国会活動
2016.12.08. 内閣委「日本はすでにギャンブル依存症の大量生産国。さらに依存症を増やすカジノ法案は論外!」
2016年12月14日
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○山本太郎君 ありがとうございます。
大体ふだんは質問時間短めで、その時間配分というよりも、もう自分の言いたい情報を入れ過ぎてかなり早口になっちゃうというような形になっちゃうケースが多いんですけど、質問時間こんな短くて何なんだろうなとずっと不満を持っていたんですね。大きな会派は質問時間が長い、これは当然なんですけど、小さい会派や無所属は質問時間が短いということを心の中でずっと不満に思っていました。
それと、今回六十分もいただけるということで非常にびっくりしております。六十分あったらどんなことだって話せるなという。非常に有り難いんですけど、六十分でと言われたときに、すごく気味が悪かったと言ったら失礼かもしれないです、えっ、どうしてそんなにくれるんですかという。何か一発勝負で、ひょっとしたら六十分一本勝負の質疑で通しちゃおうとしているんじゃないかなとかうがった目で見ていたんですけど、どうやらこの後にも別の日に参考人を設けていただけたりとかという、本当に慎重審議。
私、初めて議員になって入った委員会がこの内閣委員会で、本当に至らない点だらけで本当に内閣委員会の皆さんに本当にたくさん怒っていただいて、しっかりやっていけと、ちゃんとした議員になれということをずっと叱咤激励していただいて、その中で教えていただいたことは、参議院の内閣委員会はどの委員会よりも慎重審議だと。ほかは関係ない、うちの委員会はうちの委員会だというスタンスを私は三年間見てきたので、是非、これからも今までどおりの参議院内閣委員会でよろしくお願いいたしますということを前置きしまして。
本日はIR法案、いわゆるカジノ法案に対しての質疑だと。何から聞いていこうかなと思ったんですけど、結構テクニカルなお話とかもう皆さんされているので、もうちょっと軟らかいところから入っていこうかなというふうに思うんですよね。
まず、一問目、これ通告はしていないんですけれども、この法案を提出された先生方にまずお話を伺った後、最後に菅官房長官に締めていただきたい質問があります。
皆さんのカジノでの思い出、教えていただきたいんです。恐らくいろんな国のカジノ行かれたと思うんですね。どこのカジノで、どんな賭け事をして、一番もうけたときの額、一番負けたときの額、手短に教えていただけると。ごめんなさい、何かカジノっていう部分に対してちょっと興味持つ入口として、是非分からない方にもよろしくお願いします。
○衆議院議員(細田博之君) 私は、カジノの経験はほとんどありません。アメリカに住んでいたときにアトランティックシティーに行きましたが、まあ適当にやって、というのは、余りもうからないことも分かっておりますし、私は実は趣味がいろいろゲームに対してはありまして、コントラクトブリッジ連盟の日本の会長でもございます。ゲームはしょっちゅうやっております。
だから、そういう意味ではゲーム依存でございますけど、ほかにゲームをやる人の気持ちも分かります。しかし、ブリッジをやる人はポーカーやあるいはルーレットは余りやらないと。それは、もっと言わば客観的にイーブンで、努力しただけ報われるようなゲームの方が私は好きだからであります。
以上です。
○衆議院議員(岩屋毅君) 実は私も余り経験がなくて、このIR構想の勉強を始めて以降、一度はマカオ、一度はラスベガスに視察に行かせていただきました。そのときはやっぱりどんなものなのかというのをやっぱり体験する必要があると思いまして、一回ずつルーレットだけをやらせていただきましたが、どういうわけか二回とも勝ちまして、まあ勝ったといっても、一万円賭けて四万円ぐらいになったという経験が二回ほどある程度でございます。
○衆議院議員(西村康稔君) 私はアメリカ留学時代にアトランティックシティー、ラスベガス、訪問をしました。三十歳前後の頃だと思います。それから南米の、たしかパラグアイだったと思いますが、これもリゾート型のカジノに行ったことがあります。それから議連のメンバーと一緒にシンガポールに、これは大分前ですけれども行きました。その後もシンガポールは家族で行ったりいろいろしていますので、カジノもやったことがあります。
大体上限を決めて、一万円とか三万円とか、その都度のお金で、大概全部負けるわけですが、まあそれはそれで、途中ちょっと増えたりして、ここでやめようかなと思ったりいろいろしながら、会話を楽しんだりしながら、一定の時間、長居はせずに、その時間だけですけれども、そういう雰囲気を楽しむということでこれまでやってまいりました。
ちなみに、夏に衆議院の内閣委員会で視察をしまして、当時内閣委員長だったんですけれども、カジノ、プレーはしておりませんが、モーリシャスのリゾート型のカジノ、これは物すごく小規模なものですけれども、これを超党派のメンバーで、これは短時間見ただけですが、超党派のメンバーで訪問させていただきました。
○衆議院議員(小沢鋭仁君) 私もカジノのプレーというのは余りしないんです。ただ、また落としておいて後で何か指摘されると嫌なので今一生懸命思い出していたんですが、十九歳のときにアメリカをグレイハウンドのバスで回ったときにラスベガスに行って、そのときはお金がなかったので、いわゆるこう、ガラッというくらいしかやれませんでした。あと、新婚旅行でニューカレドニアに行って、ニューカレドニアのホテルのカジノに行きました。
あとは、このIR法案をやることになって、そこからは一生懸命、機会がある限りあちこち行きたいと、こう思っておりまして、例えばハンガリーのブダペストなんかではホテル併設のちっちゃなところに顔を出してみたり、またドイツのバーデンバーデンも行かせていただきました。もちろんマカオ、シンガポール、それから済州等のカジノも回ってきました。
カジノをするという話が余り好きでないものですから、というのは、負けちゃうので好きでないものですから、そのときに持っている残りのお金くらいの範囲でやって、そして体験をして、それも、体験というのも、いろんなことができるわけじゃなくて、昔、子供の頃やったルーレットの思い出があるものですから、ルーレットだけをちょこっとやってみんな負けて帰ってくると、こんなことでございます。
