国会活動
2017.4.25 内閣委員会「人権侵害を防ぐ 法律もなく、 医療データを 企業に さしあげる話」
2017年05月18日
- カテゴリ
資料① がん患者団体と遺伝カウンセラーの協力
資料② 毎日新聞2015.3.31
○山本太郎君 ありがとうございます。
自由党共同代表、山本太郎です。自由・社民の会派、希望の会を代表いたしまして質問いたします。
通称医療データ法案についてお聞きします。この法案、五秒で説明しろと言われたら、一番センシティブな医療情報を業者に匿名加工させて医療ビッグデータとして利活用するものというふうになるのかなと思います。
詳しく聞いていきます。
本法案で、病院から匿名加工業者に提供される生データの医療情報、この中に個人の遺伝子情報も含まれるんでしょうか。
○国務大臣(石原伸晃君) 具体的にはどのような情報があるかという御質問でございますが、病名、検査結果、健診結果、画像、診断病名、レセプトなどなど、全ての情報を含むと解釈していただければと思います。また、医療機関などが検査などに伴って患者から取得する、今、山本委員が御指摘になった遺伝子情報なるものは患者から取得するわけでございますので、新法案に定義するところの医療情報に含まれます。
こうした医療情報を個人が識別できないように、これもずっと御議論のあったところでございますけれども、匿名加工して医療分野の研究開発に利活用することを目的としているというのが本法案の目的でございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。匿名加工するから心配しないでという大臣からのお言葉も添えていただきました。
国連教育科学文化機関、ユネスコでは、研究の重要性はあるけれども、遺伝子情報により個人を差別してはならない、特に個人情報の収集に当たってはその管理をしっかりすべきであり、潜在的な危険性を十分理解すべきであると、個人の遺伝子情報による差別をしないとする宣言を九七年、二〇〇三年、二〇〇五年に採択。
それらの宣言での日本の立場、教えてください。
○政府参考人(板倉康洋君) お答えいたします。
今先生から御指摘いただいた三つの宣言でございますが、いずれも日本を含みます全会一致により採択されているというふうに承知しているところでございます。
○山本太郎君 ありがとうございます。これを答えていただくのに、文科省なのか外務省なのか内閣府なのかということで夕べは随分もめていたみたいなので、余りこの件については触れたくないのかなというふうにもこちらは思ってしまいました。ありがとうございます、文科省からということですよね。
本法案では個人の遺伝子情報も取り扱う想定であると。一番の問題、情報漏えいです。それに関して最も危機感を持っておられる方々が遺伝性、家族性の病気のリスクを抱える方々。親や先祖から引き継いだ遺伝子、DNAに変異があるために、今は発症していなくても将来病気になるリスクを抱えている。それに加えて、医療情報の利活用で遺伝情報が漏えいしてしまったら、不当な差別、就職などへの影響などなど、心配は尽きません。
本法案の第二条では、当該個人又はその子孫に対する不当な差別、偏見、そのほかの不利益が生じないようにその取扱いに配慮を要すると定義しています。事前に省庁に連絡しまして、子孫って私から見てどこからどこまでなんですかとか、私のいとこや、はとこは、入らないということなんですかと聞いても、答えはすごい曖昧なんですよ。ストレートにお答えいただきたいんです、このことに関してのみ。
子孫というカテゴリーには、私のいとことかはとこは入りますか、入りませんか。
○政府参考人(大島一博君) この法案の二条に定義規定がございまして、そこで言う子孫は、ひ孫など卑属を広く含む概念ではございますが、いとこやはとこは含まれないと解釈しております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
まあ卑属ですからね、直系の子や孫のことを言う、その先々のことを言う、横には広がらないんだということですよね。ありがとうございます。
資料の一、家系図、一番上、祖父ですよね、左側。祖父が病因の原因であるDNAを持っていると考えると。そのDNAは祖父の子である母やその先の本人に引き継がれる、これが子孫縦のライン。恐らく、答弁でよく言われている先ほどの広く含むというのは、この縦のラインのお話をおっしゃっていると。
