国会活動
2016.2.10 国の統治機構調査会参考人質疑「二院制について」
2016年02月12日
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【テーマ】立法及び行政監視の活性化への視点
【参考人】
飯尾潤(いいおじゅん)政策研究大学院大学教授
勝山教子(かつやまみちこ)同志社大学大学院法学研究科教授
○会長(山崎力君) 山本太郎君。
○山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎と申します。
本日は本当に貴重な御意見ありがとうございました。私からは両先生方に同じ質問をさせていただこうと思います。お答えをそれぞれ聞かせていただければ助かります。
最初の質問は、参議院議員が内閣総理大臣になることについて。
日本国憲法の規定では、第67条で、「内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。」と書いてあるんですけど、総理大臣が衆議院議員でも参議院議員でもどちらでもいいってことのように思うんですが、日本国憲法制定以来、参議院議員の総理大臣というのは存在していないのかなというふうに思うんですね。
そこで両先生に、参議院議員が内閣総理大臣になるということをどのように考えられるか、また、参議院議員が内閣総理大臣に指名されるとしたら、制度上どのような点が問題となるのかということをお伺いしたいんですけれども、飯尾先生からお願いできますか。
○参考人(飯尾潤君) 大変貴重な御質問で、初めて伺って、私も大変勉強になる質問でございます。
ただし、この解釈は二つできると思います。日本国憲法は、御案内のとおり、原案が貴族院の修正によって成立したものが現憲法でありまして、原案が一院制であったのに対して、貴族院修正で二院制に改正しています。そのときに、実はやや改正ミスでは、条文ミスではないかという条文が日本国憲法にはございます。天皇の国事行為の中に国会の総選挙と書いておりますが、そのようなものはございませんので、それはミスです。これも同様のもので、衆議院と、国会が一院制のときのことが残ってしまったんだという解釈があって、そういう解釈をするとすると、衆議院議員が望ましいと考えることもあるんですが。
しかしながら、憲法の条文を生かすとすると、やはり何かの理由で総理が欠けたときに代わりを任命するときに参議院の方が望ましいということが、条文が、非常にまれなケースですけどあり得ることを考えますと、非常事態とかのことをいろいろ考えると選択肢を広げておくのも一つのアイデアでございまして、参議院議員が内閣総理大臣になるのは妨げないというのは、それでよろしいんではないかというのが私の答えでございます。
ただし、そのとき重要なことは、参議院の代表として内閣総理大臣になるのではなくて、それは個人としてたまたま衆議院の多数を基盤にして内閣総理大臣になるべきであって、それは逆に参議院代表としてなるべきではないというふうに思っておりまして、一般的には、先ほどのように、私は参議院は政権とは距離を置くべきだというふうに考えておりますので、余りそのようなことは望ましいとは思いませんが、個人としての力量で選ばれて、それは会派とか何とかの関係をちょっと乗り越えている問題があるという場合においては認められるというふうに考えるべきではないかというふうに私は思っております。
○参考人(勝山教子君) 参議院から内閣総理大臣が指名されるということですが、憲法上の解釈としてはこれは違憲だというところまでは言えないということで考えておるところですが、ただ、先ほども申しましたように、内閣総理大臣の指名につきまして衆議院の議決が優越するであるとか内閣不信任の決議権については衆議院のみ認められているということからしますと、やはり衆議院と内閣との距離というのが非常に近いということがどうしてもありますので、そういったことからすると、法的には違憲ではないけれども、解釈上はやはり衆議院から内閣総理大臣が選出される、指名されるのが望ましいということにはなってくるんだろうかというふうに思っております。
○山本太郎君 ありがとうございます。違憲ではないと、ということはこの調査会の先生方にもチャンスは巡ってくる可能性もあるということですね。是非皆様、仲よくしてください。よろしくお願いします。
続きまして、勝山先生の資料の中に、我が国では、衆議院に予備的調査制度が導入され少数者調査権の代替機能を果たすと評価されるものの、調査主体が議院スタッフであり強制力に関する制約もあるということが書いてあったんですけれども、私は、昨年の3月の参議院の行政監視委員会参考人質疑で、2008年に衆議院で民主党が国家公務員の再就職状況に関する予備的調査の報告を求めて、その結果、4,504の独立行政法人や公益法人に25,245人の国家公務員のOBが再就職、天下りして、それらの天下り先法人に合計12兆1,300億円余りの税金が交付されているということが報告されたということを御紹介したんですけれども、しかし、この天下りの実態というのが現在詳細は不明の状態だと、そこから先進んでいないんだと。
私は、行政監視機能が重要な参議院こそ予備的調査の制度が必要であると、参議院議員十人若しくは二十人以上の要求で予備的調査ができるようにすべきじゃないかなと思うんですけれども、両先生の御意見はいかがでしょうか。次は勝山先生の方からお願いできますか。
○参考人(勝山教子君) 予備的調査制度ですね。
確かに、参議院の場合、元々定数が少ないですから、衆議院の要件よりは更に低くするという形が望ましいんだろうと思いますし、最初の御説明で申し上げましたように、こうした統制活動においては、野党側の活躍が期待できるような仕組みづくりというのが望まれてくるというのは申し上げたとおりですので、委員御指摘のとおりの形の、そういうより要件を引き下げた形での予備的調査制度のようなものの導入等を考えていくのが望まれるというふうに思っております。
