国会活動
2017.4.24 決算委員会「農家の被ばくを華麗にスルーする国」
2017年05月09日
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資料②=資料② 東京電力福島第一原子力発電所の周辺県での農作業の安全性の確保等のための技術指導について
資料③=資料③ 政府・東電 申し入れ書 2017.4.26-1
資料⑤=資料⑤ 放射線管理区域の土壌汚染
資料⑥=資料⑥ 福島県農民運動連合会「県北定例土壌検査結果 2016年度」より
○山本太郎君 ありがとうございます。自由党共同代表、山本太郎でございます。自由・社民の会派、希望の会を代表いたしまして質問をいたします。
その前に一言だけ。
昨日は皆様どのような時間を過ごされたでしょうか。地元に帰られた方もいらっしゃるかと思います。私は、新宿で行われましたデモといいますかウオーキングに参加をいたしました。そのウオーキングの名前は、トカゲの尻尾切りでは終わらせない、アッキード、祈りのウオーキングという名前のウオーキングに参加いたしました。
要は何なのか。もう名前そのままです。昭恵さんを国会の証人喚問に呼べという市民の皆様が開催をされた。迫田さんを呼んでくれよと、どうして政治は勝手に蓋だけして、その先追及しないんだという話をウオーキングで表すようなものだったんですけれども、意外だったのが、意外だったというのはおかしいですけれども、町中の人たちが、その歩く人々を見ると手を振るんですよね。いかにこの国にいらっしゃる方々が、この件に関して不完全燃焼といいますか、事実を政治が伝えようとしていないという姿に憤りを持っているかということが非常に分かりやすい形で見えたなという感想を持ちました。
まあそれはそうですよね。人生を懸けて証人喚問に来ていただいた籠池さんは負債を何十億も抱えるような形になった。その一方で、神風を吹かせたと言われる関与が疑われる御夫人はフェイスブックも再開なされて、桜を見る会ではハイテンション、これは余りにも不公平だろうと。片方だけ出て、もう片方は呼ばないのかというのはあり得ない話だと。
我が会派でもずっとお願いをしております。森友学園の国有地格安払下げ問題、これは国有財産の管理に関する問題ですから、まさにこの決算委員会こそがやらなきゃならない課題である、大きな任務があると。参考人招致どころか、もう証人喚問ですよね。どちらでもいいですから、とにかく呼んでください、話を聞かせてください。当委員会での集中審議、証人喚問も含めて、まずは要請をさせてください。
○理事(松下新平君) 後刻理事会で協議いたします。
○山本太郎君 ありがとうございます。
それでは、本題に入っていきたいと思います。
東電原発事故により広い範囲にばらまかれた放射性物質、この影響から人々の健康を守ることは国の責務です。食の安全、生産者の安全は守られているのか。
原発事故後、食品の放射性物質の暫定規制値、一キロ当たり五百ベクレルからスタート、野菜、穀物、肉、魚など、現在は一キロ当たり百ベクレルです。この基準値で人体への影響がないということは言い切れません。なぜなら、その基準値以下の農作物を何年も食べ続けたグループとそうでないグループを何年にもわたり比較し、人体にどのような影響があったかを分析した医学的、科学的臨床データはそもそも存在しないからです。つまり、科学的判断に基づくものではなく、政治的判断が色濃い数値を基準にし、安全と採用したものがこの数値です。
お聞きします。生産段階で放射性物質が農産物に移行するのを防ぐため、どのような取組を行っていますか。
○政府参考人(鈴木良典君) お答えをいたします。
土壌中の放射性物質の農産物への移行防止には、土壌中のカリウム含量を高めることが効果的なことが明らかになっております。このため、農林水産省では、福島県営農再開支援事業などによりカリ質肥料の施用への支援を実施しているところであり、避難指示等により作付けが制限されている地域や山間部で水稲などの作付けがない地域を除き、全市町村でカリ質肥料を施用しているところであります。
これらの対策や時間経過による放射能の減少などにより、例えば米については、平成二十七年産及び二十八年産では基準値を超過するものは一袋もありませんでした。
今後とも、こうした支援を通じて、福島県産農産物の安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。
○山本太郎君 打合せでは、カリウム、カリということだけで結構ですと、その後は私が説明しますということをお伝えしたんですけれども、丁寧に説明していただいたことを感謝したいと思います。