しかし、この家系図の赤のラインですね、横に広がっていく、縦だけではなく横にも広がっていく、これは祖父のDNAを引き継ぐ血縁ですよね。この家系図で赤いラインでつながった範囲、その先にまで遺伝的な病因などが引き継がれる可能性が存在しているわけですよね。遺伝子情報を持つのは縦ラインの子孫のみならず横のラインにも広がる、けれども、本法案ではカバーできているようにはちょっと思えないんですよね。
情報漏えいを心配する当事者の方々が守ってほしい情報は、縦の子孫だけではなく、いとこ、はとこなどの横のラインだとおっしゃいます。本法案を御覧になった当事者の方々、一番におっしゃったのは、不利益を生じない範囲の明記を血縁者にしていただきたいということでした。守備範囲を広げてほしいという当事者の思いとは別に、法文は限定されてしまったような書きぶり。
そこで、私がこの後提出させていただきます修正案には、二条、定義の該当部分、子孫の部分に「等」を加えて、「子孫等」とさせていただきました。本当は血縁者と入れたかったんですけれども、血縁としてしまうと逆に範囲を狭めてしまう。血縁者というのが何なのか検討が不足しているということで、「等」にした方がいいと法制局にアドバイスをいただきました。考えてみれば、テロ等準備罪の等と同じ等ですから、かなり広い範囲を示すものと考えて、当然いとこもはとこも含まれるとし、ここに落ち着くことになりました。
第四条、基本方針では、二項三では、同じような内容の部分に関しまして、本人又はその子孫のところにその他個人と新たに付け加えていただきました。よって、本人又はその子孫、その他個人と衆議院で修正されたということですね。
この、その他個人というのは何なんでしょうか。先ほどの説明でいう横のライン、いとこ、はとこは含まれますか。
○衆議院議員(緒方林太郎君) 政府原案では、政府が定める基本方針において、「匿名加工医療情報の作成に用いる医療情報に係る本人の病歴その他の本人の心身の状態を理由とする本人又はその子孫に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないための措置に関する事項」について定めるものとされていますが、医療情報が匿名加工化されたとしても、例えば、一定の地域あるいは団体に特定の疾患が多いことが明らかになり、当該地域や団体に対する風評被害などの不利益が生じるおそれが想定され得るということでございます。
御指摘の、本修正で追加したその他の個人とは、このような一定の地域や団体に属する個人を念頭に置いております。一定の地域や団体に対する不利益がひいては当該地域あるいは団体に属する個人につながると考えられることから、こうした不利益が生じないための措置についても基本方針において定めることが適当であると考えた次第でございます。
○山本太郎君 いとこ、はとこという部分には入っていないけれども、風土病であるとか、その地域とかというところに気遣ったケアを衆議院で入れていただいたというお話だと思います。ありがとうございます。
当事者の声をお聞きください。リンチ症候群患者家族会の声です。
遺伝性大腸がんの一つであるリンチ症候群、遺伝性非ポリポーシス性大腸がん、ポリポーシス性大腸がんは、大腸がんや子宮内膜、卵巣、胃、小腸、肝胆道系、腎盂・尿管がんなどの発症リスクが高まる疾患です。全大腸がんの二から五%程度がリンチ症候群と考えられ、最も頻度が高い遺伝性腫瘍の一つとされ、日本全国に三十万人のリンチ症候群患者さんがいると推定されます。中には二十歳代前半で発がんし、就職先から解雇されそうになったところ、職場仲間の働きかけで何とか免れた若者もいるそうです。若くしてがんという悩みを抱えるだけでなく、治療による体と経済的な負担も大きくのしかかり、さらに就学、就職、婚姻などで制限や性別を受ける可能性があるといいます。
そのほかの声にも、胃、大腸、肺がんの闘病後、十二年前に父を、七年前に姉を診断から僅か三週間で亡くし、二年前には自分自身が卵巣がん、そして今年、姉が子宮がんを発病しました。これが遺伝性疾患の現状。自分が遺伝性と判明してからも病院では一般的ながんと同じ見解でしか診てもらえず、特別心の寄り添いなどはないと。根本的な治療法が確立していない患者さんたち。しかも、遺伝性の病気の場合、自分だけではなく家族や子供も同じような病気になる可能性が高く、不安はこれいかばかりかと思ってしまいますよね。
それに加えて、情報漏えいという心配まで加わるわけです。遺伝性の病気を抱える方々が恐れるのは、情報漏えいからつながる差別、それによる不利益。ヒトゲノムのDNA配列が明らかになり、個人の遺伝情報を利用した研究開発が活発化。新しい治療法が見付かる可能性に託して、研究や調査、開発には協力したい。けれども、もしデータの流出などの問題が生じたら。不安は尽きません。