○衆議院議員(松浪健太君) 私が最初にカジノというものに行かせていただいたのは、ちょっと毛色が違うんですけれども、私、学生時代に、オーストラリアのタスマニア州というところですね、日本文化をちょろっと中学校とか小学校で教える仕事をしていたもので、そのときのホストファミリーに、一応、健太、カジノに連れていってやるよといって、本当に、オーストラリア、多分一番最初だったか、ちょっとうろ覚えですけれども、小さなカジノでありまして、その当時カジノはドレスコードが非常に厳しかったもので、こうやって、ちゃんとジャケットを着てネクタイも締めていかないと駄目なんだよと言われて、非常に、私も学生時代は月二万三千円の下宿で住んでいたぐらいですから、すごく輝いて見えたのを覚えておりまして、そのときは数十ドルですね、なけなしの金をするっとすって帰った。社会人になってからは、ラスベガスに行かしていただいた際に友人がいろいろ連れていってくれたんですけど、私自身はブラックジャックで恐らく三万円ほどすったというぐらいだと思います。
○国務大臣(菅義偉君) 今私も思い出したんですけど、思い浮かべていたんですけど、十年ほど前にラスベガスと韓国で遊んだことを覚えています。ラスベガスは私一回しか行っていないんですけれども、行ったときに、カジノのその賭博ということじゃなくて、ああ、アメリカという、その奥の深さというんですかね、そういうのに非常に感動したことを覚えています。
○山本太郎君 ありがとうございます。
急に何言い出すんだと思ったかもしれませんけど、別に、これで何か、ここから落とすとかという話じゃないですから。カジノってどんなところなんだろうと、御存じない方のためにいろいろお話を伺って非常によかったなと、逆に聞いて。というのは、皆さんのそれぞれの青春時代の話だったり、あと、ちょっと人間っぽい、この法案に対するやり取り見ていたら何かよく分からないじゃないですか。でも、そういう個人エピソードを聞いていくと、ああ、この人たちも人間なんだと、当然ですけどね。一つ分かったことは、皆さんの中にギャンブル依存症、いわゆるそういう人たちはいらっしゃらない。非常に節度を持って、遊びとしてそういう、何ですかね、場を利用されている人たちなんだなということが分かりました。
ちょっと話は変わるというか、この延長線上に話があるんですけれども、菅官房長官に、「ビッグイシュー」という雑誌があるのを御存じですか、「ビッグイシュー」。
○国務大臣(菅義偉君) 私はよく知りません。
○山本太郎君 ありがとうございます。
是非知っていただきたいんです。「ビッグイシュー」の日本版という雑誌が、月に二回、一日と十五日に発行されているんですね。これはどういう雑誌かといいますと、手に入れることができるのが路上なんですよ、道端、お買い求めになることができると。ホームレスの方々が路上で雑誌を三百五十円で販売して、このうち百八十円が販売したホームレスの直接的な利益になるというシステムなんですね。
この現金収入を元にして部屋を借りる、自立していくということを支援していこうと。イギリスの社会貢献活動が基になった雑誌で、結構もう、余りにも忙し過ぎて車移動が多いと思うんですけど、たまに町歩いてみたりするとそういう方がいらっしゃるので、是非見かけたときに一冊買ってみてくれませんか。テンション上がると思うんですよ。官房長官に買ってもらったといったら、ちょっとテンション上がると思います、その方も。
この「ビッグイシュー」なんですけれども、この事業を支えているビッグイシュー基金というところがあるんですけれども、そのビッグイシュー基金の理事をなさっている東京大学客員教授の米本昌平先生は、事業の設立段階から関わってきたと。雑誌を売って現金を、収入を得て自立したと思っていた人たちが、しばらくしたらまた戻ってきてホームレスになっているという人がいた。どうしてそういうことが起きるんだろうと疑問に思っていたとおっしゃるんですね。雑誌の売上げがあったのに、数か月するとギャンブルをしてしまうということが分かったと。
元々ギャンブル依存症が原因でホームレスになった人も多いのではないかと、そんな疑問から米本先生が中心になって、本日皆様にお配りした資料なんですね、冊子なんですけれども。済みません、本当に、ちょっと重たくなりますけど、帰りに。「疑似カジノ化している日本」、そして「ギャンブル依存症はどういうかたちの社会問題か?」という一冊と、そしてもう一冊が「ギャンブル依存症からの生還 回復者十二人の記録」、この二冊なんですね。これを資料としてお配りしました。
済みません、菅官房長官、お時間ないようなので、もうここで大丈夫です、退席されて。ありがとうございます。またよろしくお願いします。
○委員長(難波奨二君) 菅官房長官は御退席いただいて結構でございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。お時間のあるときに、是非この二冊を官房長官にも読んでいただきたいです。
この二冊はどういう内容か。具体的に、ギャンブル依存症で苦しむ方々がどういう状況かというのがよく分かるという本なんですね。
お配りした資料一の冊子の「ギャンブル依存症からの生還」、人間の絵が描いてあるやつですね。この中から幾つか事例を紹介していこうと思います。ページ数は御紹介しますけれども、私がはしょって読んでいきますので、目が疲れている方は耳で聞いていただければと思います。
資料の一です。冊子の十五ページに掲載されている二十代の男性。壮絶な体験を経て、今、回復の道をたどっています。
友達に誘われて、十六歳、高校生のときに初めてパチンコをしたのがきっかけでした。十七歳の頃には週三日は学校帰りと土日にパチンコ屋に行くようになり、高校三年生のときにはパチンコとたばこに掛かるお金を極力削るようになりました。実家にいたので食事には困らなかったんですけれども、間食をするときにはコンビニや商店、学食で万引きをするようになった。とにかくパチンコするためのお金を何とかして集めるということだったんですよね。
授業もサボるようになって、二年留年して、二十歳で高校を強制退学。アルバイトをしながら、仕事がない日は朝から夕方まで、仕事がある日は朝か夕方には必ず店に寄る、パチンコが中心の生活だと。死のうとまで思わなかったけど、生きている意味が分からなくなったことはあります、心のどこかではやめたいと思っていたのかもしれません、そうおっしゃっています。
専門学校に入った後もパチンコ、スロットはやめられず、消費者金融で限度額いっぱいを借り入れ、親や友達からも借金をするようになり、結局、挙げ句の果てにはコンビニ強盗、レジに向かって、たばこをちょうだい、そう言って店員が振り向いた瞬間に家から持ち出した包丁を出し、金を出せ、脅した。別に、それまでに暴力的な行動とかというのがこの人に見られていたわけじゃないんですよね。
結局、防犯カメラの画像から逮捕されましたが、留置場に入ってからも、パチンコ、スロットをやりたい気持ち、収まらなかったって。かなりハードですよね。何か、自分たちが依存症とかということを言っていたけれども、これぐらいハードな問題なんだなということがよく分かると思うんですね。
初公判の日、おかんは手錠をされている僕の姿を見て泣いていました。傍聴席にいるおやじの視線がとにかく痛くて、顔も見ることができずに、ずっと下を向いていた。
