国会活動
○山本太郎君 生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎です。
マイナンバー法案に関してお聞きしたいと思います。
このマイナンバー制度、ちまたではかなり評判悪いですね。制度自体が悪いのか、それともその良さを知らずにイメージが悪いだけなのか。これ、よくあるのは、本当に必要なのという声なんですよね。じゃ、どうして必要なのか、何のために必要なのか、もっと大勢の人に理解してもらえるよう、山本太郎でも中学生でも理解できるように明確な答弁、期待しております。
この国に生きる人々に番号を付ける、この考えが始まったというのはいつ頃のことなんでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) 我が国におきます番号制度の検討につきましては、コンピューター処理に関する様々な標準化の一環といたしまして、行政管理庁、現総務省ほか関係十二省庁による各省庁統一コード研究連絡会を設け、省庁統一個人コードの研究を開始した1970年が最初ではないかと考えております。
○山本太郎君 1970年代から、随分古いときから話し合われていたと。
でも、現在のマイナンバー法案の元々のものを作ったのは民主党政権時代だったとお聞きしております。2011年6月に出された社会保障・税番号大綱によると、低所得者で資産も貧しい等、真に手を差し伸べるべき者に対して給付を充実させるなど、社会保障をよりきめ細やかに、かつ的確に行うことが重要であり、そのためにも受益、負担の公平性、透明性を高めようとするものであるという考えの下、民主党政権はマイナンバー制度、すなわち社会保障・税番号制度を導入したかったようです。
これだけ読むと、取れるところからは適正に税金いただきますと、弱い立場に置かれた人々への再分配行き届かせようじゃないかと、給付付き税額控除とか、現金給付とか、サービス給付とか、そういうものでということだったんだろうなと思うんですよね。これが現実にできるとするなら、悪くないじゃないですかと思うんです、私自身。
税金の大原則、もう皆さん重々御存じの応能負担ですものね。多く持つ者からはそれなりに納税していただきますと、社会を支えてくださいね、ないところからは取れませんからって話ですよね。しかし、現状はどうなんでしょうかと。大手企業には減税措置、資産家、金持ちは事実上、税金は軽減、税収が減った分、その穴埋めは消費税でというのが現実だと思うんです。
もし今回のマイナンバーが資産家の余剰資産や先々海外資産などもあぶり出し、諸外国とも連携して国際的な税逃れも許さないために必要なんだ、これから応能負担にのっとった課税システムに転換していくために必要なんだということならば、僕自身はその番号制度に賛成したいなとも思うんですよね。
金融機関に対して調査対象者の預金状況を照会する場合、調査対象者の住所、氏名に加えて、マイナンバーを用いて照会するんでしょうか。
○政府参考人(藤田博一君) お答えいたします。
預貯金番号に番号が付番されることになりますと、国税当局といたしましては、住所、氏名のほか、番号も利用して調査対象者の預貯金情報の照会を行うことになると存じます。
○山本太郎君 まず、そのためには銀行、貯蓄口座ですよね、銀行等の貯蓄口座とこのマイナンバー、これひも付ける必要ありますよね。
我が国に存在している銀行などの預貯金口座、これ幾つぐらいあるんでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
日本銀行の公表資料によれば、ゆうちょ銀行を除く国内銀行における2015年3月末の個人預金口座は約7億7670万口座とされているものと承知してございます。
なお、郵便貯金の口座数は、2007年の9月末現在で3億7775万口座というふうに承知してございます。
○山本太郎君 じゃ、それ足したぐらいの数、10億を超えるということですか。すごい数ですね、これ。なるほど。
じゃ、この預金者というのは、このマイナンバーの告知義務といいますか、というのは法律上で定められているんですか。ごめんなさい、これ聞いていなかったですけれども、元々は。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
今回の改正案におきましては、預金者に義務は掛かってございません。
○山本太郎君 ということは、この口座とマイナンバーがひも付けられない可能性もあるということですよね。じゃ、これ、ひも付けられなくっちゃちょっと余り意味がないんじゃないかなとも思うんですけれども。
逆に聞いた方がいいか。ひも付けられるものってどういったものがあるんですかね。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