厚労省の所管する法律、採用や雇用、労働契約の際、明確に遺伝情報や医療上の情報の取得の禁止や、遺伝情報を基に雇用や勤務上の不利な取扱いをしてはならないという条文ありますか。
○政府参考人(酒光一章君) お答えいたします。
現行の法律では、採用や労働契約など雇用の場面におきまして、遺伝情報ですとか医療上の情報の取得あるいは遺伝情報に基づく雇用上の不利益な取扱い、これらを明確に禁止する規定はありません。
以上です。
○山本太郎君 明確に禁止する規定はないと。解雇自体、それで禁止しているとかということでもないと。
個人情報保護委員会、流出した場合の人権侵害を禁止する法律ありますか。
○政府参考人(其田真理君) お答え申し上げます。
本年五月三十日に施行されます改正個人情報保護法においては、病歴や遺伝子検査の結果等の本人に対する不当な差別、偏見が生じないように、取扱いに配慮を要する個人情報を要配慮個人情報と定義いたしまして、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで個人情報取扱業者はこれを取得することが禁止をされております。
また、個人情報保護法におきましては、個人情報取扱事業者が第三者から個人データの提供を受ける際、その第三者による当該個人データの取得の経緯を確認する義務がございまして、かつ不正の手段により個人情報を取得してはならないとされております。このように、不正に流出したものなどの提供を受けることを抑制する規制が存在をしております。
また、個人情報取扱事業者は、取扱個人情報の利用目的を本人に通知又は公表する義務がございまして、本人の同意なしに、あらかじめ定めた利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱ってはならないとされておりますことから、本人に対して説明できないような目的に個人情報を利用することはできないルールになってございます。
仮に個人情報取扱事業者がこれらの規定に違反している場合は、当委員会といたしましては、報告徴収、立入検査、指導、助言、勧告及び命令を行うことができます。命令違反があった場合には罰則の対象となります。
○山本太郎君 流出した場合の人権侵害というか、人権侵害を禁止する明確な法律、いろんなものに対してちょっと規則的なことは書かれているけれども、明確なものというのは恐らくないと思うんですね。事前にやり取りさせていただいたときにはそのようなお答えだったんですね。法務省において救済制度があるからという、最悪それ使ってくださいという話だと思うんですけど、随分冷たい話だなという印象を持ったんですね。
先に進みます。
別に、遺伝性の疾患を持つ当事者側がお願いですからこれ利活用してくださいよ、どんどん、どうしてこれ早く進めないんですかということをお願いされたわけじゃないですよね、この法律。
結局、日本では、情報が漏れることを前提とした人権侵害を防ぐ法文、法律というのがなかなかないんじゃないかって。利活用の前にやるべき法整備あるんじゃないですかって思うんですよね。だって、漏れるに決まっているんだからって。
じゃ、漏れた後にどう人権侵害に及ばないかというための法律を先に整備してからその後利活用という当たり前の流れが日本では行われていない。
アメリカはどうか。アメリカでは、皆さん御存じのとおり、GINA法という遺伝情報の保護に特化した連邦法が存在すると。本人の遺伝子検査結果プラスいとこの子、さらには胎児、人工受精卵まで幅広い血縁者の検査結果や病歴も含め、これらの情報を基に事業者による遺伝情報取得の禁止、採用、解雇、昇進等に関する遺伝情報に基づく不利な取扱いの禁止が定められている。
EUでは、EU基本権憲章によって、遺伝的特徴に基づく差別の禁止、欧州評議会のオビエド条約では、遺伝学的地位に基づく差別の禁止や防止のための適切な処置をうたっている。
先ほど田村委員からもありましたとおり、具体的なことをやっていくということはもう次々に決まっていっていると。アメリカでもEUにおいても、遺伝子情報を差別の原因と明文化して位置付け、患者や御家族が不利益を被らないようにちゃんと法律でフォローされているんだって、利活用する前にこのような法整備整えているんだって、これこそ真っ当な手順じゃないかって。
