国会活動
審議法案:原子力委員会設置法の一文を改正する法律案
※田中俊一原子力規制委員長に、PPA(放射線防護措置実施地域)対策(放射性プルーム防護対策)について追及。
配布資料:2014.6.19配布資料「放射性プルーム通過時の防護措置実施地域PPAについて等」
○山本太郎君 こんにちは。
内閣委員会所属の皆様にはおなじみかもしれません、新党ひとりひとりでございます。
代表の山本太郎です。
よろしくお願いします。
原子力委員会設置法改正案なんですけれども、前回の質疑の最後のところで、岡原子力委員長さん、このようにおっしゃいました。
原子力発電所の再稼働の是非につきましては、原子力規制委員会の専門的な判断に法律的には委ねられております。
それから、防護措置の要否についても、原子力規制委員会において判断していただけるものと理解しております。
原子力委員会としては、その要否とか内容の妥当性について直接申し上げる立場にはございませんので、御理解いただきたいと思います。
このような答弁がありました。
原子力委員会は原子力規制委員会に対して再稼働の是非であるとか防護措置の要否について意見さえも言うことができない、これじゃ原子力委員会が存在する理由って一体どこにあるのかなと思ったんですよね。
非常に情けない残念な答弁だなと感じてしまいました。
気を取り直しまして、今日は田中原子力規制委員長に御出席いただいておりますので、前回の続き、質問させていただきたいと思います。
お手元の配付資料を御覧ください。
平成二十四年三月二十二日付けの当時の原子力安全委員会の防災指針検討ワーキンググループの文書です。
二枚目の右の下の方に、放射性プルーム通過時の防護措置実施地域、PPAですよね、プルーム・プロテクション・プランニングエリア、おおむね五十キロと書いてあります。
前回の質疑で、原子力規制庁の黒木放射線防護対策部長、このPPA対策は、できる限り早く原子力規制委員会で検討し、原子力災害対策指針に記載すると答弁されました。
私が兵庫県の申入れに早急に対応することを約束してくださいよと申し上げたところ、約束する、約束しないという話ではなくて、まさに我々やらなきゃいけない話なんですというふうに答弁されていたんです。
余りにも力強い答弁のスタイルに一瞬うれしくなったんですけれども、結局、これ意気込みだけなんですよね。
対応することを約束してもらえなかったということを後で気付いて、ちょっとがっかりしました。
田中委員長、このPPA対策、指針に記載することがどうしてできないのか、説明していただけますか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 重点区域内では、原子力施設から環境中に放射性物質が放出される前に予防的防護措置を講じることになります。
これに加えて、放出後においては、施設の状況とかモニタリング結果等を踏まえて、原子力災害対策本部が必要な追加的防護措置の実施を判断することになります。
これに基づいて応急的な判断も含めて原子力災害対策本部が行うわけですけれども、その基準となりますいわゆるOILは今指針の方に示しておるところでございます。
今御指摘のいわゆるPPAの領域については、これはかなりその気象条件とかいろんな事故の状況によって変わりますので、災害対策本部が早急にモニタリング等をきちっと実施し、あるいはシミュレーション等を実施し、必要に応じて必要な対策を指示するということにしております。
指針に一義的に書くことが、必ずしもそれが有効かどうかということについては、今後もう少し検討していきたいと思いますが、基本的考え方は今述べたとおりでございます。
○山本太郎君 現在の原子力災害対策指針にも、UPZの外のPPA対策では、屋内退避だけでなく、プルームが長時間又は断続的に到来する場合、避難への切替えを行うとか、安定ヨウ素剤については、備蓄や事前配付、緊急時の配付手段の設定といった平時からの準備が必要となる、また、安定ヨウ素剤には副作用があるので、服用不適切者や慎重投与対象者の事前把握等に努めなければならないと書いてあるんですよ。
それはそうですよね。
ということは、準備が必要だよということなんですよね。
やっぱりこれはしっかりと書き込んでいって地方自治体が準備ができるという、心の準備、もちろん指針に書いてあることもしっかりと準備していって、それ以外のことも気が回せるようなスタンバイ状況というのをつくらないといけないと思うんですね。
