山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

国会活動

○上野委員長

次に、山本太郎君。

 

○山本太郎委員

れいわ新選組代表、山本太郎です。警察法の改正、たった10分の質疑です。簡潔にお答えください。本法案では、警察庁の下部組織である関東管区にサイバー特別捜査隊をつくるということでいいですよね。イエスかノーかでお答えください。

 

○二之湯国務大臣

イエスです。

 

○山本太郎委員

ここのサイバー特別捜査隊は、必要なときには家宅捜査や押収、容疑者の逮捕、書類送検ができるという理解でいいですよね。イエスかノーかでお答えください。

 

○二之湯国務大臣

イエスです。

 

○山本太郎委員

本法案の内容は戦後の警察組織の在り方を180度変えるものですが、審議はたったの一度、たった3時間半で法改正をしようとしている。この法案を通しておけ、分かりましたという、行政府の従順な下請に成り下がった委員会運営に対して最大の非難を申し上げます。

 

(発言する者あり)

 

失礼でも何でもない。事実である。

 

(発言する者あり)

 

事実である。中身を続けます。あっ、ちょっとごめんなさい、コロナ禍なので、大きな声でしゃべるのをやめてもらっていいですか。

従来、国家公安委員会及び警察庁は、犯罪捜査を直接行うことは認められていません。

ところが、今回の法改正では、第5条4項に新たに16号を設け、それを認める内容になっている。戦前、非道の限りを尽くした警察の在り方を反省し、新たな警察組織として出発するためにつくられたのが、昭和22年からスタートした元々の警察法。戦前の日本の警察は国家警察と呼ばれました。国家警察とは、国が中央集権的に組織、管理する警察。戦前の警察と戦後の警察、決定的に違うことは何か。戦前は、国家の警察機関に逮捕権を含む捜査権を与えていた。戦後は、それを与えなかった。国家の警察組織が直接、逮捕権をも含む捜査権を持つとどうなるか。社会秩序の維持の名の下に、権力側に不都合な存在、政府に反対する思想や言論、行動を徹底的に弾圧、拷問など日常茶飯事ということになりかねない。

資料の②。昭和28年、警察法の審議で、戦前の警察を振り返る発言が国会議事録に残っています。日本社会党の鈴木衆議院議員の発言を要約します。

全国津々浦々まで警察の監視が張り巡らされ、泥棒や強盗を捕まえるより、反政府的言動の抑圧、言論と思想の自由の弾圧が警察にとっての最優先事項であり、また、戦争中には国民相互がスパイとなり、風呂屋や床屋、隣組でしゃべったことが理由で検挙される者が多くいたこと、長期の勾留と拷問によって、統制を誇っていたことなどが議事録に記されている。こういった反省から、戦後、警察法を制定し、中央集権、内務省の下部組織としての警察は解体。大臣など政治家が警察を直接指揮ができない、都道府県警察を指揮監督するだけの、捜査権を持たない警察庁を設立。本法案の改正では、警察庁の下部組織である関東管区に逮捕権を含む捜査権を持たせる内容になっている。お聞きします。今後、警察庁に逮捕権を含む捜査権を持たせるのは、サイバー事案に限ると断言できますか。

 

○二之湯国務大臣

山本委員の御心配になっております、日本の警察が大きく変わるということは全くないわけでございます。国民の自由と権利をあくまで守る、そして都道府県警察を堅持する。しかしながら、今回のサイバー脅威によりまして、こういうのは、こういう局を立ち上げなきゃならぬということで、あくまでも例外的な、そういうことでございます。

 

○山本太郎委員

本法案に限るお答えだと、先ほどからの委員たちの質問に繰り返し答えていると思います。今後は分からない、そういうことだと思います。

資料の③。警察庁に設置されているサイバーセキュリティ政策会議での新組織に関する発言要旨を見ると、事務局から、新組織が対応する事案をサイバー領域だけに限らないことが明言されている。議事要旨の該当部分に色をつけました。そこだけ読みます。

