国会活動
2016.2.24 国の統治機構調査会・参考人質疑「60日ルール、適用すべきだったのでは?」
2016年03月02日
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○会長(山崎力君) 山本太郎君。
○山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎と申します。
両先生方、本当に御貴重な御意見をありがとうございました。是非、引き続き、中学生でも、山本太郎でも分かるように御説明いただくと助かります。よろしくお願いいたします。
参考資料の方を読ませていただきました。両先生とも、二院制での参議院の役割、意義について述べられております。
私事なんですけれども、参議院議員になりまして2年7ケ月がたったところでございます。昨年の夏、7月、8月、9月と、平和安全法制特別委員会の委員にさせていただきました。本来ならば、私たちの政党、まあミニ政党とも言われますけれども、は入れないような状況だったんです、審議には。けれども、参議院の先生方の努力があって、多様な民意を反映させるんだというお気持ちが形になったということだと思うんですね。総理大臣を始め、外務大臣、防衛大臣にも直接するような機会を与えていただいたと、大変に勉強になりました。
参議院でこの特別委員会での質疑というのは、議論が衆議院よりもより深まったんじゃないかなと、それだけを見ても参議院の役割はある程度は果たせたんじゃないかなというふうに新米なりに思うんですね。けれども、何点か気になる部分というものがありまして、そのうちの一つについてお聞きしたいんですけれども、参議院の与野党共に、60日ルールは適用させないということに結構必死になっているような感じを受けたんです、当時。参議院では与野党とも、60日ルールを適用することは参議院無用論につながるということも言われていたんですよね。マスコミとかでも、しきりにそういうことが言われていました。そのために与野党とも、60日ルール適用にならないように、とにかく9月の19日未明までに採決するんだというような、ひょっとして暗黙の了解があったのかなというような、そういう感じも受けたんですよね。
ただ、採決そのものにつきましては、もちろんそのまま行ったとしても廃案にはできなかったかもしれませんけれども、少なくとも九月の20日、それから23日までの連休明けまで参議院の採決を延ばして、60日ルールの適用で衆議院で再議決させるということができたんじゃないかなというふうに思うんです。
私的には、憲法違反ですよと憲法学者の多くが口をそろえるような、本当に国の根幹に関わる法律に対しては参議院で採決させない、良識の府としてのそれが役割であり、60日ルールによって、参議院に、再議決をさせるというのが、参議院の独自性の発揮といいますか、参議院の役割だったんじゃないかなというふうに思うんですけれども、両先生方のお考えをお聞きしてもよろしいでしょうか。
○参考人(大山礼子君) お話はよく分かったんですけれども、この話は、衆議院、参議院を問わずに、政府が出してきた法案を国会側が全く修正しないというところに実は問題があるんじゃないかと私は思っています。
前から申し上げていることなんですけれども、与党の議員は基本的には内閣提出法案を成立させるということになる、それはそれでもちろん当然なんですけれども、細部については全ての与党議員の方が賛成していらっしゃるわけじゃないわけです。別にこの法案に限らず、全ての法案についてそうだと思います。ですので、大筋では賛成できるんだけれども、ここのところは少し変えましょうよということを国会の場で議論して、それこそ見える化をして、国民にこれだけこういうふうに変えましたよということが分かるようになれば、随分国民の受け取り方も違ってくると思います。
ですけれども、日本の場合は、これはいろいろ手続的な問題、理由とか、いろいろあるんですけれども、どうも事前に全て与党の賛成を取り付けてしまって、そこから国会審議がスタートするというやり方が定着してしまっているがためにそういう審議ができていない、そこの方がむしろ大問題ではないかというふうに考えております。
