国会活動
2016.12.12 内閣委「この国に生きる人々の金融資産が、草刈り場として提供される恐れ」
2016年12月15日
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○山本太郎君 自由党の共同代表、山本太郎です。
先生方、本当に貴重な御意見ありがとうございます。本当に勉強になりました。
五つの会派の先生方がそれぞれ質問をいたしました。最後、私からの質問になるんですけれども、恐らく今までのお話とダブる可能性があると思います。是非、新しいお気持ちで答えていただけると助かります。そして、この参考人質疑の動画を見れば中学生でも分かるというぐらいの内容を目指したいと思います。是非、山本太郎にも分かるようなお言葉でよろしくお願いいたします。
先生方の資料を事前に読まさせていただきました。根本的な部分、基本的な部分で共感いたしましたのが美原先生の月刊レジャー産業での次の御発言です。私が以前から主張していることですが、可能な限りオープンな議論を進めることが国民の合意形成にも直結しますので、議員の皆さんの努力を求めたいと思います、このようにおっしゃっていたんですね。美原先生の御意見、これは本当に民主主義の根幹に関わる非常に大切で基本的な御指摘だと、そのように感じました。
一方で、このIR法案、衆議院でたった一回、六時間に満たない質疑が行われたと。参議院では先日六時間の質疑をさせていただきました。そして本日の参考人。で、明日また六時間の質疑が行われると。これはまだ分からないんですけれども、明日の委員会での採決、これ合意が得られなかったらそのまま採決は本会議までスキップするという報道も流れている状態なんですよね。
このような状況が果たして審議が尽くされたと言えるのか。先ほど、美原先生が、韓国の国会議員から、日本のように精緻な議論ができていればよかったと。現在の韓国のカジノ問題、たくさん、何でしょうね、依存症であったりとか犯罪につながったりとかいうような問題が数々報告されている。そのように、今の韓国から見れば、今議論ずっとされてきた日本のような精緻な議論がされていればよかったと振り返られるのは分かるんです。もちろん、議連でもいろんなお話があったと思う。でも、その議連でいろいろされてきた話というのは世の中にはほとんど出ていない状況です。つまり、審議が余りにも薄いと、私はそのように思うんです。
このような状況が果たして審議が尽くされたと言えるかと、このような短い審議時間が国民の合意形成を得るのに十分と言えるか。順番にそれぞれの先生のお話を、本当に短めで、足りているのか足りていないのかということをはっきりと言っていただけると助かります。ありがとうございます。順番にお願いします。
○参考人(美原融君) 確かにこのプログラム法案、分かりにくいですね。国民の目線からしてみた場合極めて分かりにくい。方針、理念、手続を決めて、これから一定期間を置いて実施法を定めると、こういう内容でございます。
ただ、審議を極めるというのは、あくまでも一定の方針の下にこれから詳細検討してということでございますし、私は継続的な努力を、国民に分かりやすいお話を継続的に国会議員先生が推進法、実施法をまたがってこれから一年どんどんやっていただきたいと、こういう思いでございます。
そういった意味においては、物事の考え方、やっぱり国民的には分かりにくいところが唐突感があったのかなというふうな気はしないでもないですが、十分論点をわきまえた御審議がなされているんではないかというふうに感じております。
○参考人(渡邉雅之君) 実は私、山本太郎議員と今日御議論できるのを非常に楽しみにしておりました。十二月八日の先生の答弁、非常に胸を打たれて聞いておりました。
今回の審議がどうかというお話ですけれども、私自身は、主要な論点、いわゆる違法性阻却の問題、それから一番議論されているギャンブル依存症の問題、そして今日もお話のあったマネーローンダリングの問題、それからIRとは何かといった問題ということについては、非常に深く各論点が明確になる形で議論がなされたというふうに考えております。
もちろんこのIRにつきましては、推進法はあくまでも基本法でございまして、今後一年以内に導入する次のIR実施法案、これについては、附帯決議にもありますとおり、十分に国民的な議論を尽くすと。そこの中で、より詳細な要件が決まった中で、それが果たして是々非々なのかがまた議論されていくということなのではないかと考えております。
○参考人(新里宏二君) お答えいたします。
