国会活動
2014.6.12内閣委員会「放射性物質拡散シミュレーションについて、規制庁は兵庫県の1/20の放出量で試算!」
2014年06月13日
- カテゴリ
- 原子力委員会設置法, SPEEDI, 放射性物質拡散シミュレーション, 被ばく問題
審議法案:原子力委員会設置法の一部を改正する法律案
2014.6.12配布資料①4/25東京新聞「兵庫県放射性物質拡散シミュレーション」
2014.6.12配布資料②4/24兵庫県試算「放射性物質拡散シミュレーション」
2014.6.12配布資料③5/28原子力規制庁の放射性物質拡散シミュレーション「兵庫県の1/20で試算」
○山本太郎君 政党要件を満たすまであと少し、あと四人でございます、新党ひとりひとりの山本太郎です。
よろしくお願いします。
原子力委員会設置法の一部改正案なんですけれども、私は、原発過酷事故の防災計画、避難計画の基になる放射性物質拡散シミュレーションについて質問したいと思います。
本日は、原子力委員長にわざわざお越しいただいておりますので、規制庁の答弁、手短にお願いいたします。
まず、お聞きしたいんですけれども、何のために放射性物質の拡散シミュレーションをするんですかと聞かれた場合、その答えなんですけれども、この国に生きる人々の生命、健康、財産を守るために、万が一過酷事故が起こったことを想定し、最悪の事態でも対処できるようにするため、シミュレーションをするということでよろしいでしょうか。
○政府参考人(黒木慶英君) そのとおりでございます。
○山本太郎君 私、山本太郎の選挙区は東京なんですけれども、出身は兵庫県なんです。
本委員会の水岡委員長、そして鴻池祥肇委員の地元でもある兵庫県、このように多様な人材の宝庫でもあり、阪神大震災以降、防災について常に危機意識を持った兵庫県から発信された情報を基に進めていきたいと思います。
まず、配付資料の一、御覧ください。
今年四月二十五日の東京新聞朝刊の記事なんですけれども、兵庫県が、福井県にある原子力発電所で東京電力福島第一原発と同規模の事故が起きた場合、放射性物質の拡散予測を兵庫県独自に行って公表したという記事です。
この公表された結果が配付資料の二になります。
配付資料二の、兵庫県の発表によりますと、大飯原発から百二キロ離れた神戸市でも甲状腺被曝線量が約七十五ミリシーベルト、兵庫県全市町の七五%が五十ミリシーベルトを超えるということなんです。
あの国際原子力機関、IAEAでさえも五十ミリシーベルトでは安定ヨウ素剤を予防服用する基準となっている数値です。
兵庫県としては、原発から約三十キロ圏内の緊急防護措置区域、UPZの外でも放射性プルーム、放射能雲ですよね、放射性プルーム通過時の被曝を避けるための防護措置を実施する地域、PPAの対策早期導入を中心とする原子力防災対策への申入れを関西広域連合を通じて行ったということですけれども、国はこの申入れにどう対処したのか、原子力規制庁、簡潔に御説明ください。
○政府参考人(黒木慶英君) 原子力規制委員会が出されました原子力災害対策指針におきまして、プルーム通過時の防護措置を実施する地域の具体的な範囲であるとか、あるいは防護措置の実施の判断の考え方につきまして、今後、原子力規制委員会において国際的議論の経過を踏まえつつ検討し、指針に記載をすることといたしております。
プルームにつきましては、空間放射線量率の測定だけでは、通過時の防護措置の実施を判断することは困難であります。
したがいまして、原子力施設の状況に応じた防護措置の実施の判断の考え方などについて、現在検討を行っているところでございます。
いずれにしましても、できる限り早く原子力規制委員会で検討いたし、指針に記載できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上であります。
○山本太郎君 できるだけ早くということなんですけれども、この放射性プルーム通過時の防護措置、PPA対策、できていないということを今お話しされていましたけれども、大体でいいんですけれども、いつまでにできますかね、これ。
○政府参考人(黒木慶英君) 今、先ほど申し上げましたとおりでございまして、国際的な議論の経過を踏まえつつ、技術的な検討を行っているというところでございます。
その結果を基に原子力規制委員会で検討を行うことになりますけれども、時期については現時点ではお示しすることはできません。
先ほど申し述べましたように、できる限り早く原子力規制委員会で検討し、指針に記載できるよう取り組んでまいる所存でございます。
以上であります。
○山本太郎君 国際的議論とかという話なんですけれども、近々そのことについて話す機会というのは予定されていますか。
あれば、いつ頃か教えていただければ助かります。
○政府参考人(黒木慶英君) 国際的議論につきましては、IAEAの方で、このPPAという概念自体じゃありませんけれども、様々な検討を行っておりますので、そういう検討の中で何らかの知見を得ながら検討していきたいということでございます。