○参考人(竹中治堅君) 私は、その3分の2再議決するというのは、これは、そうですね、参議院で与党が過半数を持っていなければそういうことは考えられますが、今回の場合には自公で過半数を持っているわけなので、それを、だから、しなかったのはいけないという話にはならないんじゃないかと思います。極めて与党サイドとしては、ですから、それは自民党と公明党の参議院議員の方がどう考えていたかは分かりませんけれども、しかし、彼らからしたって2分の1で通せるものをわざわざ3分の2にしなくてもいいじゃないかと思うというのはあったんではないかと思います。
ただ、私は、政策決定過程を見ておりますと、結局連立内閣の中での調整で若干内容が自民党の元々の原案からすると変わっていたところはあるので、そこは国会で修正するということはあり得たのではないかなとは思いますということですね。
○山本太郎君 ありがとうございました。
もう一度短めにちょっとお聞きしたいんですけれども、60日ルールを適用するということは参議院は無用ということのあかしになりますかね。
○会長(山崎力君) どちらに御質問、両方。
○山本太郎君 失礼しました。両先生にお聞きしたいです。ありがとうございます。
○参考人(竹中治堅君) 60日ルールは本来の、本来というか、どう使うかまでは憲法には書いていないのでどう使おうが自由というところはあるんですが、本来想定していたのはその六十日間の間で徹底的に議論してくださいということで、その上で参議院が衆議院と異なった判断を下すんだったら衆議院で採決すれば法案は成立しますよということだと理解しているので、その間に徹底して議論をして法案の問題点があぶり出せて、再議決に行ったときに衆議院サイドも、いや、ちょっとやっぱり問題あったかなと思うようなところまで持っていくということも考えられなくはないわけですね。
ですから、60日ルールがあるから参議院が無意味だということにはならないんじゃないですか。仮に参議院で野党、与党が、60日ルール、だから要は、仮に衆議院で3分の2の議席を与党が持っていて法案を通せる場合であっても60日間議論することには意味があるんではないでしょうかということですね。
○参考人(大山礼子君) 私、憲法学者ではございませんけれども、あの60日ルールというのは、本来は衆議院、参議院でそれぞれ独自の審議をして、政府法案についてもそれぞれが修正をするというような国会審議を前提にしていると思います。衆議院がある程度修正をして参議院に回ってきたものについて、そこで修正を加えるのはよろしいんですけれども、場合によっては何か引き延ばしのようなことが行われたりとか、どうしても60日ではなかなか決着が付かなかったときに、それをずっと待っているわけにはいかないので一つの切れ目として60日ルールというのを作ったということだと思いますので、両方の、両院共の審議の活性化ということが問題なのであって、60日ルール自体が問題なわけではないと思います。
○山本太郎君 ありがとうございました。
現在、憲法改正ということが言われていまして、テーマの中では緊急事態条項のことがよく議論に上がると思うんですけれども、与党の中では、衆議院選挙が災害と重なった場合に国会に議員の空白が生じるため特例で任期延長を認める必要があるなどの意見が聞かれるんですけれども、でも日本国憲法54条の二項などを見てみると、参議院の緊急集会の規定を見れば、もうそれって必要がないことじゃないかというふうに感じるんですね、明らかなんじゃないかな、必要がないことはというふうに感じるんですけれども、議員の空白が生じるという理由で緊急事態条項が必要だなというふうに先生方はお感じになられますか。
○参考人(大山礼子君) その理由だけからでは必要ないと私も思います。
○参考人(竹中治堅君) 私も、議員のおっしゃるとおりですね。大山先生と同じで、議員の空白が生じるというのは緊急集会で手当てされているはずなので必要ないんではないでしょうか、その理由からは。
○山本太郎君 ありがとうございます。
その続きのお話なんですけれども、参議院の緊急集会というのを始め、災害時にも災害対策基本法であったり自衛隊法であったり警察法であったり災害救助法などなどなどいろいろな法律が存在していると、もう既に緊急事態時に必要な権力の集中、権限拡大のためのルールというのはもうそろっているんだよと、わざわざ緊急事態条項を憲法で新設する必要というのはないんじゃないかなと思うんですけれども、済みません、何度も、先生方のお考え、お聞かせ願えますか。
○参考人(竹中治堅君) 済みません、私は申し訳ないんですが災害対策基本法とかそういう法律に詳しくないので、それに対してはまだ今後勉強したいと思っているので、お答えできません。申し訳ございません。