私はまだ尽くされていないというふうに思っています。特に、民間賭博を認めるかどうか、違法性阻却のところは非常に大きな論点ではないのかなと。法務省から出てきた文章の読み方ですら隣にいる弁護士同士で違っているというふうな状況からすると、全くまだ詰まっていないのではないかなということを思いました。
以上でございます。
○参考人(鳥畑与一君) 発言させていただきます。
私は三年前まで地元の町内会長とかPTA会長をやりまして、テレビ出ていたねと、でも今回の審議ちょっとひどいねということは皆さんから言われます。実際に、首相は、私は提案者じゃないから答える義務はないと。提案者は、具体的にこれは政府がやってくれるから今お答えはできないと。じゃ、そのプログラム法で政府に実施法という形で何を義務付けたのかという部分では、今日発言したように大きな穴がたくさんあります。それが実際には、附帯決議というのが十一項目ですか、たくさん出てきたわけです。これをやっぱり法案そのものの中に盛り込まないと駄目だろうということで、今回での採決というのは、これは問題外じゃないかなというふうに思っております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
非常に、プログラム法案で、その後に実施法を作るよ、二段階でこのことを話していくんだと、まずは、まずこのプログラム法案で議論が尽くされていなかったとしても、その先の実施法案で話を詰めていけばいいんじゃないかというようなお話だと思うんですけど、私、まだこの永田町に来て日が浅いものですから、素直にこれをどう感じるかといったら、あっ、結構ずるいやり方するんだなというふうな印象を素直に受けてしまう。
要は、その事前の問題点というものが余りあぶり出されないまま既成事実がつくられ、次の実施法を作るというところまで持ってくるというのは、ちょっと不誠実なんじゃないかなと思うんですね。例えばこの内容が本当に国民生活に欠くことのできないものであるならば、環境、健康に関することなのであればそのような急ぐやり方もありなのかと思いますけれども、これは、今まで違法であった賭博というものをいかにオーケーにしていくかということが先々待っているわけですよね。それを考えると、非常にやり方として誠実に欠けるんじゃないかなというのを素直に思います。
この法案を提出された議員さんたち、本法案の説明では、海外からの観光客が増え国内の観光は活性化、カジノから上がる収益は地域にも還元される、IRは日本の経済成長に欠かせない、こういったバラ色の経済効果が中心だな、それを宣伝しているように聞こえるんですね。
今日の参考人の先生方の中にも、非常にプラスになるよというようなことをいろいろ教えていただきました。本当に勉強になりました。でも、一方で、この提出議員たちからによるマイナス要因の客観的な検証、これは十分に行えているとは思えないような答弁が続いております。
IRのバラ色のお話、さんざん聞かせていただいたので、その提出議員たちなどからですね、是非専門家の先生方から見たカジノ導入による負の側面、これを順番に、ごめんなさい、恐らく中の方まで話していくと結構お時間掛かると思うので、例えば依存症問題であるならば依存症問題というような、そのタイトルとなり得るようなことを挙げていただけると助かります。順番にお答えいただけますか。負の側面をお願いします。
○参考人(美原融君) 負の側面で、制度、規制によりコントロールできる側面がございます。例えば、犯罪の増加、地域環境の悪化、青少年への教育への悪影響、こういったものはコントロールできます。一方、コントロールがやっぱり難しい、結構配慮が必要なものもございます。例えば、依存症問題、これは慎重かつ広範囲な包括的なアプローチが必要と、こういうふうに考えます。二つの問題がある。
○参考人(渡邉雅之君) 私も美原先生と同趣旨でございまして、マネーローンダリングの問題、そういった犯罪による問題というのはかなり最小限にコントロールできるものと考えております。これは、実際にアメリカなどでもそういったことがいろいろな措置によって実現されていると。
ギャンブル依存症については非常に難しい問題というのは確かな点でございますけれども、ここについては、まさに日本で今現在放置されている依存症問題も、今回附帯決議にありますとおり、包括的に今後政府において考えていこうという先駆けになるところでございます。そういった意味で、非常に、是非推し進めてほしいなと先生方には希望するところでございます。
