国会活動
2022.12.8 厚生労働委員会「国会の怠慢と傲慢(C型肝炎特措法改正)」
2022年12月15日
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○委員長(山田宏君) これより質疑に入ります。
──別に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
本案の修正について山本太郎君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。山本太郎君。
○山本太郎君 ただいま議題となっております特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案に対し、れいわ新選組を代表いたしまして、修正の動議を提出いたします。
その内容は、お手元に配付されております案文のとおりです。
これより、その趣旨について御説明申し上げます。
本法律案では、C型肝炎救済特別措置法に基づく給付金の請求期限を延長するとともに、C型肝炎ウイルスにより劇症肝炎に罹患して死亡した者に係る給付金の額の引上げなどを行うこととしており、それ自体は必要な改正です。
同法の前文においては、人道的観点から、早急に感染被害者の方々を投与の時期を問わず一律に救済しなければならないとの理念が掲げられています。しかし、特定フィブリノゲン製剤等の投与が判明した約25000人のうち、和解などが成立したのは僅か2500人余りにとどまっています。
また、同法に基づく給付金の支給の請求に当たっては、特定C型肝炎ウイルス感染者自身が訴訟を提起し、同製剤等の投与によってC型肝炎に感染したことを立証する必要がありますが、投与から20年以上経過した後に感染の事実が判明するケースが多く、被害に気付いたときにはカルテの保存期間が経過していたり、医療関係者の証言が得られなかったりすることなどにより、救済に至らない事例が山積しています。
カルテや医療関係者の証言の有無といった本人の責任ではない要素のために救済されないという非常に不合理な状態が続いていることから、同製剤等の投与の事実の推定に関する規定を設けることや、感染者の認定を簡易かつ迅速に行うことができるようにすることなど、感染者の負担の軽減や救済に資する施策に、方策について検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずる必要があります。
このような観点から、本修正案を提出いたしました。
修正の要旨は、第1に、国は、C型肝炎ウイルスに係る薬害事件の発生から長期間が経過し、給付金の支給を請求する者がその者又はその被相続人について特定C型肝炎ウイルス感染者であることを立証することが困難となっていることを踏まえ、この法律の施行後1年以内に、法第一条第三項に規定する投与の事実の推定に関する規定を設けることそのほかの特定C型肝炎ウイルス感染者であることの立証に係る負担の軽減に資する方策について検討を加え、その結果に基づいて法制上の措置そのほかの必要な措置を講ずるものとする規定を追加すること。
第2に、国は、第一のほか、この法律の施行後2年以内に、給付金の支給の請求に当たって訴訟手続を経ることを要しないものとするなど特定C型肝炎ウイルス感染者の認定を簡易かつ迅速に行うことができるようにすることそのほかの特定C型肝炎ウイルス感染者の救済に資する方策について検討を加え、その結果に基づいて法制上の措置そのほかの必要な措置を講ずるものとする規定を追加することであります。
カルテや医師の証言がないことで被害救済の道を絶たれてきた被害者の方々を次の法改正まで放置してよいのでしょうか。1年以内、2年以内と時期を示して早急に対策を取ることを立法府から約束する必要があります。
何とぞ委員各位の御賛同、お願い申し上げます。
○委員長(山田宏君) これより原案及び修正案について討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○山本太郎君 れいわ新選組、山本太郎です。
私は、会派を代表し、本改正案に反対の立場で討論いたします。
今回の法案は、薬害被害者に対する給付金の請求期限が来年1月16日に迫る中、期限を5年間延長するとともに、劇症肝炎などの死亡者に対する給付金を慢性肝炎と同じ4000万円に引き上げるもので、それ自体は必要なことです。しかし、被害認定される患者数が増えることは期待できず、被害者認定を困難にしている根本的な問題をこの法案では解決できません。実際、これまで血液製剤の投与が判明した24832人のうち、判決、和解などにより救済されたのは僅か2508人であり、10人に1人しか救済されていません。
国は、カルテなどの医療書面又は医療関係者などの証言を要求しています。一方で、医師法で定められたカルテの保存期間は5年です。本特措法の制定は2008年、フィブリノゲンの製造販売期間は1964年から1994年であるため、既にその時点で医療記録が破棄されていた可能性が非常に高い。また、日々多数の患者を診療している医師に数10年前の患者のフィブリノゲン製剤の使用に関する具体的な記憶を期待するのは困難です。