全銀協と協議はしてございますけれども、例えば新規口座の申込書に住所、氏名とともにマイナンバーを書く欄を設けていただくとか、そういう意味では、それに対して拒否された場合に、それを書かないと口座を開けないというふうな強制ではないという意味で義務はないというふうなことでございます。
○山本太郎君 じゃ、それ、新規の口座という意味でもそれは義務はない。
○政府参考人(向井治紀君) 今回お出ししている改正法案では義務にはなってございません。
○山本太郎君 これ、じゃ、銀行口座がひも付かないって、意味あるのかなと思うんですよね。税金というか、資産の状況を把握するという意味でのマイナンバーは銀行口座とひも付けられなくてもいいと。しかも、新規という部分に関しても強制ではないということが今確認されましたけど、これ、どうしてこれ、既存の10億を超えるような口座がこの国に存在しているのにひも付けようとしないんですかね。付番しないんですか、これ。口座にも付番しようとしないのか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
将来的には全ての口座に付番することを目指していることは事実でございます。ただ、その手段といたしまして、どういうふうなやり方がいいのかというのがあろうかと思います。特に、新規のやつは比較的義務化しやすいかもしれませんが、既存のやつというのはなかなか義務化というわけにはいかないし、場合によっては銀行にはもうほとんど立ち寄られない、もうATMだけでやられる、場合によってはもうほとんど取引のないというのも多数ございます。
そういうものを徐々に付番していくためにどういうやり方があるのかというのを検討した結果、取りあえず、第一段階といたしまして、預金保険機構でマイナンバーを使えることといたしました上で、義務ではありませんが、できるだけ預貯金にマイナンバーを付けていただけるような措置をとったところでございます。
これを、三年後の見直しにおきましてはある程度義務化するのか、あるいはメリットを付けるのか、そういうふうなことも今後検討していく必要があろうかと思っております。
○山本太郎君 これ、預金者から金融機関に対して告知、私のマイナンバーこれですと言う人ってどれぐらいいると思われますか。何か告知率みたいなものが分かれば。
○政府参考人(向井治紀君) 具体的な率というのを想定しているわけではございません。それこそ、できるだけそういうふうなのを御協力いただけるように広報するとともに、このメリットというのもございまして、一つは預金保険のひも付けが簡単になるということもございますが、災害時にマイナンバーだけで引き出せるというメリットもございます。そういうふうなことも含めて、なおかつマイナンバーがひも付いたものにつきましては、今後更にIT化が進みますと、例えば死亡時に相続人等に通知ができるようなことも将来的には考えられるのかなと。そうすると、今よく問題になっております休眠口座のうちのかなりの部分を占めると思われます要するに相続漏れでございますね、相続漏れなんかも今後防げるようになっていくのではないかと。そういうソリューションといたしまして、マイナンバーというのは有用性が十分にあるのではないかというふうに考えております。
○山本太郎君 これ、何かもういきなりスタートから何かよく見えないというか、やってみなきゃ分からないんだ、手探り感がもう満載なんですけれども、それで効果が見込めると言えるんですかね。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
先ほど申しましたように、やっぱり全ての口座にひもを付けるというのをいきなりやるというのはやはり無理があると思っております。そういう意味で、マイナンバーがある程度定着した段階で徐々に、何といいますか、メリットを付けつつ、最終的に本当に強制的にやろうというのであるならば、例えばATMでマイナンバーがないやつは使えないみたいな話になってしまいますので、なかなかそこまでは行けないということもございます。
そういうようないろんな手段を考えた上で、やはり今回は、第一歩といたしまして、任意の付番という形を取らせていただいたというふうなものでございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
財務省作成の資料には、付番開始三年後を目途に、預金口座に対する付番状況等を踏まえて、必要と認められるときは、預金口座への付番促進のための所要の措置を講じる旨の見直し規定を法案の附則に規定する方向で検討とされています。これが現在の法案の附則第十二条第四項になっていくわけだと思うんですけれども、この付番促進のための所要の措置って、これ一体何なんですか。