○参考人(新里宏二君) やはり、一番懸念されるのは依存症のところでありまして、結局、シンガポール型の制度を持ってくるんだというふうに説明されていますけれども、シンガポールではそれがうまくいかなかったから新しい、非常に厳しい入場規制を掛けているわけですよね。そこらのところをどうするのかということが全く提案者側から説明されていない。きっと、その入場制限についてここまで議論がされてこなかったのではないかなというふうに思います。そこが一番この法律を作っていく基本の基本のところなんじゃないかなと、そこが全く欠落しているんじゃないかなというふうに思います。
○参考人(鳥畑与一君) 発言させていただきます。
オーストラリア政府の生産性委員会というのが二〇一〇年にギャンブリングという報告書を出しています。そこで、ギャンブルというのは、偶然性に対してお金を賭けてもうけようと思って、最後は期待を裏切られて、要するに負けて終わるゲームであるというふうに言っているわけですね。
そうしますと、こういうデフレ、で、我々、貧困格差社会をどうするんだというときに、国民からいろんな幻想を与えて負けさせると、サミュエルソンが言うように所得格差を拡大していくと、ますます貧困な人を増やしていく、こういった政策が何で成長戦略なのかということは全く私はもう理解できないわけです。
○山本太郎君 ありがとうございます。
続いて、お聞かせ願いたいのが二点あります。御存じなければお答えいただかなくて結構です。ありがとうございます。
東京都が平成二十六年作成いたしましたIRに関する調査業務委託報告書を見てみると、日本の御近所にはカジノの設置国、幾つも存在します。先ほどもこのような議論があったと思います。韓国十八か所、フィリピン三十二か所、香港十八、マカオ四十六、ベトナム五、カンボジア二十九、マレーシア一、シンガポール二、ミャンマー四、ラオス三などです。既に飽和状態と言っていいと思うんですけれども、近隣諸国で観光客、利用客、奪い合うことにつながらないかなと。先ほど、IR施設というものがあるんだから、カジノだけで引っ張るものじゃないというお話があったと思うんですけれども、これ共倒れということもあり得るんでしょうか。それが一点。
そしてもう一点、周辺国にカジノ設置国が存在している状況で、ほかと差を付けなければいけない。それはIRの話ではなく、カジノに限定してお話を聞きたいんですね。
ほかと差を付ける。ほかと差を付けるようなことがなければ、わざわざ日本を選ばないかと思うんですね。IRとしてではなく、カジノと、カジノに限定してお聞きしたいんですけれども、そのときに考えられるカジノについてほかと差を付けるためのサービスにはどんなものがあるでしょうか。IRではなく、やっぱり日本にカジノしに行きたいんだと、そう思わせるようなものって、ほかとサービスを付けるためにどんなことが考えられるでしょうか。
○委員長(難波奨二君) どなたに。
○山本太郎君 済みません、順番に。御存じない方はそのまま流していただいて、次の方に行っていただいて結構です。お願いします。
○委員長(難波奨二君) じゃ、美原参考人。
○参考人(美原融君) 確かに、数の上ではアジアにたくさんのカジノが出てきますが、全部同じじゃございません。ほとんど小さなものも今の勘定の中に入っています。全く外国人が行かないようなのも入っています。極めて地域閉鎖的に、外国人なども来ないのもございます。そういった意味においては、日本がアジア域内においてどういう競争力を保てることができるのかというのは、残念ながらカジノ以外の含めた様々な日本にとっての魅力というものをどういうふうに発信できるのか。会議場としての魅力あるいは観光地としての魅力、そういったものをIRとともに発信できるかに懸かっているのではないかと思います。
二つ目の御質問は、カジノに限っていかがかと、こういうふうな非常に難しい、かつ微妙な御質問でございました。
ただ、カジノに来ても、例えばサービスとして観光旅行がセットになる、あるいはVIP待遇という形でサービスを良くしてカジノ外の魅力を付加することによって、逆にカジノに行きたくなる、こういうこともあるのではないかと思います。お金の問題じゃございません。日本が醸し出す様々な魅力をどういうふうにVIPとか富裕層に提供できるかというのは、カジノもあってしかり、でも、ほかのもの一緒だったらもっといいよね、こういう差別化ができるんではないでしょうか。
