山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動

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20160523-A900
 

 

○山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎です。
国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案について質問いたします。
今回の法案、特に農業分野について、国家戦略特区担当でもあり、そして地方創生担当でもあられる石破大臣にお伺いしたいと思います。今回のように農業を国家戦略特区に含めることで、地方創生、地方に暮らす人々の繁栄、豊かさにつながっていくと石破大臣はお考えになられますでしょうか。

○国務大臣(石破茂君) そうならなければやる意味がありません。

○山本太郎君 ありがとうございます。そうならなければやる意味がないんだと、力強いお答えをいただきました。
今日は、委員長を始め理事の皆さん、委員会の皆さんの御了解を得まして、東京大学大学院農学生命科学研究科、農学国際専攻、国際環境経済学研究室教授の鈴木宣弘先生に参考人としてお越しいただきました。
鈴木先生のことを東京大学のホームページで拝見いたしますと、WTO、世界貿易機関の農業交渉や活発化するFTA、自由貿易協定の締結交渉による農産物貿易自由化の国民経済、環境への影響、国内関連政策の国際貿易へのインパクトの解明、日本だけではなくFTAによる域内国や域外国も含めた世界の様々な階層への影響とその調整政策の解明に取り組んでいらっしゃるまさにプロフェッショナルであり、また、我が国がアジアとともに発展を持続するためには、アジア農村の貧困を緩和し、アジア諸国間の百倍もの所得格差の緩和に資するような経済連携強化を目指さなければならない、加えて、生態系、環境の保全にも配慮した多様な農林水産業の共存につなげねばならない、この困難な調整を可能にするシステムを具体的に議論できるフレームワークを提供していきたいという。これ、自分の国だけじゃないんだと、持続可能な世界をどうつくるのか、それを研究し続けている専門家であることがよく分かります。鈴木先生、今日はよろしくお願いいたします。
鈴木先生にも石破大臣と同じ質問をさせていただきたいと思います。今回のように、農業を国家戦略特区に含めることで、地方創生、地方に暮らす人々の繁栄、豊かさにもつながっていくとお考えになりますでしょうか。石破大臣は、先ほど、そうならなきゃやる意味がないと力強くお答えになりました。鈴木先生の御意見をお聞かせください。
○参考人(鈴木宣弘君) 東大の鈴木でございます。よろしくお願い申し上げます。
私の理解では、国家戦略特区は岩盤規制に穴を空ける突破口だというふうに定義されていると思います。端的に申し上げれば、特区は政権と近い一部の企業の経営陣の皆さんが利益を増やせるルールを広げる突破口をつくるのが目的ですから、地方創生とは直接結び付いていないと思います。むしろ、地方創生には逆行します。
なぜならば、地域の均衡ある発展のために維持してきた相互扶助的なルールは、まさに、今だけ、金だけ、自分だけの一部企業が地域で利益を得るためには障害となります。そこで、それらを既得権益、岩盤規制との名目で崩し、既存の人々、農家の皆さんのビジネス、お金が奪われていきかねません。既存の業者や農家の方々が多く失業し、地域コミュニティーも崩れていく可能性があります。つまり、地域全体としては衰退する可能性があるということを考えなきゃいけないと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
岩盤にドリルで穴を開けていくという名の下に、人々を守るはずの規制というものがどんどん崩されていく可能性がある、そして政権中枢に近い者たちによってその利益というものは横流しされる可能性があるというような御懸念を示されたのかと思います。
鈴木先生はTPPの問題に関しましても大変お詳しい方です。国家戦略特区はTPPの問題にもつながっているんでしょうか、先生の御意見をお聞かせください。