○参考人(飯尾潤君) この点については一般論だけですが、先ほどお話をしましたような参議院に期待する役割からすると、参議院にこそ今お話しになった予備的調査権であるとか、あるいはむしろ少数者調査権を整備されて、少数の野党であっても独自に強力な調査ができるということを参議院のみ、衆議院ではなくて参議院のみ備えるというのはあり得る解決策ではないかというふうに考えております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
立法府と行政府の関係の一つでもあると思うんですけれども、国会法35条、「議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額より少なくない歳費を受ける。」と規定されていると。国会議員の歳費は事務次官の給与以上とするということらしいんですけれども、私は、つい先日ありました給与法の改定、内閣総理大臣を始めとする特別職の給与アップと、一般職の中の指定職、すなわち部長、審議官クラス以上の幹部公務員の給与アップということに反対したところなんですけれども、今はもう格差がどんどん開いていっている。日本ばかりじゃなく、世界の情勢も厳しくなっている現在、特別職の幹部公務員の給与を上げている場合じゃないじゃないかというのが反対の理由だったんですけれども。
私は、むしろ国会法35条の規定に従って、国会議員の歳費を二割削減し、同時に幹部公務員の給与も二割削減すべきじゃないかと思うんですよね。幹部公務員の給与が削減されれば、天下りOBの給与も削減されるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この点について両先生はどう思われますか。
○参考人(飯尾潤君) 大変貴重な御提案ではございますが、私は明確にその御意見には反対でございます。むしろ、国会法35条の規定が問題であると考えております。
なぜかといいますと、一般職の公務員は、労働の対価として給与を得ております。そして、その専門能力、一般の労働市場に得られる能力の対価として受け取っているわけですから、それは勝手な都合で下げたりするようなものではないし、逆に言うと、下げると必要な労働力は得られません。だから、そういう点でいうと、むしろ国会議員が高い方があれで、国によっては実は幹部の公務員よりも国会議員の方の給料が安い国もございます。これは、なぜかというと、国会議員の歳費というのは労働の対価ではちょっとないからでございまして、その国会議員の活動を支えるに足るということを全体として勘案するわけですから、御自身で安くてもやっていけると御判断になれば、それは違っていて、だから、この国会法35条で一般職の公務員と国会議員の歳費が連動していることはむしろ問題ですねというふうに思っております。
以上でございます。
○参考人(勝山教子君) 公務員との連動については確たるお答えがないんですけれども、国会議員の歳費が高いかという、その点についてですけれども、単純に諸外国と歳費のみを比較すれば日本は高い、かなりの高額になってはいるところではありますけれども、それとは別に、いろんな手当であるとか議員のスタッフ等の計算方法、また諸外国で異なりますので、単純な歳費だけでの比較というのはできないんだろうなというふうには思っております。
国会議員が歳費高いので下げろ、下げろということなんですけれども、これは単純に下げればそれで国民は万々歳だということには全くならないんではないかと思っておりまして、やはり、いわゆる高給取り、お金の裕福な方ではなくても国会議員になっていけるということになれば、それ相応の歳費をしっかりと保証しないと、一回当選しても次は駄目なのだということもあり得る、そこに懸けていくということになりますと、やはり一般的に国会議員になるための立候補の権利の保障という、議員になるその機会、チャンスを平等に認めるという、そういう観点からは、国会議員の給与削減というのをそれほど簡単に認めるべきだという意見にはなれないのかなというふうに考えておるところです。
○山本太郎君 ありがとうございます。
飯尾先生の資料の中に、参議院の長期的視点からの調査提案として、「たとえば生命倫理問題、死刑制度の是非、皇室制度などの問題は、激しい党派対立から離れて、じっくり議論されることが望ましい。」ということが書かれてあったんですけれども、そこで、皇室制度について御質問をさせていただきたいんですけれども、私は、皇室典範を改正して、日本でも女性天皇が認められるというような状況というのはあってもいいのではないかというふうに考えるんですけれども、両先生方はどのようにお考えでしょうか。
飯尾先生からお聞きしてもよろしいでしょうか。
○参考人(飯尾潤君) これは我が国の統合の象徴をいかなる方にお願いするかということでありますので、私自身はその答えについてこれと決めているわけではございません。まず大切なことは、国民全体が、できるだけ多くの方が納得するような、そういうものであって、どこかで決めたからこれが一方的だということにはならないと思っています。
ただ、一言だけ申し上げると、皇統を続けるためには非常な危機にあるというふうに、あと百年、二百年を考えると現在の状況は危機的状況でありますから、御提案のことも一つの考え方だというふうには思っております。
○参考人(勝山教子君) 女性の天皇の問題ですけれども、今もお話にありましたように、最終的には国民が決めることであって、自分たちの象徴を誰に、女性というものとして認めるかという、そういうことになりますので、これも国民に委ねられるというお話にしかならないのかなというふうには思いますが、ただ、これを変えていくときの改正のタイミングというのは非常に難しいのかなと。そこの点は慎重に、いわゆる具体的な状況が見えている中でその改正作業というのを行うことも非常に難しいという、そこは慎重に考えていくべきなんだろうというふうに思っております。
○山本太郎君 終わります。
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