質問主意書
福島第一原発事故時、7回線(東電原子力線含む)あった外部電源は、地震による変電・送電設備の損傷等によりすべて使えなくなり、さらには非常用ディーゼル発電機や配電盤も津波で浸水してしまったことが原因で、福島第一原発は「全交流電源喪失」⇒大原発事故となったわけですが、
事故時の外部電源確保に重要な機能を果たす新福島変電所で起きた液状化現象などによる設備被害の分析等はほとんど報告がされておらず、耐震脆弱性地震による対策はほとんど行われていないようである。
この事について山本太郎事務所は質問主意書を提出し、政府に問いました。
東京電力福島第一原子力発電所の変電所における地震動による被害に関する質問主意書 東京電力株式会社(以下「東電」という。)は、平成二十五年三月に「東北地方太平洋沖地震に伴う電気設備の停電復旧記録」(以下「記録」という。)を発表した。この記録の目的は、「電力設備(主に火力発電所・水力発電所・変電所・送電設備・配電設備・電力用通信設備等)の被害状況、復旧状況、後方支援活動に関する事項を中心」に取りまとめることにあり、「福島第一・福島第二原子力発電所事故に関する事項は、社内外の事故調査委員会から報告される」として事故原因の究明や再発防止には重きが置かれていない。
しかしながら、東電福島第一原子力発電所における外部電源の喪失に関しても、「七回線(東電原子力線含む)ある外部電源は、地震による変電・送電設備の損傷等によりすべての回線が受電停止したため、非常用ディーゼル発電機が起動したが、その後襲来した津波の影響により非常用ディーゼル発電機や配電盤が冠水し、六号機用の一台を除いた非常用ディーゼル発電機が停止し、一号機から五号機について全交流電源喪失となった」との記載があり、東電福島第一原子力発電所事故の原因究明や再発防止を目的とした他の報告書にはない記載もある。
その一つは事故時の外部電源確保に重要な機能を果たす新福島変電所で起きた液状化を含む地震動による被害についての記載である。
一 原子力規制委員会及び送電施設を所管する経済産業省は、東電から記録の提出を直接受けた事実があるか。ある場合には、いつどのように受け取ったのか。ない場合には、どのように取得したか。
二 記録の百二十頁には、「新福島変電所は積層配置(三床式)の気中絶縁形変電所であり、法面崩落や液状化による地盤沈下、道路陥没や屋外鉄構の傾斜が敷地全般に発生した」との記載がある。原子力規制委員会及び経済産業省は、変電所の敷地内全般で発生したと報告されている法面崩壊、液状化による地盤沈下、道路陥没、屋外鉄構の傾斜の四つの事象について、特別に詳しく東電から報告を受けた事実はあるのか。ある場合には、その日時と、どのようなメカニズムで四つの事象が発生したと説明を受けたのか、明らかにされたい。ない場合には、変電所機能の確保の観点からこれらの事象の発生メカニズムについて検証を行うために報告を受けるべきだと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
三 資源エネルギー庁に置かれている総合資源エネルギー調査会が平成二十四年三月に発表した「電力安全小委員会電気設備地震対策ワーキンググループ」の最終報告書は「被害実態、電気機器の損壊原因、復旧対応などを調査し、今後の教訓・対応をとりまとめる」ことなどを目的とし、新福島変電所については、その三十三頁から「地震による設備被害の原因分析」として、変電設備の損傷状況と共に、それらが設置されている地盤の最大加速度が千六十九ガルにまで達したことが記載されている。しかし、記録にあるような変電所における液状化についての記載はない。また、なぜ千六十九ガルにまで達したかという根本原因についても書かれていない。同ワーキンググループに対して、東電から液状化とその根本原因についての情報提供がなかったからなのか、もしくは情報提供は行われたものの記載しなかったからなのか、明らかにされたい。
四 前記三に関して、ワーキンググループの最終報告書では、十頁以降で、様々な変電所の機器が「民間設計基準に対して十分な安全率を有していたが、設計値を上回る応力が発生」したことによって「破損したと推定される」としている。ここで言う民間設計基準とは電気技術指針JEAG5003「変電所等における電気設備の耐震設計指針」に示されている耐震基準値のことだが、原子力規制委員会が責任を持って定めた基準が、いまだないのは何故か。
五 東北地方太平洋沖地震を受けて、原子力規制委員会として、外部電源を確保するための変電所の立地条件や、変電所の変電設備の基準を定めるべきかどうかという点につき検討を行った事実はあるか。
