国会活動
審議法案:健康・医療戦略推進法案
○山本太郎君 何とか早く政党要件を満たして政党になりたい新党ひとりひとりの山本太郎でございます。よろしくお願いします。
今日、小学館のビッグコミックスピリッツという雑誌の「美味しんぼ」という作品に登場した福島県双葉町の前町長の井戸川克隆さんを参考人としてお呼びしてお話を伺いたく、御本人にも御出席を快く承諾していただいておりましたが、残念ながら、理事会におきまして全員一致での御了解が得られませんでした。参考人としてお呼びすることができませんでした。今後も機会がありましたらお願いをしたいと思います。よろしくお願いいたします。
前回の質疑で私は、今回の健康・医療戦略推進法案はアベノミクスの成長戦略法案ですかと菅官房長官に質問いたしました。官房長官は、成長の産業として育成していくということもその一つであることは間違いないわけでありますけれども、ただ、その前提として、やはり多くの国民の皆さんが健康で安心をして長生きをすることのできる社会を形成するということが大前提としてあるわけでありますと答弁されました。
そこでです、官房長官にお伺いしたいと思います。
ビッグコミックスピリッツに掲載された「美味しんぼ」の福島の真実編、一連のテーマは当然、東電福島第一原発事故による被曝の問題です。私は、この被曝の問題、官房長官が答弁された、多くの国民の皆さんが健康で安心をして長生きをすることのできる社会を形成するために政府が取り組むべき重要課題だと思いますが、官房長官、御見解いかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) この問題も極めて大事な重要な問題だというふうに考えております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
私、国会図書館にお願いをしまして、風評被害と非難され、表現の自由が脅かされようとしている「美味しんぼ」、福島の真実編の第二十回から昨日発売されました二十四回までを読みました。官房長官、「美味しんぼ」はお読みになられましたか。
○国務大臣(菅義偉君) 新聞報道で知っている程度であります。
○山本太郎君 この作品の中で放射能の影響で鼻血が出たとも受け取れる表現に対し、デマだ風評被害だと行政と大手マスコミぐるみのバッシングが盛り上がったようなんですけれども、原子力災害があったチェルノブイリでも、事故後の症状の一つに鼻血が出たという話は当たり前にあるんですよね。私も、二〇一一年、訪れた際に、ベラルーシ、ウクライナで住民の方々から直接お聞きしました。我が国のいつ収束できるかも分からない東電原発事故の後も、鼻血についてはよく聞く症状の一つでありました。
国会におきましても、当時野党でした自民党の心ある議員の方々から鼻血の件も含めた質問が実際に行われております。例えば、福島県選出森まさこ大臣も、二〇一二年六月十四日、参議院復興特別委員会で、子供が鼻血を出した、これは被曝による影響じゃないかというような心配の声が寄せられたと質問されていますし、本委員会の山谷えり子委員や、そして熊谷大議員、あるいは長谷川岳議員が質問された参考人の方からも事故後の鼻血について触れられています。
質疑をしていただいた心ある自民党議員の皆さんが国会内でデマをばらまいたというわけではないですよね。国民の声に真摯に耳を傾けて、国民の健康と生活を守るためにも、事故後に体調変化のあった一例を持ち出して鼻血の話に触れられたわけだと思うんです。
官房長官、少なくとも原発事故後、鼻血の症状が多く現れたということは事実だと思います。御理解いただけますか。
○国務大臣(菅義偉君) 福島において事故に伴う放射線の住民の被曝と鼻血の関係にあると、これについては考えられないという専門家が評価をしているというふうなことは私、承知をいたしております。
○山本太郎君 お手元の配付資料一を御覧いただきたいんですけれども、これは熊本学園大学の中地重晴教授の論文です。十八ページ十一というところを御覧ください。中地教授が岡山大学の津田敏秀先生、頼藤貴志先生、また広島大学の鹿嶋小緒里先生と共同で、二〇一二年十一月に質問調査し、去年八月、双葉町に中間報告された双葉町民の健康調査のレポートです。
政府はこの報告、御存じですかね。
○政府参考人(塚原太郎君) お答えします。
議員御指摘の調査につきましては、双葉町の健康調査の中間報告といたしまして、他地域と比べ何らかの健康影響を示唆する結果の得られたとするような報告が大学の研究所が発行する雑誌に掲載されたということについては承知をしております。
