクの数は急増。しかし、予想に反して博士号取得者の研修職や企業への就職は進まなかったが、2009年には目標を超えて1万5000人に達したと。計画が始まる前年にも、採用枠が広がってもフェローシップを終えた研究者の就職先がないことを心配する声もあると新聞などで懸念されていたんですけれども、それが現実となってしまった。

 

この政策の失敗を割食ったのは誰ですかといったら、ロスジェネですよ、就職氷河期世代。

 

何か言い方変えて、数に十分足りないような30万人を正社員にするみたいな眠たいことを言っていますけれども、この一番あおりを受けたのもロスジェネだったと。計画実行2年前の段階で、科学者の池内了(いけうちさとる)さん、「ポスドクについて、科学者を使い捨て労働者あるいは物言わぬ会社人間に仕立て上げる発想に思える」と書かれていた。

 

高学歴ワーキングプアを大量に生み出すようなことを文科省が旗振って、それに対して何か埋め合わせをしたのかといったら、しなかった。時代が悪かった、そういう話になるんですかということなんですよ。

 

資料の⑤、2007年、「読売新聞」の記事。元文科省官僚が、「博士余りは米国の制度だけまねて、入口を作って出口をきちんと整備できなかった」と反省の弁。

 

資料⑤

 

ちゃんとしっかり検証をしているじゃないですか、自分の中でこういうふうに。そのアメリカでもポスドクの数が増えているが、教育現場で彼らを受け入れる場所はますます少なくなっているという報告が、2015年、雑誌「Nature」のポスドクの未来という記事にもなってしまっているほど。

 

17年の日経では、社説で、ポスドクを増やしたことが、任期後の就職先がなく、収入や身分が不安定な高学歴ワーキングプアと呼ばれる若手研究者が増えてしまったと結論付けている。高学歴ワーキングプア問題、現在もずっと続いている話です。

 

資料の⑥、2018年に発表された平成30年度「学校基本調査」。

 

資料⑥-1

資料⑥-2

 

博士課程修了者の卒業後の状況と学部卒業者と比較してみると、正規雇用に就けた人は大卒で74%、博士修了者で53.6%。非正規、一時的な職に就いた人は大卒で4.5%、博士修了者で19.4%。進学も就職もできなかった人は大卒で7%、博士修了者で19%。博士修了者は過去10年、進学も就職もできない人が毎年2割程度出ている。

 

ポスドク1万人計画からの流れについて当事者の方々に集まってお話聞いたんですね。

 

パリの大学で修士課程を学ばれていた数学者の方、日本がいかに研究者を軽んじているかを痛感したとおっしゃってくださいました。「日本は知的労働者を非常に軽んじる自殺国家だ」と。

 

諸外国では、研究者や研究者予備軍というのは、学術研究という公的資産を育成する非常に専門性の高い仕事をする人たちなので、公務員扱いは当然、社会保険に加入できるのは当然。この時点で日本の研究者とは大きく違う。さらに、何億円とかけて育てた分、流出させたくない、使える人材だとエリート公務員のような扱いをしてくれる。民間に就職する場合でもすごく評価され、給料がいいというのが普通といいます。

 

一方で、日本の研究者の中では勝ち組と言われる日本学術振興会特別研究員、いわゆる学振(がくしん)には研究奨励金、生活費ですよね、支給されるんですけど、産休、育休手当もなければ社会保険も入れない。

 

結婚適齢期と言われる20代後半と博士課程がちょうど重なるので、若手研究者は結婚も子供も持てない状況。学振には博士課程在学中のDCというポジションから博士号取得後のPDというポジションまであり、毎年の推移を見ると、DCの採択率が2割程度、PDは11%から17%程度。この僅かな勝ち組でもこの待遇ですから、ほかは推してしかるべきという話になると思います。

 

生活費を捻出するために、自己責任で副作用の心配もある製薬会社の治験をせざるを得ない若手研究者もいるといいます。高い教育を受けて、ようやく学術研究に取り組むレベルまで到達した希少な大学院生たちが、治験をしないと生活費が足りないとか学費を払うために治験に行かざるを得ないというのは、大げさどころか切実過ぎる現実であると。

 

実家から莫大な仕送りをしてもらえる人以外は、独り暮らしの場合、研究者として人間らしい生活が送れていないといいます。

 

