国会活動
2018.07.03 内閣委員会「専門家にスマホについて聞いてみた」
2018年07月04日
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○山本太郎君
自由党、山本太郎です。
先生方、本当に勉強になるお話、ありがとうございます。
まず、樋口(進)先生にお伺いしたいんですけれども、先ほども、スマホのゲームであったりとかオンラインゲームの話、これ、WHO(世界保健機関)の枠組みの中でやはりこれを対策していくべきだということをリードされたのは樋口先生だということを書物で読みまして、今日、本当にいろんなことをお聞きできること、光栄です。ありがとうございます。
先週の土曜日、6月30日に、十日町(とおかまち)の商工会議所で30代の男性の職員が約1000万円を着服して、ほぼ全額をスマートフォンのゲームに使っていたことが判明したと、懲戒解雇になったと報道にもあったんですけれども、ほかにも、スマホなどのオンラインゲーム中心に、依存症状態になって多額な課金を繰り返すという、先ほどガチャという言葉も出てきましたけれども、その結果起きた事件というものも最近はちょっと目にするようになってきたなというふうに思うんですが。
このスマホゲームで依存症状態になったという方々に対して、この多額の課金を繰り返す仕組みというのはある意味私ギャンブル的要素だと思うんですけれども、今回のこのようなギャンブル依存症対策であったりとか、そういう法律という部分で、こういうスマホゲームであったりオンラインゲームという人たちも同じように救われるべきだと、同じように手を差し伸べるべきだというふうに思われますか、先生は。
○参考人(樋口進君)
お答えいたします。
まず、ゲームの依存とそれからギャンブルの依存というのはやっぱり分けて考えるべきだと私は考えています。
ギャンブルの場合にはお金を得ようということがあって、それでお金を賭けてある一定の割合で返ってくるという、そういうようなシステムですけれども、お金が得られたらそれが喜びにつながるということです。ところが、ゲームの場合には、その中のゲームで勝ったとか、友達に、仲間に褒められたとか、ランクが上がったとか、そういうふうなお金以外の部分が依存の大きな要素になっていることなので、ギャンブルと同一には考えられないというふうに思います。
それから、今御指摘のあった課金の話でございますけれども、確かに我々の病院にお見えになっている方々、特に成人の方々は課金の問題が多いです。お金も数百万から数千万まで課金でやっている方々もいらっしゃるわけで。先ほどもちょっとお答えしましたけれども、この課金も、お金を目当てにしてお金を使っているわけじゃなくているので、必ずしもこれがギャンブルかどうかということについての議論は、まだ世界的にも定着していないというのが今の状況だと思います。
○山本太郎君
ありがとうございます。
そのスマホのゲームですけれども、これ依存症になる理由といいますか、例えば脳の動きでとか分かります、どういう影響を与えてとかということがもしも、私にも分かるように、中学生でも分かるように説明していただけましたら助かります。
○参考人(樋口進君)
ギャンブル依存症の脳の中の、何というか変化というのと、それからゲームの依存症の脳の中の変化というのを比べた論文というのがやっぱりあるんですね。それを見るとよく似ているというふうなことが言われています。
先ほどもちょっと申し上げたとおり、何かきっかけになるものを見ると非常に脳が強く反応してやりたくなるということとか、それからあと、ギャンブルもだんだんだんだんやっていくと、だんだんだんだん興奮が得られなくなってくるので、更に賭け金を増やしていかないといけないような状況になるんですけど、やっぱり脳の中でも同じようなことが起きています。こういうのは報酬欠乏というふうに言っていますけれども。
それから、更に脳の中で依存が進行していくと、いわゆる理性の脳というのがありますが、この前頭前野(ぜんとうぜんや)というところですけれども、ここの働きが落ちてきて本人の行動をコントロールするのがますます難しくなるような話があって、こういう類いのものってギャンブルの依存症とゲームの依存症はよく似ているというふうなことが言われています。
ですから、脳の中のメカニズムはよく似ているということですが、実際の在り方というのはちょっと違います。
○山本太郎君
久里浜のギャンブル依存外来で約90%の受診患者の方がパチンコ、スロット由来といいますか、そこを楽しまれて結局依存にまで至ってしまった方々がほとんどだと。外来の約90%がそういうふうに該当するということですけど、どうしてここまで圧倒的な数といいますか、パチンコ、スロットが依存者の数が増えるというような形になっているのか、その理由みたいなものって何かあるんですかね。
