国会活動
2016.5.24 内閣・農水連合審査「国家戦略特区法一部改正案」~養父市、オリックスの利益相反そのものでしょ?!
2016年05月25日
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○山本太郎君 ありがとうございます。生活の党と山本太郎となかまたち共同代表の山本太郎です。よろしくお願いします。
国家戦略特区と日本の農業について森山農水大臣に質問いたします。
今回の国家戦略特区法改正によって、農地所有適格法人の要件を満たしていない株式会社であっても特例によって農地を所有できることになるわけですけれども、石破大臣は前回の質疑で所有権は絶対だと答弁をされました。これは、企業が長期的なスパンで工夫し取り組めるので農地所有は大変意味があることだ、それに付随する危険性、懸念をいかに払拭するかに取り組んで法案に盛り込んだという趣旨の答弁を頂戴いたしました。
今回、企業の土地所有に関して仲介的役割を果たすのが地方自治体でございます。自治体から購入した土地を企業が売る場合にはまた自治体を通す必要があると。本法案18条の一項一号では、企業が農地等を適正に利用しない場合、地方公共団体が買い戻すことになっていますけれども、地方自治体が企業に売ったときの値段よりも企業側が値段をつり上げて売ろうとする可能性というのもあるんじゃないかなと。
企業が農地所有をした場合の懸念、危険性を払拭するかに取り組んで法案に盛り込んだと先日の内閣委員会で石破大臣がおっしゃっていましたけれども、売った値段以上のお金を支払わなければ土地が買い戻せないといった状況を防ぐための歯止め、本法案には存在しているでしょうか、盛り込まれているでしょうか、大臣、お答えください。
○国務大臣(森山裕君) 山本委員にお答え申し上げます。
今回の国家戦略特区における農地所有の特例を活用して参入した企業が農地を適正に利用していない場合には、契約に基づき、農地の所有権が地方公共団体に移転をされることになるスキームになっております。この際の対価は、当該地方公共団体と企業の間で契約書にあらかじめ定めておくべきものであります。
このため、本法律案に特段の規定はありませんが、当初の契約の際に、地方公共団体に責任を持って判断をしていただくということが大事なことだと考えております。
○山本太郎君 盛り込まれていないと、そういうことですよね。あくまでも契約書の中でやるんだ、それだけじゃなくて原状回復の責任というものも契約書でやるんだと。これ、契約時に地方自治体がちゃんと盛り込めばいいじゃないかというお話なんですよね。事実上の地方自治体への丸投げじゃないですか、これ。少し乱暴に思えるなと感じるのは私だけでしょうか。
空いている土地を買ってもらえることで財源不足が少し補えるぞと、少し淡い期待を抱く自治体も出てくるかもしれませんよね。蓋を開けてみれば、農地を適正に利用されず、土地の返還を求めたら売ったときよりも値段をつり上げられた、このような事態を避けるためには、売ったときの値段を上回らないというルール、あらかじめ国で設定しておく必要性あると思うんですけれどね。
だって、企業が農地を所有した場合の懸念、危険性を払拭するかに取り組んで法案に盛り込んだと先日、石破大臣もおっしゃっていました。でも、それ盛り込まれていませんよという話なんですよね。原状回復責任の部分に関しても全て契約上のことで自治体がやればいいという話なんですから、全然懸念なんて払拭されませんよ、これじゃという話なんですけれども。
あらかじめ国で設定をしておく必要というのはないと思われますか。大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(森山裕君) 今回の試験的に行いますこの法案というのは、地方自治体の要望に基づいて行うわけでありますから、地方自治体が主体的に契約に基づいてしっかりしていただくということが前提であります。
○山本太郎君 ありがとうございます。
兵庫県養父市が当初欲しがっていたものが今回社会実験としてそのまま行われるかといったらそうではないということを見れば、強い要望がそこにあったのかどうかという部分もちょっと議論の余地があるとは思うんですけれども、農業に参入する多くの企業は本当に土地の所有を望んでいるのかというお話をしたいと思います。
日本不動産研究所がまとめた2015年3月末現在の農地価格、10アール当たりなんですけれども、田が76万2323円、畑、45万820円。一方、10アール当たりの賃借料は、田、9565円、畑、6297円。もしリースの最長期間である50年間にわたってこの賃借料を払ったとして総額は、田、48万円弱、畑、26万円弱。共に購入した場合の6割ほどにとどまる計算で、立地条件によってもちろん価格は異なるでしょうけれども、少なくとも、平均で見れば借りた方が値段としては得だということが分かると。
これまで農地所有をした人たち若しくはリースで借りた人たち、その後の調査というものはちゃんとなされているんでしょうか。