若手研究者の置かれている現実のこの処遇で平気な人たちは、たまたま親がお金持ちか実家暮らしなだけ。「お金は全然ないけど研究者として頑張りますと思っている人は、貧乏が行き過ぎて分からなくなっているだけじゃないか」というふうにおっしゃってくれました。憲法25条を思い出してほしいんですとおっしゃっていました。

 

学振の特別研究員である間は一定の生活が保障されるが、それも3年間で終わり。そのときまでにしっかりと安定した職場を見付けなければならないが、そうではなく、非常勤講師を渡り歩いて年を重ねている人がまだ多いというんですね。

 

今、るるお話ししましたけれども、これまでやってきた文科省の施策でかなり大きくダメージを受けた世代が確かにあり、そういう人たちが確かに存在するということなんです。

 

そこに対して、はっきり言えば、ちゃんとフォローされていないということですね。国の施策の誤りによって大きく傷ついた人々に対してフォローがされていないということなんですけれども、このポスドクというポジションにおられる方々に対して文科省として何かフォローみたいなことを考えられたりとか、ごめんなさい、これ通告していないんですけどね、余りにも私の話が続き過ぎたらちょっと退屈かなと思いまして、合間にちょっと大臣のお声を聞かせていただこうかなと思いまして。

 

○国務大臣(柴山昌彦君)
まず、その前提に、先ほど来、規制緩和と行き過ぎた競争政策の負の部分について委員から御指摘がありました。

 

今おっしゃった部分は一面においては事実なんですけれども、かつての日本がいわゆるガラパゴスと言われたような、大変、規制とかあるいは閉じられた環境の中で、恵まれた中で様々なやはりイノベーションなどが十分に起きていなかった。法曹人口についても、昭和35年、うんと昔からもっと増やさなければいけないということがいろいろ言われていたにもかかわらず、既得権の温存という形でそれがなかなか拡大等がもうずっと進んでこなかった。それがゆえに、先ほど質問があったように、司法試験が非常にいびつな形で行われてきたということも、これも事実でありますので、何もそのアメリカの対日要求だけによって、こういった規制改革というものが行われてきたわけではないということは一言触れさせていただきたいというように思います。

 

その上で、今御指摘になられたその文科省のかつての若手研究者、ポストドクターの拡大によって非常に身分が不安定になった方々がたくさんいらっしゃったという、こういうことについての我々としての考え方なんですけれども、まさしくこの部分、今おっしゃったところは的を射ているというように思います。若手研究者の研究に関するポストの拡充あるいはキャリアパスの多様化、将来の生活の保障、こういったことを我々今、文部科学省の方でしっかりと改めて進めるべきだというように考えております。

 

具体的には、多様な研究機関において活躍し得るキャリアパスを提示する卓越研究員事業の実施ですとか、国立大学における人事給与マネジメント改革の推進によって特に若手研究者のポストの確保を図るとともに、いわゆる科研費におきまして、科研費若手支援プランの実行を通じて研究者のキャリア形成に応じた支援の強化も図らせていただいております。

 

また、先般、永岡副大臣の下で取りまとめた「研究力向上改革2019」においても、この若手研究者のキャリア形成の観点から、若手研究者の任期の長期化と専従義務の緩和、優れた若手研究者へのポストの重点化、多様な財源を活用した博士学生の経済的支援の促進などを盛り込んでおりまして、今後、必要な制度改善などを進めることとしていきたいと考えております。

 

○山本太郎君
全然そのやられている施策が届いていないというか、不十分であり過ぎるということですね。そのやられた施策によって救われた人たちだったり、ちょっと助かったという人たちの数は余りにも少な過ぎる。大人の思い付きに近いような形、行き当たりばったり的な施策をどんどん展開することによって、それに傷ついた人たちはその後ほぼ放置状態じゃないですかって。高学歴ワーキングプアという人たちであふれているんだよということですよね。余りにももったいないという話なんです。

 

先ほどガラパゴスという、日本のガラパゴス状態を開放したというのが規制緩和であったんであろうというような話をされましたけど、申し訳ないんですけど、デフレの時期に規制緩和なんか進めたらろくなことはないの分かっている話なんですね、これ。

 