この男性は、この後、回復施設で共同生活に入って、自分のことを正直に話せるようになった。自分が傷つけた人たちへの埋め合わせステップ、要は、そういうような回復施設とかへ入った場合に、自助団体だったりとかというところに入った場合に、そういうステップを踏んでどんどん回復していくということだと思うんですけれども、その埋め合わせというステップで母親と会話をして、ありがとう、今まで苦しんでいたことに気付いてやれなくてごめん、母親に逆に言われて、もう号泣したと。
これは男性ばかりじゃないんですと。女性もギャンブル依存症で苦しんでいる人がいます。冊子の三十ページ辺りです。パチンコ屋で死ねたら本望、そう思っていたそうです。そして、泣きながらパチンコを打っていた。そんな状況にまでなっちゃった。
この女性は、出産後、育児ノイローゼに。夫が、のんびりしておいで、お母さんのお休みの日をつくってくれて、お小遣いをくれたことがきっかけだったと。何しようかなと決めかねて、取りあえずパチンコ屋に足を踏み入れた。その後、毎月一回のお母さんの休みの日にはパチンコに行くようになって、負けた悔しさやもうちょっとやりたい気持ちがだんだんと抑えられないようになっていったと。ボーナス、貯金、子供の学資保険、どんどん手を付けていく。生命保険を解約、婚約指輪を質に入れ、実家の仏壇からお金を盗み、サラ金へ。パチンコにお金をどんどんつぎ込むようになっていったと。子供を一時間千八百円の認可外保育園に預けてパチンコをするようになったと。車内で置き去りにされた子供が熱中症で亡くなったというような事件をテレビで見たとしても、お金を払って安全な場所に子供を預けているから私はその人たちとは違うと、そういうふうに思っていたそうです。
そしてついに、死に物狂いでやらされているパチンコに楽しさは感じなくなっていたと。それはそうですよね。もう楽しいというのは最初だけで、途中から変わってきちゃっていると。パチンコ屋で死ねたら本望というような気持ちにまでなっちゃっていた。精神科に行って精神安定剤を処方されても止まらず、泣きながらパチンコを打ち続けたそうです。
立ち直るきっかけは何だったか。お医者さんに行くことができたんですよね。ギャンブル依存症と診断されて、自助グループに行ったと。この女性は、現在は離婚をして、そして、お子さんはいらっしゃったけれども、これは旦那さんの方に行ったんですかね、仕送りをしながら今は暮らしていると。陰ながら子供の成長を見守っています。いつか子供が会いたいと言ってくれたら自分のしたことを心から謝りたい、そうおっしゃる。
三十五ページには、多額の借金を重ね、売春をするようになってしまった四十代の女性。
一緒に暮らしていた彼氏に誘われたのがきっかけで、お金があるときはほぼ毎日パチンコ屋に通い、閉店の十一時近くまでやっていた。給料がなくなってもやめられず、消費者金融で借金をしながら続け、家族が代わりに返済してくれてもまた続け、パートの合間に売春をしながらお金を得る日々。もう手段を選ばなくなっていくんでしょうね。先ほどのコンビニ強盗もあったとおり、とにかく今目の前のこのパチンコを打つためだったら何でもすると。男性からもらったお金は全てギャンブルの軍資金に消えました。パチンコを打っている間は落ち着くんですけれども、出なくなってくると、もうパチンコができなくなると焦っていらいらするまでになっていた。
その後、借金が膨らんで自己破産し、気になっていた依存症の回復施設に電話をしました。仕事して、ギャンブルやって、体を売って、物すごくしんどいのに、自覚する暇も自分に与えず、命だけ生き長らえてきた。そんな毎日をやっと終わりにできるかもしれない、そう思ったと。回復施設に出会えて良かったということですよね。回復施設の施設長の方から、よく来たね、よく生きてたね、よく生きていましたと迎えられて、本当号泣したと。もう独りぼっちになっちゃうんですよね、周りの人誰もいなくなって。お金は借りるわ、裏切るわというような状況になって。本当のこと言わなくなりますものね。誰もいなくなったところで、もう助けの手なんて伸びない。そんな状況になっているときに、こういう施設に行ったときに本当に温かく迎えてくれた。
この女性は、今でも時々ギャンブルの夢を見るそうです。仲間もできて回復の道を歩んでいると。当事者同士で話し合うという場があるということも救いですよね。
もうちょっと読ませてくださいね。
お配りした資料一の冊子の五ページ。これ五ページじゃないだろう、済みません、ページ数は忘れてください。読みます。
もう死んでしまおうと思って、遮断機をくぐって線路に立った。それを見ていたおじさんに引きずり出された。そこまで追い詰められた体験をしたのは四十代の男性。
大学生のとき、興味はなかったけれど、高校の先輩に連れられてパチンコを初めて体験した。いっときの遊び、暇潰しのつもり。就職活動のつまずき、仕事の大変さなどから週三回はスロットに通うようになって、負けが込むと会社に行きたくなくなり、体調不良とうそをついて休むようになった。消費者金融、闇金からも借金が重なると、同僚からの借金。光熱費や家賃、携帯電話の滞納などが重なり、ついには遮断機をくぐって自殺を図ろうとした。そこで助けられた。そして、母親の勧めで依存症の回復施設に入所。回復プログラムを体験し、その後は施設のスタッフ研修を受けていると。自分が支援を受けて、そして次は支援する側に回るということですよね。
六十五ページには、パチンコだけでなく、公営ギャンブルの競馬、競艇で借金が三千万円にも上ってしまった六十代男性の話が載っている。
高校三年生で初めてパチンコ屋に行ってビギナーズラック。それからは勝ったり負けたりでしたけれども、今考えてみると、パチンコに行ったときの打ち方は異常だったかもと。既にとらわれ始めていたと、もう最初に行ったときから、初期の頃からかなり執着したような感じだったと。二十歳になると競馬を覚え、消費者金融から五万、十万と小口で借りるように。ギャンブルと生活費のための借金はすぐに膨れ上がって、今日返す金を工面するために別のところから借りる生活。それでも、ギャンブルのどきどき感や、勝てば大金が得られるという妄想に取りつかれ、ギャンブルを続けるためなら幾らでもうそをついたと。体調が悪い、うそをついて会社を休んだり、そして会社の寮費二十万円、営業費六十万円を使い込んで辞職に。家族や友人から借金を重ねた。
最初は、ちょっと病気になったとか、そういうことを言って、みんな心配してすぐ振り込んでくれたりするらしいんですけど、でも、それが続くとおかしいなということに気付くわけですよね、周りは。家族とか思いやりとかいう人間として大事なものが脇に置かれて、ギャンブルで金もうけするんだという妄想がナンバーワンに躍り出るのがギャンブル依存症の特徴だと。仕事もせず、毎日パチンコや競馬、競輪にも通い始めた時期もあった。ギャンブルをやりたいからやるというよりも、利息を返すためにやらねばならない状態。借りた三万円を全て明日の支払に充てたら、あさっての支払ができなくなるからギャンブルに回す。負ければ負担は倍増するのに、パチンコで二十万円とか競馬で百五十万円とか、大勝ちしたときの数少ない記憶にしがみついていたと。たまたまギャンブル依存のテレビを見た妹が、兄が病気ではないかと思ったことがきっかけで入院。
