山本太郎(れいわ新選組代表)オフィシャルサイト

質問主意書

第210回国会(臨時会)質問主意書

福島第一原子力発電所一号機ペデスタル内調査に関する質問主意書

概要

  2022年5月、福島第一原発1号機内部調査で原子炉を支える台座(ペデスタル)のコンクリートが一部崩壊している状況が明らかになった。崩壊している範囲が広ければ、今後の地震などで原子炉が落下し、放射性物質の外部への飛散、隣接する燃料プールの損傷なども懸念される。台座損傷状況の調査と対策を急ぐよう福島県からも求められているが、東電は原子炉内部調査を早くても23年3月としている。早急な調査を求め東電を指導するよう政府に質問主意書で求めたところ、「今の東電の調査スケジュールは妥当」と東電を擁護する答弁。


質問本文

質問第69号

福島第一原子力発電所一号機ペデスタル内調査に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第74条によって提出する。

令和4年12月9日

山本 太郎

参議院議長 尾辻 秀久 殿


福島第一原子力発電所一号機ペデスタル内調査に関する質問主意書

  2022年5月26日読売新聞によれば、東京電力は本年5月17~23日、福島第一原発1号機の原子炉格納容器(PCV)内に水中ロボット(ROV)を入れ、原子炉圧力容器(RPV)を支える円筒形の土台「ペデスタル」の外側を撮影した。

その映像を分析したところ、ペデスタルの点検用の開口部付近で厚さ1.2メートルのコンクリートの一部がなくなり、鉄筋がむき出しになっていた。原子炉本体(原子炉圧力容器)を支えるコンクリート製の土台の損傷について、溶け落ちた核燃料などが冷えて固まった核燃料デブリとみられる堆積物が水中で棚状になり、棚の下側だけ土台の鉄筋が露出していることが分かった。

原子力規制委員会の更田豊志委員長(当時)は5月25日の記者会見で、ペデスタルのコンクリートの一部がなくなっていることについて「耐震性が心配だ。どの程度損傷したら何が起きるのか、議論しておいた方がよい」旨の指摘をした(2022年5月26日読売新聞)。

そして更田氏は6月1日の会見で、「ペデスタルの強度が失われた時に何が起きるのか、検討はしておくべきだ」と語っている(2022年6月26日読売新聞)。

1 政府は、更田規制委員長が言うように「ペデスタルの強度が失われた際にどのようなことが起きうるのか」について検討したか。検討しているとすればその検討結果を示されたい。

いまだ検討していないとすれば、いつ検討作業を行うのかその計画を示されたい。

2 原子力規制委員会の伴委員は、6月20日に行われた特定原子力施設監視・評価検討会で、福島第一原発1号機の原子炉圧力容器が落下した場合のリスクを、次のように指摘している。

「結局、万が一RPVががさっと落ちたときに、いろいろつながっているものを含めて、結局、PCV側も損傷を起こして、そこからダストが出ていくというのがやっぱり一番怖いことではないかと」

伴委員がこの発言で指摘する事態が起こりうる可能性を、政府として認めるか。

3 東京電力は「1号機 原子炉格納容器内部調査の状況について」(2022年6月20日)という資料の中で、ペデスタルの支持機能損傷で原子炉圧力容器が落下する可能性は低いという旨の見解を示している。

東京電力が同資料で示した影響評価について、政府はどのように評価しているか。

4 東京電力の資料「1号機原子炉格納容器の漏洩箇所の推定」(2022年9月12日13頁)では、福島第一原発1号機ペデスタル内調査は2023年3月に行われる計画になっている。

このペデスタル内調査と他の調査の順番について、2022年6月20日の特定原子力施設監視・評価検討会で東京電力担当者は次のように説明している。

「まずはできるだけ知見拡充というところ優先して、こちらROV―D、デブリ検知ですとかサンプリングというのは、どちらかというとペデスタル外側の作業をやって、最終的に一番難易度の高い作業リスクの高いペデスタル内の調査というところを最後に持っていくということで、また適宜、知見等拡充した上で、説明、皆さんへの説明等したいというふうに考えてございます。」

政府は耐震性が懸念されるペデスタル内調査を「最後に持っていく」という東京電力のスケジュールをどう評価しているか。

ペデスタル内調査を優先的に早期実施するよう、東京電力を指導する必要性をどう考えるか。

5 福島県の高坂原子力対策監は2022年6月20日の特定原子力施設監視・評価検討会で、次のように「ペデスタル支持機能に係る調査を急ぐべき」という福島県からの意見を伝えている。

「今後のROV使った調査の予定があって、県で意見が出ているのは、ペデスタルの支持機能に係る調査を急ぐべきで、ペデスタル内の調査は先にすべきではないかということです。何故ROV―A2を使用したペデスタル内の調査が調査の最後になっていて遅くないか、ということでした。」

政府としては、このペデスタル支持機能調査を急いでほしいという福島県の意向をどのように受け止めているか。

福島県の意見を受け止め、東京電力にペデスタル調査時期の前倒しを求める意思はあるか、政府の見解を示されたい。

6 仮にペデスタル内の調査を2023年3月に実施する場合、支持機能の健全性が確認される時期はいつと政府は認識しているか。

右質問する。


答弁本文

内閣参質210第69号
令和4年12月20日

内閣総理大臣 岸田 文雄

参議院議長 尾辻 秀久 殿

参議院議員山本太郎君提出福島第一原子力発電所一号機ペデスタル内調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


参議院議員山本太郎君提出福島第一原子力発電所一号機ペデスタル内調査に関する質問に対する答弁書

1から3までについて

御指摘の「ペデスタルの強度が失われた際にどのようなことが起きうるのか」、「伴委員がこの発言で指摘する事態が起こりうる可能性」及び「東京電力が同資料で示した影響評価」については、原子力規制委員会に設置した特定原子力施設監視・評価検討会において検討を進めているところであり、これまでに東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器(以下「格納容器」という。)内のペデスタル(以下「ペデスタル」という。)の状況を確認できた範囲がごく一部に限られていること及び格納容器内部の状況に関する今後の調査を踏まえる必要があることから、現時点において、当該検討の結論を得ていない。

4及び5について

ペデスタル内部の状況に関する調査については、技術的に難易度が高いため不確実性が大きい一方、ペデスタル外部の状況に関する調査については、既に実績があり不確実性が小さいものであり、今般、東京電力が実施する格納容器内部の状況に関する調査においてペデスタル外部の状況に関する調査をペデスタル内部の状況に関する調査の前に実施することは、ペデスタル内部及び外部の状況を速やかに確認する観点からも妥当であると考えている。このため、政府としては、令和4年9月12日の特定原子力施設監視・評価検討会において東京電力が示した格納容器内部の状況に関する調査の工程に関して東京電力に変更を求めることは考えていない。

6について

御指摘の「支持機能の健全性」については、これまでコンピューター解析によるシミュレーション等を行ってきており、今後の格納容器の内部の状況に関する調査から新たな知見が得られれば、当該知見を活用して評価を進めていく考えである。現時点においては、格納容器の内部の状況に関する調査を進めている状況であるため、お尋ねの「支持機能の健全性が確認される時期」について、お答えすることは困難である。




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