雇用は守らなきゃいけないし、産業は守らなきゃいけないというときに、規制緩和をどんどん広げていって外から入ってくるようになっちゃったらどうなるかといったら、どんどん食われていくんですよ。力のない日本企業も壊れていくんですよって。その結果、20年以上デフレ続いているじゃないですかって。随分、国力そがれましたよってことですよ。

 

消費も投資もなくなるということは需要そのものなくなる、需要そのものなくなるということは、どうなるかといったら、当然、国の力というのが落ちていくわけですよね。それをずっとかじ取りしてきた主に自民党の方々というところに責任があるということを一人一人がお感じになられているかということなんですよ。

 

誰も腹切っていないじゃないですか。誰も責任取っていないじゃないですかってことですよ。もちろん、この大学院、法科大学院という部分においても、誰も責任取っていないじゃないかって話ですよ。本当に必要な改革というものが今回でなされるのかという話です。ちょっと今、話の途中で大臣に振っちゃったんで、もうちょっと続けさせてください、ポスドクの件。

 

先ほど言いました学振、特別研究員である間は一定の生活費が保障されるけれども、それも三年で終わると。そのときまでにしっかりとした安定した職場を見付けなければならないけど、そうではなくて、非常勤講師を渡り歩いて年を重ねてしまうという人たちが非常に多いというんです。

 

そのような人材募集、どこで行われているかといったら、ネットだよと。で、見せてもらったんですね。

 

そうしたら、出てきたのが核物質を取り扱う公益財団法人だった。修士生の基本給が月給21万5500円。今回お話を伺ったお一人の国立大学労組の役員もしている大学教授、本郷三丁目駅前のファストフードの平日アルバイトの広告、時給1500円、核物質の管理がファストフードのバイトとほぼ同じというのはあり得ないというふうに怒ってはった、憤っていましたよ。

 

40代の研究者グループの方々は、この国において高等専門教育を受けて学位を持った人に対する専門性に対する軽視の念が官庁や企業にも根強くあるという指摘。ポスドク一万人計画の結果、専門分野を修めた博士号取得者が毎年1万5000人以上今も増産し続けているにもかかわらず、国が受皿つくってこなかったんじゃないかという話なんですね。

 

東大で教授をしている男性は、自分は修士課程2年を終えてから一度霞が関の官庁に就職したことがあるが、修士の2年を1年分の勤務経験としてしか認めてくれなかったとか、これすごい重要じゃないですか。その勉強してきた分をやっぱり霞が関に来られた方はその分評価されるとかということ、これだったら私、ちょっと大臣のお力発揮できるところなんじゃないかなと思うんですけど、そういう評価という部分についても、もう少ししっかりと見ていただくということできないですか。2年余計に勉強してきた分を1年分しか評価されないとかいったら、これやっぱり、時間は平等に流れているわけじゃないじゃないですか。その分社会人としてはちょっと出遅れている、でも専門的な知識があるという方々に対してその評価の制度とかということをやっぱりちゃんと見直していくとかということをお願いできないですか。

 

○国務大臣(柴山昌彦君)
一般論としては、例えば大学院などで深い学びをした者に対して高い級で処遇をするということがあるかと思いますけれども、今おっしゃったように、個別の例えば学術の年限がどのように人事制度に反映されるかということについては、もう少し細かく精査をさせていただきたいと思います。

 

○山本太郎君
ありがとうございます。

 

 国がポスドクを増やしてきたという責任があるんだから、専門性のある修士号取得者などにはむしろ3年分、4年分に評価して専門性に対する敬意を示していただきたいというのが当事者の話でした。

 

ほかにも、日本でポスドクを研究者として受け入れている団体は大体が「官僚の天下り団体」だみたいなことも言われていたんですけど、優先的にこれ天下り団体で受け入れてあげたらどうですかね。そういうことできないんですか。

 

ごめんなさいね、私、詳しくは知らないんですけど、先々の天下り先として確保しておきたいのは分かるけど、ちゃんと勉強してきて、国の失敗でそういうポスドクを大量に生み出してということをずっと続けてきたわけだから、優先的にそのような機関に就職する場を設けてあげるとかというのも、私、ちょっと柔軟に考えていくべきなんじゃないかなと思うんですけど、大臣、いかがでしょう。

 