サイバーセキュリティ・情報化審議官の挨拶、このサイバー局等新組織の目指すところは、サイバー空間に限定された安全、安心の確保にとどまるものではない、新しい組織は、生活安全局、刑事局、警備局等既存の局とも連携し、サイバー空間上でのような対策だけでなく実空間における取組とも連動することにより、デジタル化が進み、実空間、サイバー空間の両者が一体不可分となった新しい社会においても、これまで以上の安全、安心を国民の皆様にお届けすることを目指している、サイバー空間だけでは完結しない犯罪についても新組織のスコープに入れていくと。事務局や委員の本音が出てしまっているところじゃないですか。入口は……

 

(発言する者あり)

 

今、ばかって言いましたか。

 

(発言する者あり)

 

大丈夫ですか。

 

○上野委員長

質疑を。

 

○山本太郎委員

理事からそういう発言があるというのは問題ですもんね。

サイバー空間だけでは完結しない犯罪についてもスコープの中に入れていくという話なんですね。入口は誰もが反対しづらいサイバー問題、しかし、サイバー空間だけじゃ駄目だ、実空間と一体化だと間口を広げて、最終的には警察庁の権限を大幅に拡大できると解釈できるやり取りではないかと思います。現在においても、令状がなくても、自由に個人情報の収集が地方警察レベルでも可能ですよね。

資料の④。共同通信の調査報道で分かったことが一部記事になっています。CCCなど大手を含む290の企業が警察、検察に顧客の個人情報を提供、その内容は、購買履歴、移動履歴、ポイント情報、個人の趣味、嗜好が分かるものまでデータの種類は350以上。ほかにも、スマホでオンラインゲームをやっている者のGPS位置情報なども、ゲーム会社を通じて警察に渡っていた疑いもある。

これら情報収集は、捜査関係事項照会という簡単な照会手続で可能になります。捜査権限を地方警察に限定し、警察庁が捜査を行うことができない現状の制度でも、令状なし、広範囲にわたる個人データ収集が横行している。国家機関が捜査権限を持つ国では、深刻なプライバシー侵害の事例、後を絶ちませんよね。

資料の⑤。昨年の9月、ワシントン・ポスト。毎年のように、フェイスブック、グーグル、そのほかのIT企業は、FBIなどから要請を受け、個人メッセージ、写真、検索履歴、カレンダー情報など、市民のオンラインデータを提供している。これらは、しばしば、非開示要請として顧客には知らされない、秘密裏に情報の提供が行われているといいます。何かしら重大になる可能性がある、そういった事案を見つけるためには、全てを犯罪者、全てを容疑者に見立てて、日常的な国民監視が必要になる。これを警察国家と呼びます。これをスムーズに広範に行うためには、国家が捜査権を持つことが必須です。その始まりが本法案の改正ではないでしょうか。

今回の法案について、国家公安委員会でもちゃんと議論されたと理解していいですか。イエスかノーかでお答えください。イエスかノーかです。

 

○二之湯国務大臣

計10回ほど、国家公安委員の皆さん方が真剣に議論されたと伺っております。

 

○山本太郎委員

おかしいですね。十分に議論したというような証拠が残っていないんですよ。

資料の⑥。この法案に関する議論は、国家公安委員会において5回のみですよ。というふうに警察庁からちゃんと答えが返っていますよ。10回っておかしくないですか。いいです、いいですよ。しかも、実質的な話があったのは初回のみなんですよ、たった35分。そのうちの一部の時間を使って、警察庁事務方からの報告を受けて、軽くやり取りした程度。監督できているんですか、これ。指導するんじゃないんですか。10回もやったと先ほど言いましたけれども、たったの5回で、中身はこんなものなんですよ。

しかも、その委員会のメンバー、何でしょうか。読売新聞の論説とか、違憲立法を保身のために忖度した元内閣法制局長官とか、およそ国民の良心を代表する者だとは言い難いメンツじゃないか。

本法案改正を行わずに、サイバーの脅威とどう対峙するかということも提案させていただきたいと思います。警察庁の新組織に関する当初予算は約38億。

この予算を、既にある全国14の都道府県警察サイバー攻撃特別捜査隊に直接割り振れば、同捜査隊に係る今年度の予算、2倍以上になります。約2.4倍になる。サイバー捜査能力の強化は十二分にできるはずです。