○山本太郎君 東電福島第一原発事故、事故地点から約六十キロぐらい離れた福島県の中通りですよね、福島市、二本松市、郡山市などに、事故後の三月十五日午後に放射性プルームが通過したと思うんですけれども、原子力規制庁、これは事実でしょうか。
○政府参考人(黒木慶英君) 福島市に関しましてはデータが残っておりますが、二本松市に関しましてはデータ、測定は行われておりませんけれども、福島市に関しましてはプルームの通過であろうと思っております。
以上であります。
○山本太郎君 中通り方面に放射性プルームが通過したというのは、もう当然の話なんですよね。
事故後に理化学研究所と高エネルギー加速器研究機構というのが合同チームで調査をしているんですよね。
三月十五日の十五時頃、郡山の東インターチェンジでキセノン133を含む放射性プルームを観測したという調査報告もされています。
当然です。
二〇一一年の三月十二日、一号機爆発しましたよね。
十四日の三号機、大爆発しましたよね。
十五日の二号機も爆発しました。
当時、東京に放射性プルームが来たというのはいつ頃だったかというのは御存じですか。
ごめんなさい、これ通告にないですけど。
○政府参考人(黒木慶英君) その点に関しては今データは持っておりません。
○山本太郎君 いついつに来たというのはなかなか通告していなかったので難しいと思いますけれども、東京にももちろん放射性プルームは来ていますよね。
○政府参考人(黒木慶英君) プルームと言うかどうかは別ですけれども、放射性物質の拡散のために、周辺の都道府県におきまして一時的に放射性物質、放射線の量が増えたといった事実はございます。
○山本太郎君 東京には来たんですか。
周辺の都道府県、まあ都道府県と言われているから東京は含むんでしょうけれども、もちろん東京にも来ているはずなんですよ。
じゃなかったら、ホットスポットというものが東葛地域にはできていないですからね、東京も当然汚染されているという事実は当たり前のことだったと思います。
これ、東電福島原発事故の教訓という意味での話を続いてしたいと思うんですけれども、福島市、二本松市、郡山市など、先ほど、プルームが通過した、福島市しか私は知らないというようなこと、データではないんだというようなことをおっしゃっていましたけれども、この放射性プルーム通過時の防護措置、PPAとして、当時、屋内退避指示や安定ヨウ素剤の予防服用などを指示すべきだったと思うんですけれども、規制庁、いかがでしょうか。
○政府参考人(黒木慶英君) 大変難しい質問でございます。
一般的に、プルーム通過時の防護措置につきましては、屋内退避の実施が基本になると考えます。
ただ、具体的に福島市、二本松市のそのときの状況を前提に質問ということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、まさにその点について検討中でございますので、その点について規制委員会として、あるいは規制庁としてこの場で答弁をすることは控えたいと思います。
○山本太郎君 検討しているうちは、じゃ、再稼働なんてとんでもない話ですね。
はい、分かりました。
ありがとうございます。
実は、原子力規制委員会は、先ほどの兵庫県の申入れに応えるどころか、兵庫県の拡散予測を否定するような試算結果、わざわざ五月二十八日に発表しましたよね。
それが配付資料の三になります。
この兵庫県のシミュレーションというのは間違っているんでしょうか。
○政府参考人(黒木慶英君) シミュレーションというのは、様々な条件の下にそれぞれの計算コードに基づいて行います。
それはある目的を持って計算するわけです。
我々がやったシミュレーションと兵庫県がやったシミュレーションとが全く違う目的かもしれません。
計算条件が全く違います。
そういった中で、その両方を比べて矛盾するから片方が片方を否定すると、そういう関係ではありません。
シミュレーションに関しましては、条件それから計算コード、何のためにやるかを含めて、結果においては相当異なるものであるということは周知のことだと思います。
以上です。
○山本太郎君 ありがとうございます。
黒木さん、おっしゃったとおりなんですよね。
前提条件が違うんだよということですよね、規制庁がやったものとそして兵庫県がやったものと。
規制庁の試算と兵庫県のシミュレーション、前提条件がいろいろ違っています。
一番違っているのが何なのか、放出される放射性物質の量でございます。
規制庁の試算、配付資料三の一ページから二ページに書いてあるように、セシウム137が五時間で百テラベクレル放出されたと仮定しています。
一方、兵庫県のシミュレーションは、配付資料二の五ページの上段に書いてあります、セシウム137は一時間当たり四百テラベクレル、五時間換算なら二千テラベクレル。
規制庁の百テラベクレルと兵庫県の二千テラベクレル、要するに規制庁の方が放出量、二十分の一少なく計算していますよね。
規制庁の計算では、セシウム137は百テラベクレルですけれども、セシウム134、ヨウ素131の想定放出量、これ何ベクレルになりますか。
○政府参考人(竹内大二君) 本年五月二十八日に公表しました試算におきましては、セシウム134については約百六十テラベクレル、ヨウ素131については約八百テラベクレル放出されるとの仮定で計算しております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
