国会活動
2017.5.10 東日本大震災復興特別委員会「環境省?正しくは環境破壊省では?」
2017年08月25日
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資料③ 平成 27 年度除去土壌等の再生利用に係る放射線影響に関する 安全性評価検討ワーキンググループ議事録
資料⑤ 平成 27 年度除去土壌等の再生利用に係る放射線影響に関する 安全性評価検討ワーキンググループ議事録
資料⑥ 中間貯蔵施設情報サイト「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略取りまとめ」
資料⑧ 福島第一原子力発電所事故に係るサイト外緊急時対応の調査及び環境修復活動の検討に関する報告
資料⑨ 除去土壌等の再生利用に係る放射線影響に関する安全性評価検討
○山本太郎君 自由党共同代表、山本太郎です。自由・社民の会派、希望の会を代表し、本法案についてお聞きいたします。
二〇一一年、東電がやらかした大事故で汚染が広がり、日本政府は、ICRPの放射線防護原則、放射線防護の最適化という考え方、三つのタイプを基に線引きを行いました。三つとは、計画、緊急時、現存という被曝状況の防護体系。資料の一を見ながら少し説明します。
まず、緊急時。緊急時被曝状況は、文字どおり緊急時です。被曝線量の予測が難しい緊急時は、公衆に対しては、線量限度を設けるのではなく、緊急時被曝状況に対する対応計画策定との関連で、二十ミリから百ミリシーベルトの目安線量を設け、相対的に被曝線量が高い人から優先的に避難、屋内退避などの対策により、被曝の低減化を図ることとしている。
続いて、計画被曝状況。平常時に事業者が放射性物質を取り扱って作業する。例えば、レントゲン室の放射線技師や原子力産業の従事者など、放射線源の意図的な導入と運用により計画的に被曝線量が管理できる状況をいう。例えば、原子力施設で働く従業者の被曝の線量限度を五年平均で年二十ミリシーベルトかつ年五十ミリシーベルト。
規制庁にお聞きします。計画被曝状況では施設の運用に伴う公衆の追加被曝の線量限度を年何ミリシーベルトと制限を設けていますか。
○政府参考人(片山啓君) お答え申し上げます。
原子炉等規制法及び放射線障害防止法では、事業所外の一般公衆に年一ミリシーベルトの追加被曝を与えないとの考えから施設の規制がなされているというふうに承知をしております。
○山本太郎君 はい、分かりました。
最後の三つ目、現存被曝状況。事故などの非常事態が収束する過程で被曝線量が平常時の公衆の線量限度、年一ミリシーベルトよりも高い状態が定着し、更なる線量低減に長期間を要する状況を言うと。今自分ではっきりと言ってしまいましたけれども、もう一度お聞きしますね。
ICRPの現存被曝状況とは年間何ミリシーベルト以上の追加被曝でしょうか。最低値でお答えください。
○政府参考人(片山啓君) お答え申し上げます。
ICRPの二〇〇七年勧告における現存被曝状況の定義について申し上げますと、現存被曝状況とは、被曝の管理についての決定をしなければならないときに既に存在する被曝状況を指すという概念でございまして、具体的な線量によって何ミリシーベルト以上が現存被曝状況といった決定がされるものではございません。この概念に該当するのは、典型的な例としては事故後の被曝状況が考えられるかというふうに思っております。
なお、ICRPでは現存被曝状況における公衆被曝について、防護対策の目安となる参考レベルの範囲として年一ミリシーベルトから二十ミリシーベルトの範囲を勧告をしているところでございます。
○山本太郎君 最低値は幾つかといったら、年一ミリを超えるということが答えだったんですけれども、御丁寧にありがとうございました。
お聞きします。沖縄県は現存被曝状況と言えますか、いかがでしょうか。そうでなければ、何状況でしょうか。お聞かせください。
○政府参考人(片山啓君) 現存被曝状況というのは、例えば原子力施設の事故とか、そういう事故が起きた後の被曝の状況ということを指しますので、そういう意味で、東京電力福島第一原発事故由来の被曝状況という観点からいけば、沖縄県は現存被曝状況にはないというふうに考えられるかと思います。
○山本太郎君 ありがとうございます。
じゃ、次は短くお答えください。四国、徳島はどうですか。現存被曝状況ですか。そうでなければ、何状況でしょうか。
○政府参考人(片山啓君) 現存被曝状況というのは先ほども申し上げておりますように、東京電力福島第一原発事故に起因する被曝状況が今どういう状況かということでいえば、現存被曝状況ということが言えるかと思いますけれども、これは各地域について詳細に具体的にどうなっているかという、なかなか難しいんですけれども、四国とかということであれば、一般的には現存被曝状況ではなく計画被曝状況ではないかと考えます。
