国会活動
2018.12.6 文教科学委員会「文科省が放置する?! 障がい者差別」
2018年12月05日
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○山本太郎君
自由党共同代表、山本太郎です。社民との会派、希望の会を代表し、特別支援学校についてお聞きします。
特別支援学校とは、学校教育法で定められる視覚、聴覚、知的障害者、肢体不自由者又は身体虚弱者を含む病弱者に対して、幼稚園、小中高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知能、技能を授けることを目的とする学校だそうです。
この特別支援学校、全国で通う生徒が増えていますが、増加に見合う学校建設、行われていません。資料の①と②、対象者の増加グラフ、そして教室数の増加グラフとなっておりますが、10年間で在学生の数が約3万3700人以上増えているにもかかわらず、学校数は僅かにしか増えていない。各学校では人権侵害とも言える劣悪な教育環境を強いられています。原因は、特別支援学校だけに設置基準がないことが挙げられます。
設置基準とは、学校教育法第3条、学校を設置する者は、設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならないと定められ、幼稚園から小中高校、大学、各種学校まで全ての学校に設置基準が策定される。学校の編制から校舎、運動場の面積などが定められ、校舎に備えるべき施設も明記されていると。
これ、特別支援学校に設置基準がない理由、教えていただいていいですか。
○政府参考人(永山賀久君)
特別支援学校につきましては、対象とする障害種に応じた多様な施設、設備等が必要とされるということもございますので、各学校の状況に応じて柔軟な対応が可能となるように、その施設や設備についての一律のそういった基準は設けていないところでございます。
○山本太郎君
ありがとうございます。
ちょっと言い方変えて、いろんな障害があるんだから、一方的に決め付けずに現場で柔軟対応できるように設置基準は設けていないよということでよろしいですか。いかがでしょう。
○政府参考人(永山賀久君)
そういう趣旨でございます。
○山本太郎君
けれども、それによって大混乱が生まれていると。
例えば、関東のある県にある特別支援学校では、180人を想定した学校に、開校時は200人の生徒が入学、そして10年たった今、400人以上の生徒が在学。10年前には300人を超える学校などなかったが、今は県内に5校もある。今後1400人増えると想定しているのに、600人分の学校しか建設計画がない。こういった事態、この県だけではないようです。
一体どうやったら180人想定の学校に400人を詰め込めるのかという話なんですけど、もう皆さん御存じのとおり、一つの教室の真ん中にカーテン、パーテーションを引いて、部屋を狭く間仕切りすると。あっ、これで教室が増えましたねということらしいんですけど、かなり無理ないかという話なんですよね。
資料の③、少し古いんですけれども、NHKで特別支援学校の窮状を特集した番組がありまして、これがNHKの公式ブログ、今まとまっているものがある、その中からの抜粋なんですけど、一番左側、AとBの写真ですね。これが先ほどの一つの教室の真ん中にカーテンやパーテーションを引き、部屋を狭く間仕切り、教室が増えたよという話なんですね。
資料の④、実際間仕切りされた教室の写真。さすがにこれカーテンで仕切っているというのは、話が広がっていって、批判がかなり強くなったと。最近はパーテーションでの間仕切りが主流だという話です。
こういう環境によって、生徒たちに、子供たちにどういう影響があるかという話です。子供に合わせてではなく、教室の狭さに合わせた授業しかできず、十分な教育活動ができない。
隣の授業の声が筒抜け、当たり前ですよね、もうがんがん聞こえるという話ですよね。音楽の授業をやっているけれども、小さな声で歌ってねと子供に指導すると。読み聞かせをしていても、隣のクラスの音、これが入ってきて、気が散って集中できない。これは恐らく、読んでいる方も聞いている方もですよね。普通の学校でこういう事態ってあるんでしょうか。
学校によってはその幅が2メートルぐらいしかないような教室になっちゃったりとかして、非常に圧迫感があると。車椅子の子供が擦れ違うことすらも困難という状況が生まれている。
定員の想定を大幅に超えた実態に合わせるために、21年前に作業室として建てたプレハブを今教室として使われているような例もあると。
元々別の用途、今の例ですよね、例えば、元々別の用途、例えば図書室だったり、調理室だったり、作業室だったり、倉庫、プレールーム、これを普通の教室に転用するということも現場では普通になっているそうです。
