山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動

点字版はこちら

18.07.13内閣参考人

 
 
 

○山本太郎君
ありがとうございます。自由党共同代表、山本太郎です。参考人の先生方、本当に勉強になるお話、いろいろとありがとうございます。

 

まず、桜田先生と鳥畑先生にお聞きしたいと思います。

 

民間賭博(とばく)の解禁であるカジノ、これ日本で導入するという、非常に大きなこれ、ある意味政策なわけなんですけれども、これを実施するに当たってといいますか、この話を前に進めていくに当たって、政府側として、いい面で経済効果、これぐらいのというすごく細かな試算であったりとか、あと、ネガティブな部分でのコスト計算ということを行っていないということに関しまして、両先生はここから何を読み取りますか。

 

○参考人(鳥畑与一君)
内閣府があずさ等に委託調査をして報告書が出ております。あずさでは、海外のそういう経済効果、負の側面も含めたこういう事例があるというふうに報告されているわけですね。

 

当然、政府としてはそういう知見は持っていて、こういう経済効果、当然負の側面も含めて評価をするということは認識はされているんだろうなと思うわけですね。ところが、あえてしない。でも、海外では、例えば先ほどのニューハンプシャー州の場合でもそうですけれども、地域を幾つかに分けて、仮にこういう規模のものができたらどうなるんだと、仮定の計算をやるわけですね。

 

だから、具体的な候補地が決まっていないからできないということではなくて、あえてやらない。もしかしたら、やっているけれども、外に出さないという点では、最後まで、ある意味、都合の悪い情報は隠しながら、曖昧なままに、とにかくゴールにたどり着きたいというふうに思われているんでしょうかということです。

 

○参考人(桜田照雄君)
公共事業を展開する際に費用便益分析(ひようべんえきぶんせき)をやりなさいと言っているのは国交省なんですね。

今回、200人近い方が亡くなるという災害に遭って、やっぱり、僕はこの国交省の土木、防災関係の人、とても悔しい思いをしているんだろうなと思います。土木のやっぱり友人おるんですけれども、やっぱり万が一を考えて手を打つのが我々の態度なんだというのが彼のモットーでして、そうしたマイナス面をきちんと考慮するような費用便益分析、これの必要性というのは、そうした万が一にも対応しなきゃいけないという、こういう感性から出てきたものだと思うんです。それは鳥畑先生と意見同じですけれども、分かっているのになぜしないのかという、ここに対して物すごい疑問をやっぱり持ってしまいます。

 

以上です。

 

○山本太郎君
ありがとうございます。

まあふんわりとは、どこになりそうだとかというような予測を立てながら、ここだったらこれぐらいとかというようなことは恐らくやるべきだとは思うんですけれども、非常に残念だと思います。

 

続いて、桜田先生にまたお聞きしたいんですけれども、カジノと地方創生の中で、地域経済循環の活性化のための域内調達率の向上に関連して、これまでの大阪の地域経済政策が失敗してきたのはこの域内調達率を高められなかったことが理由だという御指摘をされていると思うんですけれども、これまでの御研究を踏まえて、桜田先生のお考えになる効果的な地方創生のやり方について、大阪の例なども含めた上で御教示いただけたらと思うんですけれども。

 

○参考人(桜田照雄君)
大前提がありまして、大阪の経済の現状がどうなっているのかを大阪府、大阪市、つかんでいないんですよね。カジノができれば何かうちの会社に仕事が来るんじゃないかとか、それから、カジノがなければ大阪の経済どうにもならんでというような、こんな願望を募らせただけの意見なんかもやっぱり耳に入ってきます。

 

それで、昨年の末にちょっと高校の同窓会の集まりがあって、土木関係、建設関係の連中が言っていたんですけれども、坪単価300万円のマンションが即日完売になった、こんなこと信じられへんという話をしていました。ところが、今年になってから、実は坪単価350万円のマンション、即日完売なんです。だから、あるところにはあるんやろうなという感覚が実はそういうさっき言った期待感の裏側にあると思うんですね。

あるところにはある金を、その金をより動かすのがカジノやというような、こんな話にどうもなっているんじゃないかということを懸念しています。

 

大阪では、2002年に製造業を対象にした大掛かりな調査をやっているんですけれども、その後やっていない。専ら集客産業を育成するための力、そこに、集客産業育成のために力を注いできた。製造業だけじゃなくて、サービス業や流通業、それから特に、経済産業省の、僕、非常にいい政策だと思うんですけれども、小規模企業基本法という法律があります、これの対象になっているような、そういう小規模事業者も含めた形で大阪市全体の、そして大阪府全体のやっぱり悉皆(しっかい)調査をやるべきだと思うんです。

 

なぜそういうことを言うかといえば、域内調達率という考え方出しましたけれども、究極的にはこれ、地域内の様々な取引関係をどう把握するかということがベースになりますから、しっかりとした調査があれば、そしてその調査を公開することによって、様々なところで様々な議論、大阪の商人の魂といいますか、商魂(しょうこん)といいますか、そういうものが必ず動き出すと思うんです。そういうしっかりとした調査があれば、やっぱりそれに伴うような、僕が考えるよりももっとリアルでもっと豊かなそういう中小企業政策、あるいは経済政策というものができ上がるんではないかなと思って考えています。