今お答えがあったカリ、つまりカリウムは、セシウムと近い性質で、カリウムを畑にまくことにより、農作物が根っこからセシウムを吸収するよりも先にカリウムを吸収すると。ですから、今おっしゃったように、ほとんど検出されない状況であったよということをお伝えいただいたと思います。セシウムが農作物に移行するのを軽減すると。ほかにもゼオライト、空洞の多い天然鉱物の粒子で、この空洞の中にセシウムを吸着することができ、農作物が根っこからセシウムを吸収するのを妨げたり、土壌の回復に役立つと、以前農水省から説明を受けました。
放射性物質の吸収抑制対策分として、これらの取組、福島県では二十四年度から二十九年度まで約七十七億二千三百八十三万円、こういう事業になっていると。カリウムやゼオライトによって放射性物質が農作物に移行することを低減させる取組は確かに行われています。
その一方で、食物に移行しなかった放射性物質はどこに行くんでしょうか。依然、畑や田んぼ、いわゆる圃場に存在したままなんですよね。カリウムやゼオライトにより食物に放射性物質が入ることを軽減できても、生産者が働く土壌には依然放射性物質が存在し、生産者が日々その職場である圃場で被曝を続ける。
農家の皆さんが汚染にさらされている事実に政治は無視を決め込むんでしょうか。元々問題ない程度の汚染だろう、生産者には関係ないよなど、間違ってもおっしゃらないでください。だったら、元々カリウムもゼオライトもまく必要ありませんから。
本日のテーマ、東電原発事故によりばらまかれた放射性物質による農業生産者の被曝についてです。
厚労大臣、放射線を扱う労働者を電離則で守られるよう事業者に対してルールがあるのはどうしてでしょうか。三十秒以内でまとめていただけると助かります。
○国務大臣(塩崎恭久君) 電離放射線障害防止規則、いわゆる電離則では、電離放射線を受けた労働者が白血病などのがんや皮膚障害などを発症するおそれがあることから、これらの健康障害を防止するため、事業者に対して被曝管理や健康診断などの措置を義務付けているところでございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。事業者が働く人々を守るという規則を厚労省が所管されているということでよろしいですよね。
厚労省、もう一つお聞きします。一平方メートル当たり四万ベクレルの汚染は、電離則や原子炉等規制法で言う何に分類されますか。
○政府参考人(田中誠二君) お答えいたします。
放射性物質の表面密度が一平方メートル当たり四万ベクレルを超えるおそれのある区域で放射線業務を行う場合には、当該区域は電離放射線障害防止規則に基づく管理区域ということになります。
○山本太郎君 ありがとうございます。一平方メートル当たり四万ベクレル、これは放射線管理区域だよというお話でした。
事業者は、電離則により、放射線管理区域などで働く労働者を守らなくてはなりません。その内容が十分であるかはおいておいて、電離則とは一般的に、事業者が放射線管理区域で働く人々の被曝を管理し、健康状態などもチェックするという規則。一平方メートル当たりで四万ベクレル、これは放射線管理区域。これを超える汚染の中で農家に作業をさせているのが国の実態です。
農水副大臣にお聞きします。福島県内の営農再開、農業を再開していい基準、何なんでしょうか。
○副大臣(礒崎陽輔君) 山本委員にお答えいたします。
避難指示区域における営農再開については、内閣府において考え方が示されており、避難指示解除準備区域等において営農活動ができることとされております。
また、営農活動を行うに当たっては、農業者の安全を確保するため、厚生労働省の除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン等に基づいて行うこととされております。
なお、品目によっては出荷制限や作付け制限等が掛けられており、まず試験栽培により農作物の安全確認を行う必要があることから、福島県営農再開支援事業により試験栽培の支援を行っているところでございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。
避難区域などの解除のみがほぼ営農再開のオーケーのサインだと。もちろん、ほかにもおっしゃいました。例えば五千ベクレル・パー・キロ以上であれば作付けができないとかというようなルールもありました。
でも、基本的には、避難区域などの解除をもてば営農の再開は可能であるというお話だと思います。航空機モニタリングで測定を行っていますからね、その後、地上の三百八十四地点も測定したんですよ、最近、みたいな。避難指示区域にあったのがそのうち百二十、このうち四月で解除になったのが百十二。かなり広い範囲で再開が可能になったという話だと思います。でも、これ、航空機により二キロメッシュの測定、二キロのメッシュですよ。その後、地上を幾つか測るといったかなりざっくりした話なんですよね。これ大丈夫なんだ、問題ない、内閣府、政府が決めたからと農水省は言うんですけれども。
資料の六、済みません、前後して資料が。資料の六、福島県農民連の方々が実際に土壌の測定をした結果のデータがございます。農民連です、福島県。
