国会活動
2023.6.7 憲法審査会「緊急事態条項が必要のデタラめさ」
2023年06月07日
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○会長(中曽根弘文君) 山本太郎君。
○山本太郎君 衆議院議員任期延長を主張する者たちは、長期間にわたって選挙が実施できない事態を想定し、現行制度では国会機能が維持できないと訴えます。参議院緊急集会は70日間しか開けないから長期の非常事態が起きたら対応できない、だから任期延長が必要だと。国民の投票権を制限しなければいけない非常事態とは一体何か。
紛争や大規模災害に見舞われてもなお、世界各国では予定どおり選挙を実施し、有権者の参政権を保障、それによって民主主義を維持しています。
2014年、クリミア。ロシアに占拠され、東部で内戦と呼べるような状況が続く中でも、2019年、ウクライナは議会選挙を実施。クリミアもウクライナの一部と認める以上、完全な形での選挙ではもちろんない、それでも国内の投票権は尊重された。ロシアによる軍事侵攻が続く中でも2024年の大統領選は行われる見通し。
東日本大震災を上回る犠牲者を出したと言われるトルコ大震災の復旧は道半ば。けれども、今年5月にはトルコで議会選挙と大統領選挙が行われた。エルドアン政権の震災対応を批判する有権者は野党候補の支持に回り、決選投票までもつれ込んだが、現職エルドアン氏は非常事態を理由に選挙延期や自らの任期延長を図ることはなかった。
トルコでは与野党、自治体、NGOなどが協力し、避難生活者たちが投票できるよう支援策を講じた。5月14日、ロイターによれば、避難者が地元選挙区で投票できるよう、官民の協力で数万台の無料バスを手配。通常は投票所となる学校が被災したため、テントやコンテナによる仮設投票所を設置。有権者の1人は、地震がなくてもこの大統領選は重要だが、地震によってその重要性が増した、我々は政府対応の遅れと私たちが被った痛みを考慮して投票すると、非常事態においても投票機会があることの重要性を強調する。
昨年9月28日、ハリケーン・イアンによる甚大な被害を受けたアメリカ・フロリダ州。同年11月8日の中間選挙は予定どおり実施。同州だけで死者は100人以上、米調査会社の当時の評価では被害額は最大約10兆円に上るとされた。被災1週間後には、瓦れきの散乱する現場でバイデン大統領が選挙に向けて演説。被災者のために何をしてくれるかを見てから政治家の評価を決めたいと有権者の1人は語った。
2021年7月中旬、400年に1度と言われる豪雨でドイツ、ベルギーでは200人以上が死亡。ドイツでは避難者に地元選挙区での投票を認める。追加投票所を設置するなどし、同年9月26日の連邦議会選挙は予定どおり実施、被災地でも投票率は下がっていない。
2004年12月、スマトラ島沖津波でタイは大きな被害を被った。タイ政府の公式発表だけでも4812人の死亡を確認、負傷者8457人、行方不明者四千四百九十九人。それでも、2か月後の2005年2月には下院選挙を予定どおり実施。
世界中で起こっている大規模な非常事態においても選挙は実施されています。自民党や維新などが訴える選挙ができない状態とは何なんでしょうか。火星人の襲来でしょうか。アルマゲドンでしょうか。その主張からは任期延長の必要性が一向に見えてきません。非常事態だからこそ、制約はあっても国民に一票を投じる権利を保障することが重要で、非常事態への対応を含めて政権は国民からの評価を受ける必要がある。
選挙ができない事態とは、客観的に存在するというより、政府がこのような状況で選挙はできないと恣意的に認定することで生まれるもの。国民の審判を受けたくない政権に選挙ができない事態を認定させてはいけない。
自民党の改憲草案、平成24年版では、地震など大規模災害に際して、内閣が緊急事態を宣言し、内閣総理大臣は地方自治体の長に対して必要な指示が可能に。内閣は法律同等の緊急政令を定め、財政上必要な措置をとることもできる。それら政令に基づく総理大臣からの指示は、地方自治体に対して圧倒的な要求となる。
自民党の日本国憲法改正草案QアンドA増補版は、今回の草案では、東日本大震災における政府の対応の反省も踏まえて、緊急事態に対処するための仕組みを憲法上明確に規定しましたと述べ、東日本大震災の経験を踏まえた改憲提案であることを強調する。
しかし、東日本大震災のような大規模災害時に求められるのは、中央政府の権限強化ではないと被災地の現場は考えているようだ。
日弁連実施のアンケートによれば、東日本大震災の被災自治体の多くが、災害時には、国の権限でなく市町村などの自治体に権限を強化する必要がある、現行の憲法に緊急事態条項がないことが災害対応の障害にはなっていないとの意見を示す。仙台の弁護士会からも、東日本大震災の災害対応について国家緊急権規定が存在すれば適切な対応ができたという事実は全く認められず、福島県弁護士会からは、被災者の救済と被災地の復興のために何より必要なのは、政府に権力を集中されるための法制度を新設することよりも、むしろ事前の災害、事故対策を十分に行うとともに、既存の法制度を最大限に活用することであるなど意見表明されている。
緊急事態条項の提案は、被災地、被災者の意思を踏みにじり、震災を利用する火事場泥棒的行為と言える。
内閣が緊急事態を宣言し、議員任期を延長すれば、当然その内閣も延命されるものと想定できる。これで機敏に想定外の状況に対応すると言うが、時の内閣のメンバーが危機対応にたけた危機意識の高い人たちとは限らない。例えば、歴代自民党政権の幹部は、災害、ミサイル発射という危機時に自らの選挙運動を優先、さらにはゴルフや酒盛りで遊びほうける常習犯であった。
おととし10月19日、衆議院選挙中、北朝鮮がミサイル発射。岸田総理と官房長官は選挙応援で都内不在。危機管理よりも選挙を重視していると批判される。特に岸田首相は、第一報を受けた後、さらにもう1か所、仙台の演説会へ。すぐ電車に飛び乗れば、あと2時間早く東京に帰れた。
安倍首相は、2019年7月25日から29日まで夏休みを取得。その初日、北朝鮮がミサイル発射。その約1時間後に別荘を出発、ゴルフ場へ。
2018年6月28日から7月8日にかけての西日本豪雨真っただ中の7月5日、議員宿舎で開かれた酒盛り、赤坂自民亭には、安倍首相、岸田政調会長、小野寺防衛相も参加。官邸で関係省庁の情報を集め指示を飛ばすべき役割の西村官房副長官は、5日の午後10時過ぎ、宴会の写真をツイッターに添付。和気あいあいの中、若手議員も気さくな写真を撮り放題、まさに自由民主党とツイート。
2014年8月20日、広島市集中豪雨への迅速な対応が求められる状況で、安倍総理は午前8時頃からゴルフを始め、午後9時20分頃までプレー、東京の官邸に到着したのは11時頃。
緊張感、責任感、危機管理という言葉とは無縁の者たちのオンパレード。何より、先進国で唯一、30年間経済不況を続けるような大間抜けたちが非常事態を理由に自ら延命できるようになったら一体どうなるのか。危機意識のない政府を選挙で退陣させることもできなくなってしまいます。そのような不届き者が憲法を変えたいと言えないように先回りしているのが現行憲法であり、この参議院の緊急集会であります。今ある憲法を守れ。それ以上でも以下でもない。
本審査会の時間の使い方を偏ったものには使っていただきたくない。今、この社会的状況の中で苦しんでいる人々のために、間違った経済状況であったり政策を正すような、そのような憲法審査会、違憲状態にある状態を話し合うべきだと申し上げて、終わります。
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