先ほどの資料の③の写真、C、D、E、Fについてのお話ですけれども、その結果どうなりましたかということですけど、図書室が教室になっちゃったわけですから、その中にある本はどこに並べるかといったら、廊下に並べることになったりとか、音楽も美術も実験も被服縫製など作業学習も間仕切り教室でやらざるを得ない。作業学習を教室でやっているので、準備と片付け、これ時間が掛かる。だから、授業の時間が短くなってしまう。
教室で作業となると、これ、水を使うというときに、普通それ用の教室であれば床に流したりとかいろんなところにということができるんだけれども、それができない。要は、やりたい作業ができなくなってしまう。ほかにも、調理室が給食の配膳室になっているために調理実習で使用できるのが午前10時45分まで、この時間制限があるために、今年度一度も調理実習をしていない高等部生徒もいるぐらいだと。
じゃ、調理実習をしようとしても調理室がなくなってしまった、教室になってしまったりとかするわけですから、じゃ、実習できないんだったら栄養の勉強にしようかというふうに、内容もどんどん変わっていくということですね。特別教室がないために学習内容が変わることもある。障害の特性に応じた教育ができない。
具体的には、プレールームがなくなってしまって、学年全体でやっていた集団遊びができなくなった。仕方なくクラス単位で小さな遊びへと移行していく。紙すきの授業をしていたけれども、作業室がなくなったので、これが裁縫の授業になったり、木工の授業で電気のこぎり使って授業していたけれども、これ、木工の作業室がなくなってしまったので、大きな機械をこれそのたびに運び出すわけにいかないんで、じゃ、小さな糸のこぎりを使って何か作業しようかというような話になっちゃったり。
想定されている人数を大幅に上回る生徒を詰め込むことによって起こる基本的な問題、これもっと大きなものがあります。生理的な問題ですよね、トイレ、圧倒的に数が少ない状態であると。結果、休憩時間には限りがあるために全員が用を済ませられないということもあると聞きますし、お漏らしをしてしまう子もいるという話です。
教材を保管する部屋もない、教室の棚の上に置いてある。まあ急遽、しようがないですよね、場所がないので。けど、災害時これどうなるんだろうというふうに心配されていたりとか。更衣室がなくなってトイレで着替えるようになったり、体育館がないので、じゃ、玄関で体育の授業やりましょうかという話になったり、体育館があっても、体格の違う小学生と高校生が一緒に授業をやることになったり、これ非常に危険ですよね。ほかにも、プールも小学生と高校生が一緒だったりなどなど。
作業室での授業、例えば被服縫製、革細工、陶芸などの学び、これは学校を卒業した後に就労していくために、これはその本人の持った秘めた可能性だったり未開発な部分を見付けて引き出すために必要、大切な授業であり、場所である。この作業室というのは非常に重要であると。しかし、その教室がないためにこのような機会を潰してしまっている状態がほとんどであると。
ほかにも、パニック障害で急なパニックを起こす生徒もいる。その際には空いている静かな部屋でクールダウンさせる必要があるが、生徒の数増加しちゃって全ての部屋は教室になったので、クールダウンさせる場所がない。しようがないから、パニックになった子は廊下で何とか落ち着くしかない。
特別支援学校に設置基準は設けない、その理由として、現場の状況に応じて柔軟に対応してもらうために設置基準を設けていないんだという話でしたけれど、これ、結局、現場はかなり無理のある、柔軟な対応をすることになっているんですよ。そちらが意図しなかった形での柔軟な対応を強いられている。これ、どうしてか。設置基準がないためですよ。設置基準がないために学ぶ権利が毎日侵害される場所、それが特別支援学校になってしまっていると。
例えば、普通の公立の中学校、設置基準大幅に超える入学者が先々見込まれる場合にはどういった対応が考えられますか。
○政府参考人(永山賀久君)
小中学校、設置基準上は、児童生徒数の上限ということは特に決めてはございませんけれども、学校教育法の中で、市町村は、その区域内にある学齢児童生徒を就学させるに必要な小学校それから中学校等を設置する必要がありまして、市町村においては設置後もその学校を適切に維持管理する必要があると思ってございます。
御指摘のように、児童生徒数の大幅な増加が見込まれる場合ですけれども、通常ですと、例えば学校の分離、新設ですとか、あるいはそこまでいかなくても通学区域を見直すということもございますでしょうし、あるいは学校施設の増築、そういった対応も考えられるのではないかというふうに思ってございます。
○山本太郎君