だから、PPA対策をしっかりと指針に記載することは地方自治体が防災計画を策定するためには非常に重要であると、必要不可欠であると思うんですけれども、田中委員長、PPA対策の記載の重要性についてどうお考えですか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 少し具体的な事例、福島第一原子力発電所の事故のときに、PPAというものが該当したところが大体、計画的避難区域ということで、約一か月間ぐらい掛かって避難、その後に避難指示が出て、それから二か月ぐらい掛かって避難したということです。
これはやはり遅いと思います、正直言って。
ですから、当然その事故の状況については早急に原子力災害対策本部はモニタリングを行いまして、それに基づいて必要な避難対策を責任を持って、総理が本部長ですから、総理の下でそういった対策を取るということになります。
今御指摘の安定ヨウ素剤についても、これはいろいろな議論があります。
ただし、一応備蓄としては相当余分に各市町村とか県とかに備蓄することになっておりますので、そういったことも含めて、それが必要であればそれを服用していただくように対策を立てるということで、今そういう考え方でおりますので、それを指針にどういうふうに書き込めばいいのかどうかということについては今後検討していきたいという、先ほどの繰り返しですが、そういうことになろうかと思います。
○山本太郎君 ちょっと今、話しながらも少しずつずれがあるなということを感じるんですけれども、もちろんモニタリングしてからというのはありますけれども、そのモニタリングしている間に、外に出ちゃいけないよというお知らせができない場合は、ほとんどの人が被曝することになりますよね。
モニタリングする前から、そちらに行く可能性があるから屋内退避だというような情報が、その先、プルームが移動するであろう先の自治体に対してお知らせができなきゃ、これ意味がないんですよね、プルーム・プロテクション・エリアと言うぐらいなんですから。
通過した後にモニタリングをして、あっ、ごめん、こここれだけ汚染されていました、その時間外に出ていた人たちはかなり被曝しましたねと、これ、しゃれにならないんですよ。
そうならないために、このPPAという考え方があると僕は思うんですけれども、このPPA対策、この指針に記載されて、それに基づいて地方自治体が防災計画を策定するという、もう平時からの準備体制、これ整うまで再稼働なんてとんでもないと思うんですけれども、田中委員長はいかがお考えでしょうか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 再稼働するかどうかということについては、何度もお答えしていますけれども、私どもが判断することではないということでございます。
その前の御指摘がありまして、被曝をしてしまうではないかということですけれども、これは、放射能が、こういった重大事故が起きた場合にはUPZについても屋内退避をしていただくと、UPZ、ここから三十キロ以内ですけれども、これは屋内退避をすぐにしていただくということに、そういうことは指針に書いてあります。
あとは、その外側が今先生御指摘の地域になると思いますが、それについては、その状況を見ながら、モニタリングの状況を、一遍にばっと大量の放射能が飛んでいくということではありませんで、かなり広い地域に拡散するわけですから、そうすると、被曝量がゼロだとは申しませんけれども、十分にそれを対処して、指示を出して対策を取る時間はあるというふうに認識しております。
○山本太郎君 放射性物質の動きが田中委員長ぐらいゆっくりな動きであればすごく助かると思うんですけれども。
前回の質疑で私、福島の東電原発事故時の三月十五日午後、福島県の中通り、福島市、二本松市、郡山市を放射性プルームが通過したことを質問いたしました。
規制庁の答弁は、福島市にはデータが残っているよと、福島市はプルームの通過であろうと、二本松市は測定されていないというものでした。
PPA対策をやっている、やっていくというのであれば、東電の原発事故時の放射性プルームがどう流れたのかというのはもうしつこく検証、もうとっくにされていると思うんですね。
もう嫌というぐらい検証されていると思うんです。
再稼働が近づいているんですから当然ですよね。
これ、されていないのなら話にならないんですよ。
田中委員長、原子力規制委員会、三月十五日午後、福島市、二本松市、郡山市等の福島県中通りを放射性プルームが通過、折からの雨でそれが地上に降り積もった事実、それさえも把握していないなんてあり得ませんよね。
それとも把握できていないんですか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 福島市あるいは郡山の一か所ですけれども、固定モニタリング等がありまして、そういうところではきちっと連続的にモニタリングしていたという事実は把握しております。