これ、でも、かなりラッキーなケースの方々と言ってもいいと思うんです。その個人に起こっていることはかなり悲惨です。そして、周りの人々を巻き込んでいくということもかなり悲惨です。でも、家族がとか、周りの人がしっかりと最後までやっぱり諦めずに何とかできないかということを考え続けてくれた。そこまで家族間でつながっている人たちってどこまでいるんだろうと思うんですよね。孤立した人がそのまま孤立し続けて、最後にはどこに行くんだろうと思ったら、もう命落とすしかないよなという。その中で、選択肢の一つとして路上という部分も実際にあるのかもしれないということですよね。
だからこそ、このビッグイシュー基金というところが、これは、いろいろ研究したものを集めて本にしよう、いろんな知見を集めようということでこの一冊になったということなんですよね。賭け事って楽しく遊びでやれている期間一瞬ですもんね。その後は取りつかれたようにのめり込み、自分と周りの人生を破壊するものだということがよく分かると思うんです。ここに登場された方々、家族などが諦めずに支え続けたから、回復施設、自助グループにつながれた可能性が高い、ある意味幸運な人たちだったかもしれない。仕事をやっていても仕事にならない、給料をつぎ込み、会社のお金まで使い込む、仕事は首になり、ギャンブルのためには知り得る限りの知人、友人にお金を借り、それが繰り返され、そのたびにうそをつく。状況を正直に話せば、やめた方がいいよなどの話になり、ギャンブルに行く足止めになるわけで、本当の自分を他人に見せることはなくなる。周りから見れば、何を考えているのか全く分からない、不透明だ、信用できない人間だと距離を置かれ、結局は一人に。
そんな中で支援とつながれた人、かなり奇跡的ですね。これ、周知していくといっても結構大変なことだと思うんですね。これを今かなりの潜在的人数、分かんないです、もう今有病率というところで見ただけでもかなりの数がいるというお話になっていますけれども、その方々に周知して、そしてそこに資金をつぎ込んでという話になると、これかなり結構、やらなきゃいけないことです、絶対にやらなきゃいけないことだけど、これをどうやってやっていくのかと思うと、もう一つの違ったギャンブル、パチンコは遊技だという話があったりとか、ほかのものは公営でという話があるかもしれないけれども、もう一つのカジノというギャンブルの扉を開いたときに、そこに陥る人たちのことを考えると、まず対策が先に来る。その対策をしっかり立ててから、どうなんだろう、話し合おうかという段取りが本当は国民の生命と財産を守るということにつながるんだろうなと思うんですよね。
一旦ギャンブルにのめり込むとどうしてやめられなくなるのか。これ、合同出版社というところがあるんですけれども、発売しています。「徹底批判!!カジノ賭博合法化」、まあ耳の痛い話ですけれどもね、推進されている方によっては。でも、まあそういう、何を書かれているかというのは読むのは大事だと思うので。
「徹底批判!!カジノ賭博合法化」という本の中で、藍里病院、そこの医師でいらっしゃいます吉田精次さん、次のようなことをおっしゃっている。実は、ギャンブルの依存症に陥ってしまっている人は、脳に機能変化が起こってしまっている状態。ギャンブルにだけ過剰に脳が反応するようになり、脳の機能のバランスが崩れてしまった状態になってしまっているそうです。依存症には、アルコールや依存性薬物による物質依存と、ギャンブルを代表とする単なる気晴らしや遊びの域を飛び越えて自分の意思の力では止められない状態にまで進行していく行動の依存、これ明らかに違うようなんですね。だって、お酒これだけ世の中にはあふれているのに、それが規制されない、まあ年齢の規制はありますけれども、だったらそんなのおかしいよねという論点もありましたけれども、でも、実際にその依存ということで見てみればまた種類が違うんだよと。アルコール、薬物は物質依存、そして行動して、例えばギャンブルをするとかというようなことは行動の依存というような考え方だと。どの依存症にも反復性、強迫性、衝動性、貪欲性、その行動から得られるメリットがある有害性、六つの共通点が見られると。依存度が高いということです、どっちみちね。
ギャンブル依存症が薬物依存と同様に脳に機能変化を来すことが明白になったのは二〇〇〇年に入ってからだと。運動を円滑に行うために必要なドーパミン、神経伝達物質の一つが不足することで発症するパーキンソン病の治療としてドーパミン補充療法を受けた患者の中からギャンブルにはまる人が多数出てきたという報告が次々に発表され、そしてその薬をやめるとギャンブル行為が止まる。これにより、ドーパミンを含む脳の機能異常とギャンブルが止められない行動は密接に関係していることが明白となってきたと。
ギャンブル依存症は、ギャンブル絡みの刺激に対しては脳が過剰に反応する一方で、ギャンブルが絡まない刺激には余り反応しない。ギャンブル以外のことへの脳の反応が減っている反面、ギャンブルへの反応は高まっているため、よりギャンブルから抜け出しにくいと考えられる。この現象、物質依存者の場合の薬物、それ以外の刺激に対する反応に一致している、物質依存者の場合の薬物と、それ以外の刺激に対する反応に一致していると。研究の結果、繰り返されるギャンブル行為によって脳に変化が起きていることが分かる。
いかにギャンブル依存症、一度陥ってしまうとそこから抜け出せないのか。一旦依存症のレベルに達してしまうと回復には長い時間と地道な努力が掛かる。外見からは分からない病気ですよね。周囲から軽く見られがちだとか、金銭面の破綻だけではなく人間関係の破綻や人間性の破壊にまで及ぶと。外から見て分からないというのが一番きついですよね。発見してあげられない。それは、個人の意思、人格の問題ではなく、れっきとした病気なんだと、脳機能の疾患であると認識することが必要である。依存症に関心を持って治療に当たる精神科医が極端に少ない現状があるとおっしゃるんですね。
で、ほかのお医者さんもおっしゃっている。精神疾患と捉えた方がいいと本格的な治療を訴えてきた方が精神科医の森山成彬さん。これ、NHKの番組で放送されている中の発言をピックアップしたんですけれども、生易しい病気じゃないよ、ギャンブル障害になったら脳が変わるんだと。同じことおっしゃっていますよね、先ほどの方と。