 

○山本太郎君
ありがとうございます。

続いて、鳥畑先生に、カジノにおける雇用についてちょっとお聞きしたいなと思うんですけれども。

 

先生の御著書の「カジノ幻想」の中で、カジノの恩恵と言われる雇用増加という側面について、実はカジノで働いているディーラーなどは低賃金労働者であり、不安定雇用であると、ワーキングプアを生み出すことにつながるというような御指摘をなさっていると思うんですけれども、これカジノに関わる低賃金労働者について少し教えていただいてよろしいでしょうか。

 

○参考人(鳥畑与一君)
アメリカのある州の管理委員会のレポートで、そういうカジノで働く方の職種ごとの賃金の調査がありました。

ディーラーについては、当然そのVIP客が付いているとか勝ったときのチップが弾むとか含めて違うんですけれども、基本的にアメリカの場合のサービス労働というのはもう最低賃金で、あとはチップで稼ぎなさいという形になっていて、そこのカジノで働く方は非常にやっぱり低賃金が多いと。結局、決して豊かな層を生み出していないんだという指摘があったものですから、活用させていただきました。

 

ただ、マカオの場合は、カジノの雇用は市民を優先して雇用するということになっていますので、ある意味、人手不足といいますか、マカオの中ではある程度いい条件の職種になっている部分があるということで、アメリカとマカオの条件の違いがあると。

 

じゃ、日本に置き換えた場合どうなるんでしょうか。カジノをつくりました、雇用が増えました、それが地元でどれぐらいですか。いや、外からどんどん来る、外国人労働者の方が多いということも考えられるわけですね。決してそれが、豊かな安定した雇用を生み出すとはイコールではない。

 

○山本太郎君
ありがとうございます。

引き続き鳥畑先生にお聞きしたいんですけれども、サンズのアデルソン会長、日本は最後の未開拓の巨大市場だと常日頃からインタビューなどでおっしゃっていると思うんですけれども、結局、特定の地域を定めて草刈り場のようにして、そこがまた、もう草刈りが終わったとなったらまた次の場所に移っていくというような、その道の途上にある日本だというような考えというか、どうお考えになりますか。済みません。

 

○参考人(鳥畑与一君)
まず、アメリカ市場が飽和化(ほうわか)をしていると。

これはアメリカのゲーミングアソシエーションのステート・オブ・ステートという統計を見て、例えば1990年代までにオープンしたカジノ州とそれ以降のカジノ州を比べると、90年代までに先行してオープンした州の合計としては、ほぼ全ての州がカジノの収益が減っているんです。結局、新しい市場が開放されて新しいカジノができるから、アメリカ全体としてはカジノ収益が横ばいというか微増の状態になっているように見えるということなんですね。

 

そういう飽和化した市場、過当競争の市場にしがみついていたシーザースが破綻をした。

アジアに打って出たラスベガス・サンズは世界最大のカジノ企業に成長したと。

ところが、そのラスベガス・サンズは九割がマカオとシンガポール。2022年に免許がマカオは切れます。更新されないと施設が無償で没収されるというふうに書いてあるんですね。そうすると、リスクの分散、収益の多様化という意味で、ラスベガス・サンズから見れば、マカオ、シンガポール以外の市場をどう確保していくかと。

 

今年四月か五月にラスベガス・サンズが投資家向けに説明会をして、アデルソン会長が韓国と日本を両てんびんに掛けているような話をしているんですね。どちらにしても残った市場として韓国と日本を狙っていて、日本がやっぱり家計金融資産も含めて非常においしい市場として見られているということは間違いないかなというふうに思っています。

 

○山本太郎君
ありがとうございます。

また、引き続き鳥畑先生にお聞きしたいんですけれども、先生のこれまでの御発言の中で、このラスベガス・サンズの株主構成についてのお話みたいなこともあったと思うんですね。

アデルソン一族が多くを占めて、残りは投資ファンドで、カジノ産業が利益拡大化を目指す投資ビジネスの中に組み込まれたというような御指摘が前にもあったかと思うんですけれども、この投資ファンドというのはどういった背景を持った投資ファンドなのか、もし御存じだったらという部分でいいんですけれども。

 

それに加えて、カジノビジネスがファンドとつながったことで、これまでに存在しなかった、新しく生まれたといいますか、金融ビジネスの存在にはどんなものがあるのかと。そして、そのビジネスモデルが日本に上陸してきた場合に、一般の国民の生活というのがどのような影響が起こるかというようなことを、カジノビジネスとウォール街とかというような観点からまた教えていただけたらと思うんですけれども。

 

○参考人(鳥畑与一君)
まず1点、修正、おわびなんですけれども、今日お配りした図表の10を御覧になってください。

 