○山本太郎君 ありがとうございました。
現存被曝状況にないと、言うならば計画被曝状況であろうということをおっしゃったということです。ありがとうございます。
じゃ、お聞きします。福島県は現存被曝状況でしょうか。
○政府参考人(片山啓君) 東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する被曝状況ということでいえば現存被曝状況にあるというふうに言えるかと思っております。
○山本太郎君 それ以外に起因する事故なんてほとんどなかったですものね。
先に進みます。今三つ質問しましたけれども、最後だけ答えが違った。おおむね現存被曝状況、まあ、大体聞けばこういうふうに言いますよね、福島県はというふうに言われると思うんですけれども。
東電原発事故が起こる前、資料の二、年表を御覧いただければ分かるんですけれども、東電事故が起こる前は、日本中が計画被曝状況でしたと。放射性物質は事業者によって管理され、そこに出入りする労働者は事業者によって被曝の管理がなされ、一般公衆、つまり一般の方々が追加で被曝する状況ではないといった状態、もちろん事故前、福島県も計画被曝状況であったと。
東電事故後、緊急時被曝状況とされ、年間百ミリシーベルトから二十ミリシーベルトまでのその中で一番低い値、年間二十ミリシーベルトで避難区域と国が決めた。現在、福島県は緊急時被曝状況ではありません。おおむね現存被曝状況です。つまり、年一ミリシーベルト以上、年一ミリ以上、二十ミリシーベルトまでの追加被曝が認められる地域は現存被曝状況とされる。これはICRPでもそうですものね。厳密に言えば、福島県以外の場所、例えば関東にも現存被曝状況は存在していると。つまり、追加被曝年間一ミリシーベルト以上の地域が関東などにも存在するからだと。
話を戻すと、現在の福島県はおおむね追加被曝が年間一ミリシーベルト以上であるから、現存被曝状況ですと。先ほどの沖縄、徳島は、最後にもお答えいただきましたけれども、計画被曝状況と言えるんじゃないかとおっしゃっていました。かなりざっくり言えば、事故の影響を受けていない、年一ミリシーベルト以上の追加被曝がないとされる地域は計画被曝状況であると言えると。今御紹介した内容、後々出てきますので、頭の片隅に置いておいていただければと思います。
本日のメーンテーマに行きたいと思います。
お聞きします。原子力発電所などの施設内では、原子炉等規制法に基づく再生利用、リサイクルする場合、基準が存在します。いわゆるクリアランス基準。原子力規制庁、セシウムだけで言うと、一キロ当たり何ベクレルでしょうか。
○政府参考人(青木昌浩君) お答えいたします。
原子炉等規制法に基づくクリアランス制度を適用する場合の基準ですが、セシウムにつきましては、仮にセシウム137が単独で存在する場合には、一グラム当たり〇・一ベクレル、一キログラムに換算しますと、一キログラム当たり百ベクレルと定めているところでございます。
○山本太郎君 百ベクレル以下であれば再利用、リサイクルできるというクリアランスレベルがあるということでしたよね。じゃ、百以下ではなく百以上だとどうか。原発施設内で一キロ当たり百ベクレル以上のものはどのように管理されているでしょうか。
○政府参考人(山田知穂君) 原子力発電所で発生いたしました固体状の放射性廃棄物の管理ということでございますけれども、大型のものでなければ、通常は、容器に封入するなどの措置を講じた上で、放射性物質が漏えいし難く汚染が広がらない貯蔵施設に保管されてございます。
○山本太郎君 一キロ当たり百ベクレル以上のものだとしっかりと容器に入れて管理されている、しっかりと管理されていますというお話でした。
環境省、環境省が考える新概念では、この先、一キロ当たり何ベクレル以下であれば、処分の一形態として汚染土壌を使えるようにするおつもりでしょうか。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
除去土壌の再生利用についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、昨年の六月、福島県内から発生した除去土壌を対象として、再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方というものを公表してございます。その中で、除去土壌の再生利用につきましては、利用先を管理主体や責任体制が明確になっている一定の公共事業等における人為的な形質変更が想定されない部材に限定した上で、適切な管理の下で限定的に利用するということとしてございます。
また、この再生利用可能な土壌の濃度につきましては、キロ当たり八千ベクレル以下を原則として、想定される様々な用途ごとに被曝評価計算を行いまして具体的な利用可能濃度をお示ししているところでございます。