森山さんは九年前、正確な実態を知ろうと患者百人に対して日本で初めてギャンブル依存症の調査を行った。平均的な姿は、二十歳でギャンブルを始め、二十八歳で依存症の兆候が出始めたりとか借金をし始める。二十歳ぐらいでギャンブルを始めたら、もう人によってこれは個人差あるんでしょうけどね。ところが、病院で受診したのは十年余り、ある方の話なんですね、これはね。とにかく周囲の人が依存症の兆候にいち早く気付き本人に治療を受けさせることが重要なんだけれども、見過ごされていると。この中でも、特に百人の方、いろいろ見ていったら、つぎ込んだ金額が平均一千二百九十三万円、中には一億円を超えてもやめられないという人がいたと。
先ほどの森山さんはこうおっしゃる。嗜癖でたくあんになった脳みそは二度と大根には戻らないと患者には言っている、それぐらい残る、脳の変化が、だから一生の闘い、治療と思った方がいい、そういうふうにおっしゃっている。
と考えると、これ、社会的なコストといいますか、国が負わなきゃいけなくなる責任、もう既にそういういろんな方々がいらっしゃる、はっきりとまだ深くは調べられていないでしょうけれども、まずそこに対する手当てと考えてもかなりの費用が必要になるということですね。
夏場になるといつも流れてくる悲しいニュースありますよね。パチンコ屋の駐車場に車を止めて子供を放置したまま死亡させた件数。ちょっとこれ急に、質疑があるというんで急に国会図書館国会連絡室に連絡しまして、事務所で、二〇〇七年以降、どこか一つの新聞社で結構なので新聞記事になっているそういう事例を教えてくださいといったら、二〇〇七年以降で記事になっているので七十三件ヒットしたと。ならなかったものもあるんですかね、よく分からないですけど。親のくせに子供から目を離して何をやっているんだと、そういう次元の話ではないということだと思うんです。親はギャンブル依存症という立派な病気であった可能性が高いと。
ほかにも、家族を巻き込んだ事件というのも数え切れないほどある。一番分かりやすい例を言うと、二〇一四年の十月、長男がギャンブル依存症から抜け出せず、金を無心され続けた六十五歳の父親が追い詰められ、将来を悲観し長男の首を電気コードで絞めて殺害、犯行後に本人も自殺を図った事件。長男は、病院でギャンブル依存症と診断され入院治療を試みたけれども、途中で退院してしまうなどうまくいかなかった。無心が続く。金をくれ、金をくれ、金を出せ。それによって奥様はうつ病を発症して、そんな中、金の要求は更にエスカレートした、金額は少なくとも一千四百万円に上った。
ギャンブル依存症によって、離婚どころではないんだ、一家離散なんて当たり前と。最悪のケースでは家族内での命の奪い合いにまで発展するおそれがあるのがギャンブル依存症である。経済的、社会的、精神的に破壊的な問題が生ずるにもかかわらず、ギャンブル、パチンコ、スロット、競馬、競輪、競艇などを止めることができない状態、これがギャンブル依存症なんだよ。ギャンブルで勝った体験、強烈に脳の記憶にもう染み付いている、刻印されてしまっている。繰り返しその刺激が欲しい、勝ったときの体験がもうイメージされまくって、それが強烈な要求になっていくんだと。結果として、ほかの娯楽やほかのゲームでの快感というものが余り感じられなくなって、そういうギャンブルに特異的に反応するような脳の機能変化が起きてくると。
今日って警察の方って来ていただいていましたっけ。ああ、ありがとうございます。このギャンブルに特化したといいますか、犯罪件数というのは御存じでしょうか、教えてください。
○政府参考人(中村格君) お答えいたします。
犯罪がいかなる要因によって発生したかについて、これを一概に申し上げることは困難ではございますけれども、警察庁の犯罪統計で確認できる範囲でお答え申し上げますが、平成二十七年中に検挙いたしました刑法犯、約三十四万件ございますけれども、このうち、主たる被疑者の犯行の動機、原因が賭博をするための金欲しさなど賭博をすることへの欲求であるものの件数は七百七件、パチンコ遊技をするための金欲しさなどパチンコ遊技をすることへの欲求であるものの件数は九百九十五件、総計で千七百二件でございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
これ、二十七年というお話でしたけれども、このような、例えば何ですかね、何か事件が起こりました。その裏には何がありましたか、その背景は何ですか、例えばお金欲しさだった。で、そのお金欲しさは何だったのか。遊ぶ金欲しさだった、賭博に使うために、パチンコに使うためにというような話だったと思うんですけど、この調査というのはいつから始まったんですか。
○政府参考人(中村格君) お答え申し上げます。
平成二十七年からでございます。
○山本太郎君 そうなんですよね。平成二十七年からチェック項目が増えた、アンケートボックスが増えた、何と言えばいいんですかね、チェックボックスが増えた、ごめんなさい、ちょっと適切な言い方じゃなかったら申し訳ないんですけど。
だから、結局、それまでは遊ぶ金欲しさというところでまとめられていたものが、平成二十七年から、ギャンブル、ほかにパチンコとか分からないですけど、そういうもう一つ項目が増えたということですよね。だから、実態はよくまだ分かっていないということだと思うんですね。
依存症の実態についてお伺いします。今日もたくさん出た数字だと思うんですけど、改めてもう一度出させてください。
国立病院機構久里浜医療センターの樋口進センター院長を研究代表とする研究班、WHO世界戦略を踏まえたアルコールの有害使用対策に関する総合研究で、同時に調査したギャンブル依存症の調査結果をまとめて公表しましたよね。済みません、説明が長くて。この研究で発表された日本のギャンブル依存症の数、何人でしたっけ。ギャンブル依存症の人口に対する有病率、何%、教えてください。
○政府参考人(堀江裕君) お答え申し上げます。
お尋ねの調査研究でございますけれども、平成二十五年度に行われました厚生労働科学研究の調査結果といたしまして、この調査は、成人の男女約四千人に対してアルコールの有害使用に関する調査を行った際にギャンブルに関してもアンケートを取ったというものでございまして、有病率を推計したものではなく、依存症が疑われる方の割合を自己アンケートを基に集計いたしまして推計したものということでございまして、それは四・八%でございます。
○山本太郎君 済みません、じゃ、これ、五百三十六万人という数字が何かよく聞かれたりとかすると思うんですけど、それについてちょっと教えてもらっていいですか。
○政府参考人(堀江裕君) その四千百五十三人の方を対象に自己回答式のアンケートを取ったわけでございまして、そのときの結果を年齢調整いたしまして四・八%と、すると四千百五十三人を成人の人口に引き延ばしてみれば御指摘のような数字になりますということを申し上げたものだと思います。
○山本太郎君 五百三十六万人全員から依存症ですという申告を受けたわけではないんだということですね。当然のことですね。はい、ありがとうございます。
