国会活動
(参考人)
・太陽ASG有限責任監査法人総括代表社員 梶川融氏
・慶應義塾大学経済学部教授 土居丈朗氏
・東京法律事務所弁護士 平井哲史氏
○山本太郎君 参考人の先生方、本日は本当にありがとうございます。
現職の国会議員が五名以上という政党要件には達しておりません。
現職は私一人でございます。
新党ひとりひとり代表山本太郎と申します。
よろしくお願いします。
ありがとうございます。
独立行政法人通則法改正案についての質疑ですが、本法案と同じく稲田大臣担当の国家公務員法等の改正案の参考人質疑のときにもお伺いしました、いわゆる天下りの問題です。
独法への天下りというのもあるでしょうし、独法からの天下りというのもあると聞いております。
この独立行政法人の天下り問題、これは今もなお大きな問題なんでしょうか。
この問題、どう捉えて、どう取り組むべきなのか、参考人の先生方お一人お一人の御意見を伺えればと思います。
○参考人(梶川融君) この天下り問題というのは、非常に何を天下りと呼ぶのかという観点もあると思います。
一般的に、ある種公的な地位に基づいて何かメリットを先方に与えることを潜在的に期待される形で先方の地位を得ていくという意味で天下りというのは通常日常的には使われてきたのではないかと思うんですけれども、そういった意味では今独法への天下りというのは、私は、そう多く、多いというか、余りそういう問題になるというふうにはそれほど感じてはいません。
基本的に、独法に経緯として移られた方がまだおられるとは思いますけれども、人材として必要であるというその選出のプロセスを経て独法で勤務されているという官僚の方が、かつての官僚の方がおられるという部分はあるかもしれませんけれども、それをもって私は、いわゆる批判されるべき天下りと考えるかどうかということ。
ただ、そのデュープロセスをきちっと、先ほど公募の問題がありましたけれども、常にウオッチをし続けていくということは非常に重要ですし、その前提となる競争性のある取引関係を保っていくということも非常に重要なテーマだと思いますので、それは人の世の常ですけれども、常にそういった監視機能は保っていくということがいい形を維持できていくというものだと思います。
独法からの天下りのお話は、私、事実としてそこがどの程度の事実関係があるかということについてはいまだ把握し切れていませんので、推測でしか物は言えない部分ではございますが、官僚の方が独法に移られているというよりは、さらに独法から取引先に行っておられる方というのが比較的いる可能性はあるような気はいたしますけれども、これはファクトに基づかない、こうした公式の場の発言でございますので、ちょっと非常に、あくまでも感想に近いことで、ちょっと申し訳ございません。
○参考人(土居丈朗君) 御質問ありがとうございます。
まさに今、梶川参考人がお触れになったところですけれども、民間に近いような組織の行政側と民間側との間の人事のやり取りというようなことになりますと、だんだん厳しく取り締まるとか制限するとかということはなかなか微妙になってくると思います。
特に、民間企業に再就職するということでこれを天下りと称する場合に、どこまで民間企業の判断の自由を認めるのかという、そういう問題にも差し障ってくることだろうと思います。
そういたしますと、これまで十何年来、いや、もっと長く更に遡れば、天下り問題というものはもう我が国で取り上げられ続けてはいるんですけれども、根本的な問題に手を染めないと改まらないというか、天下りという言葉がなくならないと。
それは、やはり官民の人事交流をもっと積極的にやるということなんだろうというふうに思います。
つまり、公務員試験を受けて初めて合格した人が採用されるという仕組みが我が国はずっと徹底してきているので、例外的な中途採用を除けば、基本的には公務員試験を受けているということでもって公務員になれると。
もちろん、公務員は公権力を行使するということなので、そういう縛りを設けないといけないという、片側でそういう制約がありながら、かといって、じゃ公務員の身分だった人が民間ないしは独立行政法人に異動するということになった場合にそれを天下りと言ってしまうということに今まではなっているんですけれども、むしろもっと民間人を中央省庁でも採用すると、中途採用するというようなことにできれば、その中途採用された民間人がまた民間に戻るというのはこれは天下りと言うのかというと、さすがにそれは天下りとは今の言葉の定義でも言わないだろうということになりますので、どうもこの世の中の働き方が、公的部門で働いている人はずっと公的部門に働き続け、最後におこぼれ頂戴式に民間でというようなことは、それは都合のいいところだけいいとこ取りしてけしからぬのじゃないかということで天下り批判というのがあると。