国は、フィブリノゲン製剤を使われたことを患者である原告自身が証明することを要求し、それができなければ救済しないと言っています。これが特措法の仕組みであり、この仕組みを変える方向性を何ら示さないままの改正案に賛成することはできません。
れいわ新選組は、被害者の立証責任の緩和と裁判外救済の検討を加速させる必要があると考えています。そのために、本改正案に2つの規定を設ける修正動議を先ほど提案しました。一、この法律の施行後1年以内に立証に係る負担の軽減に資する方策を検討し、法制上そのほかの措置を講ずること。二、施行後2年以内に、訴訟手続によらない救済の方策を検討し、必要な措置を講ずるものとすること。私たちが求めている法案への修正はたったこれだけです。
被害者全員の救済に向けて第一歩を踏み出したと思われたC型肝炎被害救済法の成立から15年がたちます。その間に行われた改正は2度。その間に被害者救済を広げるための法改正は実質行われていないことは、救済された者が被害者全体の10%程度であることを見れば明らか。私たちが求める修正の反映が本改正案に賛成する最低条件であり、私たちが求める修正内容は国会が果たすべき最低限の役割であることを訴え、本改正案への反対討論といたします。
○委員長(山田宏君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
これより特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
まず、山本太郎君提出の修正案の採決を行います。
本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(山田宏君) 少数と認めます。よって、山本太郎君提出の修正案は否決されました。
それでは、次に原案全部の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
○委員長(山田宏君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本太郎君 れいわ新選組代表の山本太郎です。
C型肝炎特措法の前文では、人道的観点から、早急に感染被害者の方々を投与の時期を問わず一律に救済しなければならないとの理念が掲げられています。一方で、国会は救済されるべき人々を見捨てていませんか。
本改正案を策定するに当たり、カルテのない被害者、原告の要望を取り入れるよう発議者から提案ありましたか。聞かせてください。
○衆議院法制局参事(石原隆史君) お答え申し上げます。
お尋ねいただきました点は、議員立法の立案作業の過程における、依頼者である議員とのやり取りの内容に関するものであり、依頼議員の御意向を踏まえて立案を補佐するという私どもの職責上、お答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○山本太郎君 本件の成立は2008年、本案の成立は2008年、その後、2度改正が行われ、これまでに付された附帯決議は3つです。
過去3つの附帯決議のうち、これまで改正案の条文にその附帯決議の内容が反映されたものはありますか。それは何でしょうか。
○衆議院法制局参事(石原隆史君) お答え申し上げます。
私ども衆議院法制局は、その都度、依頼者である議員の御意向を踏まえて立案の補佐をすることを職責としております。したがって、過去の法案について付された附帯決議等の内容との関係をお答えすることは、私どもの職責上困難であると存じます。
○山本太郎君 これじゃ質疑になりませんよね。
なぜ法案に対してちゃんと答弁してもらえないのか、この委員会をネットで御覧になっている中学生でも理解できるように説明したいと思います。
国会に提出される法案は2種類、内閣提出の閣法と議員が作った議員立法。
大臣、C型肝炎特措法は閣法でしょうか、それとも議員立法でしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 議員立法と承知しています。
○山本太郎君 議員が作った法律案に対して質問をする場合、その答弁に立つのは主にそれを作った国会議員です。
先ほどC型肝炎特措法改正の採決が行われ成立しましたが、その際、その法案に対する質疑、法案審議は行われませんでした。なぜ法案審議ができなかったのか。
今私が行っている質疑は一般質疑です。一般質疑は、質問に立つ議員の関心がある問題について質問ができる立て付けになっている。でも、私が質問したいのはC型肝炎特措法改正についてです。国の不作為により多くの被害を生み出した薬害、その被害者の大幅救済を行えるよう今回の改正でなぜ進めなかったのか提案、発議をした議員に直接問いたかったんです。でも、法案審議はなし、一般質疑という形では質疑をさせるということになった。一般質疑では、私が答弁を求める相手は政府になってしまう。でも、本当に話を聞きたいのはC型肝炎特措法の改正に関わった議員たちなんです。