○参考人(鈴木宣弘君) 日本でも、TPPに関連してあっせん利得罪の議論がありましたけれども、TPPを推進するアメリカの共和党の幹部は、巨大製薬会社から二年で五億円もの献金を得て、TPPで新薬のデータ保護期間の延長を要求しましたように、TPPには巨大なあっせん利得罪の構造が当てはまります。結果的に、TPPは政治と結び付く一部の企業の経営陣が利益を増やすルールを押し付け、広げていくことが大きな目的でありますから、これは国家戦略特区の思想とも同じです。
TPPによって、地域の公共事業も最も日本が無差別に外国企業に開放します。TPPと特区の相乗効果によりまして、日本のみならず外国の企業も参入し、地域の既存の中小企業や農家の廃業が増えると思われます。
大店法が撤廃され巨大店舗が進出して、日本中の商店街がシャッター街になったことは御案内のことと思います。そして、ある程度もうかると撤退して、町を荒廃させてきました。同じようなことが更に広範な分野で、TPPと特区の相乗効果で進む危険を考えなければいけないと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
先月の四月十九日でしたよね、衆議院のTPP特別委員会で民進党の玉木雄一郎議員の質問に対して森山農水大臣は、農産物の重要五項目の中で、品目でいえば守られているものは一つもない、無傷のものは一つもないという旨の答弁をなされたと思うんですけれども、鈴木先生は、この農産物の重要五項目の聖域というのは守られたとお思いになりますか。そして、TPP協定が発効すれば農業分野は一体どのぐらい損害を被るのかというのを先生の御試算で教えていただけますか

○参考人(鈴木宣弘君) 国会決議では重要品目は除外となっていましたが、農水大臣も認めているとおり、交渉から除外された農産物はありません。これほど関税撤廃、削減をしたのですから、農業分野の生産損失額が当初試算の3兆円から約20分の1の1700億円に減るわけはありません。前代未聞の数字操作と言えます。国内対策を先に出して、影響がないように対策をするから影響はないと主張をしているだけで、全く根拠はありません。
例えば、政府は、酪農では加工原料乳価は最大キロ7円下がると言っておりますが、酪農家の所得も生産量も変わらないと言います。生クリーム向けの生乳に補給金を付けると7円の下落が相殺されるでしょうか。畜産クラスター事業を強化すれば生産費が7円下がるでしょうか。可能だと言うのであれば、その根拠を示すべきだと思います。

政府部内でも、三兆円と言っていたのをこんな整合性のない数字にして出して恥ずかしくないのかという議論があったと聞いております。TPPはバラ色で影響は小さいのだという数字を出すように迫られた所管官庁には同情せざるを得ません。国と同様の方法で試算するように各県に通達が出されたため、県庁も泣いております。異常に小さい影響額を公表して全国の農家の反発の火に油を注ぐことになり、私のところには、再計算してほしいという要望が多くの県から寄せられているほどです。
我々が価格下落による生産量の減少率を過去のデータから推定して計算し直しますと、政府試算の約七倍の1.3兆円となりました。ここから価格下落を相殺するのに必要な差額補填額を計算すると、年間8千億円の追加予算が必要となります。10年続ければ8兆円です。そんな予算は準備されているでしょうか。するつもりもないと思います。
ですから、再生産が可能になるように国内対策をしたから国会決議は守られたという主張も無理があります。しかも、TPPの最終目標は全面的関税撤廃だと協定に書かれており、7年後に日本だけが主要輸出国と農産物の関税について再交渉を義務付けられているという事態からしても、将来は更に深刻になります
以上です。
○山本太郎君 今のお話聞いただけでもこれに賛成する理由なんてどこにあるんだろうといろいろ考えるところがあると思うんですけれども、国家戦略特区の大本、日本再興戦略ありますよね。この日本再興戦略とは安倍政権の成長戦略だと。アベノミクス第三の矢として大胆かつスピードを持って岩盤規制に対して改革を行うものだそうです。
今回の国家戦略特区法改正案の内閣府が作った法案概要文書に農業分野のKPIが書かれている。KPIって何ですかと、キー・パフォーマンス・インディケーターズの頭文字で、日本再興戦略の達成目標、成果目標ということなんですよね。農業分野のKPIとして農林水産物・食品の輸出額を2020年までに1兆円にする、担い手が利用する農地面積を10年間で全農地面積の8割にする、担い手の米の生産コストを十年間で現状全国平均比四割削減にすることなどが書いてあるんですけどね、これ目標を書くんだったら、この農業問題であれ食料問題であれ一番重要なことで食料自給率ということが気になるんですけれども、この肝腎な食料自給率の目標が書いていないんですよね。
この点、何か別に、いいですか、通告していないんですけど、石破大臣に、これ食料自給率書いていてほしいなと、書くべきなんじゃないかなと思うんですけど、いかがお考えですか。
○国務大臣(石破茂君) 恐縮です。元農水大臣としてお答えをすれば、私は副大臣のときからずうっとこの自給率って議論はどうなんだろうねということは申し上げてまいりました。むしろ自給力というもので農業の力というのは測られるべきではないか。農地がどれだけ維持をされ、主に基幹的農業従事者だと思いますが、その数がきちんと維持をされ、そして、ダムであるとかかんがい排水であるとかため池であるとか、そういう農業インフラが健全に維持をされ、収量でありますとか糖度でありますとか単収でありますとか、そういうものが向上していくという、そういうきちんと数字で出るものが大事であって、例えば、北朝鮮とかあるいはアフリカの飢餓にあえいでいる国だって自給率で見れば高いはずなんですよ。なぜならば、その国で食べているもののどれだけをその国で作っていますかというだけの数字ですからね。