○参考人(樋口進君)
お答えします。
これにつきましては、それを明確に示したような論文って余り存じ上げません。ただ、一般的に言われているのは、やっぱり先ほどの、アクセスしやすいと、いつでも長時間開いているし、それから場所も一万件ぐらいありますので、そういうような点が大きいのではないかというふうに言われています。
現に、我々の先ほどの全国一万人の調査の報告をいたしましたけれども、あの中でSOGSでギャンブル等依存症が疑われる方の中で、どこに一番お金を使っているかというのを見ていますけれども、やはりパチンコ、スロットが一番お金をたくさん使っているというふうなことなので、それは外来の数で90%がパチンコ、スロットに依存しているというのと共通しているのではないかというふうに考えます。
○山本太郎君
このアクセスのしやすさ、パチンコをたくさん楽しまれる方々がいらっしゃって、大きな駅には大体どこにでも、小さな駅にもですけど、パチンコのホールがあって、このアクセスのしやすさというのが、ひょっとしたらその数、依存につながる数というものの大きさに増えていくんじゃないかというお話なんですけど、これアクセスしやすさといったらこれスマホのゲームなんてもっとアクセスしやすいわけですよね、いつもポケットの中、かばんの中にあるわけですから。一駅行かなくても、場所を移動しなくてもその場で空いている時間でできてしまうということを考えるならば、これ依存症ということは、恐らくこれらのギャンブルの依存ということの比にはならないぐらいの勢いにまでこれ発展していく可能性というのはあるんですかね。
○参考人(樋口進君)
お答えいたします。
可能性とすればあるかもしれませんけれども、それを裏付けるようなデータが今ございませんので、今のところは何とも言えないというふうなことでございます。
○山本太郎君
なるほど。結果が出てしまうとかなりまずいことになってしまうといいますか、いろんな、科学的なその全て検証された後の結果を受けての動きというものになってしまうとなかなか難しくなってしまうので、先手先手を打つように恐らく政治が主導していくというか、恐らく、そのスマホゲームに関しても依存症対策でしっかりと組み込んでやっていくというような決意というものが必要になっていくと思うんですけれども。
先ほどスマホのお話をお伺いしました。
それが脳に与える影響であったりとかということもあったんですけれども、これは同じ画面を見詰め続けるという部分に関しては、恐らくパチンコ、スロットとかという部分に関しても共通する部分があると思うんですね。
EGMと呼ばれるものでしたっけ、エレクトリック・ゲーミング・マシン。
繰り返される映像、音声によって脳に強烈な刺激を繰り返して与えるということで、何でしょう、依存の状態に引きずり込まれる可能性がある、そのような研究結果というものも散見されるんですけど、このことに関しましては先生はいかがお考えでしょうか。
○参考人(樋口進君)
先ほども申し上げましたけれども、ギャンブルの中の種類の中でどういうふうなものが依存しやすいかということを脳科学的に調べた、そういうふうな研究がございまして、これはかなり著名なギャンブルの学者が集まった研究のグループがやったものですけれども、やはりそのEGMは非常に依存性が高いというふうなことがその中で指摘されています。その理由については、先ほど申し上げたとおりでございます。
○山本太郎君
ありがとうございます。
これ、次、続いて西村先生にお伺いしたいんですけれども、今、恐らくパチンコ、スロットの業界というのもかなり努力をされていて、先ほどおっしゃっていた、要は、ホール内に貼ってもそんなに反響がないだろうから、まず、その貼られているもの、掲示物と一対一になるトイレに貼っていくというような御努力もされていたりとかで、年間8000件ぐらいの方々がアクセスされてきたりとかというようなことを事前に読んだりもしたんですけれども、この根本の部分、EGMという部分に関して業界として取り組んでいくということを自主的にやっていくというのは恐らくハードル的には高いと思うんですけれども、ここ、なかなか政治の中で進まない部分でもあるので、逆に、業界的にこれを取り組んでいく、要は、脳への影響を低減させていくというようなことを進めていくということはなかなか難しいんですかね。
○参考人(西村直之君)
まあこれも機械メーカーの意図ですので、私が何とも答えられないんですが、ただ、このパチンコの問題には二つあって、一つは、接近性、近接性とかアクセスの話では、パチンコホールの話になっております。広告の話もそうです。
