国会活動
2018.07.11 東日本大震災復興特別委員会「当事者が語る権利について」
2018年08月20日
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○山本太郎君
ありがとうございます。自由党共同代表、山本太郎です。
参考人の先生方、本当に貴重な御意見、そしていろいろなお話、ありがとうございました。
まず、今日の参考人の方々は、福島の災害、大震災からの避難者の方々で、もちろん福島を始めその他の東北、東日本の方も来てくださっているので、まずは、元々20年東京に住んでいて、その電気がどこから来ているかも知らずに自分が暮らしていたことに対してまず皆さんに謝罪をさせていただきたいと、申し訳ございませんでした。
東京の電力のために皆さんに多大な迷惑を掛けてきたことにまず謝罪したいことと、そしてもう一つは、本当に、7年前の大きな震災と事故から今も苦しみ続けているという状況、そしてその意見を言うたびに本当にタブー視されるような状況に陥ってしまっているということに関して、今の政治のていたらくという部分に関してもおわびを申し上げたいと思います。
けれども、今日、本日、皆さんに参考人として来ていただいたということは、これある意味この政治に対しての希望であると。この復興特において心ある先生方がこのような場をセッティングしてくださったことに対して、先輩の先生方に、そして委員長にお礼を申し上げたいと思います。
それでは、質問に参りたいと思います。
先ほど、石井委員の質問に対して森松さんがお答えになってくださいました。予防原則にのっとるということを考えるならば、今自分たちが避難するということは非常に合理的であるというようなお話だったと思います。専門家の意見が真っ二つに割れてしまうという中で、自分が避難を続けるということはこれ予防原則にのっとっていると言えることなんじゃないかというお話だったと思います。
先ほど、熊本さんの方のお話からお伺いすると、空間線量が0・2から0・3マイクロシーベルトぐらいの程度のものだったのが、地面を測れば8万ベクレルでしたか、先ほど放射線管理区域の倍とおっしゃいましたから8万ベクレルですね、パー平米ということになると思います。
このような状況を大西先生お聞きして、今現在、国がもう避難区域を解除して、帰ってよろしいですよというところは空間線量において年間20ミリシーベルト以下ということになっているんですけれども、この空間線量だけで帰っていいよという部分に関しては、私、非常に政治的な部分が入っているのかなと思います。
本当に人々の生命、財産を守るというような責務を果たすならば、空間線量の上に土壌というものも測った上で、それをセットにした上で、人々に対して、選択をするという部分、これを国がしっかりと提案していくということが必要なのかなと思います。
先生は先ほど、学術会議において提言なされた中に、人の復興ということに関して非常に、そういうことを考えていくべきだということをおっしゃっておりました。被災者の居住の在り方について、被災者自身の希望を十分に尊重した制度が構築されるべきだと。
これは非常に、政治の場にいる者としてそれを受け止めて、しっかりとその形をつくっていかなきゃならないなとは思うんですが、学術という分野に先生がおられて、より人々の命を科学的視点で守るということを考えるならば、空間線量だけではなく土壌もセットで測った方がいいと思われるのでしょうか、それとも政治的に決定されたことの方がより科学的と言えるんでしょうか、いかがですか?
○参考人(大西隆君)
ありがとうございます。
私は放射線の専門家ではないんですが、学術会議でその今御指摘の問題については随分長く議論をしてきました。
それで、それらを踏まえて、私は個人的には、このICRPの20ミリシーベルトという基準というのは緊急な場合に適用されるものなので、恒常的にはもっと低い状態で人間は暮らすべきだというふうに考えています。
つまり、生涯で100ミリシーベルト被ばくするといろいろな影響が出始めるということでありますから、20ミリシーベルトであると、5年間仮に屋外でずっと生活して浴びる、屋外が半分とすれば10年間で累積してそういう値に達してしまうわけですから、もっと低い基準であるべきだというのが私自身の考え方です。ただ、現実に、今、国の制度の中で解除をされてきているわけです。
それで、これに対する受け止め方もしたがって様々で、安全サイドを取って避難を続ける、避難を続けるというか別の場所での生活を続けるという方もいれば、御自身の将来、高齢者の方はやはりふるさとに帰って生活することによる満足感と、御自身の余命といいますか、これからどのぐらい生きられるかということなんかもやはりお考えになってそれぞれ判断をされるんだろうと思います。
そういう判断の一つの数値としてこういう20ミリシーベルト、つまり、なるべく早く帰りたいと思っておられる、あるいはそういう要望を出しておられる方も一方でいるのも現実ですので、こういう制度になっているんだろうと私自身は受け止めています。