農水省の経営局農地政策課に資料を請求しました。平成27年1月1日現在で全国の農地所有適格法人の農業参入数は1万5106、そのうち株式会社は4245だそうです。しかし、4245の株式会社のうち農地所有は幾つでリースは幾つかと聞いたら、分かりませんという答えなんですね。何で分からないんですか、その後全然追っていないのと。農業から撤退したのは幾つなんですか、農地を転用したのはどのくらいの企業なんでしょうか、廃棄物のごみ捨場やメガソーラーに使われていたという事例はどれぐらいありますかというものに対しての答えは、分かりません。おかしくないですかと。
まず、これまでの農地所有であったりリースの実態調査が先じゃないですか、規制緩和、社会実験するといったって。それもやらない。実態調査が先に決まっているんですよ。じゃなきゃ、立法事実、これ養父市が欲しがったということだけしかないじゃないですか。それで法改正、何か変わっているなというか、おかしな話だなと思うんですけど、これ普通なんですか、永田町では。リースの方が現実的なお金もうけにつながるのに、わざわざ手間が掛かり採算が合わないと言われる農地所有、中山間地で推し進める理由、何なんでしょうか。
これ、国会の中でもいろんな議論が行われていて、これに対して、どうして所有をしなきゃいけないのかということに関しては、よく言われるのが農地法18条、19条等々に定めがあると。十年以上の期間の定めがある賃貸借である場合、借りている人自らが耕作することとなった場合には、要は貸し手である農家の側から解約されるというようなリスクもあるじゃないかという話なんですけど、だったらこれ、18条、19条、これ変更すればいいだけなんじゃないですか、改正すればいいだけなんじゃないですか。わざわざこんな大きな話、要は、今まで適格法人とされた人たちしかそれに関われなかったにもかかわらず、それを大きく外れて、適格法人じゃなくても、以外の法人でも入れるようなことにしちゃう理由が分からないという話なんですけれどもね。
企業が利益が上がらないものに対して懸命に取り組む理由って何なんでしょうか。この兵庫県養父市での特例、兵庫県養父市での社会実験を入口に、中山間地から先々、平地での農地の所有権に広げていくビジョン、参加企業にとってはこれ本丸なんじゃないですか。それを後押ししているのが今回の国家戦略特区なんじゃないでしょうか。
兵庫県養父市で今回の特例によって農地を所有しようとしているのは、皆さん御存じのとおり、オリックスグループの株式会社です。オリックスといえば過去にも数々の規制改革に対して具体的に意見をしてきた、規制緩和を推し進めてきた経緯がある。規制改革・民間開放推進会議のトップでありながら、かんぽの宿の払下げ、一括譲渡で出来レースではないかと問題になったオリックス宮内義彦さん。そして現在、政府の産業競争力会議、国家戦略特別区域諮問会議の民間議員、日本再興戦略、国家戦略特区の中心となっている竹中平蔵さん、この方は、人材派遣会社パソナグループの会長ですけれども、オリックスの社外取締役でもあると。さらに、2014年9月まで産業競争力会議のメンバーで農業分科会の主査であったローソンの元代表取締役、現在はサントリーホールディングス社長の新浪剛史さん、この人もオリックスの社外取締役。何だ、みんなオリックスじゃないかよというお話なんですけれども、森山大臣、このことは当然御存じですよね。
○国務大臣(森山裕君) お答え申し上げます。
国家戦略特別区域諮問会議の有識者議員である竹中平蔵氏がオリックス株式会社の社外取締役に就任されていることは承知をしております。また、本年二月五日に開催をされました諮問会議において養父市長が説明をされた資料の中で、農地所有に係る要件緩和を求める養父市の事業者としてオリックス株式会社が出資している企業が記載をされているということも承知をいたしております。
○山本太郎君 ありがとうございます。承知をされているということでした。
この兵庫県養父市での特例、兵庫県養父市での社会実験を入口に、中山間地から先々平地での農地の所有権に広げていくことが参加企業にとっての狙いなのか、それとも、兵庫県養父市のような中山間地に対して特別な思いを持つオリックス関係企業が採算関係なく愛情だけで社会実験に参加しているのか。残念ながら、先ほどお名前を御紹介させていただいたオリックスに関係する方々、宮内さん、竹中さん、新浪さん、中山間地にも農業生産者にもふだん余り愛情が感じられない発言をされています。
皆さんは過疎の村が消えてしまうことは悲惨なことだと思われますか、今日ここに参加されている皆さんは。私、これ悲惨なことだと思いますよ。私、個人的には、里山文化の灯が消えていくことは悲しいことであり、新たな担い手にその暮らしが継承されていくような政策が必要で、守るべき文化だと考えます。オリックス宮内さんは農業振興に関するインタビューで、過疎対策を農業政策でカバーするというのもおかしな話です、そもそも過疎の村が消えてしまうのは悲惨なことなのでしょうかと発言もされています。