私は副大臣のときに、セネガルという国に行って、セネガルの農業大臣と随分議論をしました。当時、WTOという仕組みが動いておりまして、自給率が低い同士一緒にやろうじゃないかという話をしたところ、日本とは一緒にやらないと言って一蹴されたことを私はよく覚えています。なぜなのか、それは、我が国はお金がないのであると、お金がないがよってにダムも造れないし品種改良もできないし、よって泣く泣く外国から物を入れなければならないのであると、よって自給率が低いのであると。日本はお金がないから自給率が低いのかと、そうではないだろうと、消費者の選択として外国から物を入れているのだと。自給率が低い理由が全く違うのに低いというだけで共闘なんか絶対できないと言われて、私は非常に己を恥じたことでございました。大事なことは、自給率というのは結果であって、どれだけ農地が維持をされるか、どれだけ基幹的農業者が維持されるか

これから、先ほど江口議員が御指摘になりましたように、日本は人口急減期に入るんです。2100年には、日本人はこのまま行ったら5200万人になるのです。そのときにどうやって農地を維持し、どうやって農業者を維持するかということを考えるときに、農業政策は今までとは全く違う局面に入っているのであって、そうだとするならば、自給率というものを私は別に等閑視をするつもりはありませんが、そのことに拘泥をすることはかえって政策の本質を誤るのではないかと思っております。
自給率はあくまで結果として出てくるものであって、そのために必要なものが、インフラが、社会的インフラにせよ人的インフラにせよ、それが毀損されることをどうやって止めるかが一番大事だと、農林大臣経験者としてはそのように考えております

○山本太郎君 ありがとうございます。
本当に経験者として深いお話をいただいたと思うんですけれども、今大臣が言われたお話もすごく重要なことだと思います。食料自給力というものが必要なんだという部分と併せて、もちろん食料自給率というものも必要だと思うんですよね。これ、両輪の話だと思うんですよ。
未来に向かってどうしていくのかという耕し方を考えていくことと、そして現在どれぐらい自分たちで自給できているのか、そしてその自給力と併せて、将来的にどれぐらいの数になるのかという目標は常に立てていくべきだろうなと。政府の食料・農業・農村基本計画には示されているんですよね、この食料自給率の目標が。でも、この日本再興戦略にはその目標がないというのは何かおかしいなと思っちゃうんですよ。

海外と日本の農業の保護政策の違いなども絡めながら、是非、日本のあるべき食料自給率について、鈴木先生にお伺いできますでしょうか。
○参考人(鈴木宣弘君) 食料自給率という概念が重要であることは、私もそのとおりだと思います。つまり、今結果としての食料自給率が、インフラがしっかりあってそれによってもたらされているということですから、もし食料自給率が極端に低くなれば、そういう状況でいざというときに輸出規制があったときに、じゃ急に物が作れるかということです。ですから、そういうふうなインフラをきちんと維持して自給率を維持しておかないと、今回の基本計画のように、いざとなれば校庭で芋を作ればいいという議論になってしまうわけですよね。それは、だから、その点はちょっと違うと思います。

食料自給率向上という政策目標は、事実上日本では放棄されたんだと思います。TPPも国家戦略特区も、先ほど申し上げたとおり、一部の企業の利益ということが考えられていますから、それによって多くの農家が失業して、全体として、国民に安全、安心な食料を供給し続けるという安全保障の概念はそこにはありません。食料自給率は下がり、まさに食料自給力も下がるということになると思います。

片や、アメリカやヨーロッパのことを考えてみないといけないと思います。ブッシュ元大統領は、食料自給できない国を想像できるか、それは国際的圧力と危険にさらされている国だと演説し、アメリカの大学では、標的は日本だ、日本人の直接食べる食料だけでなく畜産の餌穀物を全部アメリカが供給すれば日本人が完全にコントロールできるといって、アメリカはお米を一俵4千円で輸出していますが、一俵1万2千円との差額の九割は全部政府が払って、そして生産と輸出を振興していると、これが食料戦略というものです。