配付資料三の一ページ目の中段、新規制基準で強化されたので、同様の事故だと百テラベクレル以下になるというふうに書いてあるんですね。
これ、ちょっと見たときに僕びっくりしたんです。
これ、新たなる安全神話、規制庁自らつくり出すつもりかと思ったんですけれども、その下にまたもう一つ書いてあったんですね。
なお、本試算はこれ以上の規模の事故が起こらないことを意味しているものではないというふうに書いてあったんです。
ああ、非常に楽観的な想定で半端なシミュレーションをしたのかなというふうに思ってしまったんですけれども。
私、規制庁のこの想定、話にならないと思うんですよ。
危機管理の基本原則って何ですかと考えたときに、やっぱりプリペア・フォー・ザ・ワーストだと、最悪の事態に備えるということが当然のことだと思うんです、基本だと思うんです。
少なくとも、東電福島原発と同量の放射性物質が放出されたということを前提に試算すべきだと思うんです。
そのためのシミュレーションじゃないかと思うんです。
兵庫県の考え方の方が危機管理として正しいんじゃないかなと思うんですけれども、東電福島原発の放出量、事故後放出されたもので試算しないのは何か不都合でもあるのかなと疑っちゃうんですけれども、この兵庫県のシミュレーションを踏まえて、最悪の場合五十ミリシーベルトの甲状腺被曝線量が試算される地域のPPA対策の早期検討と原子力災害対策指針への反映、対策の具体化を求める兵庫県の申入れに早急に対応することを約束していただきたいんですよ。
規制庁、対応する、対応しない、二択でお答えいただけたりしますか。
○政府参考人(黒木慶英君) 残念ながら、二択ではお答えできません。
まず第一に、福島に関して並みの試算をしていないというのは、それは事実ではございません。
福島並みのシミュレーションは既に行われております。
ですから、その点については御理解ください。
二択については、当然のことながら、先ほども、今まで答弁しましたように、今誠実に検討しております。
当然、兵庫県の方も私のところに来ていろいろお話ししていますので、そういった中でのやり取りでございますので、それについて約束する、約束しないという話ではなくて、まさに我々やらなきゃいけない話であります。
以上です。
○山本太郎君 非常に力強いお答えをいただきました。
二択じゃなくて、私たちがやらなきゃいけないことだというお答えをいただいたということでよろしいですか。
ありがとうございます。
最後に、原子力委員長にお伺いいたします。
このおおむね五十キロというふうにされていますPPAなんですけれども、これ、おおむね五十キロ、まあ五十キロ以上もあるんでしょうけれども、基本は五十キロ、そこから出ることはあるだろうけれども、でも、この放射能プルームというのは、先ほどのずっとこの話の流れからもありましたとおり、五十キロではなく六十キロでもなく七十キロで止まったりとかするものじゃないですよね。
東京まで二百五十キロ来たという話もあるわけですし、どれぐらいの広さまで行くか分からないという部分があると思うんですよね。
もっと広い範囲でのPPA対策ができて、各道府県の地域防災計画が改定される、それまで原発再稼働とかできるはずもないと思うんですけれども、委員長の御見解いかがですか。
○政府参考人(岡芳明君) 原子力発電所の再稼働の是非につきましては、原子力規制委員会の専門的な判断に法律的には委ねられております。
それから、防護措置の要否についても、原子力規制委員会において判断していただけるものと理解しております。
原子力委員会としては、その要否とか内容の妥当性について直接申し上げる立場にはございませんので、御理解いただきたいと思います。
○山本太郎君 何といいますか、じゃ、この今話していますこの原子力規制委員会と、そして、もう一つ組織が存在する理由が出てくるのかなとかというふうに思っちゃうんですよね。
ブレーキになるというか、正しいことは正しい、これはこうするべきだ、どうして、住民の命を守るため、健康を守るため、生命を守るため、財産を守るためというところに一役買ってくれるというような組織なのであれば絶対に存在するべきだというふうな気持ちになれるんですけれども、なかなかそう思えないというところが何か残念です。
過酷事故が起こっても、国も電力会社も電機メーカーも責任取らないということはもう明らかなんですよ。
何でそれが明らかだと言えるかといったら、だって東電には強制捜査も入っていないし、東電の首脳陣は逮捕もされていないんですよ、これだけの事故を巻き起こして。
十三万人以上の人たちがふるさとに帰れないような状況で、そんなような状況で本気で再稼働したいというのなら、最低限、住民が自力でも逃げ出せるぐらいの最低限の誠意を見せていただきたいと、心からそう思います。
終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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