恐らくこれ全人口に当てはめていったらこういう形になっていくんじゃないかということで、五百三十六万人ギャンブル依存症になっているようなおそれがあるような状況ではないかという話ですよね。でも、これすごい話ですよね、人口の五%弱がギャンブル依存症の可能性がある。これ本当に、もっと詳しく調べていったら違う結果がどんどん出ていく可能性もある。まあ悪い結果は余り聞きたくないけれども、でも調べなきゃ分からないですから、それは是非ともこれから進んでいくことだと思うんです。
ここでもう一枚、もう一冊の冊子の方、資料二です、色の薄い方の七ページに、国別で見たギャンブル依存症の有病率が存在していると。圧倒的にほかの国と比べて日本が高い。そうですね、これ、依存症がある可能性、その当事者だけじゃなく家族、友人、知人ということになっていくと、どれだけの人たちがちょっと苦しむことになるのかと考えると、結構被害が大きくなるなと思うんですよね。
お聞きしたいんですけれども、国内にあるパチンコ店の軒数、教えてください。
○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。
パチンコ営業の営業所数については一万一千三百十軒、これは平成二十七年の数字でございます。
○山本太郎君 すごいですね。もうコンビニぐらいの感じであるということですかね。コンビニといっても、例えば一つの会社のコンビニ、恐らくローソンぐらいの数はあるのかな。これ、交番とか、全国の警察署、交番、駐在所というのが約一万四千件ですから、もう至る所にあるといいますか、すごい数だなというのが分かるんですよね、全国津々浦々。そう考えると、競馬とかボートとかそういう公営ギャンブルなんかは、やっている時期が限られたりとかするけど、いつでもアクセスできるというところがそれだけ全国的にあるパチンコというのは、当然依存症という部分を深めていく原因の一つと、要因の一つと考えてもいいと思うんですよね。
現状についてお聞きします。現状です。この国ではパチンコ、スロットはギャンブルだとは認めていません。国際的に見ると、機械としては、パチンコ、スロットマシンは、イギリスのフルーツ・マシン、アメリカのゲーミング・マシン、オーストリアのポキー・マシン、ジャックポット・マシンと呼ばれるギャンブル用の電子的ゲーム機、EGMの一つとして取り扱われている。要はこれはギャンブルでしょうという話なんですよね。日本で一番多いギャンブル依存症がやっぱりパチンコ依存症だということにつながっていく。
では、日本におけるEGM、パチンコ、スロットの設置台数は一体何台あるんでしょうか。
○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。
パチンコ遊技機の台数は、これも二十七年の数字でございますが、二百九十一万八千三百九十一台でございます。それから、回胴式遊技機、いわゆるパチスロというものでございますけれども、その台数が百六十六万一千五百六十二台でございます。
○山本太郎君 いっぱいあるんですねというコメントしか返せないなという。四百五十七万九千九百十二台ぐらい。ちょっと数字間違っていたらごめんなさい、多分それぐらいだったと思います。
先ほどお配りした冊子の十一ページに、二〇一三年の統計なんですけれども、EMG、パチンコ、スロットの設置台数と世界でのその順位が出ていると。日本は世界一のギャンブル用の電子的ゲーム機、EGMの設置大国ですと。設置台数世界一。そうなると、やっぱりギャンブル依存症もずば抜けて高い割合になるというのはしようがないかな話ですよね。もう既にギャンブルによる依存症大量生産国になっている可能性が高いと。
もう結構、日常の風景に溶け込んでいるという部分ありますけどね、何か。親戚とか集まったときにそういうパチンコが好きなおじさんがいたりとかというふうなところは何かどこの家庭でもあったりとか、友達のおじさんにいたりとかという、何か非常に日常に溶け込んでいるように思うんですけれども、でも、その裏にはいろんなそういう症状とかに苦しんでいたというようなことがあったのかもしれないですね。
既にこれ疑似カジノ化してしまっていると言ってもいいのかな。先進国で日本だけカジノが許されていないという言い回しというのは少し虚構のような気もするんですよね。現実をもうちょっと見てみると、ちょっと言い回しが違うとか、何というんですか、逃げ道と言ったらちょっと失礼ですけれども、それを、みんなに遊びを提供するということでいろんな道を開いたという部分があったと思うんですよね、過去に。
話続けます。では、さらに、このEGMがどれだけ依存症を誘発するようになっているか、御説明させてください。また読むのかと言わんといてください、済みません。お配りした資料二の冊子の十四ページですね。
EGM、先ほどのパチスロ、パチンコとかの話ですね。EGM、エレクトニック・ゲーミング・マシン、依存症を誘発する技術開発、東芝、ヤマハ、オムロンなどが高いシェアを持っていると。
視覚と音響によって大当たりの忘我状態を誘導。
新しい技術がギャンブルに用いられるのは必然であり、不可避である。だが、多様なギャンブルの中で特に電子的ゲーム機、EGM、エレクトニック・ゲーミング・マシンはギャンブル依存症を生み出しやすいという指摘は一九九〇年代からなされている。最近では、研究者の方、N・ダウリングらが「EGMはギャンブルのコカインか?」という論文の中でこう述べている。
一般的にEGMは、ギャンブルの中でも最も依存的誘発的であり、病的ギャンブルの原因となることが多いとされる。コンピューターグラフィックを用いたEGMは、デザインの面でも仕掛けの面でも強烈な画像と音響で刺激するギャンブルへ一段と変貌した。音響効果は、伝統的な回胴式遊技機、スロットマシンのことらしいんですけれども、でも、シグナルや曲の一節やコインの落下音で入賞を印象付けるために用いられてきた。視覚的には、照明、色彩、フラッシュ効果、ゲームの図像学が動員されると。これらの視覚や音響の効果は快感を持続させ、負けたときより勝ったときの高揚感を印象付け、強化するのに駆使される。この状況は、記憶の中から大勝ちしたときの印象だけを選択的に引き出して、将来は大勝ちするかもしれない予想を過大評価するように仕向けるものと見てよい。それらはまた、勝ちを求め続ける姿勢を再強化し、心理的な緊張、心理生理学的な活性化、ギャンブルにいざなう一定の強い刺激として機能するものである。
ダウリングらの念頭にあるのは、ポキーマシンと呼ばれるスロットマシンである。そしてここで強調しなくてはならないのは、海外のEGMは基本的に純粋な確率に賭けるものであるのに対して、パチンコはこれとは違う異質のEGMである点である。物語性の面白さを前提に、大当たりの前兆であることを暗示するサイン、リーチ表示という、そのサインを強烈な視覚と音響によって繰り返し刺激する。こうしてパチンコを打つ人間を大当たりの忘我状態に置く方向に技術を動員し、機械を開発してきた結果が今日の光景である。ある意味で、今日の日本のパチンコは巨大なガラパゴス産業だと言ってよい。