〔理事松下新平君退席、委員長着席〕
これは、二〇一六年四月と五月、百六十二か所の果樹園を測ったところ、一か所を除いた全て、一平方メートル当たり四万ベクレルを超える放射線量だったそうです。表の真ん中、黄色い部分、これは一平方メートル当たりの汚染を表しています。一番右、薄緑の部分が空間線量です。例えば一番上を御覧ください。伊達郡国見町を御覧いただくと、空間線量が〇・二一マイクロシーベルト毎時、そんな場所でも実際土壌を測ると十七万六千三百ベクレル・パー平米の汚染だと。
この資料のほかの場所を見てみても、たとえ空間線量が低くても、放射線管理区域の一平方メートル当たり四万ベクレル、大きく上回る桁違いの汚染、数多く存在することが確認できるんですよね。空間線量だけでは安全の要件にはなり得ないこと、空間線量とともに土壌汚染も調べなければ意味がないことがはっきりとお分かりいただける資料だと思います。
ごめんなさい、農水副大臣、このデータを御覧になって、短く感想いただけますか、どう思われました。
○副大臣(礒崎陽輔君) お答え申し上げます。
この土壌放射能、真ん中の黄色いところは、先ほど御質問にありました管理区域、すなわち放射線源が一定の場所に管理された状態で存在する場所とか屋内の作業場に適用される基準でございまして、我々、農地につきましては除染電離則の方が適用され、放射線源が点在しており、管理不能な場所と主に屋外作業に適用される基準によりますと、その右のところでございますが、一万ベクレル・パー・キログラム超の土壌等の取扱いであるとか、あるいは空気線量が二・五マイクロシーベルト・パー・アワーを超える場所という基準でやっておりまして、御指摘のその右の二つの基準で今適用しておって、我々は作業ができるというふうに考えてございますので、その管理区域の話と除染電離則が適用されるところで場所が違うということは申し上げておきたいと思います。
○山本太郎君 全然答弁になっていないんですよ。何を言っているか分からない。キログラムと平米が違うからというお話ですか。私たちは、一万ベクレル、ほかに空間線量の二・五マイクロということで除染の電離則を適用しているからという話ですか。まず、農業者が除染の電離則でというここのカテゴリーがおかしいということに、まず農水省が言わなきゃおかしいでしょうって。それを準用しているということ自体がおかしいじゃないですか。短くと言ったのに、時間を返していただきたい。
この先行きます。
ちなみに、この調査結果で、百六十二か所中百六十一か所が放射線管理区域以上、つまりは一平方メートル当たり四万ベクレルを超えていたって。しかも、これが調査された地域のほとんどが福島県の中通りなんですよ。福島県の中通りって、ほとんど避難区域とかに指定されなかった場所ですよね。中通りでの調査なんですよ、農民連による。この百六十二の場所の選定は、わざわざ高く出そうな場所を狙ったわけではなくて、単純に農民連の会員の圃場、果樹園を、福島市、伊達市、伊達郡国見町、桑折町でランダムにやったと。
このデータを提供していただいた農民連の会員の方、この四万ベクレル・パー平米を超えるところ、どういうエリアなんだよ、何度も環境省や厚労省に聞いても、放射線管理区域などは原発やレントゲン室、研究室など特定の限られた区域の中だけで想定されていますので、たとえ数値がそうであったとしても、皆さんのいらっしゃるところは放射線管理区域とは呼ばないんですというやり取りをこの間ずっと繰り返しやっているって。いいかげんにしてください、うんうんじゃないんですよ。そういうやり取りをさせていること自体がおかしいじゃないかって。
結局、空間線量が低くてもやっぱりベクレルで見ないと本当の汚染はなかなか分からない、そうおっしゃるんです。四万ベクレル超えると移住の権利を与える国もあると、なのに、何の防護もせず、何の権利もなく、ただ放置されているというのはいかがなものか、これは権利侵害にもなるんだろうと我々思っているわけです、そのように淡々とお話しくださいました。
果樹園というのは、表面では計測する線量高く出るそうですね。これが田んぼや畑になると、耕うん、耕起する、土をこう混ぜることによって、十五センチから二十センチくらいの深い土と表面とを混ぜ込んでしまうと。要は、果樹園にも田んぼにも同じように放射性物質が降り注いだとしても、表面で計測できる線量だったりベクレルというのはどうしても低くなるのが田んぼや畑だと。要は、表面の汚染としては田んぼや畑では深い土と混ざり合い汚染が薄まるということですよね。
今回のデータは果樹園中心なんですけれども、農民連の皆さんは水田についても福島県の全域をやっていると。そのデータには個人名や住所まで全部入っちゃっているので、今回は、ごめんなさい、送れないんですけれども、中身を紹介すると、浜通りを抜かして九百三十五か所、計測のデータがあると。うち、七百六十三か所が四万ベクレル超え、放射線管理区域以上だって。水田は先ほどお伝えしたとおり耕起していますから、上と下、土は混ざっているんだけれども、中通りは調査したほとんどの地区の水田が四万ベクレルを超えるエリアだと。これ、ほっといていいんですかね。そんなものなんですかという話ですよね。