○参考人(渡邉雅之君) 一点目のアジア市場が飽和ではないかという点でございますけれども、ここは、やはり先ほど申し上げたとおり、マカオなどでなかなか収益が落ちているよと。とはいいながらも、マカオ自体もそのカジノがなかった時代に比べれば当然、IR施設がなかった時代に比べれば当然伸びている、要は全体の収益が伸びているわけでございます。そういったところで、新たにそういった、日本において全くないIR施設というアイコンをつくることによって、そこに引かれて来る国際的な観光客、それから国内の観光客というものも増えると当然期待できるわけでございます。
二点目のカジノの自体の魅力というところ、非常に美原先生のおっしゃったように難しい問題なんですけれども、一つ考えられるのは、例えばシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズのカジノって非常に面白いんですね。タコつぼ型というか、もう何層にもわたって下の、壮大な建物にカジノ場もなっているんです、闘牛場のような形。そういった、やはりカジノ施設内についても非常にアトラクティブな形にするということも一つの魅力を持たせる要素なのではないかと考えております。
○参考人(新里宏二君) 私自身は、共倒れ理論は取らないと言ったら変ですけど、何かというと、今回日本のカジノ解禁というのは、日本人の金融資産が当てにされているんだ、ですからもう飽和でもここに、日本に来るというのはまさしく日本の個人の金融資産、一千六百兆以上と言われている、そこが狙われているんだというふうに思っています。だからこそ、規制がなかなか掛からない、いわゆる入場規制等が掛からない、だからこそ依存症の問題になったり、日本の資産が海外に流出するという問題又は高齢者の問題につながっていく、そのような理解をしています。
もう一つの点は、よく分かりません。カジノの魅力は少し分かりません。
○参考人(鳥畑与一君) 発言させていただきます。
まず、全くないときよりはましだと、先ほども議論はありましたけれども、やっぱり江原ランドにしろ、ラスベガスにしろ、それ以外のやっぱり選択肢がなかった、カジノしかもう地域振興の策がなかったというところでやったところが多いわけですね。だから、そういったところは確かにゼロよりはましでしょうという議論は成り立つと思うんですけれども、果たして日本はカジノしか選択肢がないんですかということかなというふうに思います。
私は、マカオとかシンガポールの高収益を支えているアジアの富裕層マーケットはもう飽和状態であると。したがって、新しいマスマーケットも含めて一生懸命開拓をしようとしているんでしょうけれども、とはいえやっぱりメーンは日本のマーケット。CLSAという香港の投資銀行が、何で日本で四百億ドルのマーケットが成り立つかといえば、日本の経済力の大きさ、可処分所得の大きさ、そこの使い道が、中国人と同じぐらいの割合で使えばこれぐらいのマーケットになるだろうということなわけですね。
一方で、巨大な投資をしてくださいということで競争させますので、例えば在日米国商工会議所は、日本ではゲーミングタックスは一〇%以下にしろと、余り高くすると投資する魅力がなくなりますよということでやっているわけですね。それがあってかどうか、納付税というような形でそこが非常に曖昧にされているということかなというふうに思っております。
差別化については、私もよく分かりません。私も三か所ぐらい行きましたけれども、結局やるときは同じゲーミングじゃないかと、ギャンブルじゃないかと思っております。
○山本太郎君 ありがとうございました。結局、観光客はどうだ、海外から来る人たちがどうだという話になったとしても、結局この国に生きる人々が草刈り場として提供されるおそれがあるという、最後に御発言いただいた二人の参考人の方々にちょっと同意いたします。非常に問題があるなと。
二点お聞かせいただきたいんですけれども、日本にカジノが設置される場合、恐らく関東、関西の大都市に一か所ずつ、後に地方にも設置されていくようなイメージかと思うんですけれども、大都市以外にカジノが設置された自治体の経済活動は今まで以上に活発になり、地元で飲食店などを営む中小零細規模の事業活動にも効果が広がるんでしょうか。
そして、もう一点。カジノ設置自治体だけではなく、その周辺自治体にも経済的な波及効果は期待できるんでしょうか。これに関しては、美原先生と鳥畑先生、よろしくお願いいたします。
○参考人(美原融君) 大都市以外に設置された場合いかがな効果があるかと、こういう御質問でございました。