EGMギャンブルの持続可能な未来とは。
日経ビジネス二〇〇七年十二月二十四日―三十一日号によると、先進的な部品提供として、液晶パネルはシャープや東芝、LEDはスタンレー電気、スピーカーはヤマハ、センサーや管理システムはオムロンがそれぞれ高いシェアを占めている。加えて、パチンコ機製造業界は閉鎖的、九七年に公正取引委員会から排除勧告が出されたこともあると、閉鎖的で利益率も高い。
ほかの方ですね、これ、C・リビングストンらは、最近のEGMになればなるほど、勝ちの記憶を刷り込むために先端技術が駆使されており、その結果、依存症誘発の危険性が著しく高められていることを指摘した論文の結論部分でこう述べている。
EGMの体系は、消費者、中でももっと傷つきやすい市民から財を吸い取ることを目指す権力が操る技術システムの好例である。この形の搾取は科学の面でも政策の面でも議論の対象にはなっていない。EGM業者の側は常に本人自身が悲劇のシナリオライターであると言い張ってきた。こういう形で問題が立てられている限り、EGMという技術志向の商業システムの未来は安泰となる。
私たちは、EGMの生産やサービスについて安全で持続可能な消費の形態を描くことはできるとは思う。ただし、安全な消費とは、政府がEGMに伴う危機を取り除く方向に動いたときに初めて現実のものとなるのであると。いや、随分読んだなという、まあ、ちょっと済みません。
結構これまずい状況だなと思うんですよね。遊技という名前だけれども、非常に中毒性を高くして脳にまで影響を及ぼすような状況がどんどんつくられていって、そこに日本の名立たる企業が入っていくということに関して、やっぱりこれ何らかの規制を設けなきゃいけないと思うんですよね、もちろん。これだけのギャンブル依存症を生み出し、まあこれはまだ全然分かっていないです、警察の調査というのも二十七年から始まって、事件の背景にギャンブルが絡んでいるのかどうかもまだ分からない、蓄積が、まだ日が浅いわけですもんね。
そのほかにも、まだこのギャンブルの依存という部分に関して、この国でいろんな制度が整っているとは言えない状況だと思うんですよね。だとするならば、まずやるべきことは、このような、脳に直接被害を与える、影響を与えるという部分に関しての、何というんですかね、制限というものを引いていかなきゃいけないだろうなと思うんですけど、いかがですかね、そのパチンコに対して、別にパチンコ憎しで言っているわけじゃないんですよ。
先ほどお話ししたとおり、全国の警察署、駐在所に近いような形、もうどこにでも、全国のどこにでもあるよというような感覚で繰り返し遊ぶことができる、その中でどんどん依存を深めていくというような、遊技と呼ばれる事実上のギャンブルが実際に存在していて、その機械に対して、すごく脳に影響を受けるということがいろんな研究で出され始めているということは、これはちょっと本格的に国としてしっかりと、何ですかね、考えていかなきゃいけない部分だなと思われるんですけど。
カジノ議連の中で、新しいギャンブルに扉を開くということの中で、その話合いの中でこのパチンコに関しての何かアプローチみたいな、話合いみたいなものはなされたんでしょうか。
○衆議院議員(岩屋毅君) 今日は、先生からギャンブル依存症の現場のお話というか、非常に深刻な事例について詳しくお聞かせをいただいて、私ども改めてギャンブル依存症の問題の深刻さというものを痛感をさせていただいたところでございます。
私どもの問題意識は、午前中また午後の審議を通じても申し上げましたが、我が国はこれまで幾つかの公営競技を特例法を作ることによって認めてきております。それから、ギャンブルとは認めておりませんけれども、今先生が御指摘ありましたパチンコということについても風適法の中で遊技として認めてきたことも事実でございます。であるにもかかわらず、やはり国がこのギャンブル依存症の問題について十分な対策を講じることができていたかということを考えると、それは不十分だったと言わざるを得ないというふうに考えておりますし、そういうことに対して我々国会もある意味では不作為の罪があったのではないかなという問題意識をずっと持ってまいりました。
先ほど厚労省の数字も説明がありましたが、厚労省からも説明がありましたとおり、これは決して患者数ではないわけですね。ただ、五百三十六万人という数字がちょっと独り歩きしているところがある。
だから、ギャンブル依存症の調査の手法、方法についてもまだ十分に開発されているとは言い難いと思いますし、専門家の医師についても私は甚だ不足をしていると思います。先生の方から最近の脳科学的な手法によっていろんなことが分かってきたということも紹介していただきましたけれども、まだまだ、このギャンブル依存症というものが一体どういうものであって、どういう治療が効果的なのかということについてはまだこれからの課題なんだというふうに思っております。
それがゆえに、今般、極めて限られた数であるとはいえ新たなゲーミングを認めていこうとするに当たっては、これまでの既存の公営競技あるいは遊技等から発生をしてきているギャンブル依存症の問題について国が真正面から取り組める体制をつくるべきだというのが私どもの考え方でございまして、この間の審議を通じてそのことをしっかり答えてまいりましたし、あるいは附帯決議においてもお示しをしていただいたところでありまして、その方向性にのっとって政府としてしっかりとした制度設計をしていただけるようにこれからも努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
○山本太郎君 もちろん患者数ではないけれども、やっぱりそれぐらいの人たちが可能性がある可能性がある、こんなこと言ったら何か変ですけどね。だから、これは本当に調べないと分からないわけだし、これだけの問題を放置してきたということ自体が問題だと。
その根本に何があるのかというと、やっぱりはっきりとギャンブルをギャンブルとして認めてこなかったという部分もあると思うんですよ。それはもう都合上しようがなかったのかもしれないけれども、でも、その都合は誰の都合だったんだと考えたら、やっぱり胴元の都合だったり、そことつながっている政治活動をやられている方だったりとかというような過去があったのかもしれないなと思うんですよね。じゃ、それによって生み出された人たちは、もちろん一瞬は楽しんだのかもしれないけれども、その依存性の高さによって被害を被った被害者なんじゃないかなと思うんですよね。