○山本太郎君 一キロ当たり八千という数字が出てくるまで随分と丁寧に説明をしていただきました。
原発施設では、一キロ当たり百ベクレル以上は厳重に管理をされている。一方で環境省は、一キロ当たり八千ベクレル以下であれば、新概念として処分の一形態と称して再利用できるようにする。これ、基準が八十倍も緩くなっているんじゃないですか。随分勝手なことをするんですね。
この八千ベクレル問題に対して、昨年五月十一日、定例記者会見で田中俊一規制委員長は、一般論として見れば、同じ放射能、セシウムならセシウムで汚染されたものが、炉規法の世界と除染特措法の世界で違うということは良くないと思いますと御発言されています。これ、非常に真っ当な御意見ですよ。当然ですよね。環境省が法律を守らずにごり押しする方法を見付けたという話なんですよ。本来、炉規法では法律違反になることを、新概念という魔法の言葉を使い、特措法でやる。
環境省、この件についてのルール変更、国会審議はあるんでしょうか。なければ、どうやって行われますか。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
先ほど述べました、昨年六月に公表しました再生資源化し除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方、これを踏まえまして今後実証事業あるいはモデル事業などを実施をいたしまして、放射線に関する安全性の確認や具体的な管理の方法の検証に取り組むこととしてございます。そのような検証を進める中で、制度の在り方も含めて検討してまいりたいと考えております。
○山本太郎君 国会審議ないんですよね、これは。ばら巻きに前向きな専門家との議論、ちょっとした実験で物事が決まる、恐ろしい話じゃないですか、これ。たとえ十万ベクレルを超える汚染であっても、一キロ当たり八千ベクレル以下まで汚染を下げれば、薄めれば、再生利用、リサイクルできるようにかじを切ったという、これ、正気の沙汰でない現実が進行しようとしているんですよね。
本委員会で以前、私の質疑の際、あるワーキンググループの議事録を求めましたが断られました。しかし、後日、市民やジャーナリストによる情報開示請求によりその内容が出てきました。何というワーキンググループでしょうか、名前だけ教えてください。
○政府参考人(高橋康夫君) お答えいたします。
除去土壌等の再生利用に係る放射線影響に関する安全性評価検討ワーキンググループでございます。
○山本太郎君 公開された事業録の中身見たら、ひどい内容の話合いが数々されていることが確認できるんですね。
ここからはちょっとお願いしたいんですけれども、開示された議事録、これ資料になっているので、それを使って環境省と私の餅つき方式で進めたいと思うんですけれども、心の準備をよろしくお願いします。環境省がラインの引かれた箇所を読んでいただく、そしてそれについて私がコメントをするという形で進めたいんですけれども。
環境省、資料の三見てくださいね。一ページ目。黄色いライン部分、これ一つしか引いていないから分かりやすいですよね。そこのみ、ライン部分のみ読んでください。お願いします。
○政府参考人(高橋康夫君) 事務局、公開請求されたら出す必要はあるが、基本的には非公開扱いとさせていただきたい。
○山本太郎君 本委員会で要求しても応じなかった理由、これですよ。国会議員が要求してもこれ出さないんですよね。ワーキンググループの最初の議論で原則非公開にすることが話し合われていた。国会もなめられたものです。
続いて、資料の四。準備してくださいね、環境省。第一回、第四回ワーキンググループでの一連の被曝状況のお話を並べました。環境省、二つ目と三つ目の青い囲い、赤いライン部分のみ、全て読んでください。
○政府参考人(高橋康夫君) 福島県を現存被曝状況として表現することはできるだけ避けたい。一般の方が受ける線量は一ミリシーベルト・パー・イヤーなり十マイクロシーベルト・パー・イヤーなりの考えがあるが、再生資材の濃度に応じて覆土厚を変える等、遮蔽などにより全国一律な基準としたい。現存被曝状況の地域で一般の方の基準線量を変えてもいいということで表現すると福島県民の受けが良くない。放射線審議会に新概念として諮るよりも既存の法令と整合が取れているという説明の方が理解を得られやすいものと考える。
特措法で特定できるのか。
省令上の書き方で工夫したい。
汚染地域では現存被曝状況であるとしても、非汚染地域では管理が必要ではないのか。
福島県外でも千葉県、茨城県など十マイクロシーベルト・パー・イヤーを超えているところはある。
このワーキンググループはその準備のための理論武装だと考えている。