○政府参考人(向井治紀君) 付番促進のために考えられるというのは、一種の法律上の義務化みたいな話、それから、先ほど私がちょっと申し上げました付番のない口座についてはATMで使えないというふうなある意味極端な措置もあれば、一方で、例えばでございますけれども、付番のある口座については何らかの形で負担が少なくなるとか、そういうようなことも考えられると思います。
これらのメリットと、それからある意味では義務的な措置をどのように組み合わせていくのがいいのかというのは、施行状況を見ながら、銀行等あるいは国民の方々の意見を聞きながら進めていく必要があると思っております。
○山本太郎君 これ、でも、最初からこれ付番強制すると結構反発あるからやりにくいな、これ、マイナンバー通されへんかもしれぬなというのがちらちらと見え隠れすると思うんですよ。後々三年後の見直しがあるということですもんね。
やってみて、ちょっとなかなか入らなかったら、これは強制になるおそれがあるんじゃないかなと思うんですよ。だって強制にしなきゃ意味ないですもんね、これ、みんなに入ってもらわなきゃ、このマイナンバーをやる意味ってないですもんね。そうでもない、どうなんだろうなと。これってちょっとだまし討ちというか、ちょっと詐欺的商法みたいな感じに何か思えるなという、三年後、何かそのときそのときに見直そうよとは言っているけれども、三年後やるのは恐らく強制だろうという話ですよね。非常に恐ろしいなと思うんです。
富裕層、超富裕層と呼ばれる方々は、資産を海外に移転させるなど様々な抜け道を使って合法的に税金逃れしている、これよく聞きますよね。今回のマイナンバーは日本人が持つ海外の資産も管理できたりするんでしょうか。
○政府参考人(藤田博一君) お答えいたします。
海外に保有する資産でございますけれども、納税者本人から国外財産の保有について申告を求める仕組みとして国外財産調書制度が導入されておりまして、26年1月から施行されております。番号が導入されますと、当該調書に番号が記載されるということになります。
そのほか、国税庁としましては、国外財産調書のほか、同じく番号が記載されることとなる国外送金等調書を活用するとともに、租税条約等に基づく情報交換を海外当局と積極的に実施するなど、あらゆる機会を通じて有効な資料情報の収集に努め、今後とも国外財産に係る課税の一層の適正化に努めてまいりたいと存じます。
○山本太郎君 これ、貯蓄口座とか既存口座へのひも付け、これ難しいんだよって。海外へ税逃れされた資産にも、これひも付けられないんだよって。資産状況を正しく把握して正当な税負担をお願いするという意味では、現在、マイナンバー、実現することは難しいんですね。そういうことがはっきりしたと思います。逆にしっかりとひも付けされるのは、資産の少ない者、収入の少ない者になっていくんじゃないかなと思うんです。
ひょっとしたらこれ、低収入世帯に対して、民主党時代の大綱にもあった給付付き税額控除、これやってくれるんじゃないですか。実施するためでしょうか。
○国務大臣(山口俊一君) これは、今御審議をいただいておりますこの改正法案、これにつきましては、いわゆる給付付き税額控除、この導入を念頭に置いた改正ではありません。
それと、先ほど若干先生の方からお話がありましたが、三年後の見直しに向けて、やはり基本は任意に入って、付番、いわゆる銀行ですね、ひも付けをしていただく。同時に、やはり義務付けというんではなくして、どういうふうな形でインセンティブを働かせていくのか、これをしっかりやっていく必要があるんだろうと思うんですね。
御指摘のように、やはり最初から義務付けですよというのは、これは過去の様々な、グリーンカード等いろんな例を見ても非常に難しい。徐々にやることによって、ああ、あの人はひも付けして便利になったなということをいろんな国民の皆さん方に見ていただいて、ああ、やっぱりいいものだなと思う中で導入をしていくというのが私は正しい姿なんだろうと思っておりますので、そういったことでしっかり誤解を招かないような形で進めてまいりたいと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
住基カードの普及率5.5%でしたっけ、なかなか周りに持っている人、ほとんどいない状況ですよね。だから、このマイナンバーのカードを持って、こんないろんなサービスを利用したという人の便利談というのもなかなか聞けない状況になる可能性もあるんですよね。
話戻ると、先ほどの答弁でお答えいただいたのは、給付付きの税額控除というものは考えられていないと。税優遇を受け続ける大企業やお金持ちから正当な納税をしていただくためでもなく、弱い立場の方々の生活の応援になる給付付き税額控除もやらない。だったら、マイナンバーをわざわざやる必要あるのかなと思うんですよね。メリットを感じることがいまいちできないというか、全く今のところできていない。