警察庁は、捜査機関を持たずに、従来の調整機能のみで、これまでにもテロ、麻薬、強盗殺人、誘拐など、様々な事件で海外の機関と国境を越えた捜査を行ってきた。国際協力強化のために警察庁の組織の捜査権が必要という論理、成り立たないんですね。コロナ禍の混乱に乗じて、プライバシー侵害上等の警察庁の権限拡大の法改正に、これは反対するしかないんですよ。

少なくとも、180度、警察組織の在り方が変わる。これまでの反省、戦後の積み上げを一切なしにして、3時間半の議論っておかしいじゃないですか。失礼でも何でもないですよ。国会においての議論が余りにも薄過ぎるでしょう。これ、ちゃんと積み上げていかなきゃいけないのに、3時間半で、戦後の反省、3時間半で処理できますか。無理ですよね。この法案を通すというのは、ある意味で、先ほど国家公安委員長が言われた、個人の権利、自由への影響に関わることだからしっかりと守っていかなければならないということと反しませんか。こんな法案には賛成できません。反対をいたします。以上です。

反対討論

○山本太郎委員

れいわ新選組を代表し、警察庁の一部を改正する法律案について反対の討論をいたします。

国家公安委員会及び警察庁は、従来、犯罪捜査を直接行うことは認められていません。これは、戦後改革で国家警察が否定され、地方警察が警察活動を行うとしたことに由来している。

ところが、今回の改正案では、第5条4項に新たに16号を設けるなど、犯罪捜査を認める内容になっている。これは、戦後改革で否定された国家警察の復活とも言えるものですが、それについての納得できる説明はなされていません。本法案において、関東管区警察局に全国的規模での重大サイバー事案に対する捜査権を認めたことは、その象徴です。

これまで、警察庁の地方機関である管区警察局は、一切の捜査権は認められていない。今回これを認めてしまえば、警察庁の管轄下にある機関が捜査活動を行うことになり、警察庁そのものが捜査活動を行うことと同じになります。

今回の法改正のような規定ぶりを許してしまえば、今後、サイバー警察局だけでなく、警察庁のほかの部局の所掌分野についても捜査活動を認めることへの道筋をつくることになります。

そもそも、重大サイバー事案の定義は不明確。何が重大かの判断は、サイバー警察局自身が決めることになる。これでは、サイバー警察局の所轄範囲、捜査対象の範囲は無限に広げられる懸念が拭えません。国家公安委員などでも、それに対する深い議論がなされた形跡もありません。

また、政府は、立法理由の一つとして、サイバー対策における国際連携の重要性を述べています。国際連携の必要性は確かにあるでしょう。しかし、それは、警察庁の組織に全国的な捜査権を与えなくても、警察庁が従来どおりに調整機能をしっかりと果たせば可能となります。テロ、麻薬、強盗殺人、誘拐、詐欺、窃盗、そういった分野でも、従来の警察庁の権限の中でしっかりと国際連携できてきたことを見れば明らかです。国際連携のためにも本法案の改正が必要という立法事実自体が成り立っていません。

ただし、サイバーの脅威に対してしっかりと対策が必要なことは否定しません。警察庁ではなく、各都道府県が実力を発揮できるような十分な予算措置を行うことで、国際連携の必要性は満たせると考えます。中でも、既に14都道府県に設置されているサイバー攻撃特別捜査隊に対して予算と人員を大幅に増やすことが一番合理的であると考えます。

 

(発言する者あり)

 

済みません、反対討論している間に大きな声でしゃべるの、やめてもらえますか。しっかりとこういった疑念を払拭できるような委員会が開かれていないこと自体が問題でしょう。3時間半だけで終わるということが問題なわけでしょう。この少ない時間の中でやり取りをするんだったら、ちゃんと話を聞くという姿勢を見せてくださいよ。すっと通そうとしないでくださいよ。反論しにくいサイバーの脅威に絡めて、戦後警察改革を無視し、十分な議論も行わず、警察庁の権限拡大を狙って、コロナ禍の混乱に乗じて勢いで法改正を行うという蛮行に賛成できるはずもありません。以上の理由から、本法案に反対いたします。ありがとうございました。




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