国会活動
2019.4.24 資源エネルギーに関する調査会「もはや正気ではない 政治に広がるメルトダウン!?」
2019年04月24日
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○山本太郎君
山本太郎です。
先日の山添拓委員の指摘もございました、原子力の発電コスト、1キロワット時当たり10・1円、原発はほかの電源よりも安いという話に疑義が生じている件についてお話ししたいと思います。
大本の電源コストの試算がおかしければ、現在のエネルギーミックスと呼ばれるもの自体、何を議論しても無意味です。総合資源エネルギー調査会発電コスト検証ワーキンググループの試算、各電源別コストにおいて原子力が1キロワット時当たり10・1円という根拠の前提、事故リスク対応費について、東電原発事故による事故対応費を12・2兆円で想定しています。しかし、民間の日本経済研究センターでは事故対応費用が総額80兆円を上回るおそれと試算。この試算でいくと、廃炉・賠償費用等が1兆円増えると1キロワット時当たり0・04円増加するので、民間試算の80兆円でざっくり計算しても2・7円以上コストは上がる計算。本当に必要な情報は、原子力を維持するために安いと感じさせるための試算、楽観的数字ではなく、厳しい視点で出されたコスト試算こそが人類史上初の大事故を経験した私たちには必要なのではないでしょうか。
ほかにも、追加的安全対策費は電力会社が1基当たり約1000億円と見込まれているのに、なぜか試算では601億円しか見込んでいない。その理由、エネ庁に尋ねたら、原発事故前に建設された直近の4基の発電施設、この建設費用の平均が4400億円。これに追加的安全対策で1000億円掛かるけれど、この1000億円は新設の設計段階から考慮していれば600億円で済むとのこと。コスト試算の前提が新設の発電施設を造った場合だからということです。
これに対して、本調査会に参考人として出席された大島堅一先生、朝日新聞インタビューに、原発の建設費の想定が甘過ぎます、福島の事故以前に建設されたような原発を建てるという想定で建設費を1基4400億円とし、そこに600億円の追加的安全対策を加算するというものです、設計段階で安全性の高い原発を想定しないという非常に奇妙な試算ですと疑問を呈していらっしゃいます。このコスト試算、今現在稼働中又はこれから再稼働する原発が低コストである根拠にはなり得ない、子供でも分かる話です。
新設原発の建設費、世界的に見ても高騰しています。原子力10・1円のコスト試算では、新設費は安全対策費を入れて5000億円、120万キロワット級で5000億円。しかし、政府と三菱重工が共同で進めてきたトルコへの原発輸出では建設費が5兆円と当初想定の2倍に上る見込み、トルコ側との交渉難航と報道がありました。トルコの112万キロワット級が4基で5兆円、1基当たり1・25兆円。日立が進めていたイギリスでの原発新設の案件、東電原発事故を受けて、安全対策などのコスト増大により総事業費が2基当たり2兆円から3兆円規模にまで増大、頓挫。
日本の原発は安全対策込みで新設でも建設費5000億円とお手頃価格なのは、海外で頓挫したコスト増大の原因であるメルトダウンした核燃料を受け止めるためのコアキャッチャーや大型航空機の衝突に耐える二重構造の格納容器などが含まれないから。原発を新設する際のコストに世界基準の安全対策は試算に入れない時点で、より強化されて堂々復活した安全神話が見て取れます。大島先生によると、これら安全対策を踏まえると、原発の1キロワット時当たりの発電コスト17・6円になると試算。
本当の収束方法も、本当の収束時期も見通せないスリーメルトダウン事故を起こしておきながら、原発事故の原因究明もなされず、世界最高水準という根拠のない気合と組織票や献金をくれる企業の既得権益を守り抜く気概だけで、これから必ず来ると言われる首都圏直下や南海トラフを乗り切るというんですから、もはや正気ではないレベル。メルトダウンは、原発だけでなく、意思決定に関わる政治にも広がっているとしか言いようがありません。
バックエンドに関する突っ込みどころも満載ですが、提案に移ります。
わざわざ参考人をお呼びし、貴重な御意見を頂戴したわけですから、実態に反映できる調査会であってほしいと考えます。
昨年4月、政府によるエネルギー政策のための審議会とかワーキンググループなどの立ち上げ方、運営方法などで問題として考えられる部分はという私の問いに対して、参考人の大島堅一先生は、政府の方針が先にありまして、それに沿う形で委員構成が決められるというのが、残念ながら、残念ながらというか、そういうようなことになってございますと御発言。
まず、明らかに政府寄りの人員で固められた発電コスト検証ワーキンググループの構成員を刷新して、再度、リアルなコストの検証を求める決議を本調査会で出すことを、会長、お諮りいただけませんか。
○会長(鶴保庸介君)
理事会で協議をさせていただきたいと思います。
○山本太郎君
ありがとうございます。終わります。
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