六 国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(以下「国会事故調」という。)はその報告書の百四十七頁と百四十八頁で、新福島変電所は経年化で設備劣化があることの他、「複雑な地盤構造(双葉断層)上に立地するため、福島第一原発における基準地震動クラスの地震が発生した場合には、新福島変電所地点では地震動が増大し、開放基盤面における最大加速度は千二十四Galにも達するとされていた。東電の検討資料には、開放基盤面で最大加速度千二十四Galが生じた場合について、現状の耐震能力で被災した場合には、外部電源を七日以内に復旧することは困難との記載もみられる。新福島変電所及び関連する送電系統の耐震強化は平成三十二(二〇二〇年)完了予定だったため、平成二十三年(二〇一一)年三月十一日時点ではいまだ耐震脆弱性を有していた。そして、今般の地震動によって遮断機等の変電設備が損傷しており、外部電源喪失の一因となった」とした。
七 原子力規制委員会及び経済産業省は、東電が、福島第一原子力発電所における基準地震動クラスの地震が発生した場合には、地震動が増大し、開放基盤面における最大加速度は千二十四ガルにも達することを予測したために、平成三十二年の完了を目指してどのような対策を取っていたのか、説明を受けた事実はあるか。また、どのような対策を取った上で、地震動によりどのような事象が起き、四十五箇所の電気設備への被害が起きたのかを把握しているのか。把握していない場合には、その理由を示されたい。
八 原子力規制委員会は「過去数十万年間に繰り返し活動し、今後とも活動する可能性のある断層」などと定義される活断層ではなく、震源地から離れた断層上で地震が増幅され、変電所施設に地震動による損壊被害が起きるメカニズムについて、東電福島第一原子力発電所事故を基に検証した事実はあるか。ないと場合には、その理由を示されたい。
九 原子力規制委員会は、新福島変電所が活断層ではないものの「双葉断層上」に立地していただけで、実際に東電福島第一原子力発電所において五百五十ガルの地震動が、新福島変電所では千六十九ガルに増幅したことを具体的に検証し、変電所の規制強化に今後どのように役立てるべきかという点について、今日までの会議で検討した事実はあるか。ある場合には、福島で得た教訓をどのように規制強化に生かしたのか、明らかにされたい。
十 政府の「東京電力福島原子力発電所事故調査・検証委員会」(以下「政府事故調」という。)では、変電所における液状化その他の地震動による事象について、触れられていないが、変電所の耐震脆弱性が外部電源喪失の一因になったかどうかの判断材料となる資料の提出を東電から受けた上で報告していないのか、または、受けていないので報告できなかったのか、いずれか明らかにされたい。いわゆる「吉田調書」の例もあることから、政府事故調関係者に政府として責任を持って聴取した上で答弁されたい。
十一 東電は、平成二十三年四月二十五日に求められた「電気事業法第百六条第三項の規定に基づく報告の徴収について」に対する報告として「平成二十三年東北地方太平洋沖地震発生以後の福島第一原子力発電所内外の電気設備の被害状況に係る記録」及び福島第一原子力発電所への送電の状況及び応急措置により外部電源を復旧させた状況等に係る記録」を同年五月十六日に経済産業省へ提出するとともに公表したが、その中でも、「液状化」についての記載はない。当時は、各関係者が懸命に事故原因究明に取り組んでいるさなかであり、重要な情報を意図的に隠蔽したと思われても仕方がない。液状化の状況や途上にあった耐震対策について、これからでも追加報告を求めるべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。
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この質問主意書に対し政府から返ってきた返答が以下である
参議院議員山本太郎君提出東京電力福島第一原子力発電所の変電所における地震動による被害に関す る質問に対する答弁書 一について 経済産業省及び原子力規制委員会においては、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が、平 成二十五年三月に、御指摘の「東北地方太平洋沖地震に伴う電気設備の停電復旧記録」(以下「復旧記録 」という。)を公表したことについては承知しているが、東京電力から復旧記録の提出を受けた事実はな い。
二、三、七及び十一について
四、五、八及び九について
六について
十について
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政府は「液状化なんて無かったよ」とのことです。この点についてさらに追っていきます。
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