じゃ、民間の人はそのおこぼれ頂戴みたいなようなことはできないのかということを考えると、別にそこは官民がもっと自由に人事交流をしていれば済むと。
ただ、官民の人事交流が自由にできたとしても、最後に残るのはやはり公正さ、フェアネスの問題だと思います。
ですから、意思決定、価格決定、人事の採用に関する決定、これがいかに公正であるか、前職、前歴を問わずそれが優秀な人材であるかどうか、適任者であるかどうかとか、適正な価格であるかとか、そういうようなものの公正さをどういうふうに担保するかということが、これは併せてきちんと仕組みとして設けられて初めて天下りという問題は根本的になくなるだろうというふうに思います。
○参考人(平井哲史君) 天下りそれから天上がりということについては、どういうことをもってそのように言うのかということと、それからそれらが全部否定されるべきものなのか、それともそれらの中のうち批判されるべきものは何か特定されるのかということがございますので、一概に天下りが悪いとか天上がりが悪いというふうには言えないのかなと私自身は考えているところでございます。
ただ、報道で見る限り、否定、批判をされるべきものというのは、中央省庁の方から都合で人を外に出すと、ついてはおたくの法人で受け入れてくれないかという話があって、そこの理事長なり理事なりに入る、そして二年もたてば別の法人に渡り、そこで一旦退職報償金をもらい、別の法人に行ってまた数千万の退職報償金をもらうと、こういうのは批判されるべき天下りということになるのかなというふうに思っております。
そして、私はこの手の天下りについてはきちんと規制がされるべきだろうというふうに考えております。
現行法でそれが十分されているかどうかというのは、私も詳しく法律を読んでいないので機会があれば勉強したいなと思っておりますけれども、一つそういうことでございます。
それで、独立行政法人に対する天下りについてなんですけれども、独立行政法人とはいってもやはり国の監視の下に置かれておるわけでございまして、業務が政策目的にかなったようにやられているかどうか、それを見るために中央省庁から人を出向で送るというようなことはあるんだろうなというふうに思っております。
それ自体は、送られた人がパイプ役となって中央省庁と独立行政法人との連絡を取り、業務が円滑に、かつ政策目的にかなったように遂行されるように図っていくということをやるのであれば天下りは否定すべきものでもないのだろうというふうには思っておりますが、ただ問題は、行った方の待遇が特別な待遇をされているのだとするなら、これはやはり問題が起きてくるだろうなというふうに思っておりますので、この点はガバナンスの問題として捉えて、評価委員会における評価において厳しくチェックされるところになるのかなというふうに思っております。
他方、独立行政法人の方から中央省庁の方への天上がりという問題でありますけれども、元々出向という形で行かれていた方が戻るのであれば、これは天上がりというふうには表現をしませんので、そうすると独立行政法人においてプロパーの職員の方が天上がりする場合がどうなのかという問題だろうと思いますが、私の知る限り、それはほとんどないかなというふうに思っておりますので、それほど問題視する必要もないのかなというふうには思っております。
もしあった場合には是非教えていただきまして、私もその問題について一緒に勉強させていただきたいなというふうに思っているところでございます。
以上です。
○山本太郎君 ありがとうございました。
独立行政法人日本原子力研究開発機構、JAEAの高速増殖炉「もんじゅ」なんですけれども、これ一億円をつぎ込みましたけれども、発電実績、生み出した利益、たったの六億円でしたと。
結果として大変な税金の無駄遣いだったと私は思ってしまうんですけれども、先生方はどうお考えでしょうか。
お一人お一人の御意見を聞かせていただけますか。
○参考人(梶川融君) この「もんじゅ」に対する評価というものは、私自身、これは全体、原子力政策の中で評価されるものと考えておりますので、今おっしゃられた事例において不効率があったかというように考えるものではございません。
お答えとしてはそこで結構でございます。
○参考人(土居丈朗君) あいにく私は原子力に関して何の知見もございませんので、ちょっとここでお答えできるようなものを持ち合わせておりません。
あいにく、申し訳ございません。
○参考人(平井哲史君) 私も原子力に関して専門的な知見を持ち合わせているわけではございません。
ただ、経済的な観点からいけば赤字であることは間違いないわけでございまして、その限りにおいては不経済ということは言えるのかなというふうに思います。
ただ、独立行政法人というのは経済合理性だけでつくられているわけではございませんで、いろいろな政策目的に基づいてつくられているものですから、その政策目的に照らしてどうなのかというところから判断されるものだろうというふうに思っております。
