国会活動
2016.4.5内閣委「成年後見制度利用促進法案等について」
2016年04月06日
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○山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表、山本太郎です。
成年後見制度の利用の促進に関する法律案と成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案、質問いたします。
加藤大臣、この法案提出の担当大臣ではなく、この法案が成立した後を担当する大臣だとお聞きしました。法案が成立した後、大臣は何をなさるのか、簡潔に教えていただけますか。
○国務大臣(加藤勝信君) この法案の中身に沿って、例えば実効性の高い基本計画を策定できるよう、法務省や厚生労働省等の関係省庁と協力を得ながら、まずは必要な事務体制を整えて、そして政府一体となって取り組むよう努力をしていきたいと、こう思っております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
成年後見制度というセの字も分からない、このことについて知らないというネットを御覧の方のために、ざっくりと説明させていただきます。
自分では意思決定ができないとされた精神や身体に障害を持たれた方、そのほかにも認知症の方々に対して、代理人、つまり後見人がその人に成り代わり意思決定をする代行決定の制度なんですが、本人の意思決定権を奪うことや本人の意に反する決定を後見人が行う危険性があるだけでなく、後見人による着服、横領が2014年一年間で56億円に及ぶなどの問題も多く、今回の法案では、医療同意への拡大、この部分が懸念されています。つまり、医療に関する決定権につながるおそれがあると。生命を守るための医療ではなく、後見人の判断で延命治療の停止、安楽死への道を開く可能性、また逆に後見人による過剰治療を招くこと、ほかにも後見人による精神病院への強制入院や老人ホームへの強制収容などもあり得るのではないかと懸念の意見があります。
成年後見を見直す会代表でありグループホームを経営する西定春さんは、世界ではどうなっているか、そのことについて教えてくださいました。
ニュージーランドもオーストラリアもヨーロッパも、全ての人の自己決定を認める方向になっている、だから国連障害者権利条約が生まれたんだと。誰かがハンディのある人の代行決定をするのではなく、その人が自分で決められるように支援していく社会であるべきだ、自分で決めることができれば後見人は必要がないんだろうと。
3月31日に開かれました記者会見、池原毅和弁護士が紹介したように、FGC、ファミリー・グループ・カンファレンスでみんなと相談しながら自己決定が形成される手法があるとおっしゃいます。これは元々マオリ族が行ってきた手法でもあると。そのような環境であるならば、誰でも支えられながら自己決定を行うことができる。また、SDM、サポーテッド・ディシジョン・メーキングという手法がオーストラリアでも開発されているそうです。ハンディがあるとされる人に寄り添う人が集まって当事者の自己決定を支えていくんだと。このように、自己決定できる環境を整えたり周囲が支えれば誰でも自己決定が可能です。このような手法が広がっている国や地方では、当然に後見制度を利用する人は少なくなっていっています。日本も代行決定主義から脱すべきですと、そのようにおっしゃっています。世界的潮流は、どんなに重いハンディがある人も、力のある人も、大金持ちも、ノーベル賞受賞者も、みんな同じ権利を持つ人間ということです、そのようにおっしゃっています。
日本では、判断能力の有無を余りにも簡単に決めてしまう。これを個々人に応じた必要最小限の制限にとどめ、当事者が可能な限り自己決定できる、そんな支援と環境整備を原則とする制度に改めるべきだと、それが世界の流れのようです。
法務副大臣にお聞きしたいと思います。
成年後見制度自体、現在の先進国の流れからいえば逆方向を進んでいるようにも感じるんですけれども、日本政府がそれでもやっぱり成年後見制度なんだよという見解、法務大臣から簡潔に教えていただけますか。
○副大臣(盛山正仁君) 山本委員からいろいろな御指摘を賜りまして、ありがとうございました。
私は、この法案を作りますチームの一員として実は昨年まで、大口議員あるいは田村議員と一緒に作っておったわけでございますけれども、今日は法務副大臣として、政府側としての答弁をさせていただきます。