あるいは、農業所得に占める補助金の割合は、日本では15.6%ですけれども、EUではそれが95%前後です。これだけのことをやって、そんなの産業かと言われるかもしれませんが、命を守り、環境を守り、国境を守る産業は国民が支える、これが当たり前なんですよね。

それが当たり前でないのが日本だということを今考え直さないと、日本農業が過保護で衰退した、欧米は競争で発展したというのは間違いです。食料戦略があるかないかの違いだということを考えませんと、このまま、過保護な日本農業を競争にさらせば自給力が付くんだといったら、誰も、インフラも何もなくなってしまいますよ。それが本当に自給力を高めることになるのか。政治は国民の命を守る責任を放棄してはならないと思います。

○山本太郎君 ありがとうございます。
先ほど石破大臣の方からセネガルに行ったときのお話をしていただきました。そのときに、一緒にやろうぜと言ったけれども、それ日本とは違うんだよ、状況がと。要は、消費者の選択によって自給率が低くなっているんだろう、消費者がみんな選んでいるんだよ、安い方だったりいいものだったり輸入食品だったり、そういうものを選んでいるんだから自然と自給率が低くなっているんだろうというようなお話だったんですけれども、実際を見ていけば、消費者が選択する前に、国が示す食料に対する戦略というものがあるわけですよね。国の、政府が示す食料の戦略というものの後に消費者が何が選択できるかということが決まってくるわけですから、これ一概に言えることじゃないなと。

やはり、この国の国土を守るためにも、そして生活を守るためにも、そして人間が生きるためには何が必要だと考えたときに、空気、水、食料ですよね。この三つがなかったら生きていけないわけだから、これ、防衛力を高めるという意味でも、この食料政策というのは物すごく重要なわけですから、自給力を上げる以外ないんですもんね

今回の法案の農地法等の特例というのをざっくり説明させていただくと、今まで企業は、農業生産法人、今でいう農地所有適格法人の要件を満たしていれば農地を所有することができ、要件を満たしていない場合でもリースで農地を利用できたと。今回の法案の特例で、農地所有適格法人以外の法人も、リースだけでなく、地方自治体を通じて農地を購入し、所有できることになると。当該法人には、農地所有適格法人に対する出資比率、事業要件が掛からずに実質的な規制緩和となると。

本法案でこれを兵庫県養父市にて可能にするようですけれども、この兵庫県養父市への取組について、鈴木先生、どのようにお考えになりますか。
○参考人(鈴木宣弘君) 今回ですね……(発言する者あり)

○委員長(神本美恵子君) どうぞ、発言。

○参考人(鈴木宣弘君) 今回、リースでなく農地取得ということを認めるという形になりましたが、農地のリース料金というのは農業の収益性に基づき算出されますが、農地価格は農地を転用した場合の利益も勘案して決まりますので、一般に、農業収益から計算される地価とは懸け離れた高額になります。ですので、農業での収益が目的なら農地取得は割に合いません。リースの方が圧倒的に有利と考えられます
つまり、農地取得を自由化するということは、将来的に農業以外の目的に転用する可能性を含んだ措置というふうに思われます。ですから、養父市というのは中山間地ですが、これは一種のカムフラージュで、今後、TPPも進み、多くの平場の農地も広範に担い手が不足してくれば、それを見越して条件の良い農地に企業が進出し、もうからなければそれを転用、転売していくと、そういう形で利益を高めていくということが考えられます。
養父市に限定したというのはごまかしです。安倍総理もはっきりおっしゃっているように、特区は岩盤規制の改革の突破口であると、あるいは、養父市の農地取得企業に関連している民間議員がこれを歴史的に残る快挙だと言っております。つまり、これはここにとどまるものではなく、次の展開を意図した戦略だというふうに思われます。
○山本太郎君 参考人質疑ではないので参考人に集中的に聞くのはよくないというお話を今注意を受けたんですけれども、前もっての石破大臣への質問通告というものが限られたものしかできていないので、それ、大丈夫ですかね、(発言する者あり)いいですか、さすがですね、ありがとうございます。
今のように、兵庫県養父市の取組につきまして鈴木先生の方から御懸念といいますか、がありましたけれども、もちろんこれ衆議院の議論の中でも、そしてそれだけじゃなく、やはり所有するのは、企業効率として、要は経営効率として余りよくないと、リースで十分やっていけているんだというような議論も生まれてきていると思うんですけれども、これをこのまま推し進めていくというのは、本当に企業のためにも、そして地元のためにも利益になることなんですかね、石破大臣。