○国務大臣(柴山昌彦君)
先ほど答弁をさせていただいたとおり、これからのそういったポスドクと言われる方々についての処遇を改善するとともに、先ほど、委員の言葉を借りればロストジェネレーションと言われている方々が今大変将来の不安に悩んでいるという問題についても、例えばリカレント教育ですとか、あるいは採用の通年化、あるいは中途採用の強化等々、これは文部科学省だけでできる話ではありませんけれども、様々な対策を通じて、最近は引きこもり問題なども大変大きく取り上げられておりますけれども、内閣府、他の省庁ともしっかりと連携をしながら光を当ててまいりたいというように考えております。

 

○山本太郎君
本当に大胆にやっていかないことには、もう本当ぼろぼろになっちゃいますよ。先日の年金2000万円の話もありましたけど、特にそのポスドクであったりとかロスジェネとかというような世代のことを考えると、どっちみち高齢化するんですから、そのときに資産形成もできていない上でといったら、野たれ死に宣言ですよ、これ。緩やかな死刑宣告を国からされているようなものですよ。だって、先に希望なんてないんだから。

 

だからこそ、そういう、文科省において「ポスドク1万人計画」というもので大量にそのような高学歴ワーキングプアを生み出してしまったということに対しての受皿というものを、是非旗を振っていただきたいんですよね。

 

資料の⑦。

 

資料⑦

 

海外のデータですけれども、ドイツでは博士号取得者の取得後の就職先で圧倒的に多いのは企業が73%、大学に残る人は15%と少数派であると。日本の場合は真逆ですね。大学が75、企業が14。

 

 この方々に国に願うこととして言われたことが、何よりも、少なくとも各研究者に競争させて配分する競争的資金の割合が増え過ぎているから、かつてのように各大学に平等に配分する昔どおりの形に戻してほしいという話なんですよ。ガラパゴスだとか何か、どうのこうの言ったって無駄なんですよ、もうやっていることが真逆なんですよって。どんどんこの国の学問であったりとか研究分野であったりというところを殺していこうとしているじゃないですかって。

 

企業とのイノベーションとか、それ外部の話だろうということですよ。国として何をやるかという、ちゃんとやるべき投資をやっていただきたいという話なんですね。これは法科大学院についてもそうだと思います。経済的負担を減らすというなら、金出す以外ないだろうということなんですよね。

 

 「諸悪の根源は、研究資金を削ったり、競争させて獲得させればいいと考えている財務省主計局じゃないですか」とも言われたんですけど、私はまずその原因をつくった文科省にやはりそういう受皿という部分を考えていただきたいと思います。

 

話は長くなりましたけど、国がやらかした失策、このロースクール問題もそうですよね、こういうものに対してちゃんと尻拭いしましたかということなんですよ。具体的な救済は行われましたかということなんです。ほぼないじゃないですか。先ほど言われましたけれども、該当者、それに該当する人々、何人ぐらいなんですかということですよ。やりっ放しじゃないかって。

 

多くの人々の人生を、生活を狂わせるような施策を推し進め、政治家は責任取らない、そんな施策まだまだありますよって。

 

例えばですけれども、この文科委員会とも連合で審査しました内閣委員会、私がいたときに大学関連の法案ありましたよね。東京一極集中の是正、それに資するということで、三大都市圏への人口の集中を抑えるために大学の定員を抑制するという愚策、これ地方創生と関連付けられた方策ですよ。大学の定員の抑制、2016年度からスタート、狙いは定員を超えた私大、国立大学に対するペナルティーを厳格化すると、大都市圏への学生の集中を是正することを目指すという話なんですね。ペナルティー厳格化って何かといったら、大学への助成金の不交付、減額だと。

 

これ、内閣府に対して、この導入後2年間でどれぐらいの結果出たんですかと、定員超過、どれぐらい防ぐことができたんですかと話を聞いたら、知らないと言われたんです。これ、内閣府と文科省ですよ。学生の数減らすといって、どれぐらい定員超過を防げたんですかと聞いたら、答えは知らないと言ったんです。それで、文科省にも聞いたら、これ、たらい回しにされたんですよ。

 

結局、これ2か月ぐらい掛かって、データ集めてもらって資料にしてもらったんですね。ペナルティー導入後、平成28年度と29年度の2年間、三大都市圏では国立で298人減らした、超過率は0.8改善、私立では3532人減らして、超過率1.2%改善、国公立、私立合わせて3921人減らしたという結果なんですね。

 

