国会活動
2018.1.31 東日本大震災復興特別委員会-反対討論「修正案拒否の上、質問権も剥奪。1人反対の理由」
2018年02月02日
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○山本太郎君
山本太郎です。
私は、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。
いわゆるこの二重ローン法案をざっくり言うと、被災地で事業をしているが借金で身動きが取れない方々の債務を肩代わりして復興の後押し、その法律の期間延長を行うもの。その重要性、私も大いに理解していますが、本当の復興を成し遂げるために大切な部分を追加する必要性を強く感じ、修正案を準備いたしました。
しかし、修正案提出は認められませんでした。ぎりぎりでの提案がその理由だそうです。その上に、質疑も許されない。結果、このような討論のみになりました。これは、国会議員の質問権を奪う行為ではないでしょうか。
質問させない理由を、日切れ法案であり、期限があることをその理由に挙げられました。期限切れまではまだ二十二日あります。それでも早く上げる必要があるというならば、さきの国会で議論する場をつくるべきではなかったでしょうか。
本法案に限らず、さきの国会では十分に復興について議論ができる場がなぜつくられなかったのでしょうか。昨年五月十日を最後に復興特での質疑は行われていません。その原因は、野党の求め続けた憲法に基づく国会開会の要請を無視し続けた政権にあるのでしょうか。意味不明な国難解散などにより、国会がなかなか開かれなかったからでしょうか。
本委員会では八か月以上も復興について議論なし、本法案に対して質疑もさせない理由は、委員長提案で全会一致で通すはずだったものに波風を立ててほしくなかったからでしょうか。
理由はどうあれ、被災地の復興なくして日本の未来はないと言いながら、被災地の声を届けるための場所で質問することもできないとは余りにもおかしな話ですが、ぎりぎりの御判断で何とか討論の機会だけでも与えてくださった委員長、与野党の理事、委員の皆さんにはお礼を申し上げたいと思います。
本題に入ります。
本法案で一番の懸念は、原子力事故により、避難区域に指定されたエリア、現在は解除され帰還できるとされている地域、帰りたいけど当面は帰れない、帰らないと判断された方々が大勢いらっしゃいます。理由は、線量が高いというものはもちろんのこと、インフラや帰還住民の少なさなど様々でしょう。
本委員会に参加されている皆さんにお聞きしたいんです。皆さんが政治家として被災地で実現したいことは、本物の復興ですよね。地震、津波、原発事故によって壊されたコミュニティー、人々のつながり、営みを復興させるんですよね。
では、復興はどこまでやれば成功でしょうか。住民の十分の一が戻れば復興完了ですか。住民の半分が戻れば復興したことになりますか。皆さんが考えていらっしゃるのは、その程度のせこい復興ではありませんよね。少なくとも、震災前の状態に戻る、又はそれ以上の営みやにぎわいが生まれる状態になってこそ本物の復興ですよね。
楢葉町では、継続的に公表している避難が解除された地域にどれだけ人が戻ってきたかを示す住民居住率、昨年末では三〇・八五%。これと同じ要領で、飯舘村、浪江町、富岡町の居住率を計算すると、一〇・二%、二・六七%、三・〇一%です。実際、避難指示解除されても帰還率は低いまま。
ちなみに、復興庁としては住民の帰還率さえ把握していません。何を思って復興庁を名のっているんでしょう。憤りを感じます。これまで行われていた帰還を前提とする施策では本当の復興は難しいということを認識する必要があるのではないでしょうか。これでは、復興庁が廃止される三年後以降は、人口減が加速していくことが目に見えます。
本法案に該当するのは、既に戻っている人々です。当面は被災地に戻れないが、いつか戻って復興に寄与したいという気持ちを持った方々は含まれていません。ここを含む施策がなければ、将来本当の復興に結び付きようがありません。当面は戻れない、そう考えるいわゆる避難者の皆さんは、現行法十八条三項にもあるとおり、「自己の責めに帰することができない事由」、これがあったわけです。それによって避難しているんです。今避難している人が直ちに帰還できないのも、彼らの責めに帰すべき事由じゃない、そういう話です。
本法案の適用者を戻っている人々のみ限定の支援とすれば、逆に、当面は戻れない、でもいつか戻りたい、そう考える人々の機会を奪うことになりませんか。そういった人々が将来故郷で事業をするためにも、今支えておかないと、戻ってこようという意欲すら失われませんか。戻ってくるためにも今手を差し伸べなくてどうするんですか。戻ってきたら手を差し伸べるけど、戻ってこなければ差し伸べない、これでは結局、将来戻ってくる人の数を最終的に減らすことになります。
今回かなわなかった修正案には、附則として、政府は、東日本大震災によって被害を受けたことにより過大な債務を負っている事業者であって、当面は、東日本大震災の被災地域以外の地域において、その事業の再生を図る者に対する支援に必要な方策について、機構法の一部を改正する法律の施行後速やかに検討を加え、その結果に基づいて、必要な法制上又は財政上の措置、そのほかの措置を講ずるものとするものとする。このように対策を取るように求めていました。この当面、この当面という文言に私の思いを込めさせていただいておりました。
どうか今後、復興特別委員会が本物の復興に向けて多くの議論がなされる場になるように、よろしくお願いいたします。
核災害の被害者である避難者を将来の復興に寄与する人々として含まない復興の考え方、今回の法案に関して質問権が奪われたことはもちろん、ここまで開かれない委員会運営や政権の口だけ復興に対して、本法案に反対をもって問題提起したいと思います。ありがとうございました。
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