これまで2回も改正されているが、改正の中身はほぼ期間延長のみ。救えていない被害者を何とかする改正ではないからこそ、ややこしい答弁の場には立ちたくない、立たせたくない、全会一致で法案審議もせずに成立させてしまいたい、それが駄目なら法案審議はなしでという国会議員同士のそんたく以外に採決前に質疑を持たなかった理由あるんでしょうか。本会議、国会のスケジュール、そういう話にはなっているけれども、本質はそこではありません。
与野党を超えてテーブルの下でぬるっと手をつなぐこと、その最大の害悪を被害者が被るのはおかしくないですか。C型肝炎特措法で救済された被害者は10%程度。救済されない残りの90%の人々は、政治による怠慢と傲慢で切り捨てられるんでしょうか。一縷の望みを懸けて政治に期待を抱いて、今日という日を何とか生きる被害者が政治に裏切られる、私はそのような現場を今見ているような気がします。
まずは一歩踏み出さなきゃ、政治で賛同を求めるときによく使われる言葉。でも、法案が通った後は最初の一歩から歩みはほぼ止まったまま、これも政治ではよくあること。しかし、国の不作為によって被害をもたらされた人々は、永田町の非常識に納得しようがありません。附帯決議って何なんでしょうか。ただの飾りでしょうか。当初の理念、目的は忘れられ、達成されないのでしょうか。改正のたびに議論し、被害者全員を救済するという気概、国会は諦めたのでしょうか。
ただ一つだけ希望はあります。この場に立たせてくださった委員長、そして筆頭理事、そして理事、委員の皆さんの存在です。私がこのような発言をするだろうということが分かった上で、修正案の提出と質疑も認めてくださった。様々なしがらみがある中でも被害者救済はやるべきだという皆さんの強いお気持ちが根底にあるからこそだと私は信じたい。修正案も受け付けず、質疑もやらないよという判断もできましたよね。でも、それを行わなかったのは、良識の府、熟議の府の先輩方のお気持ちに違いありません。
法の施行から約15年、救済率は約10%。そもそも被害者認定の在り方がおかしい。政府には被害者の救済を絞りたいという意思があるのではないかと疑いたくなる。この先、被害認定される患者数が大幅に増えることは期待できません。C型肝炎訴訟の提訴される数は、一番多い平成20年度で1210件、直近の令和4年度は41件、その減少率は96.6%。ハードル高過ぎて、カルテとかいろんな問題あり過ぎて、もう無理だと思っちゃうんですよね。
国は、カルテ等の医療書面又は医療関係者等の証人尋問による証明を要求している。医師法でカルテの保存期間は5年、フィブリノゲンの製剤多用期間は昭和40年代から50年代であるため、既に医療記録が破棄されている可能性が高い。また、医療関係者の証言にしても、20年から40年前の特定の患者について具体的な記憶を期待するのは困難ですよ。閣僚とか与党議員に至っては数年前の記憶ですら、官僚では数か月前という人もいましたよ、記憶にないと発言される方々も大勢いらっしゃるじゃないですか。数10年前の具体的な記憶を被害者に求める、立証させるのは合理的ではありません。実際、カルテがないC型肝炎訴訟の原告は766名に達しましたが、これまでC型肝炎特別措置法によって救済されたのは僅か80人。
被害者の声です。公表されたフィブリノゲン製剤納入機関には私が出産した病院の名前がありましたが、カルテの保存期限5年をはるかに超えていました。公表時期は悪意としか捉えられませんでした。カルテがない、カルテがない、カルテがない、どこを問い合わせても私の過去は全て抹消されていました。
ほかにも、都合の悪いことを隠蔽し、もっともっと早い段階で全て公表すべき責任を怠り、その結果、私たちの過去は抹消されてしまいました。それでもなお証拠を出せというスタンスを崩さない被告、国と製薬会社には強く抗議したい。危険と知りながら売り続けた薬でたくさんの人間の命を奪っても患者の方で証拠を出せという対応は、決して許すことはできない。
米国FDAは、1977年、昭和52年12月、フィブリノゲン製剤の承認を取り消し、その販売なども禁止。これを日本はいつまで使い続けましたか。血液製剤を安全にするためには、混入したC型肝炎ウイルスの感染力を奪わなければならないといいます。日本では、1994年まで、感染力を奪う処理がないままフィブリノゲン製剤を使用していたそうです。
C型肝炎特措法の条文中に、一定の要件があれば投与の事実について推定できる規定を設ける必要があります。カルテがなくても、治療を受けた病院にフィブリノゲン製剤が納入されていた実績がある以上、出産時、手術時に大量出血があったことを母子手帳などに記載してある、又は本人、家族などの証言により多量出血の事実があり、同製剤の使用が推認できる症状であった場合は投与の事実があったものと推定されるべきです。そして、訴訟によらず国との和解を成立させる法制度が必要です。
今回あっさりと否決された私たちの修正案、賛成してくださった方もいらっしゃいました。けれども、あっさりと否決された。今申し上げたようなことを検討に加えるという最低限の修正を、ここにいらっしゃる力のある先生方、この国に生きる人々を思う先生方に実現していただきたいんです。被害者を救えるのは、心あるここにいらっしゃる先輩方をおいてほかにありません。
質疑を終わります。ありがとうございました。
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