これ、はっきり言って、こういう地域で働かれている、農業されている方々、逆に言えば、原発の施設内とかで働いた方が安全だという話ですよ、事業者にもちゃんと健康管理してもらえるし。自己責任でやらせているんですよ、国はこういうことを。農水省、どうして変えようとしないんですか。使い捨てなんですか、農家の方も。
お聞きします。放射線管理区域と同等又はそれ以上で営農する農業生産者はどのような規則、法律で守られていますか。もう既に、先ほど副大臣の方からお答えいただきました。ここは私が言いますね。あっ、違うな。ごめんなさい。今のこの問いに対しては答えてください。先ほど除染の電離則がありましたけど、それとは別です。どのような規則、法律で放射線管理区域同等又はそれ以上で営農する農業生産者は守られますか。
○政府参考人(田中誠二君) まず、労働者について申し上げます。
農業に従事する労働者については、事故由来の放射性物質が拡散した地域において、一万ベクレル毎キログラムを超える土壌であれば除染等業務、それから、一万ベクレル毎キログラムを超えない業務でも平均空間線量率が二・五マイクロシーベルト毎時を超える場合であれば特定線量下業務として除染電離則を適用しております。
○山本太郎君 副大臣言ったじゃないですか、今の話。もう自分で言ったじゃないですか。何でそんな訳の分からないこと答えるんですか。
農業法人で働く人々はいわゆる電離則、除染電離則で守られる可能性がある、そういう話ですよね。で、それ以外の人たちというのは特にないと。じゃ、法人で農業をやっている方、そこで雇われている方、農業法人で働く人々というのは守られる可能性あるけど、個人経営で農業をやられている方々は守られようないんです。
これ聞く予定でしたけど、もう時間がないんで自分で答えますね。個人でやられている方、圧倒的に多いんですよ。法人化していない家族経営は九八・四%、福島県で。それぐらいですよね。法人化していない組織経営は〇・四%。合算したら九九%近くの農家の皆さん、法人じゃないんだって、個人で農業を営んでいるって。これ言っている意味分かりますよね。事業者からも守られない。自己責任でやらせているじゃないですかって。いいんですか、こんなことやらせていてって。国で犯罪みたいなことをやっているじゃないですか。
一方の法律では放射線管理区域でしっかりと管理されなきゃいけないというルールの下に原発とかいろんなところでは守られていながら、農業者はほったらかしですか。本当に何て言えばいいのか分からない、こんなの。こんなの国ないのと一緒ですよ。無政府状態って言いません、こういうの。
先に進みます、もう時間がなくなってきたので。
厚労大臣、お願いしたいんですよ。電離則で労働者を守っているじゃないですか。事業者に守りなさいということを言っているじゃないですか。このような形で農業者の方々がそのままにされておくなんてあり得ない話だと思うんですよ。電離則を所管する大臣として、これは大臣が勧告するということを他省庁に対してもしていただきたいんです。
その中で何を込めていただきたいかということなんですけどね、一枚一枚の圃場を丁寧に調べる。航空機モニタリングとかそういう話じゃない、一つ一つを、それを是非勧告していただいて、それだけじゃなく、中山間地域のような条件が不利な場所と同じような形で、賠償といったら難しいかもしれないので、そういう形をもって、そういう話合いをいかにこの人たちに対して賠償していくのかということを、そういう裏ルートを使いながらみんなで考えていただきたいんですよ。是非勧告していただけませんか、関係省庁に対して。お願いします。
○委員長(岡田広君) 塩崎大臣、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。
○国務大臣(塩崎恭久君) はい。
勧告権があるとは思いませんが、これは、私どもは、働く人たち、雇用者、まあ被雇用者といいましょうか、たちの放射能に対する安全を所管をしております。したがって、他の省庁とも連携をしっかりしてやってまいりたいというふうに思います。
○山本太郎君 済みません、まとめます。
連携できていないから今のような状況があると思うので、是非連携をしていただきたい。そして、今日来ていただいた各省庁の、というか各大臣、副大臣にお願いしたいんですけど、四月の二十六日にこの農民連の方々が東京にいらっしゃいます、都道府県会館四階で。是非、政務三役のどなたかを出していただきたいんです。よろしくお願いします。じかに聞いてください。よろしくお願いします。
ありがとうございました。
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