幾つ、どういう場所に設置するかというのは、恐らく実施法の中で詳しい設置判断基準みたいなものが設けられるというふうに了解しておりますので、果たして本当に地方にできるのか。一応地方にできるという仮定での御質問ということでお受けさせていただきたいと思いますが、もちろん、何もないところにこれができて、夢のような、ラスベガスができるなんということを考えちゃいけません。恐らく理論的に、一般的に言えることは、一定の観光として観光需要があって、これをもう少し伸ばしたい、あと、例えば三百万人、年間お客が来て、あとこれを百万人伸ばしたい、もう少しこういうコンベンション施設があればお客をもっと増やすことができるとか、恐らく一定の観光資源がある地域で、それをもっと強化できるような都市群は非常に潜在性が高いと思います。何もないところにこんなものをつくっては、私は効果は薄いと思いますね。やはり潜在的に観光都市、観光資源があるところで、その観光資源とフィットするようなIRを考えてみた場合大きな効果が想定されるのではないかと、こういうふうに考える次第でございます。
二つ目の質問でございますが、何でございましょうか、ごめんなさい。
○山本太郎君 済みません、失礼しました。
カジノ設置自治体ではなく、その周辺自治体にまで経済的な効果というのは及ぶんでしょうか。
○参考人(美原融君) いわゆる経済効果というのは、スピルオーバー効果というのがあると思います。一定地区、例えば地方の観光都市に行っても、そこにずっといるわけではございません。やはり回遊効果、一定のところへ行くと、例えば北海道なら北海道、あるいは沖縄、九州でも結構でございますが、観光客というものは、あるいはエンターテインメント客というものは、必ず一つのところにおらずに様々に回遊しながら遊ぶという、こういう性向がございますので、地元の観光資源が複数ある場合、大いにスピルオーバーエフェクトというものが期待できるのではないかと、こういうふうに思っております。
○参考人(鳥畑与一君) 東京、大阪の大都市部に関しては、アトランティックシティーで元経営者の方に聞いたときは、東京は絶対にもうかると、これは本当にもう確信を持って言っておりました。ここは本当においしいマーケットなんだろうなというふうに思っております。
では、地方型IR型カジノが魅力があるのかと。CLSAは二十四億ドルぐらいのマーケットが生まれるというようなことを言っておるわけですけれども、じゃ具体的に北海道であるとか秋田であるとかハウステンボスでありますとか、あの辺りの少し検討させていただきましたが、やはり北海道にしろ秋田にしろ、多分、北海道、東北六県でこれぐらいの人口がいて、周りからこれぐらい来て、これぐらいのお金を落としてくれればこれぐらいのマーケットになるという計算ですね。結局、国際空港等のアクセスがなければ外国観光客は来ないわけで、結局地元客中心になると。
そうしますと、アメリカでなぜカジノを合法化する州が増えたか。マサチューセッツ州が直近では一番、二十四州目なんですけれども、ここは隣の州のカジノに客を奪われていると、税金を取られていると、それを取り返せということで合法化に踏み切ったわけなんですね。まあ、私はカニバリゼーションと言っているんですけれども、共食いですね。
ですから、地方でつくります。食う側に回るところは何かしらのメリットがあるかもしれませんが、食われる側の地方自治体になった場合は、これはもうたまったものじゃないだろうなということで、これが本当の意味での地域振興になるのかということは大きな疑問と思っております。
○山本太郎君 済みません、鳥畑先生の資料の中にもこのカニバリゼーション、そしてコンプなどについても書かれていたと思うんですけど、ここら辺をもう少し詳しくお聞かせ願っていいですか。
○参考人(鳥畑与一君) いわゆるコンプと言われるサービスについてどれぐらいカジノがやっているかという資料がなかなか見付からないんですが、アトランティックシティー、ニュージャージー州の場合はかなりきっちり情報を公開をしておりまして、今日は例えば表十六という形で、ただ、ボルガタという場合ですね。カジノ収益が六億二千万ドルぐらいある中で、そこに販促控除とありますけれども、いわゆる部屋代、食事代、飲み代、ゲーム代、現金贈与、娯楽、小売、その他、お客さんに対するサービスで、あっ、これはそうか、二億か、二億一千七百八十一万ドルぐらい使っているわけです。