じゃ、それで一極集中とか三大都市圏への集中は是正されたかということなんですけれども、「総務省統計局住民基本台帳人口移動報告」では、2017年、東京への流入は減るどころか、転入者が転出者を約12万人上回る転入超過。22年連続の転入超過。減るどころか増え続けている。この結果、2018年も同じなんです、転入者が転出者を上回る転入超過が23年間連続。

 

じゃ、減らした意味って何なんだったんですかということなんですよ。超過数は前年より1万人悪化していると。大都市への転入をどうすれば抑えられるのか。これ、根っこと向き合っていないんですよ、行き当たりばったりなんですよ。大学の定員を抑制して、ただ一部の数減らしただけ。東京一極集中の流れ、むしろ悪化している。これ、場当たり的施策以外に言葉ありますかということなんです。

 

これによって大きな副作用が生まれたということ。今年の春も、模擬試験でA判定だったのに落ちてしまったという受験生の嘆きの声、SNS上でも上がりましたよね、たくさん。新聞報道でもされました。全く同じことが起きている。大学の定員数超えたら助成金の不交付、減額、そういったペナルティーを恐れて、大学側は合格者絞った。結局、この大きなあおりを受けたのは、いきなり椅子取りゲームの椅子を大胆に減らした結果、おととしと去年、そして今年、大学入試を受けた学生たち、人生設計さえ立てられない状況にされたんですよ。

 

これ、大学のレベル下げて受験する以外、方法がないと。模擬試験ではAと言われていた、これ、受かるんじゃないかという話になっていたけれども、それじゃ受からないかもしれないからと、どんどん下に下げていくんだけど、そこでも受からない、そこでも受からないと、どんどん、どんどんどんどん、それ下に下に受けていかなきゃならない状況になっちゃったということですよね。

 

これ、余りにもあり得ない話じゃないかって。模試でA判定であっても受からない、志望校下げ続けるが引っかからない、そんなことの連続。これ、一校受けるだけでもお金掛かるんですよ。

 

これ、収入少ない家、どうなりますかということなんです。生活保護家庭からの進学ということ、国が認めていないけれども、何とかやろうとした子供たちなんて、もう一発勝負だったりとかしませんかということなんですよ。その芽さえも摘むのかということですよ。余りにもあり得ないことを文科省やっているじゃないかって。内閣府もかもしれないけれども。結果出ていないんですよ。これに対して、たくさんの人たちが人生狂わされているんですよね。それに対して何か尻拭いしましたかと、その人たち救済されましたかと。

 

どうしてもみんな大学行かなきゃいけないと思うのは、生涯年収違うからでしょうと、高卒と大卒では。だから、何が何でも大学に行かなきゃと、そこに行けなきゃやっぱりカーストの下に行っちゃうから。そんな中で、大学に受けていって何とか引っかかろうと思うけれども引っかからないという人たちが多数出てきた。理由は何だといったら、文科省が行き当たりばったりみたいな形で始めたことじゃないかと。

 

結局、これで流入止められたかといったら止められていませんよ。で、これやめたんですよね。資料の⑧の1と資料の⑧の2を見たら、これ、結局、一回中止に近い形になっちゃっているんですよ。これ、認めたということですよね、やっぱりこれはマイナスが多いということを。

 

資料⑧-1

資料⑧-2

 

るる言いましたけれども、何が言いたいかというと、この法科大学院においても、必要なことはもう明らかじゃないですか。

 

明らかってどういうことかというと、日弁連が調査していますよね、委託しましたよね、日弁連に。そこから分かったことは何かといったら、教員の、教員とか補助教員とか職員の人的体制の充実、学生本人に対する大胆な経済的支援の実現、これが必要だということが明らかなんですよ。でも、本改正案に条文上規定されていますか、その部分について。教員の人的体制の充実だったりとか大胆な経済的支援、これ、学生本人に対するもの。調査によって必要なものが分かったけれども、条文上規定されていないんです。これ確認しています。

 

おかしくないですか。一番必要なことがどうしてこの法案の中に書かれていないんですか。何のために改正するんですか、これ。3プラス2にするとか、これ、法科大学院の延命策でしかないじゃないかということなんですよ。一番大切な当事者、より多様性のある法曹を生み出すというために改正をするはずが、その多様性のある人材を呼び込むためのバックアップ、今まで法律勉強してこなかったんですという人たちをしっかりとバックアップするための補助教員だったりとかというところにちゃんとお金を付けるとか……