たくさんのお答えの中に一つ入っていましたね、新設も考えられると。普通の公立の中学校でこの先大幅に先々人数が増えるなということになったときにどうするかといったら、もちろんほかの空いているクラスを分けてもらったり、通学路を変えて別のところに行ってもらったりということも考えられるけど、当然、新設も考えられるというのが対応策の一つですよね。増え過ぎたら生徒に対する教育の質は落ち、平等な教育の機会を奪うことになるから増設する。これ、設置基準にのっとった判断じゃないですか。
資料の⑤、文科省の公立学校施設実態調査報告平成29年度では、教育活動に必要とされる面積に対して実際の特別支援学校の保有面積が66・7%程度しかないことが判明。
設置基準がないため、特別支援学校においてはこれ放置されます。無法状態です。完全なこれ障害者差別と言っていいんじゃないですか。それ以上でも以下でもないですよ。普通学校で誰がパーテーションやカーテンで仕切ったところでやるんですか。普通学校で誰が玄関前で、玄関で体育の授業をさせられるんですか。特別支援学校だけじゃないですか。
ほかにも、設置基準が定められていない特別支援学校は数が少ない。住む場所によっては、特に地方では通学時間に片道1時間、2時間強いられる人々も多くいるといいます。中には、集合場所のバス停まで親が1時間掛けて自家用車で送って、そこから1時間ちょっと掛けてバスで学校に行く、そのような生徒もいるそうです。保護者の負担もかなりのもの。学校数も教室数も全く足りていない。国は都道府県に対して事実上のほぼ丸投げ。自治体の財政状況の差によって格差生まれるの、これ当然ですよね。やっぱりここで国がイニシアチブちゃんと取って、特別支援学校の生徒、現場の状況をよく加味した内容で設置基準をしっかりと作っていく、国として予算を確保していくということが必要なんじゃないかと思います。じゃないと、問題改善されませんもんね。
というわけで、大臣、特別支援学校のこの設置基準、これ策定していただけませんか。いかがでしょう。
○国務大臣(柴山昌彦君)
今、山本議員が資料⑤の数字をお示しいただいて、私も今ちょっと拝見をさせていただいたんですけれども、確かに特別支援学校のところは必要面積よりも保有面積の方が少ないという非常に過酷な状況になっております。ただ、その隣を見ると、小中までは保有面積の方が大きいんですけれども、高等学校においても、これちょっと背景分かりませんけれども、必要面積よりも保有面積の方が少ないということも見て取れます。
小中学校は、先ほど永山局長の方からお話があったように、設置基準というものがしっかりと決まっているということで、当然オーバーすれば学校の分離ですとか、あるいはプレハブ校舎を造ったり通学区域を見直したりというようなことをされているわけなんですけれども、じゃ、特別支援学校はいかがかということで、じゃ、設置基準、本当に小中学校のようなかっちりしたものをできるかということをもう一回検討をしてみる必要もあるのかなというように思っております。
公立特別支援学校においては都道府県、そして公立小中学校においては市町村が現在及び将来の学校規模を的確に把握し、必要に応じて、通学区域の見直しですとか新設校の設置、既存校舎の増築、分校、分教室の設置など、適切に対応をいただくべきものではないかというように感じておりまして、今御提案のあったような設置基準を、じゃ、特別支援学校にかっちりとした形で設けるかというところについては、現時点においては、障害の状態等に応じた柔軟な対応がやはり可能となるように、そういった部分、かっちりした基準というのはやはり難しいんじゃないかなというように考えております。
○山本太郎君
済みません、かっちり決めちゃったら、いろんな多様な障害があるわけだから、それをかっちり決めちゃったら、現場での対応大変になっちゃうよね。現場でちゃんと柔軟な対応できるようにフリーにしておこうということで設置基準設けなかったという話なんですよ。
けど、それが逆に、逆の方向に柔軟な状況をつくらなきゃならない。要は、もう与えられたもので精いっぱいやらなきゃならない。だから、本当にパニック起こした子が落ち着く部屋もない。これ、全部を教室にしなきゃ追い付かないような状況なんですよ。これ、どうしてかといったら、設置基準ないからじゃないですか。
だから、緩やかでもいいんで設置基準を作っていただきたいんです、大臣。これ、お願いします、本当に。緩やかで結構です、設置基準を求めたい。それを最後にお答えいただきたい。
そして、委員会としても、この設置基準を策定を求めていくということを是非決議いただきたいということを後ほどお話ししていただけますか。
○委員長(上野通子君)
後日、協議します。
時間が来ております、大臣。
○国務大臣(柴山昌彦君)
よく現場の声等も受け止めたいとは思いますけれども、いずれにいたしましても、設置基準という形を取ればよいのか、今言ったように様々な現場の工夫というものが必要なのかということについて知恵を絞っていきたいと考えております。
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