○山本太郎君 まず、環境省の言い分を要約します。福島県民の方々に現存被曝状況だと悟られたくない、寝た子を起こすなと、福島県と県外での基準、つまりは再生利用の数値が違うと気付かせてしまう、途中、木村委員から現存被曝状況の地域は千葉にも茨城にもあるんじゃないですかという突っ込みが入る、最後に委員長が締める、このワーキンググループはその準備のための理論武装だと考えている。これ、出演者全員悪みたいな話ですよ、これ。そんな映画のワンシーンを見ているような議事録です。
私は、以前から現存被曝状況や計画被曝状況について省庁に対してレクを求め続けていますけれども、もうたらい回しにされるんです、あの省庁、この省庁。みんなはっきりしたことは言わない、ごまかす、うそをつく、本当にひどいものだった。この人たちに直接レクを受ければ一番話が早いんですよね。余りにもひどい。
環境省、そうですね、もう時間がなくなってきたので、私が読みましょうか。資料の五、五ページ目です。黄色いライン部分、山本委員という方がこう言われている。右側の最適化の書き方と整合を取って同じ形でまとめた方がいい、現存被曝状況の地域は線量低減という便益があること、計画被曝状況の地域ではそれ以外の便益があることなど、損益のファクターを挙げて書いた方がよい。事務局、それ以外の便益というところで、経済的な視点もある。
今出てきた現存被曝状況の地域は線量低減という便益、これは何か。既に汚染されている土地に上からたっぷり盛土すれば、高かった線量が遮蔽できるんじゃないかって、下がるんだから汚染地にとってもお得だろということを言っているわけですよね。計画被曝状況の地域ではそれ以外の便益があることだということについては解説するまでもありません。金です、お金です。経済的な視点という言葉も出てきます。
これ、余りにも裏でひどい話が進んでいるんですけど、もう一個、中間貯蔵施設の話も出てきているんですよ。資料の七番を見ていただきたいんですね。中間貯蔵施設、どういうところなのかということが右下の黄色いところを見てもらえれば分かると思います。とにかく大量の除染土などを、あと津波や地震による倒壊で発生した廃棄物のうち、一キロ当たり十万ベクレルを超える放射性セシウム濃度に汚染されたものが搬入されるよ。この中間貯蔵施設というのは、最終処分場ができるまでの仮置場以外にも別の役割がある。放射線量を低減させられるというような、長期的な期間を置くことができるということですよね。意味があるんですよ。
環境省、ここ読んでください。出番です。もう一度、資料の五、一ページ目の赤ライン部分、朗読お願いします。
○政府参考人(高橋康夫君) 資料の五の一ページ目に赤ラインが見当たらないんでございますけれども。
○山本太郎君 済みません。
じゃ、黄色の下のところを読んでもらえますか。中間貯蔵施設で管理するものというところからお願いします。
○政府参考人(高橋康夫君) 中間貯蔵施設で管理するもの、それを再生資材として出すということ。
○山本太郎君 何で出すんですか。中間貯蔵施設に置かれるようなもの、資材として出していいものじゃないでしょう。炉規法で百、百以上のものはちゃんと管理されるんだって、原発施設内でもされているのに、どうしてそれ全国にばらまこうとしているんですかって。勘弁してくださいよ。もう一回、どこかが汚染されたからみんな平等に汚染されりゃいいじゃねえかって考え方なんですかって。どこの国の役人なんだよって、どこの国の政治家なんだよって、こんなこと決めているのはという話なんです。
吉野大臣、済みません、ちょっと勢い余って言ってしまいましたけれども。これは、復興していく上でも、非常に、全国的にこれが理解がされるかといったら私されないと思うんです。ここをやはり丁寧にして、元々の原子力が培ってきたというか積み上げてきた知見、動かさない、閉じ込めるということを基本に、しっかりとした話合いをしていくべきだと思うんです。
環境省、暴走しています。この暴走を止められるのは復興大臣からの、済みません、ペーパー読んでもないですよ、後ろから余計なこと言わないでください。復興大臣として勧告していただきたいんです、環境省に対して。しっかりとこれは議論をして、勝手にこれ省令で決められるようなことされたらたまったものじゃないんですよ。まずはちゃんと自然減衰を待って放射線量を低減させるということをまずしっかりとさせる、それをしっかりと環境省に対して提言をしていただけませんか。これペーパーにない答えなので、心から答えていただきたいです。最後にお願いします。
○委員長(櫻井充君) 吉野大臣、時間が来ておりますので、簡潔にお願いいたします。
○国務大臣(吉野正芳君) 福島県の復興にとって、中間貯蔵施設、これは本当に大事な施設でございます。今委員のお話がございますけど、私たちは、きちんと中間貯蔵施設に除染をした土壌を運んで、そして町を再生をしていきたい、このように考えているところです。
○山本太郎君 もう最後なので、まとめます。