これぐらいギャンブルのもうけでいろんなサービスを安くしてお客さんを引っ張ってくるということをやるわけですね。で、その結果、そういうふうに地元でこういうギャンブル収益を当てにできないレストランであるとか宿泊施設はどんどん潰れていくわけで、私がアトランティックシティーで聞いたのは、地元のあるホテルが、とてもやっていけないのでカジノのライセンスを取ろうとしたけれども拒否されて、結局潰れちゃったというようなことなんです。やっぱりカジノのビジネス使用、このコンプというのは非常に怖いなというふうに思っております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
話を少し変えようと思うんですけれども、国会審議で依存症の話になると、今日もそのような議論があったんですけれども、治療とか相談体制の必要性というものは認めながらも、今存在する依存症はカジノによってつくられたものではないというような空気が流れるんですね。パチンコや公営ギャンブルなどと比べて、このカジノでは依存症がそこまで増えないというふうにお考えになるでしょうか。これは鳥畑先生と新里先生にお願いできますか。
○参考人(鳥畑与一君) 発言させていただきます。
今日お配りした資料の表の十二のところで、これはシンガポールのNCPGが出した結果なんですね。オーストラリアの生産性委員会もやはり、カジノは既存のギャンブル、例えば宝くじであるとか競馬等に比べれば依存症を誘発する危険性が高いというふうに言っているわけですね。
したがいまして、先ほど美原先生からもパチンコとスロットはかなり質が違うと、その側面はあるわけですけれども、ただ、ギャンブラーというのは、お金を賭けてより高い勝ち金といいますか、ある意味刺激を求めて行くわけですので、要するに、今、スロットにしろカジノの場合に、射幸性といいますか、賭け金の制限がされるのか、ないのかといったときに、パチンコ以上の、要するに無制限の射幸性がそこに与えられた場合にはやっぱり相当そこに行くんじゃないか、その場合に既存のギャンブル依存症プラスアルファ新しいギャンブル依存症者が生まれてくるんだろうというふうに思っております。
○参考人(新里宏二君) パチンコの依存症患者の多さというのは、身近にあるということだと思います。じゃ、カジノだと遠くにあるからどうなのかということですけれども、やっぱりゲームの仕組みからすると非常に遊技性が高いという意味では、いわゆる、そばにはないんだけれども、依存症についてはきちっとした対策を取らないと、入場規制とかしない限りは非常に大きな問題になってくるのではないかなと。そばにないからいいよということではない。
実は、僕もシンガポールに行ったときに、セントーサの方に行ったときに、中国系の高齢者がバスでどんどんどんどん来るんです。そして、地下のカジノ場に行くわけですが、非常に高齢者が多いんです。だから、高齢者の最後の、高齢者になってから被害を受けてしまう、ただ大変なことになるのではないかという危惧は持っております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
本当にたまったものじゃないですね、今のお話を聞いていたら。要は、外資系が参入してきた場合に、ただ草刈り場にされて、それで得た収益というものは日本に再投資される可能性というのは非常に低いと、そういう話だと思うんですね。
とにかく依存症に関しましては、もう既にそういう状態があるわけだから、もちろん税金でという話もありますけれども、それぞれのギャンブルから生まれた収益からされるべきだと。もちろん公営ギャンブルとかもありますけれども、パチンコ、スロットの年商、年商だけでもおよそ二十兆にも上ると、だとするならば、そこからしっかりとさせるべきだと思うんですね。
最後にお聞きしたいのが、新里先生に、当事者にもいろいろ関わりがある方だと思うんですよね。何かエピソードみたいなものがございましたら、是非、依存症の方のエピソードを是非聞かせてください。
○参考人(新里宏二君) いろんなのがおりまして、意外に、最近受けたのであれば、学校の先生が依存症になってやっぱり何度も借金をつくるんです。家族の危機を迎えて私のところに来て、何とか自助グループのところにつないで、何とか債務整理ができたり家族が守られたというのがあって、いろんな人、いわゆる特殊な人が依存症になるんじゃないかと言っているんだけど、そうではないんです。身近にいる人たちがみんな依存症の危険性を持っているんだということを踏まえた対策ということを考えていかなきゃならないのかなと思いました。
以上です。
○山本太郎君 時間が来たので終わります。
ありがとうございました。
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