森山大臣、お尋ねしたいんですけれども、直接支払制度、ほかには戸別所得補償制度、米の直接支払交付金とか、あと経営所得安定対策、この先減らしていくべきだというふうにお考えでしょうか、いかがでしょうか。
○国務大臣(森山裕君) 日本型直接支払制度はやはり地域政策としても大変大事な政策でございますので、十分議論をさせていただいて、しかるべき予算を獲得してまいりたいと考えております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
環境に関わるような支払というものは非常に重要であるというようなお答えだったと思うんですね。中山間地も含めてという部分で非常に重要なものであるというお答えだったと思うんです。
オリックスの社外取締役でもある新浪剛史さんは産業競争力会議で、直接支払は逓減させるべきとか、ばらまきと言われている戸別所得補償制度、これを含む経営所得安定対策についても見直すべきであると発言されています。戸別所得補償制度は、要求どおりといいますか、平成30年産からは廃止される方向ですけれども。
国民のライフラインである食、それを安定的に提供してくださる農家の皆さんの首が絞まるような、生活が不安定になるような、生産者をコスト扱いするような提案をするメンタリティーの持ち主が政府の中枢の会議に入り、農業分野の規制緩和を実行させようとしているなど、これ言語道断である、これ自殺行為ですかと。
ほかにも聞きたいことがあるんですけれども、ちょっと時間的に、まあ竹中さんは、先ほど民進党の小川先生の方からありました、岩盤中のザ・岩盤だという発言であったりとか、これを突破すれば非常に大きな道、農業に開かれていくというようなお話をずっとされていた方なんですけれども、この農業分野でのオリックスグループの露骨なといいますか、利益誘導じゃないかなと。宮内さん、竹中さん、新浪さんの完全出来レース、利益相反と言えるんじゃないかなと。
法案が成立した場合、かんぽの宿の一括払下げを認めなかったときのように、私は、農業委員会はオリックスグループの農地所有を認めるべきではないと考えるんですけど、森山大臣、御見解いかがでしょうか。
○国務大臣(森山裕君) お答えいたします。
農業委員会は、所有権を取得しようとする企業が法令に定められた要件に適合するかどうかを審査すべきものでありますので、審査をせずに特定の企業について許可するとかというようなことは適当でないと考えておりますが、農業委員会が適切な御判断をいただけると思っております。
○山本太郎君 ありがとうございます。農業委員会がという言い方をしてしまったのでそのようなお答えが返ってきたと思います。
このような状況を鑑みて、オリックス関係者、数々政府の中枢の会議で発言をするような立場にいて、利益相反というようなことにつながりかねない、このことを受けて森山大臣自身はどう思われますか。私は、オリックスを、これを参入させるべきではないと考えますけど、森山大臣御自身のお考えはいかがでしょうか。
○国務大臣(森山裕君) 農業委員会が御判断をされるべきことに私がコメントすることは差し控えたいと思います。
○山本太郎君 そうですか。
森山大臣、私の前回の質疑に参考人としてお越しいただいた東京大学大学院の鈴木宣弘先生、このようにおっしゃっていました。ブッシュ元大統領は、食料自給できない国を想像できるか、それは国際的圧力と危険にさらされている国だと演説をしたと、アメリカの大学では、標的は日本だ、日本人の直接食べる食料だけでなく畜産の餌穀物を全部アメリカが供給すれば日本人は完全にコントロールできるともおっしゃっていると。
このアメリカの世界戦略、食料戦略にコントロールされるのではなくて、食は国家安全保障の要であることを食料自給率、特に穀物自給率を向上させていくことで担保するべきと考えますけれども、森山大臣の自給率についてのお考え方ということを教えていただけますか。
○国務大臣(森山裕君) 食料の自給力あるいは自給率については、今後も更に努力をさせていただいて向上に努めていくことは当然のことであると考えております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
この食料自給率、自給力という部分に関して企業の参入という部分が必要であるとお考えになっているということでよろしいですか。これ、最後の質問で。
○委員長(神本美恵子君) 森山大臣、簡潔にお願いします。
○国務大臣(森山裕君) 法律に基づいた手続を経たものであれば当然のことであると思いますが、今からどうするかということについては、今回の特区の問題は5年後に再度議論をさせていただくことになりますので、そのときにしっかりした議論が必要であると考えております。
○山本太郎君 終わります。ありがとうございました。
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