国会活動
2015.5.20国の統治機構に関する調査会「国と地方の役割について」会派としての意見表明
2015年05月21日
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○山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎です。
国と地方の関係について、私たちは、真の地方分権を実現するためには、根本的に国と地方の役割分担を明確にして、それを基本法として制定することが必要であると考えております。国の事務としては、外交、防衛、司法、危機管理、治安の維持、財政、通貨、それから義務教育、基礎的な社会保障、基幹的な社会資本整備、地球環境などの本当に国の根幹に関わる事務は国の事務とし、それ以外は地方自治とすることが重要だと思います。
それを踏まえて、私は本調査会で、持続可能な社会をつくるためにも、現在の日本の最重要課題として格差の是正と少子化対策について、国の役割、地方の役割を参考人の先生方に質問いたしました。
参考人の東京大学名誉教授の神野直彦先生は、格差の是正については、国の役割は現金給付によって所得再分配をすることである、それと、地方自治体が提供するサービス給付、現物給付とでセットで国民の生活を守るということが格差是正になるとお答えになりました。高齢者の生活であれば、年金だけではなく地方自治体が提供する高齢者福祉サービス、それから、子供たちの生活であれば、児童手当だけではなく保育を始めとする様々なサービスで子供たちの生活を支えていくという体制が格差の是正につながるということです。
少子化対策も、子供たちを地域社会の中で安心して産み、育て、そして成長していくことができるような社会をつくっていく、それは中央政府が責任を果たすべき現金給付と自治体のサービス給付で保障していくことが重要だということでした。
私の方からは、若者に対する住宅政策というものを推し進めることによって出生率が上がってきていることがヨーロッパの例からも分かるということを申し上げました。例えば、スペインとかイタリアとか、実家から出づらいといいますか、実家で生活を続けたりとか、そのような住宅手当の受給率が低いような国はやはり出生率が低くなると。それ以外にも、スウェーデン、イギリス、フランス、フィンランドのように、若者に対して住宅手当やそのほかの手当てを厚くしている国は出生率をどんどん上げていっているという現実があると。このような形で少子化対策を国家戦略の一つとして取り組んでいるという例を申し上げました。
参考人の神野先生の御意見について、同じく本調査会参考人の国立社会保障・人口問題研究所所長の森田朗先生は、国の現金給付と地方のサービスという神野先生のお考えには私自身も賛成でございますが、ただし、問題になりますのは、国も地方もそうですけど、それをどういう財源でもって手当てをするかということだと思います、それが非常に限られているというのが今日の問題ですとお答えになられました。
そこで、私は重ねて質問しました。
3月23日のこれは行政監視委員会の参考人質疑ですけれども、参考人の徳島県神山町の後藤正和町長さんに、2009年の政権交代のときの民主党のマニフェストの中にありました月2万6千円の子ども手当、そして月7万円の最低保障年金、そして農業を始め第一次産業の所得補償制度、中山間地域の直接支払制度、これらが充実すれば日本の中山間地域は子育てパラダイスになるのではないでしょうかと質問したところ、後藤町長さんは、おっしゃるとおりだと言われました。
このことをどう思われますかと質問したところ、国立社会保障・人口問題研究所の森田朗先生は、それ自体が可能ならば結構なことだと思いますけれども、基になる財源をどうするかというのが根本的な問題だと思います、そうしたお金の出入りが全部絵が見えたところで初めてそれが望ましいかどうかということが判断できるのではないかと思うとお答えになりました。財源があれば賛成だということだと思うんです。
私は、財源はある、つくることができると思います。例えば、月2万6千円の子ども手当を実現するためには、厚生労働省の試算によれば、あと三兆円の財源が必要です。月7万円の最低保障年金については、月5万円の全額税負担部分と月1万5千円の国民年金保険料の組合せ方式、これだと四十年間保険料を負担した人は月9万円、二十年間負担した人は月7万円、全く負担しなかった人は月5万円になるわけですけれども、この方式だと、これも厚生労働省の試算によれば、あと7.5兆円の財源が必要になるということです。子ども手当と合わせて合計10.5兆円です。
この財源ですが、当然のことですけれども、まず行財政の無駄をなくすことから始めなければならないと。今回の大阪都構想に対する大阪市の住民投票で明らかになったことは、地方にも行財政の無駄が多いと誰もが思っており、無駄をなくすことについてはほぼ全員の意見が一致しているということです。
国の一般会計と特別会計は重複を除いて約200兆円、地方の一般会計と公営事業会計は重複を除いて約100兆円、国と地方を合わせて約300兆円の予算の中の無駄を徹底的に省いて行財政改革を進めれば、10%分、30兆円ぐらいの財源をつくることはプライマリーバランスの黒字化分も含めて実現可能なのではないでしょうか。
もう一つの財源、税収の増加です。増税というよりは、減税のやり過ぎの是正です。
消費税が導入された今から二十五年前、その翌年ですね、1990年、日本のGDPは名目446.8兆円、実質424.2兆円でした。現在の日本は、2014年でGDP名目488兆円、実質527.2兆円です。しかし、1990年度の税収は、バブル期ということもありましたが、60.1兆円でした。2014年度の税収は51.7兆円。今年度の予算の税収概算は54.5兆円です。その中で、所得税収は16.4兆円、法人税収は11兆円を見込んでいます。しかし、二十五年前の1990年度に、所得税は26兆円、法人税は18.4兆円も税収がありました。現在と比べて、所得税で10兆円、法人税で7.4兆円、合計17.4兆円も税収が多かったわけです。
もちろん景気の動向もあるでしょうが、消費税導入以来、消費税増税分より多く所得税と法人税が減ってしまっているんです。減税のやり過ぎではないでしょうか。所得税と法人税を二十五年前の水準に戻すことで10兆円をはるかに超える財源はできると思います。
以上、国と地方を合わせて年間300兆円の予算の無駄を省く行財政改革と、所得税、法人税を二十五年前の水準に戻すことで格差是正と少子化対策の財源をつくることができ、財政再建を実現することもできるということを申し上げ、意見表明といたします。
ありがとうございました。
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