これ、もう元々の原発施設内で行われていたような元々の処理方法を守っていただきたい。まずは中間貯蔵施設で自然減衰を待っていただきたい。これを徹底しないことには、後々福島との隔たりみたいなものがより大きくなってしまう。本当の意味でのきずなということなのであれば、まずはその最低限のルールを守るように復興庁の方から勧告をしてください。よろしくお願いします。
○委員長(櫻井充君) 終わりです。(発言する者あり)駄目です。認められません。ルールを守れとおっしゃるのであれば、御自身も時間というルールを守ってください。
○山本太郎君 終わります。
【反対討論】
○山本太郎君 私は、自由・社民の会派、希望の会を代表いたしまして、福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案について反対の立場から討論を行いますが、本法律案により廃炉のための取組を更に推進するという方向性、その部分には共感いたします。スリーメルトダウンという過酷事故を起こした原子力施設など世界には存在しないのですから、国が先頭に立って廃炉作業を進めることは当然必要なことであり、当たり前な話です。
しかしながら、それと並行して行われる国が推し進める偽りの安全宣言、事実上の強制帰還政策には憤りを感じずにはいられません。
まず、本法律案や、以前に閣議決定された原子力災害の福島復興の加速のための基本方針では、特定復興再生拠点区域の整備を足掛かりとして帰還困難区域における帰還を促進しようとしております。空間線量での年間積算量が二十ミリシーベルト以下という基準は現実を全く見ていない。空間線量だけをもって安全とし、解除の要件とすることは大問題です。修正することもなく、原発事故後からずっと現在までそれを加速してきたことは犯罪行為とも言えます。
労働者の放射線被曝対策を事業者に定める規則、電離放射線障害防止規則、電離則ですら、放射線による障害を防止するために設けられる放射線管理区域について、外部放射線と空気中の放射性物質についての基準とともに、放射性物質の表面密度についての基準も設けております。電離則では、空間線量だけではなく表面汚染もセットで人体への影響を考えます。
しかし、汚染地への帰還の条件は空間線量のみ。表面汚染、つまりは土壌汚染の調査はセットにはなっていません。放射線源が管理されている前提、つまりは密封RIという環境で働く労働者は電離則で守られます。しかし、帰還住民は誰が守ってくれるんでしょうか。
ばらまかれた放射線源が全く管理されていない状況で、帰還住民は、自然環境中にばらまかれた放射線源がどのような挙動をするかという全く研究もされてこなかった非密封RIという世界で、自己責任で体を張って生活を強いられることになります。これを新しいチャレンジと呼び、それを復興と呼ぶなら、余りに無責任で強引な棄民政策と言うほかありません。まさに国家による犯罪行為、組織的犯罪集団とはまさに今のこの国であり、今の政治ではないですか。
事実、数年前に避難解除された地域だけでなく、避難地域などにさえ指定されなかった場所であっても、空間線量では低い線量だが、土壌を測れば生活圏が放射線管理区域と同等又はそれ以上といった中で暮らす人々が大勢いらっしゃいます。長期低線量被曝の影響、晩発性の障害が先々あったとしても因果関係なしとされることは、現在百八十五人の甲状腺がんの子供たちが身をもって教えてくれているではないですか。
汚染が存在する土地で生きる人々に対して国は、生涯無料の健診や、体内の放射線源を低減させるため年間二回ほどの長期の保養など、リスクと向き合い生きていくための本当の、本物のリスクコミュニケーションを住民に付与するのでしょうか。しません。国が行っていることは、気にするな、大丈夫だという科学的根拠のない洗脳、体育会系リスクコミュニケーションのみです。
実害を風評被害と言い換え、気持ちの問題として現実を覆い隠し、情緒的な話に落とし込む。そんな国こそが、そんな政治こそが最も科学的でない存在であり、いじめを生み出している主体であります。いつまで政治はこれに気付かないふりをするのでしょうか。やるべきことは帰還ではなく、放射線源の自然減衰を待った後に、住民の皆さんの判断で戻るか戻らないかを判断していただく、選択する権利を確立すること。戻る方、戻らない方にも一生涯賠償を続けること。それが現在進行形、進行中の大規模公害事故を起こした東電とそれを全力で後押ししてきた国の責務です。
しっかりと、東日本の土壌を詳細に、徹底的に調査し、事故前の基準に立ち戻り、実際のデータを基に、それでも住むか住まないかを選択する権利を与える、福島県だけでなく、本当は国が理解しているはずの県外にも存在する現存被曝状況という地域の人々にも権利を与えることが、国民の生命、財産を守る本物の政治の仕事と申しまして、私の反対討論といたします。
ありがとうございました。
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