例えば、役所での手続が簡素化されますというような話。ああ、それは便利かもしれない。それで、どれぐらい縮まるんだろう。五分、十分。役場への提出書類減りますよ、少し。この時間を短縮させるためだけに何千億円もお金つぎ込まれるのはちょっと嫌だなと思うんですよね。もっと違うことに使わなきゃいけないこといっぱいあるのになって。
国民の何%ぐらいがこのことに対して望んでいるのか。これ直接何か声聞いたことありますか、何か。マイナンバーちょっとこういうふうにしてほしいって、マイナンバー待っているんだよみたいな話、何かありますか。あれば。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
民主党政権時代にマイナンバーを最初に検討し出した、その頃から関与しておりますが、そのときに全県、各県回りましてシンポジウムを開きました。そのシンポジウムは、主にそういうことを反対されている弁護士の方も必ず来ていただいて、かつ、説明とともに現場からの、その来ておられた方の質問を無制限で受けました。一番長い場合は、二時間半ぐらい延長したこともありました。
そういうふうな意見を踏まえた上で民主党政権でまとめたものを国会に出しまして、それで自公民三党の協議がおおよそ調って、政権が替わった後もそのスキームで今日まで来ているということでございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
できれば具体的な、何というんですかね、声を聞きたかったんですけれども、このマイナンバーの審議の中では、震災のときとかにというお話をよくお聞きしたと思うんですね。例えば自分の使っているお薬のことだったりとかというような意見がよく聞かれるんだというような話を聞いたと思うんですけれども、災害時って電気通じるんかという部分もあると思うんですよ。それだけじゃなくて、マイナンバーのカードさえ、危ない、地震だ、マイナンバーはどこだみたいな話にならないでしょう、と思うんですよ。じゃ、究極どうなるのって。先々、そうならないために体の中にチップ埋め込みましょうかみたいな話にならないですか、これ、というふうに、何かうがった物の見方をしちゃうというか、怖いなと思うんですよ。
十二桁の電話番号を覚えるのは大変ですよ、だって。電話番号じゃないわ、十二桁の番号を覚えるというのも。自分の電話番号を覚えるのだけでもぎりぎりなのにみたいな、そういう話だと思うんです。
まあ、結局、社会保障費削減のための資力調査に利用されるのが狙いの一つではないのかなとも思っちゃうわけです。不正対策という名の下の貧困層の更なる貧困化、これ招いてしまったら嫌だなと思うんですよね。より監視が強化されるのは貧困層と一般大衆に対してではないかな。今回の改正で、例えば扶養控除申告書などの税務申告書類にマイナンバーを振ることによってあぶり出されるのは、103万円をほんの少し超えて働いて扶養控除を受けられなくなる方々だったりとか。
社会保障の給付の資力調査に使用する際の情報提供方法についてお聞きしたいと思います。
預貯金口座に付番して社会保障の給付の資力調査に使うときの情報提供方法については、衆議院内閣委員会の審議ではほとんど触れられていないんですよね。確認していきたいと思います。
関係機関等への資力調査は、2013年の生活保護法改正によりお役所には回答義務が課せられ、本人同意なく照会可能です。情報提供ネットワークシステムで提供事務にも入っています。しかし、情報提供ネットワークシステムで調査可能なのは要保護者本人と過去に保護を受けていた人の受給期間分だけで、扶養義務者に対しては現時点では調査ができないと。現時点では金融機関等に回答は義務付けられておらず、同意書、同意書が不可欠です。
今回の法改正によって預貯金口座に付番しても、福祉事務所のパソコン画面で検索すればぱっと分かるわけじゃないんですよね。従来どおり郵送で照会することになる以上、事務負担は軽減されません。照会を受けた金融機関も、全ての口座に付番できない以上、マイナンバーで照会されても回答しようがないということなんですよね。
お聞きします。生活保護認定の際の預貯金の資力調査については、情報提供ネットワーク使うんですか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
情報提供ネットワークシステムにつきましては、行政機関間での法律に基づき別表に書いてございます事務につきまして情報を提供するものでございますので、お尋ねの社会保障の資力調査におきましてはこの情報提供ネットワークシステムを活用することはございません。
○山本太郎君 ありがとうございます。
今回の改正が成立しても、従来どおり、金融機関に対して資力調査を行う際には本人同意が必要であるという解釈でよろしいでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