それから、二本松市については固定モニタリングのいわゆる放射線測定器がありませんでしたので、来るまで、十五日ですけれども、三月十五日にそういった状況が起こりまして、その測定をして、そのデータは残っております。
一時的に十とか二十マイクロシーベルト・パー・アワーというような状況があったということですけれども、その後、プルームの通過とともに線量は下がっておりますので、その後の対策はいわゆる避難というようなことにはなっておりません。
○山本太郎君 福島東電原発事故の教訓としてお聞きします。
当時、福島市、二本松市、郡山市などの場合、屋内退避指示、安定ヨウ素剤の予防服用、これ指示すべきだったんじゃないかなと思うんですけれども、委員長、いかがですか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 先生御指摘のように、やはり屋内退避ということについては、これは特にそう困難な対応ではありませんから、そういった指示ができればよかったというふうに私は、まあ結果論ですけれども、そう思います。
ただ、安定ヨウ素剤の服用については、これは安定ヨウ素剤自体にも幾つか医学的な問題もありますので、そういったことも含めるということと、それから被曝線量の量的な問題もありますので、これはその状況を見ながらやっぱり判断すべきものというふうに思っています。
○山本太郎君 今もしもあのときに戻れるなら、まあ戻れるわけないんです、例えばの話です。
東電原発事故のときに戻れたと、だとしたら、屋内退避は規制庁としてそれは言えていたことだし、もしも時間があったならばそういうヨウ素剤とか配付できる時間があって、そういう時間があったとするならばそれをやっていたかったという思いはあるというお話ですか。
○政府特別補佐人(田中俊一君) 原則的にはそのとおりでございます。
ただ、あの事故は原子力事故だけではなくて、複合災害で電気も通信手段もないというような状況にあったので、ああいうことになったのかなというふうには想像できます。
ですから、そういった点も含めまして、今回は防災対策についてはそういう情報の伝達等がきちっとできるような対策も講じているところでございます。
○山本太郎君 前回、黒木部長、具体的に福島市、二本松市のそのときの状況を前提に質問ということで、まさにその点について検討中なので、規制委員会として、規制庁としてこの場で答弁することは控えたいと答弁されたんですよ。
PPAの詳しい話ですよね。
検討中なので答弁を控えたいって、これ全く意味が分からない話なんです。
もし今検討されていることが見当違いだったらどうするんだって、取り返し付かないよということなんですよね。
委員長、具体的にこのPPAに関してどこまで検討しているのか、なぜ検討にこれだけ時間が掛かっているのか、PPAの部分に関して。
再稼働はやるぜって、もうここを第一番手に動かすとか、そういうことはどんどん決まっていくのに、このPPAという部分に関しての深い議論というものがどこまで進んでいるのかということを教えていただきたいんですけれども、簡潔に。
ありがとうございます。
○政府特別補佐人(田中俊一君) お答えが若干繰り返しになりますけれども、先ほど来申し上げましたように、いわゆる放射性プルームの挙動というのは、風向とか風速とか放出後の気象条件によって非常に大きな影響を受けます。
UPZ外の区域において、放出後の状況において適切なタイミングで的確な屋内退避等を実施するという、そういう判断ができることが最も大事であります。
そういったことについて、ですから、モニタリング体制をきちっと充実させるとか、そういったことについての検討は行っております。
そういう状況を踏まえて、それプラス、それからプラントの施設の状況、今後どういうふうに推移していくのかというふうなところも踏まえて防護措置の実施を判断するということ、そういったことについて今細かい点を詰めているところでございます。
○山本太郎君 もう時間がないんですけれども。
とにかく、福島市、郡山市、原発から六十キロですよ。
それだけじゃなくて、この間、兵庫県が試算したもの、大飯原発から百二キロ、それでもヨウ素剤服用必要だって言われている。
東京は二百五十キロですよ、もちろんプルームも来ましたよね。
だとしたら、もっと広い範囲においてPPAというものをもっと真剣に捉えて考えなきゃ原発再稼働なんてあり得ないと思います。
済みません、時間がなくなったので、これで終わりたいと思います。
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