海外では情報が漏れる前提で対応する、日本とは法整備のやり方が少し違うようですね。日本では利活用が先、利活用が始まったとしても、そうした法制定が今後なされるかどうかは分からない。今後、遺伝子分野における研究が加速していけば、病気と遺伝子の関係、今よりも解明されます。結果、保険分野における遺伝子による差別、つまりは遺伝子によって排除されることが増えていくんじゃないでしょうか。個人の遺伝子情報などをさっさと利活用することが目的になっているんじゃないでしょうか。先走る前に、待ち受ける人権侵害からいかに人々を守るのかという部分が少し抜け落ちているんじゃないかなということで提案させていただきました、修正案では。
附則第五条一項に加えさせていただいたのが、引き続き検討を行い、「その結果に基づいて法制上の措置その他必要な措置を講じるものとする。」と。本当はもっと強い文言だったりとかというのを入れたかったんですけれども、法制局、これが限界ですと言われてしまいました。でも、出さないよりかはいいだろうと思いました。
話を戻ります。
漏れることを前提に法案作り行われていますかということに関して、残念ながら、漏れることは考えたくない、若しくは漏れない努力をしますといった法案作りになっている気がします。現実を見詰めれば、漏れることが前提の法整備でなければ先々大変なことになるような事案であふれていませんか。膨大な医療情報、個人情報を取り扱うわけですよね。個人情報が漏えいすることは本当にないのか。
二〇一五年に起きた情報お漏らし事故の中で最もインパクトの強かったのは、五月発覚、年金機構の個人情報漏えい百二十五万件。厚労省の中でも、定期点検でも特に問題がないとされていた組織からの情報漏えいだった。官庁へのサイバー攻撃だけでも年間六百十三万件。さらに、医療情報のようなものが大量に集まるというところ、この認定業者ですか、加工するという、通常よりも多くの巧妙かつ大量の攻撃が集まると言わざるを得ません。しかも、生データいつまで持っているんですか、その人たち。
十九条関係の消去では、作成業者は利用する必要がなくなったときに消去しなければならないという話になっている。誰が判断するの、それって。特段決められているわけじゃない。じゃ、ずっと持っていますよ、普通。その上にどんどん情報も載せていきたいし、つながった情報が必要なんでしょうって。だとしたら、そんなところにサイバー攻撃が集中したときにはとんでもないことになってしまう可能性があります。世界有数の国民皆保険に加え、治療後に亡くなられた方も加わる超ビッグデータ、匿名加工を施す二から三の認定事業者に集積されているわけですから、ターゲットになることは容易に想像できる。
幾らサイバー攻撃対策などにもお金や力を注いでも全く効き目がないんだという事例を今から御紹介します。
原子力規制庁、ごめんなさい、もう時間がなくなったので私が勝手に説明します。平成二十七年三月三十日、情報漏れが起こりました。資料の二でございます。この情報漏れ、誰が知らせてくれたんですか。あるブロガーさんでした。ランサーズという仕事依頼サイトで、原子力規制委員会のロゴが入った五十ページにわたる原子力基礎研修テキストが誰でもダウンロードできる場所にアップされていることをブロガーさんが発見、その表紙には機密性二という文字。こんなものをクラウドソーシングで第三者に翻訳依頼出していいのかとその方は不思議に思って、原子力規制委員会に、こんなことになっていますけど大丈夫ですかと質問メールを出したと。そうしたら、翌日この件が新聞で報道されていた。
全くお粗末な話なんですけれども、おまけに、通報者に対してお礼の一言もなかったんですって、これだけのことを教えてくれたのに。これ、規制庁、本当に通報者に対して虎屋のようかんでも持って、ありがとうございましたと今からでも言いに行くべきだと思いますよ、私は。
規制庁は、流出したのは機密情報を含むものじゃなかったと言っているんですけれども、問題はそこじゃないんだって。そんな形で資料が流出したことが問題なんだって。これ、ほかの省庁でこんなことは起きない、絶対起きないと断言できませんよね。
本当に、いろんな遺伝性の病気を抱えた方々がいらっしゃいます。例えば、遺伝性の乳がん、卵巣がんの症候群の方。当事者の話ですけど、これ、アメリカの女優のアンジェリーナ・ジョリーさんも同じような病気だったんですね。要は、予防措置として乳房を切断された、がんのために両方切断されたんです。要は、もうがん細胞はないという状況なのに保険に入るのに断られるというような状況。結果入れたんですよ。でも、そのようなずっと待ちの期間があったりとか幾つも書類を集めなきゃいけなかったりということで、本当に大変だったというお話をお聞きすることができました。こういうことがあるんじゃないの、この先って。