○山本太郎君 十八ページの赤い線を引いたところに、双葉町と宮城県丸森町の両地区で、多変量解析において滋賀県長浜市木之本町よりも有意に多かったのは、体がだるい、頭痛、目まい、目のかすみ、鼻血、吐き気、疲れやすいなどの症状であり、鼻血に関して両地区とも、これ丸森、双葉ですね、両地区とも高いオッズ比を示したと書いてあります。
配付資料二を御覧いただきたいんですけれども、ちょっと枚数が多いですけれども、大丈夫ですね、北海道がんセンター名誉院長西尾正道先生の鼻血論争についてというコメントと西尾先生が作成された資料でございます。
西尾先生が作成された資料、昨年八月三十日にイギリスの科学雑誌サイエンティフィックリポーツに掲載された論文の内容をまとめたものです。この論文、気象庁気象研究所の足立光司さん始め四名の方々の論文。西尾先生は、事故直後の放射能プルームに多量のセシウムの微粒子、セシウムホットパーティクルというそうですが、このセシウムホットパーティクルが含まれているというこの論文から、放射性微粒子が湿潤した鼻、喉頭、口腔、咽頭の広範囲な粘膜に付着すると影響が強く出る、健康影響は不溶性の放射性微粒子が粘膜に付着した準内部被曝という観点から評価すべきだとおっしゃっています。この方は北海道がんセンターの名誉院長の西尾先生、今のコメントですね。
菅官房長官、菅官房長官は五月十二日の会見で、住民の放射線被曝と鼻血に全く因果関係はない、専門家の評価で明らかになっているとおっしゃったようなんですけれども、実はこの低線量被曝というものについてはまだまだ分からないことがあるんですよね。
前回の参考人質疑、この場にお越しいただきました。医師で名古屋大学総長の濱口先生、私の質問に対しまして、この放射能被曝による被害の問題で一番よく分からないのが低線量被曝だと思います。従来の研究は、高濃度で短期間掛けたらどういう影響が出るかという研究がほとんどでありますし、広島、長崎の結果も高濃度被曝、瞬間的なもののフォローアップであります。ですから、実態がよくまだ見えていないというところが正直なところであるとおっしゃいました。そして、もう一方、医師で自治医科大学理事長の永井先生、とい低線量被曝の問題は、非常に確率が低いけれども重大な結果をもたらすかもしれないという、この辺の事実をやはりしっかり押さえるという問題ではないかと思います。まず事実、言わば疫学でございますね、PDCAサイクルのチェック、アセスメントをしっかりするということで、この調査をすることは非常に大事だと思っておりますとおっしゃっております。
濱口先生の低線量被曝は実態がよくまだ見えていない、永井先生の調査をすることは非常に大事、このお二方の御意見から、やるべきことははっきりしているというふうに思われませんかね。
やるべきことって何なんだよと。ストロンチウム90など多核種に及ぶ土壌汚染調査や、ベータ線を含む食品の検査、尿中セシウム定量調査や遺伝子検査を含む健康調査などを福島県だけでなく東日本の広い範囲で長期間、継続的に調査していくこと、それはまさに政府の責任だと思うんです。先日、総理の言われた言葉、根拠ない風評に国として全力で対応するというのはこのことじゃないんでしょうか。
これらの提案、一刻も早く実行に移していただけませんか。これができないというならば、できない理由を簡単に教えていただけますか。
○政府参考人(岡本全勝君) 原子力事故からの収束に関する御質問で、本来、原子力災害対策本部の所管でございますが、私の方からお答えさせていただきます。
三種類の調査でございますが、まず、土壌汚染調査につきましては、事故発生当初、ガンマスペクトル分析等によりまして、ストロンチウム90などの多核種の土壌調査を行っております。現在は、原子力規制委員会及び東京電力が福島県内において、あるいは福島県外につきましても、第一原子力発電所の八十キロ圏内におきまして、セシウム134及び137についての土壌調査を行っております。あわせて、全都道府県におきまして、毎年度国の予算の下で水準調査によりまして、ストロンチウム90、セシウム134、137についての土壌調査を実施しております。
次の食品検査につきましては、これは厚生労働省におきまして次のようなことを行っております。
食品中の放射性物質に関する検査は、放射性セシウム、ストロンチウム90、ルテニウム106、プルトニウム238などを考慮に入れまして設定しました基準値に従い全国で実施しております。この基準値は、放射性セシウム以外の核種からの線量を含めまして、食品を摂取することによる被曝線量が年間一ミリシーベルトを超えないように放射性セシウムの濃度を設定したものでございます。このため、放射性セシウムを検査対象とすることでストロンチウムなどから受ける線量も含めました管理が可能であるため、検査による食品の安全性は十分確保されていると考えております。