御案内のとおり、平成11年の民法改正で、それまでの禁治産者、準禁治産者というところから成年後見あるいは保佐、補助という制度をつくるようになってきたわけでございます。山本委員御指摘のとおり、ナッシング・ウイズアウト・アスというんでしょうか、障害をお持ちの方あるいはいろんな方が自分たちの力で何かを決める、そういう方向はもちろん我々も重々承知しておりますし、障害者権利条約、おととし我が国にも適用されるようになりましたし、障害者差別解消法もこの4月1日から施行されたばかりでありますので、政府としてもその方向に向かっているということは間違いございません。
しかしながら、重度の認知症患者の場合などで御本人が意思決定を事実上することができない、こういう方々がいらっしゃるのも事実でございますので、成年後見人の方が法律行為を代理して行うことが必要という場合もございます。
また、現在の成年後見制度では、成年後見人が本人の意思を尊重し、その身上に配慮する義務を負っておりますので、本人の意思と無関係に代理権が行使されるわけではありません。そしてまた、保佐、補助の類型は、基本的に保佐人、補助人の同意を得て本人が自ら法律行為をする、こんなふうにもなっております。
今回の法律案は、本人の自己決定権の尊重を基本理念の一つとして掲げており、本人の意思を尊重しながら成年後見制度の利用を促進していくことを大きな目的としていると我々は考えているところでありますし、また、今後この法案が成立されれば、その委員の御指摘のようなことも含めて広く検討していき、制度を改善していく方向に進んでいくものと我々は考えております。
○山本太郎君 ありがとうございました。たっぷりと御説明をいただきました。
ということは、今のお話でいくと、本法案はまたいろいろ変わっていって、国連からも勧告が出るなんということはなさそうですね。いかがですか。そのようなことはなさそうですね。勧告出ると思われますか。
○副大臣(盛山正仁君) 今後の我が国の対応を期待して見ていただければと、そんなふうに考えております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
最高裁判所事務総局家庭局の調べでは、成年後見制度全体の利用者は合計18万4670人です。
加藤大臣にお伺いしたいんですけれども、今回の利用促進法によって成年後見制度の利用者、どれぐらい増やしていこうというようなお考えでしょうか。
○国務大臣(加藤勝信君) 今現在の利用者数は今委員御指摘のとおり。そして、申立て件数で申し上げますと、26年は3万4373件と承知をしております。
なお、今後どうなっていくのかということに対して、政府として特段試算や目標値を持っているところではございません。
いずれにしても、政府としてはこの法案の趣旨を踏まえて、成年後見制度利用促進基本計画の策定、推進等を通じて成年後見制度の利用の促進に取り組んでいきたいと、こう思っております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
どれぐらい増えるのか。直近では3万人と、少しは増える予定であると。でも、促進法を作るんですものね。どれぐらい増えるのか、どれぐらい増やしたいのか、そのめども目標値もないという話なんですよね。促進するけれどもどれぐらい促進したいのか考えていない、少し無責任に聞こえるんですけれども。
では、なぜ促進法が必要なんですかと。どうして促進するんですか。利用促進会議必要なんですかね。どこの誰が成年後見制度の利用者の数を増やしたいと思っているんですかね。
日本も2014年に批准いたしました国連障害者権利条約、国連の障害者権利委員会は、障害者権利条約第12条に基づいて、締約国に対し、後見人制度及び信託制度を許可する法律を見直し、代理人による意思決定制度を、個人の自律、意思及び選好を尊重した支援付き意思決定に置き換える法律と政策を開発する行動を起こす必要があるとしています。
つまり、国連障害者権利委員会は、成年後見制度のような代行決定方式というのは条約違反じゃないかというような見解を示しているように読めるわけです。代行決定は限定的にしなさいねというのが世界の流れだと思うんですね。日本は批准したばかりなので障害者権利委員会の審査というのはまだ受けておりませんけれども、いずれこの指摘受けることになるのは確実だと思うんですよ。本人の権利擁護を本気で考えて世界の流れを見たならば、今回のような後見人の権限強化法案、審議されること自体おかしくないですか。時代と逆流しているような話だと思いませんかということなんです。
安倍総理、国連の常任理事国入り目指す旨の御発言、前々からされていますよね。その一方で、与党議員の議員立法で国連の障害者権利条約を批准していながらその理念に反する法案をわざわざ作るという、矛盾のように感じるんです。永田町では普通の話なんですかね。