もう一方は、これらは全て国家公安の内規ですね、その中で決められた、もう規制が掛かった機械しか使えないという状態になって、これはホールは選べないというやっぱり二つの側面があって、それぞれがどのような責任を分担するかということがそもそも立て付け上明確でない。何をちゃんと調査しなければいけないかということはやはり今まで一度も明確化されていないというのは、そこについて、それが何となく見えるパチンコ屋さんが悪いという言い方になっているというところはやはり感情論になっていて、エビデンスが出てこない原因だと思います。
ただ、先ほど言った日工組社会安全研究財団の研究というのは、これは、パチンコの機械を作っている団体がこの調査として自分たちの数値を、これ一切干渉はないです、厳密に調査費用を出しながらやっているということに関しては、やはりこういう取組が少しずつ進んでいるので、よりもっとこういうことをちゃんとやったらどうかというのは、むしろそこは政治の方から提言投げかけていくというのはあるかというふうに思います。
○山本太郎君
そうですよね。まあ業界の努力に任せるみたいなところでずっと来ていたという部分で来たわけですから、ここはやはりそのような疑いがあるといいますか、脳に影響が与えるという可能性が少しでもあるんだったら、国からの規制というものをしてもらえるんだったら、もっと話は早い部分だと思うんですけれども。
山口先生にお聞きしたいと思います。
先ほど、田村先生とのお話の中で、ボランティアで多くの方が参加しているんだと。もうかつかつというよりも、もう本当、現場の善意に頼り切っているということがもうよく分かりました。もし国が予算幾らでも付けてあげるよということを言ってきたとして、ごめんなさい、例え話で、だとするならば幾らぐらい、で、その幾らのお金をどういった部分に、自分たちの活動のどういった部分に充てたいのか、一番台所事情苦しい部分を教えていただけますか。
○参考人(山口美和子君)
今日、ありがとうございます。
そう言っていただけるところはなかなかなくて、私どもはもう、困窮者の支援であるだとか、多重債務なんですね。そうしたら、先ほど西村先生も言われたとおり、いろいろ公的なところの助成金を当たるんですけれども、公共性がないという一言で全て切り捨てられることがありますので、もういつも、サポーター代、一口500円から広く募っていますけれども、なかなか昨今集まりが悪い。
そこに来て、弁護士、司法書士の先生以上は、実は一口5000円サポート代を月払っていただいているんです。先生たちはボランティアで来てくださって、無料報酬の上、5000円を払わされるという。
ですので、一番ここは声を大にして、もし予算が取れたのであれば、日頃無償で働いていただいて、かつサポート代を多額にもう出していただいてくれている先生たちにはきっちりと最低の基準の時給がお出しできたらというふうにも思っております。
あと、サポーターの育成費用、これがとても重要になってくると思います。どうしても時間を割いて教育をしていかなければならない、また、その人材の募集もしなければならない。あと、啓発活動。私たちのところにつながった人は本当に死なせませんから。それだけ自負があります。
しかしながら、つながらなかった人がどのぐらいいらっしゃって亡くなったのかというところもちょっと気には掛けていますので、啓発活動等、それも全て含めまして、大体いただけるのであれば、年間600万ほどあればかなりのことができるのかなと察します。
○山本太郎君
年間600万。今、私たちにつながれば絶対に死なさないと。それは、当事者の方もその御家族も誰も命を絶つようなことにはしないというぐらい手厚いことをボランティアでやられているというのが非常に、ボランティアだけじゃなくて、しかも会費まで先生方は、何でしょうね、善意から上乗せしていくという状態にならないと回らない。このような団体に対してぽんと600万ぐらい出すぐらいのことを当たり前にやってこなかったというのが非常に不思議なんですけれども、これをきっかけにやっていかれることがあればいいんですけど。
プラス、やはり、その当事者たちに対して、何でしょうね、それを克服していくための経済的な軽減という部分は必要になってくるんですかね、山口さん。
○参考人(山口美和子君)
緊急支援といいまして、昨今のもう本当に今までは、私たちの事務所にいついつ来てくださいって、来てくれる方が多かったんですけど、ここ最近、電車代がありませんという方が多いんです。
なので、私たちがその交通費も、電話取った人がもう交通費を負担すると、で、現地まで行く、食べる物がない。取りあえず、フードバンクともつながってはいますけれども、そのときにあるかといったら必ずあるものではないので、当面の食費と、あと携帯電話切れたら連絡ができなくなるので、その辺の部分の費用というのもこちらで負担しております。
○山本太郎君
時間が来たようなので、終わりたいと思います。ありがとうございます。
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