国会活動
2015.4.15 国の統治機構に関する調査会参考人質疑
2015年04月15日
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☆国の役割と地方の役割
参考人
広島県知事 湯崎英彦氏
東京大学名誉教授 神野直彦氏
京都大学大学院邦楽研究科教授 秋月謙吾氏
○会長(山崎力君) 続きまして、山本太郎君。
○山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたちの共同代表、山本太郎と申します。
参考人の先生方、貴重な御意見ありがとうございます。今日、先生方のお話を恐らくインターネットを通じて若い方々も見ていらっしゃることと思います。引き続き、山本太郎でも中学生でも分かるように教えていただけると助かります。よろしくお願いいたします。
持続可能な社会をつくるためにでも、現在の日本の最重要課題として格差の是正と少子化対策があると思います。格差の是正と少子化対策は、若者の所得を増やす、若者のための家賃の安い住宅を確保することにおいて連動しているとも思っております。
そこで、先生方お一人お一人に格差の是正と少子化対策についての国の役割、地方の役割について御意見を伺いたいと思います。湯崎知事からお願いできますか。お願いします。
○参考人(湯崎英彦君) まず、少子化について言えば、これ事実上かなり地方自治体が大きな役割を担っているというふうに思います。
よく言われるのが経済面それから出会う機会がないとか、幾つかその要因が挙げられていますけれども、経済的な格差という部分についてはこれはなかなか難しいところもありますが、その他の、例えば保育の提供であるとか、あるいは女性が働きやすい職場を実際につくっていくとか、そのために企業に働きかけていくとか、あるいは男性の働き方を変えていくことによって男性も例えば保育に関わっていくとか、そういう事実上の人の行動を変化させることによって少子化対策を進めるという点においては、やはり地方自治体が担う役割というのは大きいです。というのは、やっぱり身近にあるので、例えば我々は経営者と直接話せますけれども、国はもう直接経営者と話すということは無理なんですよね。そういう意味で非常に大きいと思っております。
格差是正というのは、先ほどの少子化に経済が与える影響が大きいという部分とも共通するんですが、これはどういうふうに解消していくかということによってやはりその自治体特有の役割というのは変わってくると思うんですが、この辺はなかなか微妙なところもありますけれども、まさにサービスの提供を通じてこの格差を縮小していくという観点からいうと、やはり自治体の果たすべき役割は大きいんじゃないかなというふうに思います。
現金給付ということになると、これはなかなか現時点での自治体には難しいというか無理であります。ただ、先ほどからの議論のように、様々なサービス、特に私も教育というのは感じますけれども、を通じて是正をしていくということであれば、これは我々の役割が大きいんじゃないかなというふうに感じます。
○山本太郎君 順番にお聞きしてもよろしいでしょうか。
○会長(山崎力君) だから、一番最初に指定されたから、次の方も指定していただかないと。
○山本太郎君 済みません、失礼いたしました。
それでは、神野先生、よろしくお願いします。
○参考人(神野直彦君) 格差是正については、国の役割は、私の考えでは現金給付によって所得再分配をするということだと思いますが、これにも限界があるということはお話をしたとおりでございます。それと、地方自治体が提供するサービス給付といいますか現物給付とで、セットで国民の生活を守るということが、結局格差是正になるのではないかと思っています。高齢者の生活であれば、年金だけではなく地方自治体が提供する高齢者福祉サービス、それから、子供たちの生活であれば、児童手当だけではなく保育を始めとする様々なサービスで子供たちの生活を支えていくという体制が結局格差の是正につながるのではないかというふうに思っております。
少子化対策も、産めよ増やせよ国のためというようなことではなく、これ結果だと思うんですね。子供たちを地域社会の中で安心して産み、育て、そして成長していくことができるような社会をつくっていく。それは、先ほど申し上げましたように、中央政府が責任を果たすべき現金給付と、それから自治体のサービス給付で保障していくということが重要だというふうに思っています。