ただし、私自身はもう今の時代は原子力ではなくスマートエネルギーだろうというふうに思っておりますので、その点からすると「もんじゅ」に投入することがこの先もいいのかどうなのか。
むしろ、エネルギー政策の転換ということも言われておりますから、よりクリーンなエネルギーの方により多くの予算を充てていくという考え方もあるのかなというふうには思っております。
○山本太郎君 済みません、失礼いたしました。
先ほど質問させていただいたときに、「もんじゅ」の予算、一兆円を一億円と焦って言ってしまいました。
一兆円ですよね。
一兆円もつぎ込んだんだけれども生み出した利益は六億円だったよ、こう考えると、何かすごく不経済な響きがあると思うんですけれども。
済みません、専門でもないことを聞いてしまいまして。
でも、この独法について、こういうものというのはどうなんだろう、許されるものなのかな、淘汰されるべきなのかなというものら辺を先生方にお聞きしたかったんです。
そして、もう一つあるんですけれども、先日の委員会で、独立行政法人の日本学生支援機構がやっている奨学金の問題について質問をしたんですよ。
もちろん、先生方は奨学金という存在をよく御存じだと思うんですけれども、利子の付くものと利子の付かないもの、利子の付くものはもうその利子の付かないものの倍以上の人たちが受けているんだよと。
これ、すごく今学生たちが、もう首が回らない、借金とかで苦しい状況になっていまして、この返済金というのが延滞金というものが付くようになっているんですね。
利息が払えなきゃ延滞金が付くよ、延滞金が滞っちゃえば差押えまでされるよという流れの中で、返済の仕方というのは延滞金、そして利息、そして元金の順に充当をされるというものなんですね。
お分かりのとおり、これなかなか元金に届かないよな、借金膨らんじゃうよなというのは、よくよくお分かりいただけると思うんですけれども。
この平成二十四年の奨学金の利息収入だけで三百億円以上、これ銀行などの金融機関の懐に入るんですよね。
若者が教育を受けるために借金を背負わなきゃいけない、しかも、まだ就職とかも決まっていないし、給料も幾らもらえるか分からないのに、大人たちと同じようなルールで借金を背負わされてしまうということにちょっと憤りを感じてしまうんですけれども、先生方にお伺いしたいのは、これ、ローン組ませるならば、返済方法はまず元本から返せるようにした方がいいんじゃないかなと思うんですね。
これ、もちろん先ほどのとおり、先生方の専門のお話ではないんですけれども、そこの点、どう思われますか。
○委員長(水岡俊一君) お三方ですか。
○山本太郎君 はい、よろしくお願いします。
○委員長(水岡俊一君) ちょっと時間があれですから、じゃ、短く、梶川参考人、お願いします。
○参考人(梶川融君) これは貸付けの目的いかんを問わず、金融取引の場合、利息が最初に充当されるということは、経済取引としては論理的にそうならざるを得ないと思いますので、意図は、おっしゃられていることはあれですけれども、そうなると思います。
○参考人(土居丈朗君) 梶川参考人と全く同様ですけれども、経済取引の大前提として、そもそも独法であるか否かにかかわらずまずは利息から返すというのが貸借契約ですので、その貸借契約に基づいて日本学生支援機構は履行しているんだろうと思います。
○参考人(平井哲史君) 充当の順序につきましては、前お二人の参考人おっしゃったとおりでございます。
ただ、民法の規定は任意規定でございますので、特別に契約条項でそれとは違う充当の順序を定めるのであれば、それはそれで有効というふうになりますので、その点は学生支援機構がその独立行政法人としての役割を踏まえて、学生が社会に出てしっかりやっていけるように支援できるような契約をお考えいただきたいなというふうに思っております。
一点、補足というか蛇足になってしまうかもしれませんが、現在、司法修習生に対する給費制が廃止されて貸与制になっております。
この下において、司法修習に上がってくる人たちというのは、貸与制を受けまして、実務に出る段階で平均して六百万円以上の借金をしょって出てきます。
こういう状態でまともに業務ができるというふうに余り思えませんので、やはり奨学金というのは学生を、有為な人材を社会に送り出すための制度でございますから、その点を是非御理解いただきまして、独立行政法人の運営に当たっても御配慮いただきたいなというふうに思っております。
以上です。
○山本太郎君 終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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