今後、ゲノム解説などが進んで、がんになりやすい変異陽性の遺伝子の発見が進んだ場合、病気は発症していないにもかかわらず加入制限されるような方々が増えること考えられます。
では、金融庁、お伺いします。日本において遺伝情報に基づいて加入制限をすることを禁止するような法律ありますか。
○政府参考人(松尾元信君) 現行の保険業法では、民間保険会社が保険契約を引き受けるに当たり、遺伝情報に基づき加入を制限することについて禁止する規定はないものと承知しております。
なお、保険証券の組成にあたりましては当庁が認可を行っておりまして、その認可において、例えば保険契約の内容や保険料に関し、特定の者に対して不当な差別的取扱いは禁止しているところでございます。
○山本太郎君 必ず漏れるんだという前提を基に法整備を進めた上で利活用するという段取りは踏まない。諸外国とは違うやり方だったんですね、日本は。これ、必ず漏れるという前提で法整備ができていないこと、遺伝性の病気をお持ちになる方々を守る法整備ができていないこと、やるべきことをやらず先に利活用が決まっていくような状況を冷静に考えるなら、これ、私の修正案でも間に合わないかもしれませんよね。そもそもこの法案自体が私たち日本の政治ではまだ手を付けてはならない領域なのかもしれません。
時間が来たので、最後に一言、大臣、よろしいですか、今のような懸念に関して。
○国務大臣(石原伸晃君) 山本委員の御指摘はごもっともな点もあるんですけれども、特定事業者は、生データは他のところからアクセスできるところには絶対に置かないと思います。それは誰でもアクセスができるわけでございますから、そこは税務情報と同じようにファイアウオールは十分に掛かるんだと思います。
仕組みは、やはり医療情報の匿名確保を適正に行う事業者を国がどのように認定していくのか、そこに懸かっているんだと思います。患者サイドから言わせていただきますと、その旨をあらかじめ通知されるわけでございますので、拒否がない場合に提供できる。ですから、拒否をすれば、これは載らないわけでございます。
このように、本法案では、本人の権利利益を保護するための措置が講じてありますけれども、委員は世の中に絶対はないはずだという御趣旨でございますので、制度の施行に際しても制度に対する国民の方々の信頼が得られるような適切な運用というものには努めてまいりたいと考えております。
○山本太郎君 よかった、今、ありがとうございます、清水委員、教えていただいて。今日、二十五分間の質問時間だったんですよね。二十分でもう時間がないと思って焦っていたんですけれども。
今大臣が、誰もがアクセスできるところにあるわけじゃない、ちゃんとそういうところに保管すると言っているんですけれども、恐らく年金情報も同じことだったと思います。それ以外の情報もそうだったと思います。だけど、それが漏えいしちゃうんだよということが基にあると。だから、幾らファイアウオールとかいろんなものを使ったとしても、そこには侵入できるということが、まあもうイタチごっこですよね。
そのような状況の中で、じゃ、どうやって守るんですかといったら、この人権侵害をいかに防ぐかということを先にやるべきなんじゃないかというふうに思うんですけど。今一連で私が言ったような事柄に関しての法整備というのは、この人権侵害、例えばアメリカのGINA法みたいな法整備というものは既にもう考えられていて、それと両輪だというような形で考えてよろしいんでしょうか。いかがでしょうか、大臣。
○政府参考人(大島一博君) 政府の中におきまして、いわゆる遺伝子差別禁止法の具体的な議論があるとは、現在においては承知しておりません。
○山本太郎君 これ、じゃ、困りますよね。どうするんです。漏れますよ、間違いなく、一番おいしい大きい情報。だって、国民皆保険でどれだけのデータが集約されているという、これだけのもの、アメリカみたいに一民間保険会社に対して情報が集約されるのではなく、国全体として情報を持っているわけですよね。田村委員の資料を見ていただいたら分かりますけど、人の資料使ってごめんなさい。これだけの情報を集めるようなものがもう既に存在していてという状況ですけれども、これ、漏れますよ、攻撃されるんだから。
漏れるということを前提に、じゃ、今お答えいただいた厚労省の方ですか……(発言する者あり)失礼いたしました、内閣官房の方に答えていただきましたけれども、そのような話はないということなんですけれども、これ、大臣、是非旗を振っていただいて、この人権侵害に関する不利益を被らないような法整備というのはやっていただけるんでしょうか。いかがでしょう。