○参考人(秋月謙吾君) 先ほどの行田議員の御質問の中にお答えしたように、格差是正、比較論についてはある程度お答えしたと思います。すなわち、福祉あるいは所得再配分の機能というものについては、これまでも一定の地方自治体の役割は果たされているわけですけれども、今後、より大きな役割及び決定権というのを与えていくべきだろうというふうに考えているわけです。
少子化対策について申しますと、私、実は、余り偉そうに発言することができませんで、妻も国立大学法人の教員をやっていて、子供がおりません。そういう意味では、何というか、日本の今の課題を自分から具現化しているような人間でございますので、余り偉そうなことはちょっと言えないんですけれども、ただ、申し上げられることは、例えば女性の働く職場における権利、場合によってはハラスメントに対する問題、様々な法整備に関してはやはり国の役割だろうと。なぜならば、それは、沖縄で働いている女性であろうと北海道の女性であろうと同じはずである、同じであるべきだからです。
ところが、例えば保育所の整備の問題についていきますと、例えば地方の中規模都市なんかで衣食住がほとんど一致しているところと、それから、例えば関西であれば、大阪圏のように奈良県の生駒市であるとか京都の宇治市から大阪に働きに来ているというような場合だと、保育所の在り方とか運営の仕方、設置の場所、そして地方自治体の補助の仕方というのは当然変わってくるわけですね。そのような形の領域においては、まさに地方自治体に思い切って自由にやらせるべきだというふうに、役割分担としては私は考えております。
以上でございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
今、世界中の動きとかを見ていたりしても、若者に対する住宅政策というものを推し進めることによって出生率というものが上がってきているということが、ヨーロッパからもはっきりと分かっていることだと思うんですね。
例えば、スペインとかイタリアだとか、実家から出づらいというか、実家で生活をずっと続けたりとか、そのような住宅手当を、受給率が低いような国はやはり出生率が低くなり、それ以外にも、スウェーデン、イギリス、フランスのように、若者に対して住宅手当であったりそのほかの手当てを手厚くしている国はやはり出生率をどんどん上げていっているという現実があると思うんですね。
湯崎先生にお聞きしたいんですけれども、広島県内での若者に対して住宅政策というものが出生率というものにつながっていく可能性、そこにはやはり国の手助けといいますか、ヘルプが必要だというふうにお感じになりますか。
○参考人(湯崎英彦君) 住宅が少子化に影響を与えているというのは、これは我々も因果関係があるんじゃないかなというふうに思っていまして、特に、広島市と福山市、広島市は百二十万で福山市は五十万の都市ですけれども、広島市が一・〇幾つぐらいの出生率に対して、福山市は一・七ぐらいあるんですね。これは様々な理由が影響していますが、その一つに住宅の広さみたいなのもあるんではないかと思っていまして、広島市と福山市では圧倒的に福山市の方が平均的な住宅の大きさが大きいということがあります。その他にももちろんあって、雇用の構造の問題であるとか、あるいは福山市は域内で結婚している率が高いとか、そんないろんなことがあるんですけれども、そういうものも要因の大きな一つにあるんではないかというふうに我々は推測はしております。
そういう意味では、若者に対して住宅の手当てをするということがいいのかということは別に置いておいて、子育て世代がしっかりと一定の広さの住宅を一定のやはり価格で保有できると、それは実際に福山では起きていることなので、それを行政として手当てという形で実現することがいいのかどうかというのは別として、そういう因果関係はあるんじゃないかなというふうには受け止めていまして、そういう意味での住宅環境の改善、これは様々な手法があると思っていますが、例えば我々、子育て住宅の認定制度みたいなのもやっています。そういったことを通じて良好な住宅を提供していきたいというふうには考えています。
○山本太郎君 ありがとうございます。