○国務大臣(石破茂君) 鈴木先生と私が農林水産大臣のときに毎日みたいにいろんな議論をさせていただき、政策づくりに当たっていろんな御示唆をいただいてまいりました。今のブッシュ元大統領の話なぞというのは非常に改めてしみじみと思い返したところであって、山本委員から安全保障についても御言及いただいて大変に有り難いことだと思っておるところでありますが

それはさておき、養父市における取組はあくまで特区として取り組むものであって、これを全国展開にするかどうかということを事前に決めて養父市でやるというものではございませんで、養父市でやって、本当にそれは企業が全然もうからなくて撤退しちゃって、そこをごみ捨場にしたとか、そういうことになったとすれば、そんなものが全国展開になるはずはないのであって、我が政府として農業、農村というのをそんなにばかにしているつもりは全くございません

養父市においてなぜこの所有権というものについて踏み込んだかといえば、それはリースにはリースの限界がありますと。契約の相手方が替わりましたときに契約の内容が変わるということはリースの場合に否定ができません。あるいは、適格法人の場合に資金が集まるかどうかという点について、大規模農業をやりますときに資金の集め方ということについて、やはり適格法人の場合に一定の限界があることもまた事実でございます。

そういたしますと、仮にこれでやってみて本当にうまくいくのかどうなのか、今回は、それがもうからなくなっちゃったので産廃置場にしちゃうというようなことが起こらないように、ここまでやるかというほどの措置は講じております。それでもなおかつそういうことが起こるとすれば、それはやはり全国展開するわけにはまいらないことだと思っております。

御案内のことかと思いますが、所有権絶対でございますので、この所有権を手にいたしますといろいろな工夫というものが長期的にできることに相なります。それでもやりたいというところがあった場合に、この養父市に限ってそれをやらせてみるということは、私は価値のあることだと思っております。企業すなわち悪であって、それは全部転用して大もうけをするというようなものだという前提に私は立っておりませんが、鈴木先生も注意深くおっしゃいましたように、危険性とか懸念とか、そういうものをいかに払拭するかということのために私どもは努力をしてまいりました。更なる御議論を賜りたいと存じます。

○山本太郎君 ありがとうございます。
もちろん私も企業は悪だとは思っていません。でも、その商売の仕方という部分で、その地域住民であったりとかこの国に生きる人々の利益という部分に資さない場合には、やはりそれは気を付けなきゃいけない部分があるだろうと。

今回の法案に限らず、国家戦略特区を強力に推進する会議体の中心メンバーである経済人たちが、自ら主張して実現した規制緩和や特区のビジネスに自らの会社を平気で参入させる、事前に他社では得られない情報をほぼ独占的に入手して自分で根回し、準備できるんですから、こんないい話はないですよね。今だけ、金だけ、自分だけ、これは鈴木先生よく使われるお言葉ですけれども、この国家戦略特区でもどうやらその3だけ主義者、今だけ、金だけ、自分だけの3だけ主義者が幅を利かせているような雰囲気がございます。順に御紹介したいと思います。

きちんと働かない人の雇用を打ち切れるように雇用条件をはっきりとさせることが必要でしょう、そのような発言もされています。解雇の自由化ではなく解雇を規定する、つまり解雇できないことをやめるということだと思います、一生懸命働いていれば解雇規定など関係なく今までどおりやれるはずです、とんでもない発言ですよね。こんな発言をされているのがオリックスの宮内義彦さん、労働者を安く買いたたく発言でも有名です。この方、行政改革委員会規制緩和小委員会の座長、行政改革推進本部規制改革委員会委員長、小泉内閣の総合規制改革会議議長、規制改革・民間開放推進会議議長を歴任。労働者派遣事業の規制緩和、それだけじゃないですよね、郵政民営化も後押ししたとも言われている。郵政民営化を後押しし続ける発言をしてきた人物がかんぽの宿の払下げ、一括譲渡で、出来レースではないかと問題にもなりました。