○国務大臣(石原伸晃君) これは所管外でございますけれども、本人の権利並びに利益というものは保護されるということが大前提である、その下にこの法案を整備させていただいているということで御理解をいただきたいと思います。
○山本太郎君 所管外だということなんですけど、でも、やっぱり各省庁にまたがるというか、大臣がやられていることだけじゃなくて、ほかにも厚労関係だったりとかということが関係あるわけだから、大臣が横串刺していくわけですよね。だって、医療情報って厚労系から来るんじゃないですか。病院から集まってくるんでしょう、これって。
これ、権利は保護されるという前提だと言っているけれども、前提崩れていませんか。だって、そんな法整備ないんだから。大臣、これ、しっかり法制化するという約束してくれないと不安ですよ。先ほど御紹介したリンチ症の方だったりとか、いろんな病気抱えた方々、漏れるんだから、漏れる前提に立って法整備、これからやってくれるんですか、やってくれないんですか。旗振っていただけるんですか。
○政府参考人(藤本康二君) セキュリティーに関してのお尋ねでございますけれども、今回の仕組みにおきましては、認定事業者に対しまして、まず、組織、人的要因を徹底的に排除すること、それから、医療情報を処理する基幹システムはインターネット等のオープンなネットワークから分離をすること、これは、年金機構におきましてはオープンなネットワークにつながったところで情報を扱っておられたということがレポートにも書かれてございます。今回はその基幹システムはネットワークから隔離をするということです。それから、想定外の手口にも対応するため、多層的に防御、安全策を講じること、こうしたことによりましてセキュリティーを担保してまいりたいというふうに考えております。
○委員長(難波奨二君) 山本君、時間が参っております。
○山本太郎君 ありがとうございます。
まとめます。
結局、ヒューマンエラー、こんな規制庁みたいなお話のほどは何も防護する方法がないということですよね。
もう終わるので、まとめますね。こういう法律作って、誰のために作るんだって、企業のための法整備は良くないと思います。もう一度考え直すべきだと思います。
ありがとうございました。
【修正案趣旨説明】
○山本太郎君 ありがとうございます。
私は、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
これよりその趣旨について御説明いたします。
本法律案は、匿名加工された医療情報の利活用を通じて、健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出を促進するため、医療機関等が保有する医療情報をオプトアウトにより第三者たる認定匿名加工医療情報作成事業者に提供することを可能にするものです。医療情報の提供は義務ではなく、あくまでも個人や医療機関等の任意で行われるとはいえ、他人に知られた場合、不当な差別や偏見が生じかねないことから、医療情報の取扱いは慎重に制度化されなければなりません。
本法案には、医療情報の保護に関する規定も当然盛り込まれてはおりますが、提供される医療情報の中に最も機微な情報と言っても過言ではないゲノム情報や遺伝情報が含まれ、また、それらの情報を活用した研究開発が行われる可能性があるならば、この程度の保護では不十分であり、より一層手厚くする必要があると考えます。
衆議院では、本法律案の第四条に関して、政府が定める基本方針に、本人又はその子孫以外の個人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないための措置に関する事項を明記する旨の修正が行われた一方、第二条の医療情報の定義自体には修正が行われず、依然として本人又はその子孫だけがその不利益が生じないようにすべき対象として位置付けられています。遺伝と関係する病気も存在する中、親や兄弟姉妹など、本人又はその子孫以外の血縁者についても配慮がなされる必要があるのではないでしょうか。
また、ゲノム情報が漏えいするなどし、研究者以外の者がその情報を取得した場合、例えば雇用現場における不当な採用制限や解雇、保険契約の加入制限など、新たな差別が生み出される可能性があります。匿名加工医療情報に関する国民の理解を増進させるに当たっては、広報や啓発活動のみならず、医療情報のセンシティブな側面について積極的に教育活動を行う必要があると考えます。