今現在、ギャンブル依存症の方が相談する場所ってどんなところがあるんですかとお聞きしたんですよね。そうしたら、各都道府県と政令指定都市に一件ずつある精神保健福祉センターが相談場所になると、若しくは各保健所ですと。けれども、全ての保健所でギャンブル依存症に対応できるというわけじゃないんですと、ばらつきがあります、能力の差がありますから、そういう専門的な人がいたりいなかったり。逆に考えてみれば、このギャンブルという部分に、ギャンブル依存症というところに光はまだ完全に当たっていないわけだから、それは対応できる人の数の方が少ないんじゃないかなと思っちゃうんですよね。
この全国の精神保健福祉センターへのギャンブル依存の相談件数は、二十七年は二千四百五十三件、保健所への相談件数は一千二十五件もあったと。これ、つながれて良かったねという話なんですよね。よく分かったね、周りに知らせてくれる人がいて良かったねと。ここにもアプローチできないままもう人生がむちゃくちゃになってという人たちの数もかなりに上るんじゃないかなと思うんですよね。年間三千五百件もの方々がこうやって相談の電話をされているわけだと。どこに何を相談していいか分からない人々は、既に重症化して孤立してしまっている可能性もある、支援者とつながれない可能性もある。
今現在、ギャンブル依存症に対する政府の具体的なフォロー、救済的な取組、何かありますでしょうか。
○政府参考人(堀江裕君) 現時点でいきますと、二十六年度から全国五か所の拠点医療機関というところにおいて、言わばブロック的な形でその各県の医療機関に対して相談支援を行っておりまして、あるいは、今御紹介がありました精神保健福祉センターでございますね、それを二十九年度には予算要求といたしまして、全県から、今ありました、全指定都市を含めました六十七の自治体にその拠点となります医療機関を設置いたしまして、その県内での精神科クリニックなり精神保健衛生センター、保健所などの専門的な紹介にも受けられるような仕組みを取ろうとしております。
また、久里浜医療センター、国立病院機構の病院でございますけれども、そこを全国の中心となります拠点というふうに指定してございまして、そこが、今申し上げました六十七の医療機関の人たちを養成して、それで、そこの県でまたその六十七の県の人たちが各医療機関なり保健所なりの専門家に対してギャンブル依存に特化いたしました、あるいはほかの依存症にも特化いたしました研修なり養成なりをできるようにしていくということを予定しております。
○山本太郎君 始まったばかりなんですよね。それらの予算、それぞれ幾らぐらい付いているんですかと聞いたら、地域対策整備事業予算一千百万円、研修制度予算一千三百万円、すごいですね、これね、低過ぎるわという。地域対策整備モデル事業は二十六年度から、研修制度は二十八年度から始まったばかり、予算規模も僅か。一番重要な回復センター、支援センター、公的に運営されているものはゼロ、公的な運営はゼロ、全て民間に委ねた状況、予算的な支援もないと聞いています。
結局、これだけギャンブル依存症で苦しむ人がいるにもかかわらず、今現状で直接国が関与して行っている救済事業は全くないと言っても過言ではないんじゃないでしょうか。カジノやらせてくれ、依存症対策するからと、ちょっと理解に苦しむんですよね。
これ、ちょっと言い方悪かったらごめんなさい。もっといい言い回しがありましたら、委員会終わってから是非教えてください。例えば、次々に火を放っている人に対して、火を放っている人がいると、放火していると。でも、心配するなって、その人は言うんです、消火器の対策するからと。例えば、何か薬物、覚醒剤を合法化したいんだけど、依存症対策するから許してくれよと。本会議の登壇のときにも田村先生が言われていましたけれども。うまいこと言えないけど、何かそれぐらいに身勝手です。
それぐらい身勝手で、それによる社会的損失を考えたときに、これ今踏み込むべきなのかなって、やるべきこと決まっているんじゃないのかなと思うんですよ。もうこれしかないじゃないかと。先に依存になっている人たちに対するケアも必要だけれども、そうなっていない人たちにも踏み込ませるような新たな扉を開くのは、今のところ危険というか、その資格はまだないと言えると思うんです。
まず、被害者が大量にいる可能性があるわけだから、その人たちのケア、そして、その人たちがどうやって立ち直っていくかということをしっかりと形になってからの御相談にしていただけませんか、カジノ法案、IR法案と思うんですね。いかがでしょう。
○衆議院議員(小沢鋭仁君) まず、山本委員の御尽力に対して敬意を表しながら、我々も、先ほど岩屋議員が言いましたように、依存症対策という話を真剣に議論をしてまいりました。自助グループであります依存症問題を考える会の例えば田中さんをお招きして勉強会をやらせていただいたり、つい先日はそこからの要望書を議連として受け取らせていただきました。
そういったことを積み重ねてくる中で、大変悲惨な例をお出しになりましたけれども、同時に、今朝ほどからずっとある、いわゆるメリットの部分、ベネフィットの部分も同時にあるわけでありまして、そういったことを総合的に考えたときに、私どもは同時並行でやらせていただくことが重要だろうと、こういうふうに思っているところであります。
依存症問題に関しましては、いわゆる脳の異常、機能障害があり得る、病気であるという話は、これは私も何度も聞いているんですけれども、最大のポイントは、例えばみんなそういった、例えばパチンコであろうと、そういったことに行っても、なる人とならない人がいる。なる人とならない人、なる人はそういった脳の機能障害まで起こるときのきっかけといったものは一体何なのかというような話は、まだ私は解明されていないというふうに医療の現場の皆さんからも聞いておりますし、そしてまた、この依存症問題に入っていけば入っていくほど悲惨な例はあるんですけれども、同時に、同時に、これはちょっと私も言葉を選んで言わなきゃいけないんですけれども、依存症の皆さんたちの立ち直るきっかけというのは、最後は気付きなんですよね。自己否認でずっと来ていて、最後はその気付き。気付きのときに、気付くそのきっかけは一体何かという話が極めて重要で、山本委員は依存症の問題詳しいので、イネーブリングという言葉は御存じだと思います。要は、前もってみんな……
○委員長(難波奨二君) 時間も参っておりますので、端的にお答えください。
○衆議院議員(小沢鋭仁君) はい。
その尻拭い尻拭いをしてしまうんですけれども、そういった話だと、いつまでたっても治らないといういわゆる医療的な見地もあります。
ですから、そういったことを真剣に学びながら、今まで足りなかったことは事実ですから、それを我々も認めて、足りなかったところをしっかりとやりながら、しかしプラスの面もやっぱり評価をして同時並行でやらせていただきたいと、こう思っているところでございます。
○山本太郎君 時間が来たので終わります。
まだ審議続くと思うので、よろしくお願いします。
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