生活保護法に基づきます資力調査に関しましては、保護開始時において要保護者から同意書を徴取しているものと承知しております。その取扱いにつきましては、マイナンバー法施行後も従来どおり行われるものと考えております。
○山本太郎君 本人同意が必要であるならば、全ての口座に付番できないんですから、検索するときには従来どおり個人番号以外の名前、性別、住所、年齢等で行うことになるんですよね。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
預金口座に番号がひも付いていない場合には、従来どおり金融機関は氏名、住所等で検索し、回答を行うことになると考えられます。
○山本太郎君 結局、効率化されていないと。マイナンバーの意味あるのかなというのが重なっていきます。
預貯金情報や医療情報はプライバシー情報、要配慮情報ですが、現行で既に情報連携されていることになっている母子、障害、介護、失業、生活保護等々の給付情報も、これ差別の原因になることがあるんですよね。これ要配慮情報じゃないかなというふうに思うんです。必要なところに必要な自己情報が正しく伝わると。いや、提供したくないところには提供されない、そういう本人同意の仕組みがなければ、意図しない自己情報の利用を恐れて利用できるサービスの申請もしないという、これ萎縮効果起こるんじゃないですか。
例えば、皆さん御存じのとおり、生活保護は、憲法25条、これに保障される生存権、これに基づく制度ですよね。国、自治体は、最低限度の生活の保障と自立を支援する義務があり、生活再建のためのツールとして活用することは国民の権利であると。
残念ながら、今の日本社会では、生活保護を受けている、受けたという情報は差別視され、就労、それだけじゃなく、アパートを借りるときにも、さらには人間関係など社会生活で不利になっている現実あるんですよね。保護を受けることは、もう行政の支配下に入って、社会に対しても意見さえできないような印象、これ世間的に持たれてしまっているんですよ。不正受給は全体の2%、つまり九八%は適正受給、この実態を無視した、受給者は怠け者、不正受給だらけと一部の政治家とマスコミが印象を刷り込んだことに原因、大きくあると思います。
衆議院の議論で、平井たくや委員、このようなことを言われているんです。現在191億円とも言われる生活保護の不正受給についても、マイナンバーを活用して不正受給を是正できるのではないかと考えますと、このように発言されている。預貯金口座の付番で減らせるのは、不正受給のうち、収入の申告を偽るなどの事例だけ。意図的、計画的に収入を隠蔽するための銀行に入金しなければ、銀行照会では分かりませんよね。マイナンバーで不正受給が是正されるかのような雰囲気を演出するのは、現実を見ない行き過ぎたアピールに感じます。至る所で保護受給情報が共有されると思えば、生活保護を受けること自体をちゅうちょしかねません。
差別などをなくしていくこと、これ、もちろん基本ですよね。でも、差別がある現実の中では、この本人同意、これ身を守る武器だと思うんですよ。本人同意の仕組み、多少、行政と住民、企業と消費者との力関係、改善していく、権利を守ることになるんじゃないかなと思うんです。このような立場にいらっしゃる方々の給付情報なども、要配慮情報と見るべきと考えます。大臣、どうか御配慮いただけないでしょうか。
○国務大臣(山口俊一君) 要配慮情報に関しては、これから更に詰めていくというふうなことにもなるわけですが、ただ、今御指摘のようなお話は、やはりあくまで本人同意の上、個人情報としては取り扱うというふうな話になりますので、ですから、そこら辺のいわゆる個人の権利とかあるいは利害を著しく害するという話にはなっていかないんだろうと。
同時に、生活保護にしても、これも果たして機微情報なのかというのも、これ両方御意見があるんだろうと思います。私の地元でも、もう堂々ともらっている人もありますし、いろいろなところを考えながら、やっぱりトータルとしてどうやって判断するかということになっていくんだろうなと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
堂々と受けていいものだと思います、僕は。次のステップに進むための準備期間、自分が先に進めなくなったときに行政とか国が手を差し伸べてくれないんだったら、税金払う必要ないですものね。堂々と受けるべきものだと思うんです、不正でなければ。
その不正と言われているのも2%、98%は適正。その2%の中にも、無理やり不正受給にされてしまっているようなケースもたくさん見受けられると。今日は時間がないですから、その先は話しません。これはもう本当に機微情報として、とにかく要配慮情報として、センシティブな情報として扱っていただきたいと、そう思います。