そして、言うまでもなく、情報漏えい対策が極めて重要です。本法律案では、認定匿名加工医療情報作成事業者の役員等による不当な医療情報データベース等の提供に関する罰則については、二年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金又はその併科とすることとされており、抑止効果としては不十分であると言わざるを得ません。
アメリカを始め諸外国では、遺伝子情報などの医療情報が流出することが前提で、遺伝子情報による雇用上、保険加入の差別が起きないように法的整備がされておりますが、日本では全くされていない。日本では、多くの企業や官公庁において、数々の信じられないような情報流出が起こっており、今後、医療情報においても情報流出が起こらないという保証は全くありません。
このような状態のまま、今回の法案が通ってしまえばどういうことになるのか。
遺伝的疾病患者の皆さんは、今でさえ、日本では、遺伝子を起因とする病気だということで、解雇されたり、保険においても、遺伝性の病気を発症していないにもかかわらず、遺伝性疾患に今後かかる可能性から加入を断られるなどということに直面しています。しかし、これらのことに法的な歯止めが全く掛かっていない状況であり、不当な不利益を被る状態が野放しにされている状況です。
医療情報の漏えいがあった場合に備え、日本においてもこのような法整備が必要であり、法整備が進まないままこの法案を通しては大変危険であります。
そこで、修正案では、「医療情報」の定義のうち、「子孫」を「子孫等」に改めること、国民の理解の増進のための活動の例示として、「教育活動」を追加すること、認定匿名加工医療情報作成事業者の役員等が、正当な理由がないのに、その業務に関して取り扱った個人の秘密に属する事項が記録された医療情報データベース等を提供したときの罰則を引き上げ、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金又はその併科とすること、政府は、医療情報等又は匿名加工医療情報の漏えい等が生じた場合における本人又はその子孫その他の個人の権利利益の擁護の在り方について引き続き検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他必要な措置を講ずるものとすることとしております。
以上が修正案の趣旨であります。
何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
ありがとうございました。
最新の記事
- 2024.12.19 環境委員会「狂ってる…秘密会議はもうやめろ!」
- 2024.12.16 予算委員会「能登の復旧・復興 いつまでボランティア頼みにするんだよ!」
- 2024.12.6 予算委員会「総理マジギレ、ガン無視の展開に 豪雪前、能登を見捨てるな!」
- 2024.10.8 本会議 代表質問
- 2024.6.19 災害対策特別委員会「政権取ったら豹変!? 被災地を切り捨てる自民党」
カテゴリ
- PCSC協定
- SPEEDI
- もんじゅ
- グローバー勧告
- サイバー
- テロ関連
- マイナンバー
- ロスジェネ
- 予算委員会
- 健康・医療戦略推進法
- 内閣委員会
- 原子力委員会設置法
- 国家公務員法の一部を改正する法律
- 国家戦略特区法
- 天下り
- 奨学金
- 子宮頸がんワクチン
- 小児甲状腺がん
- 川内原発
- 年次改革要望書
- 放射性物質拡散シミュレーション
- 新型コロナウイルス感染症
- 日米原子力協定
- 東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会
- 株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律
- 水素エネルギー
- 汚染水対策
- 法科大学院
- 特定秘密保護法
- 独立行政法人通則法の一部を改正する法律
- 総合科学技術・イノベーション会議に関する内閣府設置法の一部を改正する法律
- 被ばく問題
- 規制基準
- 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律
過去ログ
- 2024年12月
- 2024年10月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2017年12月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年7月
- 過去記事一覧