 

○委員長(上野通子君)
山本太郎さん、質疑時間が終了しております。

 

○山本太郎君
必要なものが何も書かれていないんですよ。結局、法科大学の延命策でしかないというこの法案にどうやって賛成しろというんですか。

 

審議時間短過ぎますよ。もう一回、これ出し直すべきじゃないですか。ちゃんと当事者の声も聞いて、しっかりと内容を充実させるべきじゃないですか。

 

その一言だけ、大臣、お答えください。

 

○委員長(上野通子君)
質疑時間終了しております。大臣、簡潔にお答えください。

 

○国務大臣(柴山昌彦君)
受験生には先ほども申し上げたとおり大きな改革ではありますけれども、法科大学院等関係者の意見は聞いておりますし、これから法務省で進む検討についても引き続きしっかりと各方面の意見を聞きながら、慎重に制度設計をしていきたいと考えております。

 

○山本太郎君
終わります。

 

ーーーーーーーーー

<反対討論>

 

○委員長(上野通子君)
他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。

 

これより討論に入ります。

 

御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

 

○山本太郎君
ありがとうございます。会派を代表いたしまして、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律等の一部を改正する法律案について反対の立場から討論いたします。

 

参考人質疑の内山先生の御指摘をお借りするならば、どのような法曹を養成したいのかというビジョンがない、この一言に尽きるのが本法案と言えます。

 

元々、法科大学院を日本でつくる大きな目的は何だったか。多様性のある法曹を養成すること、社会の多様なニーズに応えていくという司法制度改革の理念に基づいていたはずです。法律を全く勉強していない人でも3年間法科大学院でしっかり勉強すれば7割、8割が司法試験に合格でき、様々なバックグラウンドや専門性を持った法曹が社会で活躍するということを目的にしていたはずです。

 

数々の失敗を重ねた上で随分と練られた形になったかと思いきや、本法案に盛り込まれた3プラス2、法曹コースの標準化は多様な法曹育成とは真っ向から対立するもの、要するに、法学部3年そして法科大学院2年の5年間、司法試験合格対策の勉強を続ける受験エリートな人材だけが優先的に法曹になれる仕組みになり得る可能性が否定できません。

 

参考人の宮島先生は、そのような新制度で育った法曹は各分野の専門的知識もなく、語学もできない、ビジネスの経験もない、ただ法律や司法試験の勉強ばかりした多様性のない法曹となってしまうと言います。参考人の内山先生は、3プラス2について、既修者に関しては相当充実する面がありながらも、未修者が目指しにくいものになるおそれを指摘。既修者は法曹コースで2、3年法律を学んでいるのに対し、未修者は法科大学院の1年間でその差を埋める努力が必要になる、未修では法曹を目指せないと諦めて目指さなくなるのではないかとの趣旨で警鐘を鳴らされました。

 

ほかにも問題があります。極めて不透明な形で法案に盛り込まれていることが審議の過程で発覚した司法試験の在学中受験資格についてです。

 

これは、昨年7月、与党文科・法務部会で上がっただけの内容であり、政府の司法制度改革審議会や中教審、法科大学院等特別委員会では議題にすら上がっていなかったものです。政府側は、審議会を経ないで改正内容を盛り込んだ理由として、2018年が2015年から始まる法科大学院集中改革期間の最終年に当たっていたことを理由に挙げていましたが、このような形で本来尊重されるべき手続を無視できるというのは大問題であると言わざるを得ません。

 

本法案は、内容や提出経緯に極めて問題のあるものであり、参考人の先生方が指摘しているように、拙速な成立を避け、一旦立ち止まり、再度きっちりと議論をやり直し、どのようなビジョンに基づいて我が国の法曹養成を行うかの根幹部分をしっかりと話し合うべきです。

 

本当に必要なこととして調査結果からも明らかになった教員、補助教員、職員の人的体制の充実と、学生本人に対する大胆な経済的支援の実現については、本改正案では条文上規定されていません。過去の失敗の反省や総括もなく、いかに法科大学院を延命させるかのみに終始した小手先の改正案ということがはっきりしています。

 

このような改正案には反対と申し上げ、私の討論とさせていただきます。




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