○参考人(大山礼子君) 私も専門家ではありませんので自信を持ってお答えすることはないんですけれども、憲法に至らなくても手当てできることは十分にやってから憲法改正議論をした方がいいでしょうということは言えるかと思います。
○山本太郎君 ありがとうございました。
大山先生の参考資料に、「議会に女性を送ろう」というタイトルでフランスの取組について書いてありました。先ほどもお話を少し伺いましたけれども、女性議員比率が必ず50%になる、ペアでというような、本当、劇的な方法だと。これ、すぐにでもやっていくような検討に入るべきじゃないかと私は思うんですね。
例えばなんですけれども、このペアでというような劇的な方法以外にも例えば世界で女性議員を増やすために行われている取組というようなことを御存じでしたら、是非、大山参考人にお伺いしたいんですけれども。
○参考人(大山礼子君) すぐにでも取り組むというのは残念ながら無理で、これはやっぱり憲法を改正しないと無理だと思います。
そのほかの取組は、もうどこでもやっていることなんですけれども、政党が競争し合って女性候補を立てています。そこの競争が日本では全くこれまでなかったということが致命的だったと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
先ほどの議論の中で、女性議員を多く出している党には補助金が出たりとかというお話がちょっとあったと思うんですけれども、例えばそういうようなインセンティブを与えるというようなことで例がございましたら、また、助成金のことでもいいんですけれども、そのほかにもそのような取組みたいなものを御存じでしたら教えていただけますか、大山参考人。
○参考人(大山礼子君) 政党助成金でインセンティブ付けているのはまさしくフランスの、ここにも書きましたけれども、その例でございまして、国会議員の下院が小選挙区制なんですね、二回投票ですけれども。小選挙区では比例代表のように男女交互の名簿を作りなさいというようなことは義務付けられませんので、その政党の候補者のうち女性議員の比率がどれぐらいいるかということで、差が付いた場合にはその差の、今は何と、差が例えば10%付いたとしますと、その掛ける150%で15%政党助成金を減額しています。
○山本太郎君 ありがとうございます。
時間が少なくなってきたのでちょっと端的にお伺いしたいんですけれども、日本国憲法の規定では、67条で、内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決でこれを指名すると。衆議院でも参議院でもどちらでもよいという話だとは思うんですけれども、日本国憲法制定以来、参議院議員の総理大臣は誕生していないと。
そこでお伺いしたいんですけれども、参議院議員が内閣総理大臣に指名されたとします。制度上、それ以外でも結構です、どのような点が問題になるとお考えになられますか。両参考人にお伺いしたいです。
○参考人(竹中治堅君) 私、この問題はかつて自分の頭の中で一生懸命考えたことがありまして、参議院議員の方が首相になっても別に問題ないでしょうと。ただ、参議院議員の方がなった場合に、いや、特にない。そうですね、多分、自分の選挙をしなくていいので、解散により踏み切りやすくなるかなということはちょっと考えました。それぐらいじゃないでしょうか。法的な問題は全くないと思いますね。
○参考人(大山礼子君) 私も特に法的な問題はないと思いますし、多分今の御質問は、イギリスのようなタイプの国会ですと議員の中に首相がいて最前列に座っているわけですので、そうなりますとやっぱりちょっと参議院議員が首相になると困るなということになるかと思いますが、日本はそうではなくて、内閣は、衆議院議員であっても衆議院議員の活動はしておりませんので、ほとんど。ですから、ちょっと、内閣と国会との距離が日本の場合はございますので、別に参議院議員が首相になっても構わないということになろうかと思います。
○山本太郎君 調査会の先生方、チャンスですね、これは本当に。この先、参議院議員から誕生するという可能性もあるかもしれませんね。
ありがとうございました。終わらせていただきます。
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