秋月先生の資料に、地方の自決権ということが書かれていました。先ほど、過剰な単純化という問題についてもお触れになったんですけれども、あえてまたお聞きしたいと思います。
現在、沖縄県においては、辺野古基地建設について、政府と沖縄県、皆さん御存じのとおり、激しく対立していると思います。私は、普天間基地がなくても米軍の抑止力に大きな違いはなく、政府は当然、沖縄県民、名護市民の民意を尊重して、辺野古基地建設を断念すべきだと考えます。過去の選挙において何度にもわたり、やはり基地は必要ないという民意が示されたという意味でです。
国と地方の関係において、先生方の御意見はいかがでしょうか。
○会長(山崎力君) 秋月参考人でよろしいですか。
○山本太郎君 はい、ありがとうございます。順番に。
○参考人(秋月謙吾君) 率直に申し上げて、私、安全保障問題を含めて、普天間、辺野古、その他県外移設を含めたものが具体的な日本の安全保障に関してどのようなインパクトがあるのか、山本議員は、それはほとんどないだろうという御意見でございまするけれども、それについて判断するような能力というのは持っていないということを前提にお話をしたいと思うんですけれども、やはり、先ほど申しましたように、基地というのは、安全保障、外交における重要な基軸であると同時に、社会的な実体を持った、地域社会に物すごく大きなインパクトを与えるものであります。これは、別に米軍基地だけに限った問題ではないと思うんですね。
例えば、私、最初に研究をし始めたときに、関西国際空港をめぐる国、府県、市町村の関係というものを研究題材にしたことがあるんですけれども、そのときも、国、当時の運輸省は、国際空港というのは、彼らの論理からいうとバス停と一緒なんですね。要するに、複数の交通メディア、すなわち電車やバスや車で関空に行く、それから飛行機に乗り換える、その結節点だという、そういう論理だけです。
ところが、大阪府は、いやいや、そうじゃないよと。やっぱり、関西圏において、地域経済というものどういうふうにインパクトがあるのかというときに、神戸なのか、播磨なのか、それとも泉州なのか。最初は反対していたんですけど、だんだんやっぱりうちだよねという、そういうふうに変わっていく。それは、やっぱり地域経済の発展というものの一ピースとして考えているんですね。昔はやったシムシティというゲームがありましたけど、あの中で空港のアイテムって一番高いんですけれども、あれ、やっぱり一番大事なアイテムなわけなんですよ。そういう、彼らは、大阪府はそういうふうに見ている。
市町村、地元市町村は、やはり、結構面白かったんですけれども、最初は、やっぱり成田がございましたので、成田の、その何というんでしょうね、治安問題、まあはっきり言うと過激派が入ってきたら嫌だねとか、困るよねというふうな意見から、雇用の問題、地元の人がホテルや空港職員に何人雇ってもらえるのみたいな、そういう発想、もっと身近な発想で対処をする。これ、全部必要なパースペクティブなわけなんですけれども、結局のところ、私は、これも繰り返しになりますけど、時間は掛かりました、時間は掛かりましたけど、三者がやっぱり角突き合わせながら、三層のレベルの政府レベルがやはり協議しながらやってきたということになると思います。
沖縄の場合はそう簡単ではないかもしれません。特に、沖縄の住民の方や自治体の方の国に対する不信感というものがかなり強いということは私のような門外漢でも分かります。ただ、やはりそれを乗り越えて何とかその問題を解決していくと。時間が掛かっても仕方がないと。ただ、具体的に普天間の問題というのはやはり基地の直接の様々な危険性というものが現在あるので、そんなのんびりした話はするなというふうにお叱りを受けるかもしれませんけれども、できるだけ早く、できるだけ濃密な交渉をしながらこの問題は解決していくしかないんだろうと。やや平凡なお答えで申し訳ないですが、私の考えは以上でございます。ありがとうございました。
○会長(山崎力君) 時間の関係ですが、神野、湯崎両参考人から今の点でコメントございますか。──よろしいですか。
○山本太郎君 お気遣いありがとうございます。終わります。
ありがとうございます。終わります。ありがとうございます。
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