しかし、その上でもできるだけ居住環境、あるいは居住環境といっても、少し山に行って散歩をするとか付近を歩きたいという、あるいは歩くという生活を日常的にされていた方もいるわけですから、そういうところも含めた除染というのが行われないと、通常の生活は戻られてもできないということになりますので、やはり必要な範囲の除染というのを少し拡大してやっていくような体制というのは必要なんだろうと。
今回、新しく復興再生拠点というのが設定されますけれども、ここについては従来の範疇とは別に重点的な除染をするということになっていますので、人々が安心して暮らせる地域というのをできるだけ増やしていくという作業は継続的に行いながら、そうした選択肢の幅を広げていく。つまり、戻るか戻らないか、戻る場合のリスクが少ないという、そういう状況をつくっていくことが必要だろうというふうに考えております。
○山本太郎君
ありがとうございます。
その拠点としてつくられるところというのは、恐らくコンクリートを全て地面に引いてしまって、普通に放射線からの影響を遮断してしまう、線量がいきなり低くなるというような拠点づくりという部分で、これはお仕事絡みのところであればある程度いけると思うんですけど、
例えば山であるとか、そのような山林があるというところはほぼもう除染は不可能ということになっていて、もちろん雨が降れば、風が吹けばその放射線というものは移動するわけですから、そこに住居という部分であったり人々の生活があるということになると、これは大きく話が変わってくる部分だと思うんですね。
けれども、やはり人の復興、この重視をした考え方というのは場所の復興というのを妨げるものではないと、選択肢としてやはりそういうものを考える、そういう制度を構築すべきだということを学術会議として、そして先生のお考えとしてもそういうお考えをお持ちくださるというのは非常に心強いといいますか、やはり選択肢を国として責任を持って、今のままだったら被害者は一方的に切り捨てられるだけですから。
原発事故を起こしたのは、やはり、森松さんでもありませんし、熊本さんでもありませんよ、佐藤さんでもないしという、原発事故を起こしたのは事業者である東電と、そしてそれをバックアップし続けた国であると。この事故の当然後始末、それに対するけじめというものは国が取り続けなきゃいけないという意味で、非常に人の復興、人の復興は場所の復興というものを阻害するものではないという考え方、非常に重要だと思います。
先ほど森松さん、避難の権利という部分についてお話ししましたけれども、避難の権利というものが認められるならば、今まで暮らし続けた場所にも居続ける権利というものも当然存在すると思います。でも、この国でなかったのは、その避難する人たちに対してしっかりとバックアップをするという部分だったと思うんですね。この部分が圧倒的に足りなかったと思うんですけれども、これ、残った人にも戻った人にもそれぞれのケアが必要だというふうに思うんですけれども、どういうことが考えられますか。
○参考人(森松明希子君)
山本議員、御質問ありがとうございます。
そうなんです、避難の権利と私が言っているのは、先ほど来申し上げているとおり、避難をした人たちだけの正当性を言っているわけではないのですね。避難の権利は、今回の原発事故に対しては、放射線被ばくから免れ健康を享受する権利、自らの健康を享受する権利であります。
避難の権利とは、具体的に言いますと、三つ考えられると思います。被ばく拒否権、一つ目が被ばく拒否権、そして二つ目が選択的被ばく回避権、先生方にお配りしているレジュメにも書いていますが、選択的被ばく回避権、それから三つ目が被ばく情報コントロール権というふうな形で、これは、名称はともかくとして、私は、この7年間そういうふうに分類できるのではなかろうかと考えました。
それは、もちろん憲法や、それから国際人権法に基づいて編み出したといいますか、被ばく拒否権というのは、大多数の人が被ばくを受忍しているとしても、個々人には無用な被ばくを絶対的に避ける権利がある、これは誰も否定しないと思います。健康に関する権利で、必要な被ばくは、医療ばくとかは必要だから被ばくするわけですよね。だけれども、無用な被ばくを絶対的に拒否する権利はまず個々人誰にでもある権利だと、人権だと。
そして、選択的被ばく権とは、私はよくこういうふうに表現しているんですが、知って被ばくすることと何も知らされずに被ばくをさせられることは全く意味が違うんだと。要するに、原発事故に象徴されますように、ある日突然、原発の事故で、それは大災害が原因でもヒューマンエラーが原因でも老朽化が原因でも、原因は関係ないんです、この場合は。何か、ある日突然、福島県を中心とする汚染地に放射能災害が来たときに、何も知らされずにそれは被ばくをさせられたということです。知らされずに水が汚染されて、分からないまま飲んでしまった水。それに対して、知ってしまった以上、知って被ばくすることはやはり避ける。知ったときには、人はいつでも自由に、いつからでも被ばくを拒否する、回避するという選択肢を選べることができるんじゃないか、そういうふうに考えています。