国連から日本の成年後見制度に対して勧告など出された場合、この制度に対する抜本的見直しを行うということを世界に対しても約束していただきたいんです。加藤大臣、抜本的な見直し、もし勧告が出された場合には抜本的な見直しをしてくださると約束してくださいますか。
○国務大臣(加藤勝信君) ちょっと条約との関係ですから外務省からお話しするのが適切なんだと思いますけれども、いずれにしても、現在の国内法を踏まえながら、その前提の上で条約を受けているわけでありますから、今おっしゃるようなことにはならないんではないかなと、こういうふうに思います。
○山本太郎君 後見人制度及び信託制度を許可する法律を見直しということを言われているわけですから、これ見直したからこうなったというような話ではなく、より権限が広くなったと。もちろん、それを求めている方もいらっしゃるだろうけど、そうでない方の方が声が聞こえてくるという状態なんですよね。
これは、国連から勧告出た場合、抜本的見直しを是非行っていただきたい。抜本的見直しということは全く考えないんですかね、どんな事態になったとしても。もしもそのようなことがあったとしたら、抜本的見直しも視野に入れていらっしゃいますか。加藤大臣にお伺いしたいです。
○国務大臣(加藤勝信君) ちょっと一点、ちょっと私の理解不足かもしれませんが、今回の法律によって後見人制度そのものが変わるということではないというふうに私は理解をさせていただいております。
その上で、先ほど申し上げたように、現行の法制度を踏まえた我が国として条約を受けるか受けないかという判断の中で決定されているのが今の状況であり、そして、今後に関しては、海外から云々という以前の問題として、この法律の中にもございますけれども、必要な見直しは、これはこの法律にかかわらずあらゆる法律で当然していくべきものであると思っておりますし、そういう意味で、これから利用を促進するに当たっては、この委員会で議論が行われたそういった観点も踏まえて進めさせていただく、その中でいろいろと課題が出てくると思います。そういったことも今回の会議体の中で御議論いただくということになっていくんだろうと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
この法案、もちろん、骨組み作るぜ、そこからまた肉付けていきますとかというようなお話、この先いろいろされていくんだと思うんですけれども、これが作られるまでの間にどれぐらいの数がヒアリングされたのか、どれだけ当事者の声を聞いたのかという部分もあると思うんですね。
昨日、私の事務所の方に当事者の方からメールが届いたんですよ。この当事者からの心の叫びというものをここでヒアリングしていただきたいんです。
ここも少しざっくり説明させていただきたいんですけれども、ざっくりです。後見人は、親族なら四親等以内、後見人、ほかにも弁護士、司法書士、社会福祉士、職業後見人などと呼ばれますけれども、この方々、家庭裁判所が選任いたします。今からこのメールをお読みする方は、親族後見人として認知症高齢者を二度介護した経験を持つ方です。制度が開始された2000年から後見制度を実体験された方が本当に見直す部分は何なのか、その本質について教えてくださっています。
私たちは、認知症高齢者介護家族、親族後見人の立場から本法案に反対します。
反対の理由。成年後見制度の本人の権利擁護という基本理念は、制度発足時から既にうたわれているではありませんか。制度発足前、平成11年の審議内容を読み返されてはいかがでしょうか。そもそも、家庭裁判所の後見係の実態調査、この16年間、どれだけおやりになっていますか。制度の入口、申立て手続から本人を見ないことが常態化している昨今の家庭裁判所の状況を御存じですか。個々のケースについてきめ細かく考慮して審判に至る状態ではないのです。
本人の介護、看護その他、その時点で本人の生活に関わる人たちの情報を裁判所が得ようとしないこと、精査しようとしないこと、意見が反映される方法がないこと。本人の介護、看護その他、その時点で本人の生活に関わる人たちが裁判所に対して異議申立ての道が少ないこと。そして、本人の調査、鑑定を省略、なぜ以前にできたことができなくなったんでしょうか。2003年申立て時は本人調査も鑑定もありました。そのときの調査官は、事前に私の本人調査への対応の不安を見事に払拭し、本人自身、本人の暮らす施設環境、スタッフ、そして本人と後見人候補者である私との関係、感情など、細かく調査してくださいました。