以前お配りした資料では、3割ほどファンドという記載をしておりました。

最新の株主構成を確認しましたら、その部分の名前、名称が変わっていまして、さらに確認しましたこのアーウィン・シャフェッツですか、これ経営陣なんですけれども、アデルソン家族の信託の名義人にはなっているんですけれども、真の所有者はアデルソン家族であるということになっています。したがって、シェルドン・アデルソン御本人が10%、奥様が42%、あとは家族名義、家族のための様々な信託ということで、ほぼ100%がアデルソン一族、もう典型的なもうファミリービジネスであるということになります。

 

じゃ、MGMとかシーザースはどうなのかと。私、マフィアを排除したからカジノは健全なのかというと、そうじゃなくて、もう純粋にファンド、要するに市場ビジネス、こういうビジネスの世界に組み込まれて、もう最大利益を追求するためにカジノを営むということになっていくわけですね。そこはもう徹底しているわけでして、ラスベガス・サンズは投資利益率二〇%を目標に掲げますよということですね。

 

ということで、そこはもう徹底した営利追求の論理が貫徹した世界がそこで生まれて、そういう利益を求めて世界中にカジノ資本が新しい市場を求めて展開をしているということかなと思っております。

 

○山本太郎君
残り時間が少なくなってきたので、短めにお答えいただければ幸いなんですけれども、桜田先生と鳥畑先生に。

先日の参議院内閣委員会、7月10日だったんですけれども、アトランティックシティーでカジノを誘致した結果、地域の衰退が起こっていったというようなお話で、それを野党議員の方が質問されたんですけれども、それに対して政府側が、アトランティックシティーの例は、元々観光資源が限られていた中で過当競争(かとうきょうそう)になったのが原因、観光資源が豊富な日本とは事情が違う、日本では別のアプローチも可能であるというふうに答弁したんですけれども、これについて先生方はどうお考えになりますか。

 

○参考人(鳥畑与一君)
アトランティックシティーが1978年にカジノを解禁したのは、それまでは海水浴、夏の保養地だったんですね。それが、いわゆる航空での旅行が広がる中で、言わば既存の観光産業が衰退をしていく。代わりの産業としてカジノ産業を選択をした。年間、3千万人近い方が訪れるような都市になった。

 

じゃ、年間3千万人が訪れるときでも、じゃ、地元のアトランティックシティーも含めたところが繁栄したかというと、失業率であるとか貧困率であるとかがやっぱり相当高水準です。

 

地元に調査に行きましたら、いや、結局カジノが全部お客さんを独り占めにして、既存のホテルであるとかレストランであるとかがどんどん潰れていって、もう空き地だらけになってしまったと。そういう状態の中で、最後はそのカジノ企業自身が破綻をしてしまって、12あったカジノが5つ潰れてしまったと。なぜ潰れたのか。周りの州、ニューヨーク州であるとかペンシルベニア州がカジノを合法化したから、競争に負けたんだと。それはそのとおりなんですね。

 

じゃ、日本に置き換えれば、日本でカジノをつくりました、じゃ韓国がどんどんつくりました、台湾が合法化しました、周りでどんどんカジノができました、日本に外国観光客かギャンブラーは来ませんとなれば、結局、アトランティックシティーと日本の姿が重なるんじゃないかということを考えております。

 

○委員長(柘植芳文君)
時間が来ておりますので、簡略にお願いをしたいと思います。

 

○参考人(桜田照雄君)
アトランティックシティーと過当競争という命題と、アトランティックシティーに観光資源がないという命題なんですけれども、観光資源がないという命題は因果関係ないんですね。

 

どういうことかというと、アトランティックシティーの例はということになりますと、主たる顧客層は金融や不動産で稼いだニューリッチ層なので、彼らが二時間ちょっとで行ける本格派のカジノ、つまりラスベガスまで行かぬでも、二時間ちょっとでアトランティックシティーに行けば本格的なカジノがあるやないかというところで受けたわけです。これが強みだったんですね。

 

ところが、リーマン・ショックで終わってしまいますと、何でわざわざそこまで行くの、行くお金もなくなった。それから、そもそもアメリカでテーブルカジノがはやらなくなって、スロットマシーンに変わってしまったわけなんですね。ほな、スロットマシーンに変わってしまったわけだから、何でわざわざ二時間も掛けてアトランティックシティーまで行ってスロットマシーンやらなあかんねんという、こんな話になってしまうわけね。だから、近場でいいじゃないかという話になってしまいます。

 

それから、皆さん方違和感持たれるかもしれませんけれども、ギャンブル税収はニューヨーク州はネバダ州の3倍あるんですよ。中身は何かというと、宝くじなんですね。だから、ニューヨーク州にはカジノありません。だから、そういうそのギャンブルということに対する潜在的な意識、それはそこにあったと思います。

 

最後に、感想の結論ですけれども、因果関係が全然成立していない命題を持ってきて、観光資源が豊富な日本とそれからアトランティックシティーの本格的なラスベガスの雰囲気が味わえるカジノが衰退してしまうということを意図的に結び付けるととんでもない詭弁(きべん)になるんですよ。こんな詭弁が政府の答弁の中にいっぱいあるということに、これ是非分かっていただきたいと思います。

 

○山本太郎君
ありがとうございました。

 




最新の記事

カテゴリ

過去ログ