被ばくそのものが、さっきも申し上げたとおり、被ばく拒否権があるけれども、被ばくを避けることのほかにも守るべき権利があるのであれば、それはその個々人が選択できる。これが憲法に保障されている個人の尊厳であり、憲法13条の基本的人権の中でも、個人が尊重されるという条文のまさにその理解なのでは、この事故の場合における理解なのではないかと私は考えています。
個々人の選択は誰からも押し付けられるものではなく、被ばく回避権を行使しない、つまり、逃げない、避難をしないとか、元々避難していたけれども、戻ったからといって、最初に申し上げた一つ目の被ばく拒否権が何もなくなるわけではないのです。
例えば、幼児とか未成年者はどうでしょうか。親が被ばく回避の選択をしなければ逃げることはできませんよね。でも、大きくなって、やっぱり自分は離れたいと思ったり、そういうことと、翻って考えると、先ほど大西参考人が言ったとおり、復興のためとか廃炉作業に行くためとか、それからその地域の医療をするためであったりとかですね。
まさに、私の夫は福島で医師をしています。住んでいる人がいる以上、医師の倫理といいますか、地域住民の医療を守りたくて福島県民をやっておりまして、今も私たち夫婦、家族は福島県が大好きです。汚染さえなければ、そして私たちの子供は幼いわけですから、帰れるものなら帰りたい。でも、家族の中でも、家長制度とか、明治時代とか昔ではないわけですから、今は家族の中でも一人一人の尊厳が守られる。子供は未成年ですから今判断はできないけれども、そういうことがあって、被ばく回避権。
それから最後に、被ばく情報コントロール権というのは、自己が被ばくをするとき若しくはさせられるとき、その量や期間の情報を自分で知ってコントロールする権利というのは当然出てくると思います。プライバシー権とかが、自己に関する情報を自分でコントロールする権利という人権として新しく認められましたが、似たような、私は法律家ではないので分かりませんが、被ばく情報を自分でコントロールするためには、例えば先ほど陳述もしたとおり、モニタリングポストの設置があって、放射線は低線量では浴びているかどうかさえ分からないのです。
空間線量だけでなく、土壌の汚染があるわけですから、地面の汚染も測らなければ、ちゃんとした公的機関がきっちりと示さなければ、情報は私たちには知らされないということをこの7年間経験してきたわけです。
そうすると、空間線量一辺倒だけでやるのではなくて、土壌も測ってほしいというのが、市民の、そして避難した人たちの、そして、今は残っている人たちもやはり被ばく量を自分でコントロールしたいという権利があると思います。その三つの権利が少なくともきちんと確立されるべきだというのが私の主張でございます。
そうすると、例えば避難者の実態が把握されていないとか、中にとどまっている人は定期的に、先ほど申し上げたとおりチェルノブイリでは保養という制度があって、保養庁という省庁までできているんですね、国家的にそういうふうに子供たちを守ろうということで。そうであるとするならば、私はよく言っているのは、避難というのは、長期、すごい長い保養と同じじゃないかと。避難保養庁とかあってもいいのになというか、できている7年後を想像していたんですが、法律もなければ、そういう省庁もないけれども、それができるかできないかは別にして、このような考え方ができるのではないかというふうに私は考えています。
つまり、残った人や、とどまっている人や、もちろん避難した人も、それぞれに対して被ばく拒否権とそれから選択的被ばく回避権、それから自己に関する情報で被ばく情報のコントロール権というものは、少なくともこの原子力災害を経験したこの国はきちんと確立しておかなければ、いつ何どき身近の原子力発電所が事故を起こしたときに、一つもその被ばく防護の対策が取られないということに等しいということだと思います。
○委員長(徳永エリ君)
時間ですのでおまとめください。
○山本太郎君
はい。ありがとうございます。言われていること、非常にそのまんまです、本当に。それをどうして国がやらないのかと。
今までの放射線の取扱いは、元々決められた場所にあって、密封されたRIで、それをいかに管理し被ばくをどうするかという調整だったものが、表に出ちゃった、非密封RI。ここに関して、人々をどうやって守るかという当たり前のことがなされてこなかったということに関して、復興特として、みんなで力を合わせて、皆さんに寄り添えるような政治を目指していきたいと思います。
ありがとうございました。
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