三つ目の健康調査につきましては環境省において所管していただいておりますが、福島県やその近隣県におきまして地元の医師、専門家による有識者会議が設置され、健康管理の在り方について議論が行われたと承知しております。その中で、原子放射線の影響に関する国連科学委員会、いわゆるUNSCEARでございますが、二〇〇八年報告など、医学の専門家のコンセンサスとなっております様々な蓄積に基づき地元の医師や専門家による会議が行われ、対象者も含めて必要と判断された健康調査が行われたと承知しております。これらの結果は全て公表しております。
御指摘のように、土壌、食品、健康についての検査を行っておりまして、復興庁といたしましても、これらの取組を踏まえまして引き続き正確な情報提供を行い、風評被害の払拭に努めてまいります。
○山本太郎君 ありがとうございます。ある程度想定された答えだったと思うんですけれども、ありがとうございました。
質問時間がどんどんなくなっていくので進めたいと思います。
十九日に行われた福島の県民健康調査の検討会、ここで甲状腺がんの診断が確定した子供、言わば甲状腺がん決定した子供ですよね、前回よりも十七人も増えているよと、五十人になったんですね。がんの疑いがある子供も三十九人、合計八十九人。小児甲状腺がん、百万人に一人か二人と言われていたのが、もう疑いも含めて八十九人までになっているよと。これ、普通な状況なんですかね。どう考えてもおかしいと思うんですけれども。それだけ細かくいろんなことを調べていただいているんであれば、これが影響がないということにはなっていかないと思うんですけれども。
そして、先ほど永井参考人のお言葉の中から疫学という言葉が出てきたと思うんですよね、意見の中に。疫学という言葉が出てきた。疫学って簡単に言うと何だ、統計だよと。
低線量被曝の影響がはっきりと分からないと言われる中で健康調査を続けることはすごく重要だと思うんです。統計を取るためにも必要で大切かもしれない。けれども、もし将来、低線量被曝、実は人体に多大な影響あったみたいですというような疫学上の答えが出た場合、そのとき既にもう手遅れなんですよね。低線量被曝で健康被害に遭った人が存在するということになりませんか。この国に生きる人々は動物実験のための家畜でも何でもないんですよね。安全か危険かがはっきりしない事柄に関しては、予防原則にのっとって危険側に立って対処する。これ、常識ですよね。この国に生きる人々の健康と生活を守る国の役目だとも思うんですけれども。
菅官房長官にお願いをしたいんです。低線量被曝による健康影響の実態がよく分からないんですから、福島県だけではなく、東日本の広い範囲にわたって福島第一原発事故による被曝を心配している方、移住を希望する方たち全員にチェルノブイリ法と同等以上の避難の権利を認めるべきだと思うんですよね。官房長官の御見解、お聞かせ願えますか。
○政府参考人(岡本全勝君) 被災者の方々の中には、戻りたいと考えておられる方々、戻らないと考えておられる方々、なお判断にまだ迷っておられる方々など、様々な方がおられます。政府といたしましては、このような様々な住民の声に応えるために、帰還支援と新生活支援の両面の支援策により支援をすることとしております。この中で、避難指示区域以外の区域につきましては避難することは義務付けられておらず、被災者の方々が、自主的に避難するか、住み続けるかを自ら選択されておられます。
政府といたしましては、被災者の方々の生活を守り支えるため、自主的に避難されている方の生活上の負担の軽減や、また被災地に住み続ける方々の健康上の不安の解消に向けた施策を共に充実させることで被災者の方々にきめ細かな支援を行ってまいります。
○山本太郎君 避難したいんだったら勝手にどうぞというのがスタンスじゃないですか。それを選択する権利を与えてくださいと言っているんです。
官房長官、是非そのことに関しても内閣で議論を深めていただけませんか。一言もしよろしければ。
○国務大臣(菅義偉君) 今政府委員の答えを山本委員は誤解されているのかなというふうに思っています。そこで生活をしたい人、そうでなく新しい生活をしたい人、被災地から出てですね。従来、なかなか帰還支援と新生活支援の両面の支援というのは成り立たなかったんですけれども、新たな生活支援もできるように、政府としてはそういう対応策を取らさせていただきました。
いずれにしろ、この原子力災害から福島の復興再生、これを是非政府としては何としても加速をしていきたい、その思いで取り組んでいきたいと思います。
○山本太郎君 済みません、時間がもうなくなってしまったので、この話についてはまた官房長官、お話を聞いてください。
ありがとうございました。
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