たとえ、それらが要配慮情報とされたとしても、情報が漏れてしまえば、これ意味ないですね。セキュリティーに関しては、もう皆さんいろいろな御議論があると思いますけれども、世界では実際に成り済ましの被害などが多く報告されていると。そこに安全を担保するためには、必ずしも一つだけ、一つの共通番号という考え方じゃなくて、例えば金融機関のみとか医療機関のみとか、そういうそれぞれの分野別に専用番号を振っていく方が安全性も高まるんじゃないかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
セキュリティーやプライバシーの観点からも、全ての個人情報を共通の番号で管理せず、分野別の番号により管理する方がよいとの考え方もあります。
やはり、マイナンバーの場合は、まず基となる番号が住基番号で、それとは別の番号を作っているということが一つございます。それから、マイナンバー制度で行政機関間で情報をやり取りするときの電子的な情報のやり取りにつきましては、マイナンバーを用いずに識別符号を機関別に振るなどのかなり注意深いセクトラル方式を取っているところでございます。一方で、見える番号につきましては、利便性も考え、マイナンバー一つで統一していると、そういうふうなやり方になってございます。
今後、更に他の行政分野等に拡大するに当たっては、マイナンバーがよいのか、他の番号の方がよいのか、あるいはそもそも見える番号は要らないのか等も含めて検討する必要があると思います。
○山本太郎君 もう既に番号は一つじゃないんだと、スタートのときから。ベースは住基なんだというようなお話をされたと思います。この先そういう議論になっていく可能性はあるかもしれないよということだったと思います。
居住の実態がないとして、市町村長の職権により住民登録が抹消されてしまっているとか、いろんなシチュエーションがあると思うんです。住民登録、住民票が取れないというような、それがないというような人たち、たくさんいらっしゃると思うんですけど、御存じなら教えていただきたいんです。それらの人々には付番されないんですか。
そして、もう一つ聞きたいのは、その人たち、どれぐらいの数の人々がいるんでしょうか。
○政府参考人(時澤忠君) 住民票を有していない理由につきましては様々あると考えられますけれども、住民票を有していない人の数につきましては把握していないところでございます。
また、住民票を有しない方にはマイナンバー生成の基となります住民票コードも付番されておりませんので、マイナンバーも付番されないこととなるものでございます。
○山本太郎君 そうなんですよね。結構実態が分からないと言われるケースがたくさんあって、ホームレスと言われる方々を数えてみました、調査しましたといっても、真っ昼間に目視でとか、しかも行っているのは河川だったり公園だけだったりとか、夜は行かずに昼間ある一定の時間だけ見て大体これぐらいいましたと報告されるって、すごく浅い調査ですよね。
とにかく、これはマイナンバー以前の問題、この国がどういう人々で構成されているのかということを調査しなきゃいけないということだと思うんですけれども、そういう方々にも配慮できるようなことを何かこれから一緒に考えていけたらと思います。
とにかく、そういう実態調査ということもあるんですけれども、ほかにも住民票という部分でややこしい立場に置かれている方々がいると思うんです。
例えば、原発事故で避難されている方々、自主避難されている方々も、そしてDV被害者という方々もいらっしゃると思うんです。要は、自分、今住んでいるところは住民票のあるところじゃないんですという方々はたくさんいらっしゃると思うんですけれども、この方々に対して何か対策みたいなものって考えられておりますか。
○委員長(大島九州男君) 時澤審議官、簡潔にお願いします。
○政府参考人(時澤忠君) 被災者あるいはDV被害者につきましても、通知カードにつきましてはやっぱり住所地に送付されることになるわけでございますが、こういった方々は当該住所地に住んでいない、あるいは住所地に加害者がいるということも想定されます。
したがいまして、こうしたやむを得ない事情によりまして避難先の市町村に転入できない被災者あるいはDV被害者につきましては一定の配慮をしたいと思います。具体的には、事前に居所を登録していただいて、その登録していただいた居所に通知カードを送付する、そういうことをしたいというふうに考えております。
○山本太郎君 本日の質疑でマイナンバーのメリットを余り感じることができなかった、デメリットが結構大きいな、まあ、やってみるまで分からないというところにこれ突っ込んでいっていいのかなという感想を持ちました。またお聞きしたいと思います。
ありがとうございました。
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