最近では、過疎対策を農業政策でカバーしようというのもおかしな話です、そもそも過疎の村が消えてしまうのは悲惨なことなのでしょうかとも発言。その宮内さんのオリックスグループの株式会社が、兵庫県養父市で、農地所有適格法人の要件を満たしていないけれども特例で農地を所有しようとしている。これ、養父市だけで限定されていく話なんですかね。この先広がっていきそうな雰囲気あるかなとも思うんですけれどもね。

そして、2人目。正社員をなくしましょうよとやっぱり言わなきゃいけない、全員を正社員にしようとしたから大変なことになったんですよ、こんな発言でも有名です。言わずと知れた慶応義塾大学名誉教授、人材派遣会社パソナグループ会長、オリックスの社外取締役でもある竹中平蔵さん。現在、政府の産業競争力会議と国家戦略特別区域諮問会議の民間議員として日本再興戦略、国家戦略特区の要中の要、強力な推進役ですよね小泉内閣と安倍内閣を通じて日本の雇用環境をぶっ壊したと言っても過言ではないと思います、私。非正規労働者、現在全労働者の4割にまでしたと言っても過言ではないような中心人物が人材派遣会社パソナグループの会長なんですから、ああ、なるほど、そういう動きになっているのかと、首尾一貫しているなとしか言いようがないですよね

今年の2月5日の国家戦略特別区域諮問会議では、過去15年、20年、この規制改革の話をしてまいりましたが、この農業生産法人の問題こそが岩盤中の岩盤、ザ・岩盤だと思います、このザ・岩盤の背後にはザ・抵抗勢力とザ・既得権益者がいて、これをどう突破できるかというのが本当にいろいろな意味での象徴になろうかと思います、逆にこれを突破すれば非常に大きな道が農業に開かれていく、ここは本当に正念場だと思います、総理のリーダーシップをお願いしますということを言っているんですよね、法律改正するように。兵庫県養父市で今回農地を取得しようとしているオリックスの社外取締役も竹中平蔵さん。

 

三人目は、ばらまきと言われている戸別所得補償制度、これを含む経営所得安定対策についても見直すべきだと、農家潰しとも取れる発言をしているローソンの元代表取締役、現在はサントリーホールディングス社長、新浪剛史さん、この方もオリックスの社外取締役。この方は、だって産業競争力会議のメンバーで農業の分科会の主査で、農地中間管理機構を設立させたんですよね。言いたいこと物すごい言ってはるんですよ。日当たりが良い平地の優良農地において基盤整備を通じて集積を行っていくことが肝要だって。

これ、ひょっとしたら養父市が入口になって、こういう平地を求めてどんどん広がっていくんじゃないかって懸念されますよ。笑い事かどうかは後になってみないと分かりませんよね、何を考えているのかどうかは。主に平地における農業の生産向上及び農産物の質的向上に向けて抜本的改革を実施することを提案するって、この先どうなっていくんですかね。これもう利益相反そのものじゃないかというお話なんですよ。
こんな状況で、この先の日本の未来というのはどのような形になっていくのか、時間は短いですけれども、食料自給率という部分の大切さも含めて、もう一度、鈴木先生、御意見をお伺い願えますか。

○参考人(鈴木宣弘君) じゃ、最後に一言だけ申し上げます。
1割の農地だけが非常に大きな企業で利益を得ても、その他ほとんど9割の地域農業が衰退するようなことにもしなったら、それは日本の地域創生にはなりませんし、安全、安心な食料を国民に提供し、国民の命を守ることもできなくなります。その点を考えた政策が必要だと思います

そういう意味では、私は、石破大臣が農水大臣のときにやっていただいたように、農政改革会議に、もう反対から賛成から、もうあらゆる方々の意見をきちんと聞く会議をつくって、そして総合的に何が必要かを決めました。今の産業競争力会議とか規制改革会議は、一部の利害関係者だけで決められる構造になっております。これをまず改善していただきたい、これをお願いしたいと思います。

○委員長(神本美恵子君) 山本太郎さん、時間ですのでまとめてください。

○山本太郎君 ありがとうございます。
はい、まとめます、まとめたいと思います。
石破大臣……

○委員長(神本美恵子君) 時間が過ぎておりますので、終わってください。

○山本太郎君 はい、そうですか。
石破大臣、期待しております。是非、ブレーキを掛けていただきたいと思います。
ありがとうございます。

 

 




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