成年後見制度が十分に利用されていない理由。家庭裁判所の本制度の運用実態が本人の権利擁護を最優先とせずに、本人以外の家庭裁判所を含む人員不足、能力不足と、本人以外の家庭裁判所を含む金融機関、行政などの責任回避と利便性、効率性に重きを置いているからです。
医療行為の同意、郵便物等の管理や死後の問題など、確かに本人の権利擁護のために論議する必要はあると思います。しかし、本当に本人の権利侵害と権利擁護のぎりぎりのラインを見定めようとしていますか。実は、本人以外の者がただ事務処理をしやすくしたいという願望の方が勝っていませんか。本人の権利侵害と権利擁護の見定めをきちんとチェックする者はいますか。そもそも本人の意思を知ろうとしていますか。
成年後見制度の利用を促進する前に、本人以外の者や組織の立ち位置をまず見直し、家庭裁判所の現場の方々の執務状況を精査し、人員を補強、養成することが先決ではないでしょうか。利用促進会議や促進委員会の設置に予算や時間を無駄に費やす必要はありません。もう十六年たっているんです。
本制度発足当時前から家庭裁判所の人員不足は素人の私たちでも予測できました。権利擁護が建前だけなのも、この十六年間で実感いたしました。二度の親族後見人経験だけでも、裁判所による制度運用の劣化は著しいものです。既に、裁判所自身が機能不全を起こしているのではありませんか。裁判所自身が根本的な問題に自ら取り組まなければ、財産上だけでなく身上の不正を増大させるだけです。裁判所の人員不足を補うために市民の中から成年後見人等の候補者を育成しその活用を図るというのは、余りにも安易過ぎる考えです。
法律上では曖昧な事柄が全て裁判所内の規定で変更、決定されているようです。親族後見の不正防止対策として後見支援信託と後見監督人選任、裁判の迅速化対策としての医師の診断書重視で、本人調査・鑑定不要、家裁の人員不足対策としての参与員増員、全てにおいて、裁判所の内規で決まり、基準が明らかにされません。裁判所の親族後見の不正の統計では総数と総額だけが出され、どのような不正か細かく発表されていません。弁護士会、司法書士会が調べた資料では、裁判所の不適切な後見人選任の問題、裁判所の説明不足、裁判所の後見監督の怠慢なども不正の理由として挙げられています。
最後に、裁判所自身の人員不足と後見人選任の責任、後見監督の責任を回避するために、個々の状況を精査しないまま、後見支援信託か第三者監督人選択という外部委託を強制して、真面目な親族後見人の邪魔をしないでください。本人の財産から無駄な支出をさせないでください。
このような本当にもう当事者からの心からの叫び、二十年近くに及ぶ苦しみみたいなものを、十六年の苦しみみたいなものを読ませていただいたんですけれども、加藤大臣、いきなり決まったことだと思うんですよ、この法案通った後に担当なされる、その準備段階という部分には関わっていなかった。そういう意味で、正直、このような後見制度の問題の数々といいますかその根本という部分、このような声というのは全て御存じでしたか。知っていたか知らなかったか、ちょっとは知っていたかというような、短めのコメントでお願いします、最後に一言伝えたい部分がありますので。
○国務大臣(加藤勝信君) 今のその方の直接のお話は今初めて聞かせていただいたところでございます。
ただ、この成年後見制度、私も従前から関心を持っておりました。一方で、こうした制度によってしっかりと対応されるべき人が十分それができていないという状況をどうしていくのか、また、当然その中において後見人たる方がその被後見人御本人の立場に立ったとも思えない、そうした対応をされていることによって様々な事案が発生しているという事情があるということも十分承知をしております。
そういう中で、今回の法案も踏まえて、より適正にこうした成年後見制度が利用されるように、この法案が成立をし、政府が受けた段階でしっかりと対応していきたいと、こう思っております。
○委員長(神本美恵子君) 山本太郎さん、時間ですのでおまとめください。
○山本太郎君 はい。
この法案は、これが、私の質疑が終わったらもうそのまま数の力で通ってしまうことだと思うんですけれども、余りにもお仕事忙しくて、いろんな方々、直接お話を伺う機会ないと思うんですけれども、是非当事者からの話を直接聞く機会を持っていただけませんか。その数を多くしていただけませんか。よろしくお願いします。
そして、人権侵害つながりでJSCにも一問質問させていただきたかったんですけれども、届きませんでした。またの機会によろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
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